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三相交流の波形

三相交流(さんそうこうりゅう)は、電流または電圧位相を互いにずらした3系統の単相交流を組み合わせた交流である[1][2]多相システムの一種で電力系統において世界で最も普及した送電方法である。同様に大型の電動機や他の大型の負荷でも使用される。三相システムは単相交流二相交流よりも同じ電圧で送電する場合、伝導体の使用量が少なくて済むので経済的である。[3] 三相システムはGalileo FerrarisMikhail Dolivo-DobrovolskyJonas Wenströmニコラ・テスラ達によって1880年代末に発明された。

原理[編集]

120度 ( [rad] ) ずつ位相をずらし、それぞれの位相のずれが同じである三相交流を対称三相交流と称し、通常は対称三相交流を単に三相交流と呼ぶ[4]

三相交流電源は主に交流電動機の駆動に用いられることから、電力会社などでは動力(どうりょく)と呼ぶ[4]。これに対し、単相交流電源を電灯(でんとう)と呼ぶ[5]

相の呼び方[編集]

三相交流の波形
相順 電源記号 変圧器端子
入力 出力
第一相 R U u
第二相 S V v
第三相 T W w
第四相 N O o
  • 三相4線式の場合、第四相は中性相、中相ともいう。

結線[編集]

Y結線[編集]

Y結線回路図

Y結線(ワイけっせん, ほしがたけっせん, スターけっせん)は、三相各相をその一端の中性点で接続する結線[6]星形結線(ほしがたけっせん)、スター結線とも表記する[7]

各相間の電位差を線間電圧(せんかんでんあつ)といい、各相と大地間の電位差を相電圧(そうでんあつ)という。また、結線外の各相の電流を線電流(せんでんりゅう)といい、結線内の各相の電流を相電流(そうでんりゅう)という。

Y結線では、線間電圧は相電圧の倍に等しい。また、線電流は相電流に等しい[6]

Δ結線[編集]

Δ結線回路図

Δ結線(デルタけっせん, さんかくけっせん)は、三相各相を相電圧が加わる向きに接続し閉回路とする結線。三角結線(さんかくけっせん)、デルタ結線とも表記する[7]

Δ結線では、線間電圧は相電圧に等しい。また、線電流は相電流の倍に等しい[6]

Y結線とΔ結線の相電圧と相電流の差を利用し、かご形三相誘導電動機をY結線で始動し、途中でΔ結線に切り替えることによって始動電流を3分の1に抑えるスターデルタ始動法が存在する。

V結線[編集]

V結線(ブイけっせん)は、Δ結線より三相のうち一相を除いた結線[7]

V結線では、線間電圧は相電圧に等しい。また、線電流は相電流と等しい。単相変圧器を2台組み合わせてV結線を構成することができるが、その場合、変圧器の最大容量は単相変圧器1台分の定格容量の倍となり、単相変圧器を3台必要とするが、単相変圧器1台分の3倍の最大容量が得られるY結線やΔ結線に比べて効率が悪い。 また、v結線は、V字になっていてる。

三相交流電力[編集]

Y結線、Δ結線における三相交流電力 P は、線間電圧を V 、線電流を I 、力率を cos θ とすると、

で表される[6]

三相交流送電[編集]

三相交流による送電は、単相交流によるものと比較し以下のような利点がある。

  1. 電線一本あたりの送電電力が大きい。
  2. 同じ送電電力ならば、電線の質量を低減できる[8]
  3. 三相交流から単相交流を取り出すことができる。
  4. 三相交流からは回転磁界を容易に得られる。

具体的な送電方式として、以下のような方法がある。

三相3線式[編集]

三相交流電力を3本の電線・ケーブルを用いて供給する配電方式である。

低圧三相3線式[編集]

三相3線式配電線

50kVA未満の動力専用引込み線・構内幹線などに用いられる。

三相変圧器二次側から電圧のかからない接地された線と、他の端子から対地電圧200Vの電圧がかかった電圧線2本とを引き出し、2本を接続して単相200V負荷に、3本接続して三相200V負荷に供給する。

単相100V負荷に供給するためには、別に低圧-低圧変圧器が必要であるので、小容量の電灯・動力共用配電線や構内幹線には、電灯・動力共用三相4線式が用いられる。

高圧三相3線式[編集]

需要密度の高くない地域の配電線、50kVAを超え2000kVA以下の引込み線、特別高圧受電の場合の構内幹線などに用いられる。

通常は非接地系である。

構内受電設備高圧から低圧へ変電し、電灯・動力共用三相4線式・低圧三相3線式・単相3線式の構内幹線で負荷に供給する。

20kV/30kV級三相3線式[編集]

高圧三相3線式との比較
  • 電力損失が低減できる。
  • 同じ電力の配電のための、電線路の数や太さを減らすことができる。
  • 国際規格に適合するため費用の低減が可能である。
需要家への供給方法
  • 変圧器・遮断器・制御機器が一体となった変圧器塔で変電され、高圧三相3線式配電線へ供給される。
  • 地中電線路化された需要密度の高い地域の配電線の場合、歩道上に設置された変圧器と特別高圧開閉器と低圧遮断器が一体となった変圧器箱で特別高圧から低圧に直接変電され、需要家に供給される。
  • 借室電気室や2000kVAを超える引込み線などの場合、構内受電設備で変電し、高圧三相3線式・低圧三相4線式・低圧単相3線式の構内幹線で副変電設備や負荷に供給する。

三相4線式[編集]

三相4線式とは、三相交流電力を4本の電線ケーブルを用いて供給する配電方式である。

低圧三相4線式[編集]

三相4線式配電線

需要密度の高い地域で、地中電線路や50kVAを超え2,000kVA以下の借室電気室の二次側、電動機などの三相415V負荷や高周波点灯蛍光灯などの単相240V負荷を使用する、需要電力の多い建築物の構内バスダクト幹線などに用いられる

三相変圧器二次側中性点から、電圧のかからない接地された中性線と、他の端子から対地電圧240Vの電圧がかかった電圧線3本とを引き出す。電圧線と中性線とを単相240V負荷に接続する。相間電圧415Vの三相負荷には電圧線3本を接続し、中性点を接地線または中性線に接続する(接地方式により異なる)。

単相100/200Vや三相200Vの負荷に供給するためには、別に低圧-低圧の三相7線式三相3線式単相3線式スコット結線などの変圧器(タイトランス:Tie Transformer)が必要である。

11.4kV Y結線特別高圧三相4線式[編集]

6.6kV Y結線三相3線式高圧配電線路に中性線1本を架設して特別高圧に昇圧したもの。20kV級特別高圧三相3線式などにさらに昇圧されたものが多く、ほとんど現存しない。

6.6kV Δ結線高圧三相3線式との比較

  • 供給力が√3倍、電圧降下が1/3となる。
  • 同じ容量の負荷に供給する場合には、電線路損失が1/3に低減できる。
  • 事故時の保護に工夫が必要である。

電灯・動力共用三相4線式[編集]

  • 電灯・動力共用YΔ三相4線式変圧器
  • 異容量V結線三相4線式

参考文献[編集]

  1. ^ TEPCO : インターネット電力講座 | 電力系統技術用語集東京電力
  2. ^ William D. Stevenson, Jr. Elements of Power System Analysis Third Edition, McGraw-Hill, New York (1975). ISBN 0-07-061285-4, p. 2
  3. ^ Three-phase power systems : Polyphase Ac Circuits - Electronics Textbook”. Allaboutcircuits.com. 2015年5月13日閲覧。
  4. ^ a b 三相交流」『通信用語の基礎知識』 2007年10月30日
  5. ^ 高田昌之「低圧配電線路」『身近な配電送電設備たち』
  6. ^ a b c d TAKE「三相交流回路の基礎」『電気主任技術者試験に挑戦』 2009年
  7. ^ a b c 佐藤智典「Y 結線 / Δ 結線」『電気製品の EMC/安全適合性 ―― 用語解説』 2008年4月27日
  8. ^ 三相交流とは」『百科事典マイペディアコトバンク、2010年5月

関連記事[編集]