利用者:Chokorin/文献調査
教科書調査
[編集]高校日本史教科書では、57.5%と最もシェアが高い、
- 石井進・児玉幸多ほか『詳説日本史』山川出版社、2002。
では、
- 本文中太字で「小田原攻め」(p.155)
の用語が掲載されており、同ページ収載の年表に、
- 九州平定(島津氏服従)
- 小田原攻め(北条氏滅亡)
とあります。同じ山川の日本史の参考書『詳説日本史研究』もまったく同じです。 シェア第2位は実教出版(7.0%)の峰岸純夫ほか『高校日本史B』ですが、本文中では「九州を平定」「関東・東北を平定」とあって、巻末年表に、
- 九州平定
- 小田原攻略
の表記がみえます。シェア第3位(6.7%)の東京書籍の教科書『新選日本史B』は調べがつきませんでしたが、同じ東京書籍の『ビジュアルワイド 図説日本史』では、「中国攻め」「四国平定」とあって
- 「九州平定」
- 「小田原攻め」
とあります。 シェア第4位の実教出版『日本史B』(6.1%)、第5位の山川出版社『高校日本史』(6.0%)も調べがつきませんでした。シェア第6位の清水書院『高等学校日本史B』(4.2%)では、
- 本文中太字で「小田原攻め」
同じページの年表に
- 「九州平定」
という結果でした。
以上の結果、現在の高校の教科書・教材・参考書の類では圧倒的に「九州平定」「小田原攻め」が採用されているという結果でした。
なお、1979年の山川出版社『詳説日本史』では、「小田原征伐」の語が採用されていましたが、2002年、2008年の山川出版社『詳説日本史B』では「小田原攻め」が採用されており、この間「小田原征伐→小田原攻め」の語の転換があったことが確認できます。
文献調査(九州)
[編集]九州に関する文献調査は以下の通りです。調査に参加したのは、秋田城之介さん、Babi Hijauさん、Tomzoさん、Yasumiさん、Chokorin。
- 百雲道昭「島津征伐と本願寺光佐」 1974 島津征伐
- 熱田公『天下一統』集英社<日本の歴史11>、1992「九州の役」(結果として)「九州平定」
- 池上裕子『織豊政権と江戸幕府』講談社<日本の歴史15>、2002 「九州出兵」
- 小和田哲男『秀吉の天下統一戦争』吉川弘文館<戦争の日本史15>、2006「九州攻め」
- 小和田哲男『名城と合戦の日本史』新潮社<新潮選書>、2007「九州攻め」
- 藤木久志「戦場の奴隷狩り・奴隷売買」『展望日本歴史12』東京堂出版、2001(『中世内乱史研究15』1994所収)「九州攻め」(p.232)
- 山田邦明『日本の歴史八 戦国の活力』小学館、2008「九州攻め」(p.315)
- 堀新『日本中世の歴史7 天下統一から鎖国へ』吉川弘文館、2010「九州攻め」(p.92)
- 山本博文『天下人の一級史料』柏書房、2009「九州攻め」
- 毛利亮太郎「九州役の陣立書」 1997 九州役
- 松本寿三郎『熊本県の歴史』 1999 九州平定、九州仕置
- 松本寿三郎・吉村豊雄『街道の日本史51 火の国と不知火海』 2005 九州平定
- 田中仙堂「入門講座 安土・桃山の茶(39)九州平定」2006 九州平定
- 梶原良則『福岡県の歴史』山川出版社 1997 「九州への遠征」「九州への侵攻」「秀吉による九州平定」(p.170)
- 豊田寛三『大分県の歴史』山川出版社 1998 「秀吉の九州平定」(p.180)
- 宮島敬一『佐賀県の歴史』山川出版社 1998 「豊臣秀吉の九州平定」(p.149)
- 佐伯弘次『長崎県の歴史』山川出版社 1998 「大友氏救援のため九州に出陣」(p.139)
- 日隈正守『鹿児島県の歴史』山川出版社 1999 「(秀吉の)九州遠征」(p.151)
- 大賀郁夫『宮崎県の歴史』山川出版社 1998 「豊臣秀吉の九州侵攻」(p.180)
- 『戦国史事典』 秋田書店 1980 九州の陣
- 『日本全史』 講談社 1991 九州平定
- 『クロニック戦国全史』 講談社 1995 九州征服
- 『角川新版日本史事典』 角川書店 1997 九州攻め
- 『岩波日本史事典』 岩波書店 1999 九州平定
- 『日本歴史大事典』 小学館 2000 九州平定
- 『日本史事典』 旺文社 2000 九州征討
- 『日本史小事典』 山川出版 2001 九州攻め
- 『日本史事典』 平凡社 2001 九州攻め
- 『詳解日本史用語事典』 三省堂 2003 九州平定
- 『最新日本史教授資料』 明成社 2003 九州平定
- 『朝日百科日本の歴史』 朝日新聞社 2005 島津攻め
- 『豊臣秀吉事典』 新人物往来社 2007 九州平定・九州征伐
- 『日本中世史事典』 朝倉書店 2008 九州出兵
- 『図解戦国史』 成美堂出版 2009 九州征伐
- 『豊臣秀吉と天下統一』 双葉社 2008 九州征伐
- 『万有百科大辞典』 小学館 1973 九州征伐
- 『豊臣時代史』 明治書院 1925 九州征伐
- 『日本重要戦乱事件事典』教育社 1988 「九州征討」
- 『日本史広辞典』山川出版社 1997 「九州攻め」
- 今井林太郎『国史大辞典』吉川弘文館 1983 九州征伐
- 今井林太郎『戦国武将・合戦事典』吉川弘文館 2005 九州攻め
以上、「九州征伐」は決して圧倒的に「知名度が高い」とは言えず、あっても1925年とか1970年代というふうに年代が古いか、成美堂出版・双葉社という、あまり「学術的」とは呼べない出版社によるものか、あるいは『豊臣秀吉事典』だけです(ちなみに、これらはいずれも秋田城之介さんが「圧倒的に知名度が高い根拠」として掲げたものです)。これらは、いずれも除外して考えてもさほど問題がないのではないかと思いました。
また、『国史大辞典』の「九州征伐」と『戦国武将・合戦事典』の「九州攻め」は説明文がほぼまったく同じであり、見出しを「九州征伐→九州攻め」に変更しただけのものです。ここでも、「九州征伐」の語は回避されているということが読み取れます。
全体的にみれば、「九州平定」あるいは「九州攻め」が多いと言えるでしょう。
文献調査(小田原)
[編集]- 日本全史 講談社 1991 小田原征伐
- 日本大百科全書10 小学館 1995 小田原征伐
- 平凡社マイペディア 平凡社 1995 小田原征伐
- 角川新版日本史事典 角川書店 1997 小田原攻め
- 岩波日本史事典 岩波書店 1999 関東平定
- 日本歴史大事典 小学館 2000 小田原攻め
- 日本史事典 旺文社 2000 小田原征討
- 日本史小事典 山川出版 2001 小田原攻め
- 詳解日本史用語事典 三省堂 2003 小田原攻め
- 最新日本史教授資料 明成社 2003 小田原征伐
- 朝日百科日本の歴史 朝日新聞社 2005 小田原攻め
- 豊臣秀吉事典 新人物往来社 2007 北条氏征伐
- 日本中世史事典 朝倉書店 2008 小田原攻め
- 『クロニック戦国全史』講談社、1995。…「小田原攻め(北条氏滅亡)」(p.491)
- 熱田公『日本の歴史11 天下一統』集英社、1992。…「小田原攻め」(p.269)
- 神田千里『日本の中世11 戦国乱世を生きる力』中央公論新社、2002。…「北条氏討伐」(p.272)
- 池享「天下統一と朝鮮侵略」『日本の時代史13 天下統一と朝鮮侵略』吉川弘文館、2003。…「小田原攻め」(p.73)
- 中野等「唐入りと兵站補給体制」『日本の時代史13 天下統一と朝鮮侵略』吉川弘文館、2003。…「小田原の役」(p.195)
- 小和田哲男『戦争の日本史15 秀吉の天下統一戦争』吉川弘文館、2006。…「小田原攻め」(p.215)
- 小和田哲男『名城と合戦の日本史』新潮社、2007。…「小田原城攻め」(p.142)「小田原攻め」(p.145)
- 山本博文『天下人の一級史料』柏書房、2009。…「小田原攻め」(p.219)
- 堀新『日本中世の歴史7 天下統一から鎖国へ』吉川弘文館、2010。…「小田原攻め」(p.88)「小田原城攻め」(p.132)
小田原については、『日本中世史事典』より上が秋田城之介さんの調査、『クロニック戦国全史』より下がわたしの調査です。信頼できる情報源であるかどうかは、筆者の記名があるのと無記名なのとでは格段の差があると思いますが、それを込みで考えても、「圧倒的に認知度が高い」と言えるのはむしろ「小田原攻め」の方であり、次いで「小田原征伐」「小田原征討」などとなっています。
まとめ
[編集]文献調査の結果からは九州に関しては「九州平定」、小田原に関しては「小田原攻め」が最も認知度が高いと言えます。