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en:Arithmetic derivative oldid=751435216

算術微分: Arithmetic derivative)とは、整数に対して定義される関数である。定義は素因数分解に基づいており、また関数の微分における積の微分法則のアナロジーを用いている。

「算術微分」と名のつくものには、Lagarias の算術微分、伊原の算術微分、Buium の算術微分など多数ある。本項では Lagarias の算術微分を扱う。

定義[編集]

自然数に対する算術微分を次のように定める。

  • 任意の素数 p に対して p′ = 1
  • 任意の a, bN に対して (ab)′ = ab + ab (ライプニッツ則)

このとき、ライプニッツ則より 1′ = 0′ = 0 となる。

いま、x が正の整数 e1, ..., ek と相異なる素数 p1, ..., pk によって

と表されているとすると、次のようになる。

算術微分では(素数についてのみ)冪関数の微分法則も保たれる。p は素数で a は正の整数である。

k = 0, 1, 2, ... に対する k の値は次のようになる。

0, 0, 1, 1, 4, 1, 5, 1, 12, 6, 7, 1, 16, 1, 9, ... オンライン整数列大辞典の数列 A003415

E. J. Barbeau はこの定義を形式化しようとした恐らく最初の人物である。彼は (− x)′ = − (x)′ によって整数全体で微分を一意に定められることを示し、定義域を整数全体へと拡張した。Barbeau はさらに、よく見慣れた商の微分法則によって Q 上の微分がうまく定義できることを示し、定義域を有理数へと拡張した。

Victor Ufnarovski と Bo Åhlander は算術微分をある種の無理数へと拡張した。この拡張においては上記の式は引き続き適用されるが、指数の値 ei が任意の有理数をとることを許している。

対数微分 x/x完全加法的関数となる。

Average order[編集]

任意の δ > 0 について

および

を得る。但し

である。

値の範囲[編集]

E. J. Barbeau は自然数の算術微分が次の範囲に収まることを明らかにした。

ここで kn の最小の素因数、sn の素因数の個数である。この不等式は、n が 2 の冪であるとき等号が成立する。

Alexander Loiko, Jonas Olsson, Niklas Dahl らは、任意の二つの有理数の間ではあらゆる大きさの算術微分の値がとられうることを示し、同様の範囲を有理数の算術微分では求めることが出来ないことを明らかにした。

数論との関係[編集]

Victor Ufnarovski と Bo Åhlander は有名な数論的予想(双子素数の予想、三つ子素数の予想、ゴールドバッハの予想など)とのこの関数の関係について詳細に述べた。例えばゴールドバッハの予想より「各々の k > 1 に対して n′ = 2k を満たす n の存在」が導かれ、双子素数の予想より「k′′ = 1 を満たす k が無限に存在する」ことが導かれる。

参考文献[編集]

{@{デフォルトソート:さんしゆすひふん}} [@[Category:数論]] [@[Category:数学に関する記事]]