コンテンツにスキップ

利用者:KT13th/sandbox

エリアマネジメントとは、国土交通省によると「地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民事業主地権者等による主体的な取組み(平成20年)[1]」と定義されており、内閣官房及び内閣府からは「特定のエリアを単位に、民間が主体となって、まちづくりや地域経営(マネジメント)を積極的に行おうという取組み(平成28年)[2]」と定義されている。

両者には若干の違いがあるものの、共通点として主体が行政ではないということ、そして対象となる地域、地区に対して多様な関係者が積極的に活動に参加することによって、今までまちづくりの主体であったインフラ整備や開発とは異なり、ソフト面からのまちの活性化や賑わいの創出、延いては対象となるエリアのイメージアップ、エリアのブランドを確立するといったところに重きを置いている。

エリアマネジメントの概要[編集]

エリアマネジメントとは、対象となる都市の地域・地区を単位として、民間(住民・事業主・地権者等)が主体となるか、または公民が連携して様々な活動を展開することで、地域の魅力を増進・再発見につながったり、地域固有の問題を解決や新たなコミュニティ形成の足掛かりとなる。主な活動として以下の3点があげられるが、これらの活動を一連して継続することでエリアの魅力が浮かび上がり、エリア外の人に対してもエリアの魅力が伝わり、そのエリアのブランディングへとつながる。

エリアが抱える課題の抽出[編集]

エリアの環境保全、景観向上というのは住民のみならず、来街者に対してもまちのイメージに直結する問題であるため、エリアマネジメント活動の初手として、日本、海外も含めエリアの環境維持・保全を目的として清掃活動を実施しているケースが多い。これらのケースは個別の企業や団体が実施するのではなく、エリアの関係者が共同で活動することにより、企業間の連携や、地元との交流を促進する効果がある。[3]また、都市だけに限らず、地方都市も含めエリアの衰退が問題となっている中、その解決策としてエリアへの人の流入を促進すべく賑わいづくりが必須となっている。その一環としてまちなかで様々なイベント活動を実施し、工夫を凝らしながらまちなかで賑わいを創出している。この活動はエリアへの人の継続的な流入を目的としているため、イベントも単発で終わるのではなく、定期的に継続して実施することが望ましい。

エリアの資源の発掘[編集]

エリアマネジメント活動を行ううえでその地域固有の資源を関係者内で確認することも重要である。例えば歴史的建築物、公園などの空間、緑地、河川、道路空間、景観を形成するまち並み、地域特有の機能や活動の場などである。[3]この資源をどう活かしていくかを考え、対象となるエリアのエリアマネジメント活動における計画づくりやガイドライン作成、延いては上記賑わいづくりのイベントの企画に盛り込むことで、エリア独自の目標づくりやイベント制作、エリアの魅力の発信が可能となる。

情報発信[編集]

現在、エリアマネジメント活動の情報発信としてはWEBページやFacebook、Instagram、TwitterといったSNSが主立って活用されている。この媒体を用いてエリアの概要やイベント情報、地域の魅力を紹介する記事などが積極的に発信されている。地域の魅力として歴史や建築物のみならず、そのエリアで活動する人物にインタビューを行い、その様子を紹介を行うケースもみられる。これらの情報は文字のみだけではなく写真や動画も一緒に発信されるケースがほとんどで、視覚的に即時性をもって閲覧する人に情報を届けられている。またWEB媒体以外ではまちなかに設置されたデジタルサイネージやイベント情報を掲載したチラシを近隣に配布したり、と媒体は様々である。

上記3点がエリアマネジメント活動(以下、エリマネ活動)の主幹であるが、実際はエリアマネジメントは大都市を中心に民間から始まるケースが多く、公との連携についてはその役割が薄いことが多かった。しかしエリマネ活動を大都市のみでなく、中小都市を含めたさまざまな都市における活動と考えると、公、特に自治体役割を考える必要がある[4]。民の活動は、エリアの関係者間の絆がおおもととなるが、公の活動を含めてエリアマネジメント活動を考えると、民と公の連携が重要となる[4]

注目される背景[編集]

従来、まちづくりは道路などのインフラや商業施設オフィスビルマンションといった開発の側面が強く「つくる」まちづくりが盛んにに行われてきた。行政ディベロッパー不動産業界を中心に「つくる」まちづくり、すなわちハードの側面は加速度的に整備され都市の成長は促されたが、自治体の財政難や少子高齢化、人口の過疎化・過密化を加味できない画一的な行政サービスだけではまちの活性などのソフトの側面には寄与できないことが問題視され始めた。そこでそのエリアが抱える問題の解決と解決した後の持続的な賑わいを創出するエリアマネジメントに注目が集まっている。

期待される効果[編集]

エリアマネジメントの初期の活動としてエリアの清掃活動が多くみられる。エリアの住人やそこで働いている人たちが集まって清掃活動を行うことにより、景観の維持と住民同士のつながり創出にも期待ができる。さらに公共施設や公共のスペースを用いてエリアの魅力につながるイベントを行い、その情報をイベント前後で発信することでエリア内外にエリアの魅力を伝えることができる。その一連の活動を継続させるでエリア内の住人・働く人に愛着を持ってもらい、エリア外の人には来街につながる魅力として捉えられる。このようにエリアのブランディングを行うことで賑わいの創出、来街者の増加、移住者が増えて土地の価値が上昇するといった経済的な活性にも期待できる。

エリアマネジメントの課題[編集]

エリアマネジメントの活動は継続的に行うことが求められるが、活動の種類に関係なく活動単体での収益が少ないため財源の確保が課題となっている。

またエリアマネジメントを担う専門性を持った人材も不足しており、行政や協力者・協力団体との連携、調整が難しい場合があったり、エリアマネジメントの活動に取り組む人、団体組織が変更となった場合は、再びノウハウの蓄積やエリアの方向性を定めることから始まり、タイムラグが生まれることが懸念されるため人材面での継続性も同様に求められる。

参考文献[編集]

川除隆広『ICTエリアマネジメントが都市を創る』工作舎 2019年 ISBN 978-4-87502-502-3

小林重敬+森記念財団『まちの価値を高めるエリアマネジメント』学芸出版社 2018年

脚注[編集]

  1. ^ エリアマネジメント推進マニュアルの策定について 国土交通省
  2. ^ エリアマネジメント活動の推進 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 ,内閣府地方創生推進事務局
  3. ^ a b 小林重敬+森記念財団『まちの価値を高めるエリアマネジメント』(学芸出版社、2018年)
  4. ^ a b 小林重敬+森記念財団『まちの価値を高めるエリアマネジメント』(学芸出版社、2018年)