利用者:Euph0956/鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

沿革[編集]

2021年3月に本作の製作が発表され、ディザービジュアルが公開された[1]

2022年3月に新ビジュアルが公開され、2023年秋公開であることが発表された[2]

2022年11月、ゲゲゲ忌にて同年3月に公開されたビジュアルに加え新たに2枚のビジュアルが公開された[3]

2023年4月27日、ティザービジュアルが発表され、一部の主要キャストが発表された。

2023年9月6日、各キャラクターのキャストとキャラクターデザイン及び本予告映像が公開された[4]

2023年11月17日公開。

2024年1月25日、「第47回日本アカデミー賞」優秀アニメーション作品賞を受賞した[5]

製作[編集]

企画[編集]

本作は水木しげる生誕100周年記念事業の一つとして企画された。東映アニメーションが水木プロダクションに話を持ちかけた時点で「鬼太郎の父をメインの映画にする」ということは決まっており、水木プロダクションの代表取締役であり、水木しげるの長女である原口は「鬼太郎誕生以前の〔中略〕お話は水木も描いていないから、一緒に作っていきましょう。」と答え、本作の企画が始動した[6]

本作では、アニメシリーズとしては初めて水木プロダクションが製作委員会に参加した。参加した理由について原口は「私達にとっても一〇〇周年記念のすごく大事な映画なので、お任せではなく主体的に参加したかったんです。」と語っている[6]

スタッフィング・脚本[編集]

監督は古賀豪が務めた。古賀はテレビシリーズ第5期の劇場版作品『ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』でも監督を務めたが、今作を手掛けることになったのは偶然であったという[7]

古賀が企画に参加した時点で、水木しげる生誕100周年記念作品であること、水木と体があった頃の鬼太郎の父を出すこと、大人向けのホラーとして作ることが決まっていた。古賀はテレビシリーズ第6期第14話「まくら返しと幻の夢」でも演出を担当しており、その話数は鬼太郎の父が登場する回であったことから、鬼太郎の父を出すことについてはすんなりと受け入れることができたという[8]。一方で「大人向けのホラー」という点についてはある種の挑戦になるだろうと考えており、かなりのウェイトが置かれた[9]。古賀は発想を得るために、『コミック昭和史』や『総員玉砕せよ!』を始めとした水木の漫画をかなり読み込み、参考にした[9][8]

脚本はテレビシリーズ第6期第14話「まくら返しと幻の夢」にて脚本を務めた吉野弘幸が担当した。吉野は、テレビシリーズ第6期を立ち上げたプロデューサー・永富大地に声を掛けられ、参加することとなった[10]

脚本会議は当初、古賀、吉野、永富の3人で進められた。まず最初に、本作がPG12であることから「大人の観客相手に、画でどこまで怖さを表現できるか」という課題を設け、それをいかに克服するかを話し合い続けたという。その中で永富が「一番怖かった映画は『八つ墓村』だ」と話し、いわゆる因習村と鬼太郎の親和性が高いと古賀が考えたことから、本作の方向性が決まった[9]

本作の脚本は『墓場鬼太郎』の「幽霊一家」に繋がるオリジナルストーリーとなっている。いかに鬼太郎誕生の物語に繋げるかは非常に苦労したという。また、話がすべて村の中で完結するため、どう話を持たせるかに苦労したといい、脚本作りには1年ほど時間を要したという[9]

吉野は「親世代の負の遺産を子世代が解決する」という発想のもと、鬼太郎の父が鎮めきれなかった哭倉村の怨念を、最終的に鬼太郎が成し遂げるというストーリーを提案した[10]

物語の舞台を昭和31年としたのは古賀のアイデアであった。古賀はこの時代を「戦後の混乱期から立ち上がっていく中で、弱いものはどんどん削ぎ落とされていくっていう、ある種の恐ろしかった時代」と捉えており、この独特の雰囲気を生かし、風格をもたせることで、新しい恐ろしさを演出できると考えていた[9]。また、古賀自身この時代の日本映画のファンであり、そのテイストを盛り込むことで若い世代にも喜んでもらえる物を作れると考えていたという[8]。古賀はある程度のリアリズムを持たせたいと考えていたため、子供の前でタバコを吸うといった当時のシビアな空気感も含め、日常芝居をリアルに書くことが意識されている[7]

キャラクターデザイン[編集]

キャラクターデザインは谷田部透湖が担当した。谷田部は幼少期より鬼太郎のファンであり、満を持しての参加であった[6]。谷田部は古賀らの脚本会議に途中から参加し、彼らのディスカッションを聞きながらその場でキャラクターデザインや舞台設定をスケッチし、提示するという作業を行った[11]

水木と鬼太郎の父のキャラクターは、谷田部の参加によって大きく変化した。当初の構想では「まくら返しと幻の夢」を踏襲し、「鬼太郎の父がホームズ、水木がワトソンで、水木が鬼太郎の父に振り回される」というものであったが、鬼太郎の父がただ強いだけでは話が進まず、脚本作りが難航していた[10][8]。その中で、谷田部は鬼太郎の父について「ある種の弱さがあってもいい」、「弱い男が一生懸命頑張って奥さんを探すというテイストが、逆にかっこいいんです」と提案し、デザインを切れ長のものから、水木しげるらしい飄々としたものに変更したものを提示した[8]古賀はこの案を「目から鱗だった」と、吉野は「ピタリとハマった」とそれぞれ語っており、谷田部の案が採用された[8][10]

水木は、体格は当時の典型的な日本人体系にし、また鬼太郎の父と並んだときにシルエットの違いがはっきりと現れるようにデザインされた[11]

鬼太郎の母は、原作と完全に別人にならないように気をつけつつ、凛とした強く美しい女性というイメージでデザインされた。また、過去のテレビシリーズのねこ娘のイメージが自然と取り入れられているという[10]

谷田部は当初キャラクターデザインのみの予定であったが、最終的に総作画監督の一人としても参加した。メインキャラクターの設定にない表情や、肝となる芝居カットなどを担当しているという[8]

音楽[編集]

音楽は『機動警察パトレイバー』や『花燃ゆ』で知られる川井憲次が担当した。古賀はドロドロとしたストーリーとは対照的に、繊細で美しい音楽をオーダーした[9]

作曲は鬼太郎の父と水木の語らいのシーンで流れる曲から始められた。この楽曲では、4オクターブをカバーする特注のクロマチックカリンバが使用されており、シンセサイザーのサンプル音源では再現しきれない情感が演出されている[10]

キャスティング・演技[編集]

鬼太郎の父は関俊彦が、水木は木内秀信がそれぞれ演じた。これらの役はオーディションによって決められた。オーディションはお互いを演じる役者が二人でブースに入り、両方の役を交換しながら行うという、特殊な形式で行われた。

古賀は昭和30年代の雰囲気をリアルに演出することにこだわっており、その当時のしゃべりは今よりも少し早いことから、早口の演技を二人に求めた[7]。そのため本作ではセリフの間尺が非常に短く、関はただの早口言葉にならないよう、役の思いを込めてアプローチするのが難しかったと振り返っている[12]。また、古賀は「実写的に」と二人をディレクションし、木内は古賀より『あなた買います』を資料として渡され、関は小津安二郎監督作品を参考とし、演技を行った[13]

アフレコは3日間で行われた。まずは木内の収録から始まり、テストを一回行うたびに古賀がブースに入り、直接ディスカッションを行い、再びテストを行うというラリーが何度も繰り返された。このラリーを関も行い、二人の演技が古賀の理想に近づいたところで初登場シーンから録り直された。3日目は他の役者を交えてのシーンが収録されたが、微妙なニュアンスの違いを表現するため、1、2日目に録音したシーンの再収録も行われたという[14]

参考文献[編集]

  • 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 パンフレット』後藤悠里奈 編集協力、東映、2023年11月17日。 
  • 木内秀信; 古賀豪; 谷田部透湖(インタビュアー:原口正宏)「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 謎の解明まであと7日」『アニメージュ』2023年12月号、徳間書店、78-81頁、2023年。 

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』新作映画化決定!”. ゲゲゲの鬼太郎. ニュース. 2022年12月16日閲覧。
  2. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「A」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  3. ^ “「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」「悪魔くん」新ビジュアル同時公開、「ゲゲゲ忌」で”. コミックナタリー. (2022年11月20日). https://natalie.mu/comic/news/502111 2022年12月16日閲覧。 
  4. ^ NEWS”. 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』公式サイト. 2023年9月6日閲覧。
  5. ^ 「第47回日本アカデミー賞」優秀アニメーションに「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」など5作”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年1月25日). 2024年1月27日閲覧。
  6. ^ a b c パンフレット (2023), pp. 14–15.
  7. ^ a b c パンフレット (2023), pp. 26–27.
  8. ^ a b c d e f g 古賀(2023)、80頁
  9. ^ a b c d e f 古賀豪(インタビュアー:福谷修)「『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』大ヒット記念!古賀豪監督単独インタビュー!映画オリジナル・グッズ「鬼太郎_目玉おやじアイマスク」を抽選で3名様にプレゼント!」『cowai』、ゼリコ・フィルム、2023年11月25日https://cowai.jp/interview/11678/2024年1月26日閲覧 
  10. ^ a b c d e f パンフレット (2023), p. 28.
  11. ^ a b パンフレット (2023), p. 29.
  12. ^ パンフレット (2023), pp. 18–19.
  13. ^ 関俊彦; 木内秀信(インタビュアー:M.TOKU)「映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』関俊彦&木内秀信、「鬼太郎の父は“人間は本来こうあるべき”という純粋な部分を持っている」」『クランクイン!』、ブロードメディア、2頁、2023年11月11日https://www.crank-in.net/interview/136432/22024年1月27日閲覧 
  14. ^ 関俊彦; 木内秀信(インタビュアー:宋莉淑)「映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』関俊彦&木内秀信が実写的な芝居で作り上げた、鬼太郎の父と水木の空気感」『アニメイトタイムズ』、アニメイト、2頁、2023年11月17日https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1700118170&p=22024年1月27日閲覧