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利用者:Eugene Ormandy/下書き2

日本目録規則 (Nippon Cataloging Rules: NCR) とは、日本の目録に関する規則である。

概要[編集]

沿革[編集]

前史[編集]

1893年、日本文庫協会が署名基本記入方式の『和漢圖書目録編纂規則』を制定し、1910年には日本文庫協会の後身となる日本図書館協会がこれを改訂して『和漢圖書目録編纂概則』を制定した[1][2]。その後もいくつかの規則が作成され、1932年には『和漢圖書目録法案』が公表されたが、基本記入に関すると議論が生じ、案のままで終わった[1][2]

1942年版・1952年版の誕生[編集]

1943年には、青年図書館聯盟が著者基本記入方式の『日本目録規則 1942年版』を刊行した[1][2][3]

第二次世界大戦後、国立国会図書館開設のためにアメリカから日本に招かれた特別顧問は、日本図書館協会がこの規則を速やかに改訂し、日本の国立国会図書館の和漢書に対して適用するよう勧告した[1]。これにより『日本目録規則 1952年版』が作成された[1][2]。なお、1942年版同様、1952年版も著者基本記入方式を採用している[2]。基本記入方式とは、書誌的な実体が統一的に識別かつ引用できる形式で表示された、記述対象の完全な目録記録を基盤とする、書誌的記録の作成方式のことである[4]

パリ原則の合意に伴う1965年版の誕生[編集]

1961年には、国際図書館連盟がパリで開いた国際会議にて、標目の選定と形の決定に関する原則である「パリ原則」が採択された[5]。これを受けて日本では『日本目録規則 1965年版』が制定された[5][1][2]。これは和洋書をともに対象とした比較的詳細な規則で、パリ原則に則った著者基本記入方式を採用している[2]

記述独立方式を採用した1977年の新版予備版[編集]

1950年代の日本の図書館界では、基本記入方式と記述独立方式(等価標目方式)のどちらが望ましいかという論争が起こっており、これはパリ原則採択後も継続していた[2]。なお、記述独立方式とは、目録記入を標目と記述に分類し、記述だけを独立させたユニットカードを作成して、それを複製した個々のカードに標目を追記して記入を完成させるという、昭和30年代に森耕一らが提唱した目録作成の方式のことである[6]

その後、合理性・簡易性の観点から記述独立方式が支持されるようになり、1977年に「記述ユニット・カード方式(記述独立方式)」をとる『日本目録規則新版予備版』が作成された[1][2][3]。この新版予備版は、和書のみを対象とする比較的簡略な規則であった[2]

1987年版の制定と改訂[編集]

概要[編集]

1987年には、1977年の新版予備版を「本版化」したものとして『日本目録規則 1987年版』が制定された[7]

1987年版は新版予備版の記述独立方式を継承しているが、その一方で、コンピュータ目録と書誌情報共有化の進展に対応した「ISBD区切り記号法」の適用や「記述の精粗」の規定、「書誌階層・書誌単位」の導入など、新たな試みも行われている[7][1]。同様にコンピュータ目録を意識して、新版予備版の「記述ユニット・カード方式」の語は「記述ユニット方式」と改められた[7]

書誌階層と書誌単位[編集]

2018年版の制定[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 上田修一「情報資源の組織化」『図書館情報学 第二版』、勁草書房、2017年、138-171頁、ISBN 9784326000432 
  • 上田修一、蟹瀬智弘『JLA 図書館実践シリーズ 23 RDA入門 目録規則の新たな展開』日本図書館協会、2014年。ISBN 9784820413196 
  • 志保田務、高鷲忠美、平井尊士『情報資源組織法 資料組織法・改』第一法規、2012年。ISBN 9784474027640 
  • 田窪直規『現代図書館情報学 9 情報資源組織論』樹村房、2011年。ISBN 9784883672097 
  • 日本図書館情報学会用語辞典編集委員会 編『図書館情報学用語辞典 第5版』丸善、2020年8月。ISBN 9784621305348 
  • 根本彰、古賀祟、研谷紀夫「情報資源経営各論Ⅱ」『シリーズ図書館情報学3 情報資源の社会制度と経営』、東京大学出版会、2013年、215-277頁、ISBN 9784130034937 
  • 野口武悟「第63回日本図書館情報学会研究大会シンポジウム記録「情報資源組織化が切り拓く未来-RDA,新NCR,BIBFRAME,Linked Dataがもたらすもの-」」『日本図書館情報学会誌』2016年、72-77頁、doi:10.20651/jslis.62.1_72 
  • 松井 純子「ISBD統合版の研究 : 改訂内容の検討とその意義(グループ研究発表<特集>第54回研究大会)」『図書館界』第65巻第2号、2013年、162-172頁、doi:10.20628/toshokankai.65.2_162 
  • 渡邊隆弘「図書館の情報組織化」『新しい時代の図書館情報学』、有斐閣、2013年、99-116頁、ISBN 9784641220102