利用者:Eugene Ormandy/sandbox93 江島杉山神社
江島杉山神社 | |
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所在地 | 東京都墨田区千歳1-8-2 |
主祭神 | 市杵島比売命(弁財天)、杉山和一総検校 |
創建 | 元禄6年(1693年) |
別名 | 本所一ツ目弁才天 |
江島杉山神社(えじますぎやまじんじゃ)は東京都墨田区の神社である[1]。
概要
[編集]来歴
[編集]1692年、鍼の管鍼法の創始者である杉山和一は江戸幕府5代将軍徳川綱吉の病気を治した功により、関東総検校に任じられ、本所一ツ目の地を与えられた[2]。1693年5月16日、和一は、その地に自身が信仰する江ノ島弁財天を勧請して弁天社を建立し、さらに小川町の惣録屋敷(盲人官職の取締役書)に鍼術学問所を設立して後進を指導した[2][3]。和一の没後、本所一ツ目にその御霊を祀る即明庵が建立され、惣録屋敷と鍼術学問所もその地に移管された[2]。弁財天社では巳待講(みまちこう)や琵琶会(びわえ)などが行われたが、明治4年 (1872年)には惣録屋敷の閉鎖に伴い廃絶した[2]。
しかし1891年には、荒廃していた惣領屋敷跡地に杉山検校の御霊を勧請した杉山神社が建立された[2]。1903年には杉山報恩講が設立され、毎年5月18日に祭典が執行されるようになった[2]。報恩講は1930年に財団法人杉山検校遺徳顕彰会となり、神社は「江島杉山神社」と改名した[2]。
なお、現在の江島杉山神社は「杉山検校が信仰して鎮祭した江島神社と検校を祀った杉山神社のふたつからなっている」というのが定説となっているとされる[4]。
行事
[編集]毎年5月18日には杉山検校祭が行われる[2]。当日の朝には、検校の墓所である弥勒寺に杉山検校遺徳顕彰会の会員が集まって墓前祭の法要を行なったのち、昼から神社本殿で検校祭の式典が執行される[2]。
また、1993年6月18日には300年祭が開催された[5]。雅楽の演奏、お祓い、御扉開扉、祝詞奏上、献幣使祭詞奏上、玉串奉奠が行われたのち、姥山薫が著した『惣検校杉山和一神正記』が奉賛会から参加者に配られた[5]。さらに、300年を記念して『弁天音頭』が作曲された[6]。
反映できてない部分
[編集]杉山は自邸の他に、世界初の視覚障害者教育施設「杉山流鍼治導引稽古所」をこの土地に開設している。また綱吉は、江島弁財天(現・江島神社)への参詣を続ける杉山に配慮し、弁財天を当地に勧請することを許可したのが起源である。江戸時代は「本所一ツ目弁天社」と呼ばれていた[7]。
明治時代になり、幕府からの拝領地だった本所一ツ目の土地は明治政府に接収されたが、弁財天を祀った社殿等は「神社」として接収を免れ「江島神社」に改称した。その後、境内に杉山和一本人を祀る摂末社として「杉山神社」も創建された。1952年(昭和27年)に両社は合祀して「江島杉山神社」に改称した[7]。
境内には、杉山が江の島で修業した岩窟を模造した岩屋が作られている。杉山の没後まもなくに造られたという。また「贈正五位杉山検校頌徳碑」があり、世界唯一の点字による石碑である[8]。
境内
[編集]力石
[編集]境内には、区登録夕景民俗文化財である「力石(ちからいし)」が置かれている[9]。江戸時代にはこのような力石を用いた力比べが盛んに行われており、この力石には正面に「奉納 九拾三貫目」「文化十二年乙亥四月吉日」「内田店 金蔵」の文字が刻まれている[9]。
銅製釣燈籠
[編集]1693年12月、徳川綱吉から銅製釣燈籠が奉納された[1]。銅製釣燈籠の左右それぞれの扉には「元禄六癸酉年十二月吉月酉歳」「奉寄進金燈籠両某」と刻まれている[1]。
洞窟
[編集]境内には、江ノ島の弁天洞窟を模した洞窟がある[3]。
その他
[編集]杉山和一記念館
[編集]境内には公益財団法人杉山検校遺徳顕彰会が運営する杉山和一記念館がある。 杉山検校遺徳顕彰会は明治に「杉山報恩講」として発足し、昭和6年に財団法人となった[10]。記念館は2016年に開館した[11]。
記念館内には鍼灸あん摩博物館[12]、杉山鍼按治療所[13]がある。鍼灸あん摩博物館では、江戸時代の文献や、経穴人形といった鍼灸やあん摩の歴史的な資料や道具を展示している。また徳川綱吉直筆の掛け軸も所蔵している[14]。鍼灸あん摩博物館は墨田区のすみだ3M運動の「小さな博物館」に登録されている[15][16]。
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杉山和一記念館
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鍼灸あん摩博物館に所蔵された徳川綱吉の書
交通アクセス
[編集]- 両国駅より徒歩7分。
脚注
[編集]- ^ a b c 墨田区教育委員会 (2021)、178頁。
- ^ a b c d e f g h i 原 (1978)、45頁。
- ^ a b 土屋 (1995)、22頁。
- ^ 土屋 (1995)、23頁。
- ^ a b 土屋 (1995)、24頁。
- ^ 土屋 (1995)、25頁。
- ^ a b 御由緒江島杉山神社
- ^ 小島惟孝 著『墨田区史跡散歩 (東京史跡ガイド7)』学生社、1993年、29-30p
- ^ a b 墨田区教育委員 (2021)、179頁。
- ^ 財団法人杉山検校遺徳顕彰会『杉山和一生誕400年記念誌』財団法人杉山検校遺徳顕彰会、2010年5月30日、89-107頁。
- ^ “PORTAL TOKYO 東京ガイド 墨田区 杉山和一記念館” (2021年11月3日). 2021年11月3日閲覧。
- ^ “鍼灸あん摩博物館 墨田区公式ウェブサイト” (2021年11月3日). 2021年11月3日閲覧。
- ^ “PORTAL TOKYO 東京ガイド 墨田区 杉山和一記念館” (2021年11月3日). 2021年11月3日閲覧。
- ^ “PORTAL TOKYO 東京ガイド 墨田区 杉山和一記念館” (2021年11月3日). 2021年11月3日閲覧。
- ^ 『SUMIDA 3Mものづくりのひみつ -ちいさな博物館 すみだマイスター 工房ショップ-』墨田区産業観光部産業振興課、2021年3月、1頁。
- ^ “鍼灸あん摩博物館 墨田区公式ウェブサイト” (2021年11月3日). 2021年11月3日閲覧。
参考文献
[編集]- 小島惟孝『墨田区史跡散歩(東京史跡ガイド7)』学生社、1993年。
- 墨田区教育委員会『すみだの史跡文化財散歩』墨田区教育委員会、2006年。
- 杉山検校遺徳顕彰会編『杉山和一生誕400年記念誌』杉山検校遺徳顕彰会、2010年。
- 土屋辰夫『両国の四季 -両国中学校長のエッセイ-』三省堂、1995年。
- 原義郎『東京わが町 歳時記夏』三省堂、1978年。