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利用者:EULE/銀河英雄伝説/銀河英雄伝説のあらすじ1

本編開始からリップシュタット戦役及び救国軍事会議のクーデターまで

概要[編集]

作中の歴では帝国歴487年/宇宙歴796年から帝国暦488年/宇宙暦797年まで、巻数では本伝1巻から2巻、OVAでは第1期(第1話から第26話)にあたる。

ラインハルトが上級大将に昇進、続けてローエングラム伯爵家の名跡を継ぎ、帝国軍中で一定の権力・権限を掌握したところから物語は始まる。最初の戦いであるアスターテの会戦によって帝国元帥に昇りつめ、ほぼ軍の全権を掌握、さらに門閥貴族との戦いを制して、帝国の軍務・政務の実権を握る。一方で、ヤンはアスターテの会戦によって艦隊提督となり、その手腕を発揮する機会が各段に増える。本人の意思に反して、イゼルローン要塞攻略を始めとする華々しい軍功を上げることとなり、急速に内外の評価を高めていく。

アスターテ会戦[編集]

宇宙暦796年/帝国暦487年2月。ラインハルトが上級大将に昇進し、同時にローエングラム伯爵家の名跡を継いで初めての出征。原作およびOVAの最初のエピソードである。

ラインハルトは2万隻の艦隊を率いて同盟領に侵攻、対する同盟軍は第2、第4、第6の3艦隊、計4万隻で迎え討つ。数に勝る同盟軍は、ダゴン星域会戦に倣って3艦隊を分散させ、3方向からの包囲殲滅を狙っていた。数に劣ること、包囲網が構築されつつあることから、5人の幕僚(メルカッツ、シュターデン、ファーレンハイト、エルラッハ、フォーゲル)は揃って撤退を進言するがラインハルトはこれを拒絶し、むしろこれは各個撃破の好機として攻撃命令を下す。

まず、ラインハルトは正面から接近していたパストーレ率いる第4艦隊約12,000隻を先制攻撃し、約4時間の戦闘でこれを殲滅する。この間に第4艦隊の危機の知らせを受けた第2艦隊は救援に向かうが、当然間に合わず、その間に第6艦隊が殲滅され、ここに帝国の勝利が確定する。この時、第2艦隊幕僚のヤンは、提督のパエッタに(もう助けられない)第4艦隊を見捨てて第6艦隊と合流するように進言していたが却下されている。

ほぼ無傷かつ余勢を駆った帝国軍は、残る第2艦隊に向け進軍し、攻撃を開始する。戦闘開始直後に同盟軍は旗艦パトロクロスが被弾し、パエッタが重傷を負い、ヤンに指揮権が移る。前もって事態を想定していたヤンは、全艦隊に秘密裏に作戦を通達し、ラインハルト艦隊の中央突破を逆用して後背にまわり、帝国軍に大きな損害を与える。これ以上の戦闘は無意味と判断したラインハルトは撤退を決め、帝国軍の完勝には至らなかった。

帝国軍の戦死者は約20万人、同盟軍の戦死者は約200万人(うち帝国はエルラッハ中将、同盟はパストーレとラップの高級士官を失っている)。またOVA版では帝国軍15万人、同盟軍は150万人となっている。この功績によってラインハルトは元帥、また宇宙艦隊司令長官に任命され(ただし、指揮は全軍の半分[1])、元帥府を開いてほぼ軍の権力を掌握する。またヤンも少将に昇進し、新設された第13艦隊の初代司令官に任命される。

なお、この戦闘は帝国軍が同盟軍に包囲されかかっているところから始まっており、この会戦の理由・目的、経緯などについては作中では特に触れられていない。そのかわり、劇場版アニメ(第2作)ではかなり掘り下げられた改編がされており、それによれば、わずか20歳で上級大将にまで急伸したラインハルトの実力を試すという名目で遠征が企図されたとされる。その裏ではブラウンシュヴァイク公を始めとする反ラインハルト派が、敗戦による影響力低下や戦死を狙っていた。このため、本来のラインハルトの幕僚であるミッターマイヤー、ロイエンタール、メックリンガー、シュタインメッツが外され、「融通の利かないメルカッツ」「扱いづらいファーレンハイト」「実戦には向かんシュターデン」「足手まといにしかならんエルラッハにフォーゲル」が指揮下にあった。これをミッターマイヤーとロイエンタールは「手足を縛られた上に、重石までつけられた」と評している。さらにフレーゲルは、フェザーンを通じて出征の情報を同盟側へリークしており、情報戦においてもラインハルトが不利になっていた。

第7次イゼルローン攻防戦[編集]

宇宙暦796年/帝国暦487年5月。第13艦隊司令官となったヤンの初任務。この鮮やかな戦功によってヤンは「ミラクル・ヤン」「魔術師ヤン」と称されるようになる。

アスターテ会戦の活躍によってヤンは少将に昇進し、第13艦隊司令官となる。だが、実情は大敗北の責任を国民の目からそらさせるために、ヤンを英雄にしたいという最高評議会や軍上層部の思惑があった。また第13艦隊は第4、第6艦隊の残存兵力に新規兵力を加えた、他の艦隊の半分程度しか戦力が無いという代物であった。その上で、シトレ統合作戦本部長は、ヤンに難攻不落のイゼルローン要塞の攻略を命じる。

ヤンは、偽の救難信号によってイゼルローン駐留艦隊を要塞から引き離し、鹵獲した帝国の軍艦を使って、要塞内部にローゼンリッターを送り込む奇策を用いる。要塞司令官・シュトックハウゼン大将を拘束して内部から要塞の制圧に成功したヤン艦隊は、戻ってきた駐留艦隊を要塞の主砲「トール・ハンマー」で迎え討ち、駐留艦隊司令官ゼークト大将は戦死する。結果として、ヤンは半分の戦力で味方の犠牲を一人も出さず、要塞の攻略に成功し、さらに帝国に大きな損害を与えることに成功する。

一方の帝国はこの歴史的な敗北に大きく揺るがされ、国事に無関心なフリードリヒ四世が下問し、帝国軍三長官が揃って辞表を提出する事態となる(ただし、ラインハルトが長官職への就任を辞退したため、三長官は留任する)。

カストロプ動乱[編集]

宇宙暦796年/帝国暦487年5月。財務尚書だった故・カストロプ公オイゲンの不正蓄財に対する調査と返還を、後継者である息子のマクシミリアンが拒否し、武力抵抗を試みたため帝国が武力鎮圧を行った戦乱。この一件でキルヒアイスが活躍し、単にラインハルトの身内ではないことを帝国内に示す。また、オイゲンに捕らわれていたマリーンドルフ伯フランツを救出したことが、ヒルダ・マリーンドルフとラインハルト陣営の出会いのきっかけとなっている。

帝国は事故死した財務尚書・オイゲンの不正蓄財を接収するため、嫡男のマクシミリアンに調査と返還を通告する。しかし、マクシミリアンは調査官を重ねて追い返し、さらには帝国から派遣されたマリーンドルフ伯を拘禁し、帝国への武力抵抗を試みる。そのため帝国はシュムーデを司令官とする討伐隊を派兵するが、いくつかの要因が重なってカストロプの艦隊に完敗し、シュムーデは戦死する。ここで自らの手腕を過大評価したマクシミリアンは隣のマリーンドルフ伯爵領に侵攻、半独立の地方王国の設立を企図する。

ラインハルトは、キルヒアイスの手腕を軍内に知らしめるため、裏で手を回し彼を司令官とする討伐隊をカストロプ星系へ派遣させる。キルヒアイスは、マリーンドルフ伯領の救援と見せかけて、本拠地カストロプ公領を突き、マリーンドルフ伯領にいたマクシミリアンを誘い出す。誘い出されたマクリミリアン指揮する艦隊を伏兵でもって殲滅し、反乱軍を無効化する。マクシミリアンは戦場を離脱するも部下に暗殺される。結果、キルヒアイスは半年続いた叛乱をわずか10日で鎮圧し、ラインハルトの右腕であることを軍内に示す。

ただし、OVA版と漫画版は戦いの内容が異なるため以下に記述する。

OVA版
カストロプはフェザーンから「アルテミスの首飾り」と同様の防衛システムを購入・配備し篭城戦の構えを見せる。派遣されたシュムーデ艦隊は首飾りによって鎧袖一触で壊滅させられる。キルヒアイスはシュムーデ艦隊より少ない戦力で派遣されるが、指向性ゼッフル粒子を用いて無血で首飾りを破壊する。これにカストロプ陣営は狂乱状態に陥り、最期は原作と同様にマクリミリアンが部下に殺害されて終結する。
なお、指向性ゼッフル粒子の初の実戦運用であるが、原作・OVA共に「アムリッツァ星域会戦」が初運用ということになっている(アニメ外伝「奪還者」)。
道原版
カスプロス陣営は、マクシミリアンの妹エリザベートが指揮する5000の艦隊と、それを惑星上から砲撃支援する反射衛星砲の強力な防衛網をもって帝国に抵抗する。キルヒアイスは断続的な小惑星攻撃をしかけ、業を煮やしたエリザベートの艦隊を誘い出す。その隙に小惑星の影に隠した小型艇部隊でビーム砲を破壊し、かつ小惑星の爆破で陣形を乱したエリザベート艦隊を急襲・殲滅する(その後、マクリミリアンが配下に殺害されるのは他メディアと同じだが、動機はやや異なる)。


リップシュタット戦役[編集]

帝国暦488年。フリードリヒ4世が逝去し、ラインハルトと帝国宰相リヒテンラーデ侯がエルウィン・ヨーゼフを擁立して権勢を握ったため、門閥貴族派の大物ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯が中心となってリップシュタット盟約を結び軍事行動を起こした戦役。

帝国を二分した最大の内乱であり、最終的に勝利したラインハルトは門閥貴族派の一掃に成功する。さらに返す刀でリヒテンラーデを排除し、帝国の実権を握る。しかし、片腕・キルヒアイスの死亡という大きな代償を払うことにもなり、戦役を早く終わらせるために黙認したヴェスターラントの惨劇は、ラインハルトの罪として後々にも影響していく。

背景・経緯[編集]

アムリッツァ会戦終結から間もなくフリードリヒ4世が逝去し、門閥貴族派の大物であり皇室の外戚であるブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯がそれぞれの娘を擁立しようと画策する。だが、外戚の専横を防ぎたい国務尚書リヒテンラーデは、亡き皇太子の息子でわずか5歳のエルウィン・ヨーゼフを擁立する。また、他2人と違い軍事力を持たないリヒテンラーデは、門閥貴族派の排除という目的が一致したラインハルトと手を組む。こうして国璽と詔勅を司るリヒテンラーデと、軍事力を持つラインハルトによってヨーゼフが正式に皇帝となる。

新体制から排除される形となった門閥貴族達は反発し、長年の政敵同士であるブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯も手を結ぶ。その後、門閥貴族派達はブラウンシュバイク公の別荘があるリップシュタットの森に参集し、ブラウンシュバイクを盟主、リッテンハイムを副盟主とする体制打倒の盟約を結ぶ(リップシュタット盟約)。さらにリップシュタット連合軍の総指揮官としてメルカッツを脅迫する形で引き入れる。この時点で連合軍側の総兵力は正規軍に私兵を加える形で2,560万人、さらに貴族達の経済力もラインハルト側を上回る。

双方、水面下で軍備を整えていた最中、ブラウンシュバイクの部下フェルナーが独断専行でグリューネワルトの身柄を拘束しようと軍事行動を起こし失敗する。ラインハルトは、これを利用しては首都オーディンの主要施設を押さえて他の三長官を拘束し、また門閥貴族派の身柄拘束に動く。盟約に参加した貴族3740名の内625名[2]が拘束され、他方、ブラウンシュバイクら逃亡に成功した門閥貴族派達は、ガイエスブルグ要塞に結集する。

4月6日、ラインハルトは三長官職を兼任し、帝国軍最高司令官に任命される。合わせて、リップシュタット連合軍討伐の勅命を受ける。また、同盟軍の動きを抑えるため、リンチを利用してクーデターを起こさせる。

アルテナ星域会戦[編集]

帝国暦488年4月19日-。ミッターマイヤー艦隊14,500隻とシュターデン艦隊16,000隻による、リップシュタット戦役における最初の武力衝突。

ガイエスブルグへの篭城及び、途中9ヶ所の軍事拠点による相手の疲弊を待って迎え撃つとしたメルカッツの策に反発した若手貴族と、メルカッツに対抗心を持つシュターデンが敵の戦力を探るという名目でガイエスブルグから出撃する。迎撃の命を受けたミッターマイヤーはアルテナ星域に進軍し、600万個の核融合機雷を敷いて敵を待つ。

両軍は3日機雷原をはさんで対峙した後、痺れを切らした門閥貴族たちの圧力を前にシュターデンが艦隊を本隊と別働隊の2手に分けて挟み撃ちにする策を取る。しかし、その動きを読んだミッターマイヤーが先に動いて右翼部隊8000隻を攻撃し、指揮官のヒルデスハイム伯爵を含めて全滅させる。さらに、時計回りに迂回して左翼シュターデン本隊を背後から急襲し、殲滅させる。戦闘で負傷したシュターデンは撤退命令を出し、レンテンベルク要塞へ逃げ込む。

なお、シュターデンの負傷・撤退命令についてはOVA版・漫画版共に原作と異なる。OVAにおいては兼ねてよりストレスで胃を患っている描写があり、追い込まれた戦闘終盤で吐血し、撤退を命令する。漫画版においてはヒルデスハイム伯が独断で動いたこともあって、自身の想定と異なる展開にパニックを起こし、ミッターマイヤーの攻撃を受けて早々に撤退を命令する(負傷もしない)。

レンテンベルク要塞攻略戦[編集]

帝国暦488年4月末。フレイヤ星域のレンテンベルク要塞(貴族連合軍)とラインハルト本隊の戦い。主には核融合炉への最短ルートである第6通路での、ミッターマイヤーとロイエンタール率いる制圧部隊と、オフレッサー上級大将率いる守備隊による白兵戦。

ガイエスブルグへ侵攻した後、後背を脅かされたくないラインハルト軍は、周辺宙域を制圧し、レンテンベルク要塞へ侵攻する。駐留艦隊も備えるレンテンベルクは、中心部の核融合炉を押さえれば無力化できることから、ラインハルトはミッターマイヤーとロイエンタールを装甲擲弾部隊の指揮官に任命し、白兵戦による制圧を目指す。対する要塞側は、猛将・オフレッサー率いる装甲擲弾部隊が迎え撃ち、9度[3]に渡ってラインハルト軍を退ける。

その後、オフレッサーはアンネローゼを侮辱する通信をラインハルトに送って挑発し、ラインハルトはオフレッサーの生け捕りをミッターマイヤーとロイエンタールに厳命する。両将は落とし穴という原始的な罠でオフレッサーの捕縛に成功し、オフレッサーを失った守備隊は為すすべもなく核融合炉を制圧され、要塞は陥落する。この際、医務室にいたシュターデンが拘束されている。

主だった部下を処刑しておきながらオフレッサー本人だけが無傷で還ってくれば、貴族連合軍はオフレッサーがラインハルトと内通して裏切ったのではないかと疑ってくれるだろうというオーベルシュタインの発案で、オフレッサーは釈放される。無事にガイエスブルク要塞に帰還したオフレッサーは思惑通り銃殺され、さらにラインハルト嫌いで有名だったオフレッサーが裏切り者となったことに貴族連合軍内は大きく同様することとなる。

なお、オフレッサーのエピソードについてはOVA版・漫画版共に原作と微妙に異なる。原作ではオフレッサーの生け捕りを挑発されたラインハルトが命令しているが、原作以外ではオーベルシュタインが後の策を見越して先に進言している(むしろOVA・漫画ではラインハルトは殺害を命じている)。また、罠についても漫画版では壁を破壊することによってオフレッサーを宙域に吸出し、捕獲している。

キフォイザー星域会戦[編集]

帝国暦488年7月。辺境星域の奪回を名目としたリッテンハイム侯爵率いる50,000隻の艦艇と辺境星域の制圧を担当していたキルヒアイス率いる30,000隻余り[4]による戦い。

リッテンハイム侯は、ブラウンシュバイク公との確執から事実上の分派行動を取り、ガイエスブルグから離脱する。奪回を名目として辺境星域へ進軍したところをキルヒアイスが迎え撃つ。

相手の艦隊陣形の不備(及び軍事行動の未熟さ)を見抜いたキルヒアイスは、ルッツとワーレンに約3万の艦隊を預けて正面対決を任せ、自分は本隊として高速巡航艦800隻を率いて相手の右側面から突入を決行する。指揮・陣形の粗雑さから混乱に陥ったリッテンハイム軍は総崩れとなり、ガルミッシュ要塞への撤退を命令する(本人は転進と主張)。その際、後方に控えて、撤退の航路上にいた補給部隊が邪魔だったため、躊躇無く攻撃命令を下して味方部隊を壊滅させる。リッテンハイム軍50,000隻の内、要塞に撤退できたいのは3000隻に満たず、18000隻が完全破壊され、5000隻が何処かに逃げ去り、残りは捕獲されるか降伏した。

負傷した貴族連合軍を収容したキルヒアイス軍は、ガルミッシュ要塞へ侵攻する。しかし、戦闘の開始前に要塞の司令官室でリッテンハイムは置き去りにされた敗残兵の道連れの自爆に合い爆死し、本格的な戦闘はないまま、要塞は陥落する。この戦いで、貴族連合軍は副盟主と全兵力の3割を失う。

ガイエスブルク要塞攻防戦[編集]

序盤[編集]

帝国暦488年7月。ラインハルト軍本隊は勝利を続け順調に進軍していたが、メルカッツが前線の指揮を執るようになりやや停滞し始める。そこで、ラインハルトは、メルカッツの影響力低下を目論む。

ラインハルトは貴族達を挑発する通信を送って要塞から連合軍が出てくるように仕向け、合わせてミッターマイヤー艦隊を要塞の周囲に展開して挑発行動を繰り返させる。これが罠だとわかっているメルカッツは慎重論を唱えるが、血気にはやる若手貴族達の反発は大きく、3日目、遂にフレーゲル男爵率いる若手貴族の一団が要塞を出てミッターマイヤー艦隊に攻撃を行う。ミッターマイヤーはわざと負けた振りをして撤退し、さらに戦略物資を残していく。

勝利し、さらに物資まで持ち帰って意気揚々と凱旋したフレーゲルらに、メルカッツは軍規違反で懲罰を命じるが、若手貴族は大きく反発し、最終的にブラウンシュバイクの命令で許しを得る。これによって軍としての規律は無くなり、メルカッツの命令が無視されるようになる。

8月15日。ミッターマイヤー艦隊は再度要塞へ赴き、今度は積極的な攻撃を加える。敗軍の将と軽んじた若手貴族は再び出撃し、さらにブラウンシュバイツも要塞を出る。ミッターマイヤーは小競り合い後、再度、敗走を装って後退を始め、士気の上がった連合軍側は追撃を始める。連合軍側の戦列が伸びきったところでミッターマイヤーが反攻に転じ、今度は本気で敵艦隊を葬っていく。混乱し撤退し始めた連合軍側の側面を次々と伏兵が攻めかかり、ブラウンシュバイツの近くまで手が伸びる。しかし、要塞から出撃したメルカッツにより、ラインハルト軍は撤退を余儀なくされる。

ラインハルトは連合軍側に大きな損害を与えることに成功するも、ブラウンシュバイツの首を取ることはできず、以後、連合軍側は強固なガイエスブルグ要塞への篭城を決め込み、戦線の停滞を余儀なくされる。

ヴェスターラントの惨劇[編集]

帝国暦488年8月。

戦局は門閥貴族派の圧倒的劣勢となる中、帝国内各地でも平民達の貴族に対する抵抗の機運が高まってくる。ブラウンシュヴァイク公の領地の1つ惑星ヴェスターラントを代理統治することとなった公の甥・シャイド男爵は、戦時物資調達のため過度な搾取を行ったことも手伝い、民衆は反乱を起こす。最終的にシャイド男爵はヴェスターラントを逃れ、ガイエスブルクへ逃げ込むも、重傷を負っており間もなく死亡。自身の親族を、それも平民が貴族を殺したことにブラウンシュバイク公は激しい怒りを見せ、ヴェスターラントへの核攻撃を厳命する。

アンスバッハは反対を忠言するも聞き入れられず、むしろ、ブラウンシュバイク公を批判する独り言を密告され拘禁される。メルカッツも計画の白紙と、アンスバッハの許しを請うが面会すら拒絶され、核攻撃が実行される。

他方、ラインハルト側では、連合軍のヴェスターラント出身の兵士が核攻撃計画とその阻止を頼むため投降する。ラインハルトはただちに核攻撃の阻止を命令しようとするも、オーベルシュタインはこれを見逃し、門閥貴族派の非道として宣伝材料に使うことを進言する。結果としてラインハルトは核攻撃を黙認し、ヴェスターラントは核の炎に包まれる。

OVA版ではオーベルシュタインが ラインハルトの

また、後にオーベルシュタインはヴェスターラントの惨劇を黙認した責任は自分にあると明言している。

終盤[編集]

帝国暦488年8月末。敗北の連続及びヴェスターラントの惨劇による民心の遊離によって追い詰められた貴族連合軍は、半ば自暴自棄でラインハルトに艦隊決戦を挑む。

貴族連合軍の波状攻撃をラインハルトの陣営が邀撃する形で一進一退が続き、貴族連合軍の抵抗力が限界に達した時点でラインハルトが総攻撃を命令。高速巡航艦隊を率いるキルヒアイスらは短時間で貴族連合軍に大損害を与えて圧倒し、貴族連合軍を敗走させる。ほぼ同時に、オーベルシュタインが潜入させておいた工作員の扇動によってガイエスブルク要塞で反乱が発生、主砲室(ガイエスハーケン)が制圧される。この敗戦で貴族連合軍は恐慌を来たし、貴族連合軍陣営では高級士官(貴族)と兵士(下級貴族、平民)とに分かれての同士討ちが相次ぐ。残存する貴族連合軍の多くは降伏か逃亡し、要塞は陥落する。

盟主のブラウンシュバイツ公は、アンスバッハに自決を進言され、半ば強制される形で毒入りワインを飲んで自殺する。また、強硬派のフレーゲルは、滅びの美学と称して艦隊の一騎打ちを画策するが相手にされず、自分を見限った参謀のシューマッハを射殺しようとして、逆に彼を慕う部下に射殺されるという最期を遂げる。

メルカッツは自殺しようとするが、シュナイダーに止められ、同盟への亡命を進められる。そして戦線を離脱し、ヤン・ウェンリーの下へ向かう。最後の出撃に反対して要塞内に残ったファーレンハイトは捕虜となるも、後日の謁見でラインハルトに従う事を誓い、ローエングラム陣営に帰順する。

リップシュタット戦勝記念式典でのキルヒアイスの死[編集]

帝国暦488年9月9日。ガイエスブルグ要塞内で開かれたリップシュタット戦勝記念式典におけるラインハルト暗殺未遂とそれに伴うキルヒアイスの死。

ガイエスブルグ要塞内で捕虜となった高級士官のラインハルトへの引見が始まり、アンスバッハは服毒死したブラウンシュヴァイク公の死体と供に入場する。そこでアンスバッハはブランシュバイクの体内に隠したハンド・キャノンでラインハルトを狙うも、キルヒアイスが飛び掛り未遂に終わる。暗殺に失敗したアンスバッハは、それでも抵抗し、指輪に仕込んだレーザー銃でキルヒアイスの胸部を撃ち抜き、さらに頚動脈を切り裂く。

間もなく抵抗を諦めたアンスバッハは歯に仕込んだ毒で自害。瀕死状態のキルヒアイスは、茫然自失のラインハルトに「宇宙を手にお入れ下さい」という頼みとアンネローゼへの謝罪の言葉を残し、息を引き取る。

本来であれば、少なくともキルヒアイスは武器を携帯していたため命を落とすことなく防げた可能性が高かったが、折からのナンバー2不要論に基づくオーベルシュタインの進言と、ヴェスターラントの惨劇の黙認に端を発するラインハルトとキルヒアイスの不和から、この時に限って武器を携帯していなかった。そのため、将校達からはキルヒアイスの死の原因の一端をオーベルシュタインに求めることが多い。

惑星オーディン制圧作戦[編集]

帝国暦488年9月。ラインハルト配下の提督たちが首都オーディンを制圧し、ラインハルトはリヒテンラーデを排除することで全権を掌握する。

キルヒアイスの死から3日経ち、未だ虚脱状態が続くラインハルトを懸念した提督達は、紆余曲折の末にオーベルシュタインに助言を求める。オーベルシュタインはアンネローゼに説得して貰う事と、ラインハルト暗殺未遂(ひいてはキルヒアイスの死の原因)をリヒテンラーデの策謀に仕立てて帝都を制圧することを進言する。オーベルシュタインの策に不快感を感じながらも、兼ねてより謀略を巡らし今度はラインハルトを失脚させようとするであろうリヒテンラーデを排斥する必要性で一致し、提督達は首都オーディンへ転進する。

通常であれば20日を要する行程を提督達は14日で踏破し、オーディンを制圧する(この時、脱落艦艇が相次ぎ、到達できたのは3000隻程度であった)。この際、ロイエンタールがリヒテンラーデを拘禁したが、これが後にエルフリーデとの関係に関わってくることになる。

これと前後して、ラインハルトはオーベルシュタインの手配でアンネローゼと超高速通信で会話を交わした。この会話で、少なくとも虚脱状態からは抜け出した様子が描かれている。また、その後のロイエンタールとの通信の内容が、後の彼の叛乱の呼び水となっている様に描かれている。

この結果、10月にはラインハルトは公爵となり、帝国宰相の地位に着き、独裁体制が完成する。また、ロイエンタール、ミッターマイヤー、オーベルシュタインが上級大将、ケンプ、ビッテンフェルト、ワーレン、ルッツ、メックリンガー、ミュラー、ケスラー、ファーレンハイトが大将にそれぞれ任命される。


救国軍事会議のクーデター[編集]

宇宙暦797年3月30日-8月。ラインハルトがリップシュタット戦役を始めるのに際して、同盟の介入の防ぐために仕掛けた内乱。エルファシルを巡る戦いで捕虜になっていたアーサー・リンチ元少将が工作員となって同盟に逆潜入し、救国軍事会議となるメンバーを集めてクーデターの実行を促した。救国軍事会議の議長はドワイト・グリーンヒル大将。スポークスマンはエベンス大佐。主な参加者は情報部のブロンズ中将、第11艦隊司令官のルグランジュ中将など。

3月30日にアンドリュー・フォークがクブルスリー大将を襲って重傷を負わせたのを皮切り、陽動で同盟領各地で反乱を起こさせ、4月13日、ハイネセンで演習に偽装した兵力展開が行われ、そのまま決起に至る。なお、ヤンは予めラインハルトによるクーデターを予期し、ビュコックに警告していたが防ぐことは適わなかった。

ヤンは救国軍事会議の誘いを一蹴し、クーデターの早期解決を目指す。途中、第11艦隊との戦いを挟み、ハイネセンへ進軍、防宙システム「アルテミスの首飾り」を完全に破壊し、救国軍事会議を無力化させた。ヤンは、寝返ったバグダッシュを使ってクーデターの真の黒幕を放送させる。最終的に、グリーンヒル、エベンス、リンチと救国軍事会議の主だった者が死亡し、クーデターは鎮圧される。

同じ内乱で大損害を被ったとはいえ、帝国側ではラインハルト独裁の新体制で社会が活性化したのに対し、同盟側では帝国領土侵攻作戦失敗の傷を更に深めるという反対の結果となる。またヨブ・トリューニヒト政権はクーデターで権力体制が強化される事となり、同盟の弱体化は更に進むこととなる。

序盤[編集]

3月30日、フォークはクブスリー大将を襲い、大将は一命を取り留めるが職務不能状態に陥る。その後、4月3日に惑星ネプティス、4月5日に惑星カッファー、4月8日に惑星パルメレンド、4月10日に惑星シャンプールの4か所で次々に反乱が発生、ヤンは4ヵ所の鎮圧を命じられる。

4月13日、ハイネセンで演習に偽装した兵力展開が行われ、救国軍事会議が主要機関を制圧、腐敗した政治家や大衆迎合の愚衆政治を正すとして新体制の樹立を宣言する。

ハイネセンが制圧されたことを知ったヤンは地方反乱を放置し、ハイネセンへ直行することを決める。4月20日、キャゼルヌを要塞司令官臨時代理に任命し、全艦隊をハイネセンへ向けて出発する。ただし、途中、シャンプール星域のみ、補給ルートの安全確保のため数日で鎮圧する。

他方、ヤンに協力を拒否された救国軍事会議はルグランジュ中将率いる第11艦隊をヤンのいるイゼルローン方面へと進軍させる。

ドーリア星域会戦[編集]

宇宙暦797年5月18日。ルグランジュ中将の第11艦隊とヤン艦隊の戦い。

第11艦隊は、恒星の蝕を利用してヤン艦隊の挟撃を目論み、二手に分かれる。しかし、相手の位置の把握に成功していたヤンは目論みを見抜き、先んじて迂回部隊を撃つ各個撃破を計画する。

ヤンは迂回部隊を右側面から急襲し、亀裂が生じた箇所にグエン・バン・ヒューの分艦隊をさせ、敵艦隊を二分させる(元が二手に分かれていたので、敵艦全体の四分の一にしたことになる)。この分断されたストークスの前方部隊を本隊から引き離す役目は、原作ではフィッシャーが、アニメではアッテンボローが担当する。分断された第11艦隊本隊は包囲されて集中攻撃を受けるが、抵抗を諦めず、ヤンの降伏勧告も拒否する。結果、8時間の消耗戦の末に、本隊は殲滅され、最終的にルグランジュはピストルで自害する。

おびき寄せられていた前方部隊も降伏を拒否し、勝敗が決した後も残存部隊は抵抗を続けたため、戦略上不必要な損害をヤン艦隊は被ることとなり、また同盟に残された数少ない艦船も無意味に喪失した。

なお、救国軍事会議は、予め脱出者としてバグダッシュをヤン艦隊に送り込み、混乱、できればヤンの暗殺も狙っていた。しかし、怪しんだシェーンコップによって睡眠薬により2週間眠らされることとなり、第11艦隊との戦い時には何もできなかった(その後、バグダッシュはヤンへ寝返る)。

スタジアムの虐殺[編集]

宇宙暦797年6月22日。

救国軍事会議に反発する市民15万余りがハイネセン・スタジアムに結集する。無許可の政治集会としてクリスチアン大佐率いる3000人の武装兵が会の解散を命じるが、主催者のジェシカ・エドワーズは反発する。ルドルフと同じだというジェシカの指摘に激昂したクリスチアンがジェシカを撲殺したことで暴動が発生し、最終的に市民20000人、兵士1500人の死者が出る惨状となる。

この一件によって救国軍事会議は大きく人心を失い、各地の義勇兵がヤン艦隊へ集まり始める。また、この知らせを聞いたヤンは旧友ジェシカの死を悼み、ハイネセンへの急行を命じる。

ハイネセン制圧[編集]

宇宙暦797年8月。同盟首都ハイネセンの制圧作戦。

第11艦隊の喪失によって、救国軍事会議が展開できる戦力はほぼ無力化されたが、ハイネセンは、強力な防宙システム「アルテミスの首飾り」に守られており陥落は容易ではないと見られていた。ヤンはなるべく同盟側の損害を出さずに内乱を終わらせるため、アルテミスの首飾りを破壊することによって救国軍事会議の士気を挫き、同時にクーデターの黒幕をバグダッドに放送させ、一気に内乱を終わらせることを計画する。

ヤンはアーレ・ハイネセンの故事にひっかけ、1立方キロメートル/10億トンの氷塊を1ダース切り出し、それにバサード・ラム・ジェット・エンジンを装着して光速に近い速度まで加速させ、アルテミスの首飾りに衝突させる。相対性理論に従って重量を増した氷塊は、12個の首飾りを同時に全て破壊し、救国軍事会議メンバーの戦意を挫くことに成功する。

他方、救国軍事会議では、リンチがすべてを明かしたため、グリーンヒルは降伏を決意する。その前にリンチを始末しようとするが逆に射殺され、間もなくリンチも射殺される。エベンスはリンチと謀略の存在の秘匿を命じた後、通信でヤンに降伏を宣言・自決、クーデターは鎮圧される。

12個の首飾り全ての破壊は必ずしも必要なく、ヤンの個人的感情が強く出ており、これが後に査問会に呼びつけられる口実の一つとなる。

  1. ^ グレゴールとの2人体制
  2. ^ 拘束した数はOVA版による。なお、OVA版では参加者は3760名となっている。
  3. ^ OVA版では8度
  4. ^ 漫画版による