利用者:Bonfire12/第四作業場
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北政府もの(きたせいふもの)とは、椎名誠の超常小説(SF小説)のジャンルのひとつ。『武装島田倉庫』と共通する世界を舞台または背景にした物語である[1]。名前は、これらの作品に度々登場する組織「北政府」からとられた[2]。
世界観
[編集]物語の舞台となる国(以下:舞台国)と北政府との間で戦争が勃発した。大規模な戦闘によって町は破壊された。町の人々は四散し、各地で細々と生き長らえている。また、海は油や泥で濁り、陸・海・空問わずあちこちに異形の動物がいた。戦争は一応終結したものの、国境付近でのにらみ合いと小規模な競り合いは今でも続いている。この荒廃した世界で、灰汁、可児、百舌などの男たちが冒険を繰り広げる。
用語集
[編集]本作品群には独特の固有名詞が多用されているため、以下固有名詞を太字で表記する。
- 北政府
- 舞台国との間で戦争を起こした。一時は舞台国の一部を占領したが、のちに撤退した。その後はは国境付近で小競り合いが発生していた[1]。
- 戦中、第十七師団は糸巻市を襲い、住民に対して拉致・迫害・無差別殺人を行った。その恨みを晴らすべくして舞台国のゲリラがアギト川近くにある駐屯地上流の肋ダムを破壊したため、十七師団は全滅した。これをきっかけに再び戦争が始まった[3]。
- 北政府の武器として特徴的なのは濃脂雲塊である。これは大量の油を含んだ雨を降らせる人工の赤黒い雲である。一度目の戦闘で舞台国各地の海を数ヶ月で死の海に変え、二回目の戦闘で灰坊市一帯を油の洪水と化させた[4]。
- その他にも北政府は「繭巻き」「頭足」「南天」などの人工の生物を造りだした。これらの生物は舞台国から撤退する際置き去りにされたので、その珍しさから猫舐祭などの祭りの見世物となった。
- 知り玉
- 舞台国の法治局が放っている浮遊監視物体。大人の拳大の球状の本体から飛び出した羽根を震わせて空中を飛行し、左右から突き出た電子の目で対象物をとらえ人定番号などを抑揚のない声で問い質す。その結果、不法滞在者などの犯罪者であった場合は法治局に通報する。なお、知り玉を破壊するとけたたましい警告音が発され、同時に法治局に連絡がなされてしまう。
特徴
[編集]作品一覧
[編集]北政府ものの定義は[1]による。
長編
[編集]- 武装島田倉庫(1990年12月 新潮社 / 1993年11月 新潮文庫 / 2013年11月 小学館文庫)
- 砲艦銀鼠号(2006年6月 集英社 / 2009年5月 集英社文庫)
- チベットのラッパ犬(2010年8月 文藝春秋 / 2013年2月 文春文庫)
中編
[編集]- 遠灘鮫腹海岸(1993年2月 集英社『地下生活者』収録 / 2019年7月 集英社文庫『椎名誠[北政府]コレクション』収録)
短編
[編集]- 猫舐祭(1991年5月 文藝春秋『胃袋を買いに。』収録 / 1997年4月 新潮社『机の中の渦巻星雲』収録 / 2012年5月 舶艪舎『超常小説ベストセレクションⅡ 水の上で火が踊る』収録 / 2016年11月 角川文庫『椎名誠超常小説ベストセレクション』収録 / 2019年7月 集英社文庫『椎名誠[北政府]コレクション』収録)
- みるなの木(1996年12月 早川書房『みるなの木』収録 / 1997年4月 新潮社『机の中の渦巻星雲』収録 / 2016年11月 角川文庫『椎名誠超常小説ベストセレクション』収録 / 2019年7月 集英社文庫『椎名誠[北政府]コレクション』収録)
- 赤腹のむし(1996年12月 早川書房『みるなの木』収録 / 2016年11月 角川文庫『椎名誠超常小説ベストセレクション』収録 / 2019年7月 集英社文庫『椎名誠[北政府]コレクション』収録)
- 滑騙の夜(2006年9月 新潮社『銀天公社の偽月』収録 / 2019年7月 集英社文庫『椎名誠[北政府]コレクション』収録)
- 海月狩り(1996年12月 早川書房『みるなの木』収録 / 2016年11月 角川文庫『椎名誠超常小説ベストセレクション』収録 / 2019年7月 集英社文庫『椎名誠[北政府]コレクション』収録)