利用者:Flightbridge/sandbox/角の三等分問題
(en:Angle trisection oldid=725608276)
角の三等分問題(かくのさんとうぶんもんだい、英: angle trisection)とは、古代ギリシャ数学における古典的な定規とコンパスによる作図問題である。この問題は、与えられた任意の角に対しその三分の一の大きさの角を、目盛りのない定規とコンパスのみを用いて作図するものである。
1837年にピエール・ヴァンツェルにより、一般にこの問題を解くことが不可能であることが示された。ただし、これは定規とコンパスのみを用いて角を三等分する方法が一般に存在しないということであり、特別な場合として三等分が可能な角は幾つか存在する。例えば、直角の三等分(即ち 30° の角の作図)は比較的単純に行うことができる。
任意の角の三等分は、定規とコンパス以外の道具を用いることで可能である。例として、古代ギリシャから知られていたネウシス作図がある。これはスライドと回転が同時に行える目盛り付きの定規を用いて行う作図であり、(目盛りなしの)定規とコンパスでは不可能な作図も行うことができる。その他にも複数の方法が数学者により何世紀にもわたって考案された。
この問題の定義は平易な言葉で述べられる一方、これが解けないことの証明は複雑である。そのため、角の三等分問題に対する解答はよく疑似数学的な試みの対象となる。これらの「解答」はしばしばルールの誤解釈、あるいは単純に誤りを含んだものとなっている。
背景と主張
[編集]目盛りのない定規とコンパスを用いて
- 線分を任意の等区間に分割する方法
- 平行線を作図する方法
- 角を二等分する方法
- 様々な多角形を作図する方法
- 与えられた多角形に対し面積が等しい又は二倍の正方形を作図する方法
はギリシャ数学者達の手により発見されたものである。
しかし幾つかの問題は彼らの手を以ってしても解かれることがなかった。それが次の三つの問題である。
このうち「角の三等分問題」とは次のような問題である。
角の三等分問題 ― 次の二つの道具のみを用いて、与えられた任意の角に対しその三分の一の大きさの角を作図せよ(または三つの等しい角に分割せよ)。
- 目盛りのない定規
- コンパス
不可能性の証明
[編集][@[File:Lineale.jpg|thumb|right|定規。画像のものは目盛り付きだが、作図で使用するのは目盛りのない定規(英: straightedge)である。]] [@[File:Zirkel.jpg|thumb|right|コンパス]]
1837年、ピエール・ヴァンツェルは定規とコンパスを用いた任意角の三等分が不可能であることの証明を発表した。[1] ヴァンツェルの証明を現代的な用語で述べ直せば、これは(現在では通常ガロア理論と結び付けられる話題である)体の拡大に関する抽象代数学を用いていると言える。しかしヴァンツェルはガロアより早い時期に発表した(ガロアの成果は1846年に発表された)ため、ガロア理論のテーマである体の拡大と群の間の繋がりは用いられなかった。[2]
与えられた角度 θ を作図する問題と、長さの比が cos θ であるような二本の線分を作図する問題は、一方の問題が作図できればそこから定規とコンパスを用いてもう一方を作図することができるため互いに同値である。いま単位線分が与えられているとすると三倍角の公式 cos θ = 4 cos3 θ/3 − 3 cos θ/3 より、ある三次方程式の解を長さとする線分の作図が角の三等分問題と同値であることが従う。このようにして角の三等分問題は、幾何学の問題から純粋な代数学の問題へと簡略化することができる。
全ての有理数は作図可能である。無理数に関しては、いま幾つかの数が与えられているとし、与えられた数の生成する体に属する数を係数とする二次の多項式の根であるようなものは、与えられた数から一回の操作で作図可能である。従って作図可能な数は、次数が2の冪であるような最小多項式の根となる。π/3 ラジアン (= 60°) の角は作図可能である。以下、20° の角が作図不能であることを示す。これは 60° の角を三等分することが不可能ということであり、ここから任意の角を三等分することが不可能であることが従う。
証明 — Q を有理数の集合とする。もし 60° の角が三等分可能であれば、Q 上の cos 20° の最小多項式の次数が 2 の冪になるはずである。いま x = cos 20° とおく。すると三倍角の公式より cos 60° = 4x3 − 3x となり、整理して 8x3 − 6x − 1 = 0 を得る。この左辺の多項式を p(t) とおく。
x = cos 20° は p(t) の根であるから、p(t) は cos 20° の最小多項式を因数として持つ。また p(t) の次数が 3 なので、もし p(t) が Q 上可約ならば p(t) は有理根を持つことになる。有理根定理より、この根は ±1, ±1/2, ±1/4, ±1/8 のいずれかでなければならないが、このいずれも根ではない。従って p(t) は Q 上既約であり、cos 20° の最小多項式の次数は 3 となる。
以上より、60° の角は三等分不可能である。
三等分可能な角
[編集]その他の方法
[編集]二分法の連続による近似
[編集]折り紙
[編集]リンケージ
[編集]補助曲線
[編集]目盛り付き定規
[編集]string
[編集]トマホーク
[編集]interconnected compasses
[編集]一般化
[編集]- ^ Wantzel, P M L (1837). “Recherches sur les moyens de reconnaître si un problème de Géométrie peut se résoudre avec la règle et le compas.”. Journal de Mathématiques Pures et Appliquées. 1 2: 366–372 3 March 2014閲覧。.
- ^ For the historical basis of Wantzel's proof in the earler work of Ruffini and Abel, and its timing vis-a-vis Galois, see Smorynski, Craig (2007), History of Mathematics: A Supplement, Springer, p. 130, ISBN 9780387754802.