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青蔵鉄道 2006年12月1日 (金) 13:11(JST) 版 より。

ラサへ向かう列車
ラサ駅

青蔵鉄道(せいぞうてつどう, 青藏铁路)は中華人民共和国西部の青海(せいかい)省西寧(せいねい)とチベット自治区首府ラサを結ぶ高原鉄道。総延長1,956km。西部大開発の代表的なプロジェクトとして当初は2007年完成予定としていたが、1年ほど前倒しして2006年7月1日に全通した。

なお、外国人(香港、台湾人含む)がラサまで乗車する場合はチベット入域許可書が必要であり、旅行代理店の主催するツアーに参加する必要がある。

1期工事[編集]

青海省都西寧と同省海西(かいせい)モンゴル族チベット族自治州ゴルムドを結ぶ第1期工事は1958年に着工し、1979年完成、1984年から営業運転されている。全長814km。この区間は海抜2,000m から3,000m ほどである。

2期工事[編集]

2001年国務院は262億人民元の資金を投じてゴルムドとラサを結ぶチベット区間の建設を決定し、同年6月29日着工した。この第2期工事区間は全長1,142キロに達する。

2005年10月に全線の基礎工事及び軌道敷設を完了し、貨物輸送が正式開業に先駆けて開始された。2006年7月1日にゴルムド~ラサ間の旅客営業運転を開始した。これは形式上、乗客を乗せての「試運転」であり、正式開業は2007年7月1日の予定である。

列車運行状況[編集]

  • 北京(ペキン)西~西安(シーアン)~ラサ 所要48時間(硬座(こうざ)389元、軟臥(なんが)1,262元)
    • T27/28次 (北京西・ラサ共)21:30発 2日後21:00着
  • 重慶(チョンチン)~ラサ 所要49時間
  • 成都(ツェンドウ)~ラサ 所要49時間
  • 蘭州(ランチョウ)~ラサ 所要30時間
  • 西寧(シーニン)~ラサ 所要27時間
  • ゴルムド~ラサ 所要15時間

なお、西寧~ゴルムド間には区間列車が多数設定されている。

工事の困難[編集]

青蔵(せいぞう)鉄道チベット区間は最高地点に唐古拉山口(タングラシャンコウ)駅(海抜5,072m)があり「世界一高い場所にある鉄道駅」となる。平均海抜は約4,500m、また海抜4,000m 以上の部分が960km もあり、このような高所に鉄道が建設されるのは世界でも例がない。まさに世界の屋根を走る鉄道といえる。

高所の土地は凍土となっており、ロシアカナダの凍土研究も参考にして建設が進められたが、地球温暖化により凍土が融解した場合の安全性が不安視されている。

中国政府は20億元を投じて高原の環境保護にも努めていると主張している。

車両[編集]

空気の希薄な地域を走行するため、航空機メーカーであるボンバルディアの技術を導入した与圧設備を持つ車両が投入されている。また各席には酸素吸引設備が用意され、紫外線対策も考慮される。落雷防止装備も設置される。軟臥(なんが)には個人用液晶モニターが設置される。車内のトイレは身体障害者用も設置され、垂れ流し式ではなくタンク式としている。

列車は最高160km/h(海抜5,000m 以上の区間では80km/h)で走行する。また、医師も同乗して高山病対策を行っている。

展望[編集]

青蔵(せいぞう)鉄道の開通により、チベット産業の支柱である観光業が飛躍的に発展することが予測されており、またチベットと中国他省との物流が大きく改善することにより、チベットの産業開発全般にも寄与することが期待されている。

一方、チベットへの漢族流入が促進されることで、チベットの「漢化」が一層進み、独自の文化が破壊されることが懸念されている。また軍用車両も運行され、軍事物資、人員を運搬する主要幹線としても使用されている。チベットに存在する豊富な天然資源の輸送路としても活用されている。

なお、今後は青蔵鉄道の支線がシガツェ市まで建設される予定であり、その路線は最終的にネパールとの国境、更にカトマンズまで延伸される計画となっている。