利用者:Foomin10/味噌汁
味噌汁(みそしる)は、汁を味噌で調味した日本の汁物であり、一般的には野菜や魚介類などの具材(「実」と言う)を伴う料理。
概要
[編集]日本の食文化において、主食とされる米飯や雑穀飯の副食として、主要な位置を占める。 料亭や食堂で出される事も、家庭料理として家庭で作られる事もある、汁物料理の代表である。昆布・削り節や煮干しなどで出汁をとり、食材と味噌で味を作るという、調理法としては単純な料理であるが、出汁・味噌に加え具材も各家庭・調理者によって千差万別であるため、おふくろの味と称される事もあり、作り方は様々である。また、各地で古くから作られており、名物料理だったり町おこしの料理ともされる。
本膳料理の膳立ては、飯と汁・香の物のほかに膾(なます)・平皿・焼物の3菜を添えたものを「一汁三菜」と表現して、主食に味噌汁のような汁物と、「菜(さい)」、「おかず」と称される固形の副食を組み合わせるのが理想的とされた。また一汁一菜として粗食の代表とされる食生活でも、欠かせないものとされている。 とりわけ味噌汁は、主食を食べるに際しての食欲増進の役割をおかずと共に果たすと同時に、味噌に含まれる大豆の蛋白質は、かつての低蛋白の日本食における主要な蛋白源であり、また汗とともに消耗する塩分の補給に大きな役割を果たしていた。
西洋料理のスープに相当する側面がある。パンもご飯もそれぞれ固形物であり、味に乏しく単独で食べるのは口寂しい。そこで食べ方のひとつとして、スープ・味噌汁という、塩味がある汁物と一緒に食べるという点で、両者は共通するものがある。しかしながらヨーロッパのスープは、硬くなったパンをふやかして柔らかくして食べるための食品という要素があり、その点ではパンとスープの組み合わせは、ご飯と味噌汁の組み合わせとは似て異なるものである。
名称
[編集]東京近郊ではおみおつけ(御味御付)と呼ぶ。「おみ」は「味噌」、「おつけ」は「汁」を意味する女房言葉。江戸時代に江戸の地で使用され始めた。「御御御汁(御御御付)と書き、『おつけ』にさらに接頭辞が付いた」と言う説があるが、これは民間語源であり誤り。
特にこの地域では味噌汁の中身の固形物のことを「具」とは呼ばず「実」と呼ぶ(「おつけの実」、など)。具と呼ぶようになったのは近年の事で、特にテレビのグルメ番組で一様に具と呼ぶようになったのが影響している(他にはおでんの種も具と呼ぶなど)。
また京言葉ではおみいのおしい。「おみい」が「味噌」、「おしい」が「汁」に相当する。
近畿(また近畿からの開拓入植者が多い北海道)では汁を総じておつゆ(もしくは「おつい」)と称する。おつゆをすまし汁と味噌汁を区別して使用する場合もある。
具材によっては「鱈汁」、「豚汁」、「三平汁」などのような名称を用いる。しかし、鍋物を味噌で仕立てた場合には味噌汁とは言わないのが普通である。
日本国外、主に英語圏ではMiso soup(ミソスープ)と呼ばれている。
歴史
[編集]味噌汁が庶民の食卓に登場したのは室町時代の頃と言われている。元々は田舎料理で主に農家などで作られていたものであったが、時期が経つにつれ様々な階層にも次第に普及し、やがて日本人の食卓に欠かせないものになる。
調理が簡単で大量に作れる味噌汁は戦国時代に陣中食として考案されたとする説がある。里芋の茎を味噌で煮しめた芋がら縄は、ちぎって陣笠に入れて熱湯をかければ簡単に味噌汁ができる陣中食だった。石田三成は、「熱湯に焼き味噌をかき立てて飲めば、終日米がなくとも飢えたることなし」と語ったとの言い伝えがある。陣中食としての味噌汁は、むしろご飯に味噌をかけて湯を入れたものであることも多く、元々「汁かけ飯」だったものが、後にご飯と味噌汁の組み合わせに変化していったとも言われる。各地に残る味噌には、戦国武将の考案によるものとされるものがある(上杉謙信の越後味噌、伊達政宗の仙台味噌など)[1]。
江戸時代においては、ほぼ全ての家庭の食卓に普及した。庶民にとっては、ご飯・味噌汁・漬け物の組み合わせが、一般的な食事スタイルの基本となった。これに副食が1品つくと、一汁一菜となる。江戸市中においては、毎朝売り歩く物売り(「シジミ売り」「納豆売り」)から味噌汁の具を買い、朝食時にご飯と共に食べられていた。そして朝食に限らず、食事の時の白米のご飯の付け合せの汁物として食べられている。
また、味噌汁の味付けの元となる味噌は、元来は豆を塩漬けした保存食であり、そのままつまんで食べるものであった。味噌が保存食から調味料へと性格を変えるのは、味噌汁の普及による所が大きい。
現在に至るも、日本人の食に一番密接している料理ともいえ、欠かすことの出来ない存在である。例えば飲食店における定食の多くが、ご飯、味噌汁、そして副食の組み合わせを基本としている。
即席味噌汁
[編集]携行可能と言う意味での最初の即席みそ汁は芋がら縄である。
湯を注いですぐに作れると言う意味では、現代では1974年に世界初のインスタント味噌汁が発売された。フリーズドライの実と味噌(顆粒状)のパックを手持ちの椀に入れて熱湯をかけるだけで一杯分の味噌汁が準備できるため、単身者や料理の時間がない消費者から受け入れられ、各社から同様の製品が発売された。後に、生の味噌をパックに封入した製品が人気を博する。
その後、インスタント味噌汁は生味噌を用いた製品が主流となった。現在は豚汁や殻付きのアサリが入った紙やプラスチック製のカップ入りのものや、一つの袋に生味噌や実が封入された安価なものなど、品揃えも豊富になっている。一部の牛丼チェーン店では、小分けはされていないものの同様の手順で準備できる味噌汁を提供している。
1990年代には紙パックに封入されたみそ汁をストローで飲むというスタイルが提案されたが、その奇抜さゆえに消費者に受け入れられることは無く短命に終わった。
調理
[編集]調理時間は短く、10分程から長くても1時間程である。 調理の際に、味噌を加えた後に強く煮立たせると、味噌の香りが揮発して風味が減じる。そのため、火を止めてから味噌を入れたり、煮立つか煮立たないかという時点(この状態を「煮えばな」という)で火を止める事もある。簡易的には、ダシ入り味噌と乾燥ワカメや麩を入れたカップにお湯を注ぐだけで完成する。
味噌
[編集]使用する味噌は各家庭によりまちまちだが、地域レベルで見ると相対的に赤味噌が好まれる地域・白味噌が好まれる地域などにブロック化することができ、それがそのままその地域の代表的な味噌の銘柄にもなっていることも多い(味噌を参照)。しかし、戦後は流通経路の発達に伴って特に信州味噌が全国的に普及し、これを使う家庭も多い。
一杯分の味噌の使用量は15gが標準とされているが、椀の大きさや好み、使用する味噌の違いなどによって若干幅がある。汁としての塩分濃度は概ね1%程度である。
出汁
[編集]出汁(だし)の材料は、昆布・煮干し・削り節などが主に使われる。これも、各家庭で千差万別であるが、近年は固形や顆粒状のインスタント製品(出汁の素などと呼ばれる)を使う家も多い。また味噌自体に出汁の成分を混ぜ、「だし入り味噌」として売られる物もある。
主な味噌汁の実
[編集]味噌汁の実(具材)には、地方風土により様々な差異があるがここに一例を記す。
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加工品[編集]
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その他[編集]
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ギャラリー
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赤だしみその味噌汁
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オクラと長芋
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けんちん汁
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イシガニのみそ汁
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麩と青のり
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じゃがいもと若布の味噌汁
バリエーション
[編集]沖縄県の「みそ汁」
[編集]沖縄県の食堂には「みそ汁」というメニューがある。大きな椀に豚肉、ポーク(ランチョンミート)、ソーセージ、豆腐、野菜類、鶏卵などが入った味噌汁に、どんぶりに盛ったご飯と、場合によっては副菜もつく。なお、沖縄県の味噌汁では調理時に油を入れるのが普通であり、具に肉が含まれない場合はラードやマーガリンを加えるなどする。これは沖縄人好みの「あじくーたー(濃厚な味)」になると同時に、野菜を軟らかく煮るのに効果があるという。また豚肉、かまぼこ、こんにゃく、しいたけなどを白味噌仕立てにしたイナムドゥチや、魚汁(さかなじる)という魚(まるごと、あるいはぶつ切り)を具材とした味噌汁などもポピュラーである。
また、懐中汁粉のアレンジとして、乾燥させた餡やあられの代わりに粉末の味噌や乾燥ワカメ、ネギを加えた物もある。懐中汁粉同様にお椀に入れて湯を注ぐと、インスタントの味噌汁ができ、最中の皮がふやけて麩の代わりとなる。
脚注
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 365日カンタン味噌汁レシピ 味噌汁に多くの種類があることがわかる