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利用者:Hanabishi/作業場10

青くて痛くて脆い
著者 住野よる
発行日 2018年3月2日
発行元 角川書店
日本の旗 日本
言語 日本語
公式サイト https://promo.kadokawa.co.jp/kutekute/
コード ISBN 978-4041052068
ウィキポータル 文学
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青くて痛くて脆い(あおくていたくてもろい)は、住野よるによる日本長編小説

概要[編集]

住野よるの5作目の小説である。BLUE ENCOUNTの「もっと光を」が、小説のテーマソングとして特設サイトなどで使われている[1][2]。BLUE ENCOUNTのファンであった著者の住野よるが「もっと光を」歌詞が物語の趣旨にぴったり合っていることなどから依頼して実現した[1][2]

あらすじ[編集]

大学一年生になって二週目の月曜日。僕は秋好寿乃と出会う。秋好は大学の授業中に子供のような理想論を発表するために周りから敬遠されていた。誰かの意見に反する意見をできるだけ口にしない事を信条としていた僕は秋好を受け入れてしまう。秋好は痛く青臭く自分の理想を追求していた。そんな秋好が満足するサークルはなかなか見つからない。そんな時僕は不用意に自分でサークルを作ればと発言してしてしまい、秋好とサークル「モアイ」を設立する。モアイは目立つことが嫌だという僕の意見を取り入れ、こっそりと納得のいくやり方で秘密結社のようなもとして設立された。モアイの名前は目的や用途や定義があいまいということで僕がその時着ていたモアイのTシャツから取った。大学4年生の時点で秋好との交流はなくなり、僕は「モアイ」から脱退していた。2人の秘密結社のような存在として設立されたモアイだが徐々に規模が大きくなり50人の大所帯のサークルまで成長していた。「モアイ」は秋好が「明日世界が変わるかもしれない」、「明日全員が銃を下す理由があれば、戦争は終わる」など理想に燃えて設立し、小さなボランティアや災害支援の活動をする程度だった「モアイ」は変わり、学生の就職活動支援をメインにするサークルに変貌していた。僕はあの時秋好が残していたものの先に今があるのだから、結局秋好は嘘をついたなと思う。そして秋好の嘘を本当にするために今の「モアイ」を壊すことを決意する。僕はバイト友達の薫介とともに「モアイ」のスキャンダルを探り「モアイ」を潰すためにモアイに近づく。その後「モアイ」のスキャンダルをつかみそれをネットに流し、「モアイ」は大学から処分されることとなった。「モアイ」の部員説明会の日、リーダーのヒロと出会う。「叶えたいものに辿り着くためには努力と手段がいる、時間が立てば変化することは当たり前。変わらないものが偉くて、変わるものが悪いなんてことはあるわけない」と訴えるヒロに対し、僕は「願う力を信じなくなったらそれはもう理想ではない」と否定する。そして、「お前と出会わない方が幸せだった」という言葉を投げつけ、その場をあとにする。その言葉は秋好を強く傷つけ、説明会で秋好は突然、「モアイ」の解散を宣言する。そして「理想を信じてきたけれど、私は傷つけてきてしまった人のことを無視することはできません」と続ける。その時に僕は突然強い吐気に襲われる。今までの怒りが後悔と恥に変わっていくことを感じていく。それまで自分が傷つけられたとしか感じていなかった。相手を傷つけたことなど考えていなかった。秋好を記憶にあった形の決まった存在、傷つかない存在だと思っていたことに気づく。そして秋好を傷つけることなんてしたくなかったことに気づき激しく後悔した。その後、脇坂の力を借り、かつての自分がそうであったように「モアイ」を居場所と感じている人たちのために奔走する。社会人になってから、川原たちが立ち上げた「モアイ」の後継団体の交流会に僕は参加する。その団体は「成長」をテーマにしていた。学生から「学生時代に成長した出来事を教えてください」と質問され「大事な人を傷つけたこと」と語る。その際視線を上にあげると秋好が目に入った。休憩時間秋好を探した。秋好はホールから歩きだし、並木道を歩いているところだった。僕はその後ろ姿を追いかけた。僕はあらゆる自分の行動が相手を不快にさせる可能性を感じ、傷つきたくない、怖いと感じる。でも、間違った自分、弱かった自分、それを受け入れられる今の自分、秋好のおかけでそういう自分になれた。それでもやはり自分は変わらないから怖いけれど、無視されてもいい、拒絶されてもいい、その時は「もう一度ちゃんと傷つけ」と思う。

登場人物[編集]

田端 楓(たばた かえで)
商学部に通う大学生。18才までに「人に不用意に近づかない事」、「誰かの意見に反する意見をできるだけ口にしない事」の2つを信条にしている。モアイの設立に参加したが、モアイが理想と違ってきたと感じ、モアイを脱退した。権力闘争に負けたようなものだと考えている。大学4年生の時に1年生の時に秋好と設立した時の理想のモアイを取り戻すため、モアイを壊し、再生させようと決意する。その手段としてモアイのスキャンダルを探す。
秋好 寿乃(あきよし ひさの)
群馬県出身で政治経済学部に通う大学生。高校ではサッカー部だった。大学入学時の信条は「なりたい自分になる」。サークル「モアイ」のリーダー。みんなを幸せにするという理想は最後まで貫いていたが、徐々にサークルメンバーの理想論的な提案を「現実的に難しい」と却下するなど現実社会に合わせて理想を追求するスタンスに変わっていった。
薫介(ようすけ)
田端のバイト友達、大学生。意識高い系の学生が集まる「モアイ」を嫌っており、モアイを壊す手伝いをするが、スパイとしてモアイに潜入するが、モアイのメンバーたちと交流する事によりモアイを壊す手伝いから降りる。降りる際も「楓が間違っていると思っているわけではなく、手段がな」と語った。大学卒業後、社会人になっても田端と交流をもつ。
ポンちゃん
薫介のゼミの後輩。モアイの幽霊部員。高校生の時から付き合っている彼氏がいる。
川原理沙(かわはらりさ)
田端のドラッグストアでのバイト仲間。田端が4年生の時に1年生。田端にヤンキー女子高生と呼ばれる。田端にモアイの内情を探るため勧められてモアイに加入するが、もともと自分に酔っている人たちが好きなため、その後は積極的にモアイの活動に参加するようになる。4年生の時にモアイの後継団体の部長となった。自分の思いは常に口にするタイプで薫介の家での飲み会でポンちゃんに田端と何故お互いに敬語なのか?と問われた際には「人と人の距離は1対1で決めるもの」と憤った。
テン/(天野)
モアイの幹部。イベントでは司会を行う。チャラいが悪くない奴と薫介は感じ、モアイを壊す活動から薫介が抜ける原因となる。川原にはモアイが交流している社会人の女性に振られても、女性が悪者にならないように自分が振ったように振る舞うところを「最高に自分に酔っている感じで、すげーいい」と評される。
脇坂(わきさか)
モアイを外部者として支援し、モアイの発展に寄与した。諦念という言葉がそっくり似合う表情をし、飄々としたたたずまいをしているが、お節介の一面があり、すべての事を理解し後悔した田端を支援する。秋好と恋愛関係であったこともあった。
尋木ミア(たずのきみあ)
モアイの3人目のメンバー。一重で唇が薄く、冷たい空気をまとっている。秋好がヒロと呼ばれるきかっけを作った。大学4年生の頃には研究留学で渡米した。

脚注[編集]

  1. ^ a b “BLUE ENCOUNT「もっと光を」が住野よる新刊テーマソングに”. ナタリー. (2018年2月27日). https://natalie.mu/music/news/271304 2018年3月5日閲覧。 
  2. ^ a b “BLUE ENCOUNT、代表曲「もっと光を」が人気作家"住野よる"新刊"青くて痛くて脆い"テーマ・ソングに決定!イメージ・ムービー公開も!”. 激ロック. (2018年2月27日). https://gekirock.com/news/2018/02/blue_encount_aokuteitakutemoroi_theme_song.php 2018年3月5日閲覧。