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利用者:Cmlab 2012/sandbox

レイノルズ平均ナビエ-ストークス方程式Reynolds-averaged Navier-Stokes equations(RANS))は、 時間平均化 [1] された流体の運動方程式である。 オズボーン・レイノルズ (Osborne Reynolds)によって提案されたレイノルズ分解が方程式の前提にあり、 レイノルズ分解によって瞬時の物理量は平均成分と変動成分に分解される。 RANS方程式は主に乱流を記述するために用いられ、乱流特性に関する経験に基づき、Navier-Stokes方程式を時間平均して得られた近似値を取り扱うことができる。


非圧縮粘性定常流のRANS方程式はアインシュタインの総和規約を用いて次のように表される。

この式の左辺は、平均流と対流による不安定性に起因する流体要素の平均運動量の変化を表し、平均化された物体力、圧力、粘性応力、レイノルズ応力(Reynolds stress)と呼ばれる見かけの応力 の項と釣り合う。

RANS方程式を閉じるため、非線形であるレイノルズ応力項をモデル化する必要がある。 このモデル化の手法が異なる乱流モデルが多く提案されている。

RANS方程式の導出[編集]

瞬時のNavier-Stokes方程式からRANS方程式を導出するための基本的ツールは、レイノルズ分解である。 レイノルズ分解とは流れの成分(流速など)を平均成分()と変動成分()に分離する操作である。 この平均操作には特性があり、その一つに変動成分の平均値は0  というものがある。 この操作によりとなる。 ここでは位置ベクトルである。

幾つかの文献[2]では(はベクトルを表す際に用いられることがある為)の代わりにと表記する。 この場合変動値と表わす。 本記事では表記はそれぞれ瞬時、平均、変動量を表すものとする。

非圧縮粘性流体のNavier-Stokes方程式をテンソル表記により表すと次のようになる。


ここでは外力ベクトルを表す。

次にそれぞれの瞬時量を平均成分と変動成分に分けることで、結果以下の式となる。 [3]


連続式 : から運動方程式は以下のように変形できる。


さらに変形し次のようになる。

ここではひずみ速度テンソルで、 である。

最後に、時間での積分は、時間依存性を除去するので時間微分項を消去する。

脚注[編集]

  1. ^ 変数の時間平均は以下のように定義される。
    時間平均値が一義的に定義されるためには、平均値が初期条件に依存してはならない。
  2. ^ Tennekes, H.; Lumley, J. L. (1992). A first course in turbulence (14. print. ed.). Cambridge, Mass. [u.a.]: MIT Press. ISBN 978-0-262-20019-6.
  3. ^ それぞれの瞬時量を平均成分と変動成分に分けることで、以下の式となる。
    さらに方程式を時間平均して次式が得られる
    また、非線形項を以下のように簡略化することができる

関連項目[編集]


[[Category:応用力学]] [[Category:流体力学]] [[Category:数値解析]]