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利用者:Kan143/翡翠戦争

翡翠戦争
Jade War
著者 フォンダ・リー
訳者 大谷真弓
発行日 2019年7月23日
発行元 オービット・ブックス英語版
ジャンル ファンタジー
言語 英語
形態 書籍、電子書籍
ページ数
  • 608(アメリカ)
  • (日本)
前作 翡翠城市
次作 Jade Legacy
コード
  • ISBN 978-0316440929(アメリカ)
  • (日本)
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翡翠戦争』(Jade War)はオービット・ブックス英語版から出版されたフォンダ・リーによる2019年のファンタジー小説で[1]、『翡翠城市』の続編となる。本作では翡翠を支配する組織が、翡翠を巡る国際紛争に巻き込まれるケコン島を描いている。物語は数年に渡って引き起こされる。本作はシリーズ最終作の Jade Legacy に先立つグリーンボーン・サーガ三部作の第二作である。

プロット[編集]

『翡翠城市』の出来事の後、まもなくコール・センが他界し、その葬儀の直前に泥棒のベロと相棒のムットがコール・ランの遺体から翡翠を盗む。ヒロは無峰会の<柱>としての権力の維持に苦労し、山岳会との不安定に休戦協定を結ぶ。ケコン国外では、係争中の Oortoko 地域を巡って Shotar とイグタンの間で戦争が行われており、ケコンの同盟国であるエスペニアは Shotar を支援している。

『翡翠城市』でゴント・アッシュを殺害して以来、翡翠を身に着けることを拒んでいるアンデンは、勉学のためにエスペニアの都市ポート・マッシーに渡る機会を得る。これはアンデンが翡翠を身に着けずに海外での利益を支援することで組織に貢献する機会を持てるようにヒロとシェイが計らったものだった。

その頃、コール一家の親類がウウィワ諸島で投獄されていたが、組織紛争中に翡翠の密輸で富を得た犯罪王の Zapunyo によって解放される。 Zapunyo は、ケコン系 Shotar 人の翡翠使いであるバルカンの支援を受けている。ヒロは Zapunyo と会い、翡翠の密輸で利益を得ようと持ち掛けられる。しかし、ヒロは Zapunyo を取るに足らない相手だと判断して断る。一方、シェイは無峰会の<日和見>として奮闘する。前任者のドルを見つけ出し、一族の正義を貫こうとしたが躊躇し、先にドルに自殺されてしまう。そのため、シェイは主席招福者のハミ・トゥマションの前で面目を失う。

アンデンははじめはエスペニアに溶け込むことに苦労するが、地元のケコン人が疑似的な組織を構成し、毎週リクリエーションセンターの地下のファイトクラブに参加していることに気が付く。<柱>の息子のコリーと知り合い、ロマンスを育む。ヒロの妻のウェンは妊娠しているが、スパイとしての任務を継続する。山岳会との紛争で無峰会を支援するために、エスペニアとイグタンのネットワークに侵入する。ウェンは、ランが元妻のエイニとの間にニコという名の息子を残していたことを発見する。ヒロは、年の半分をケコンで一族とともに暮らせさえ…グリーンボーンとして育てるようにエイニに要求しにステッペンランドに渡る。ヒロは、エイニが断ると殺害し、ニコを無峰会の<柱>の後継者として扱われるようにジャンルーンに連れ帰る。

シェイとウェンは山岳会の翡翠の流通を妨害するために外国との取引を手配し、当初は成功して山岳会を率いるアイト・マダとヒロとの和平交渉に導く。しかし、シェイが大学生としてエスペニアに留学していたことを理由に、山岳会がシェイを裏切り者と決めつけ、自分の名誉を守るためにシェイがアイト・マダと決闘したことで交渉は決裂する。その頃、シェイは大学教授のマロと秘密の関係を築いていたが、シェイが中絶したことをマロに知られ関係の維持に苦労する。

ヒロは、違法な翡翠の流通を扱う企業に関与したベロとムットを追跡する。ムットはベロを裏切り殺そうとするが、ランを殺害したのはムットだと信じるヒロがムットを殺害する。マロは、無峰会の<拳>の一人であるケーンを殺した Shotar 人のスパイと関りを持つことになる。無峰会が Shotar 人たちの違法な翡翠密輸を発見した後で、シェイはマロを殺さざるを得ず、非常に苦しむ。ヒロはエスペニアにいる Shotar 人犯罪者集団と休戦しようとするが、彼らが内戦に巻き込まれていることを知り、翡翠を提供して争いを煽る。ウェンとアンデンは、 Shotar 人スパイに殺害されたケーンの復讐のために Zapunyo を追い詰めるが、エスペニアのギャングに捕らえられて窒息寸前になる。かろうじて救出され、エスペニアのケコン人組織の<柱>は無峰会への援助を約束し、アンデンはコリーとの関係を断ち切る。数年ぶりに翡翠を使ってウェンを蘇生させた経験から、ジャンルーンに戻ったアンデンは翡翠医になることを決意する。

国際紛争が終結し、山岳会は紛争を利用してイグタン人難民を受け入れて無峰会に一つ差をつけることに成功する。ヒロは自分の<ストーンアイ>の息子、娘、そして養子とした甥を無峰会のやり方で訓練する。シェイは再びアイト・マダと対峙し、山岳会と無峰会の争いが再燃する。生きていたベロは、ヒロを倒すためにジャンルーン内のレジスタンスに合流する。

評価[編集]

NRPのジェイソン・シーハンは「リーは、ここに独自の歴史、習慣、伝統、言語を有する完全で包括的な現代世界を作り上げた」とし、『翡翠戦争』が第1作よりも「より大掛かりで幅広く」なっていることにいち早く注目した。シーハンは『ゴッドファーザー』からの引用が続いていることにも触れ、「もし『ゴッドファーザー』がなければ、『翡翠戦争』(と『翡翠城市』)は今日の世代別組織犯罪物語の定義となるだろう」と述べてリーの作品を絶賛した。シーハンは、リーが「個人的なことと壮大なことを巧みに、立派に両立させている……魔法のような、ほとんどオペラなような犯罪と家族のドラマ……翡翠に力づけられるスーパーマン達(とウーマン)には、我々と同じように曲がり、壊れる人間の心がある」絶賛し、結論付けている[2]ライブラリー・ジャーナル誌英語版は、この小説を「スマートでアクションに満ちたファンタジー」であり、「多数の女性キャラクターが前面に出てくる」と評価し、 Jade Legacy の設定がよくできているとして、星付きのレビューを与えた[3]カーカス・レビュー誌英語版もまた、この物語を「力強く、思慮深く、速いペースで進む……今後の巻を予感させる」と付け加え、星付きのレビューで惜しみなく称賛した[4]。ファンタジー・ブック・レビューもこの小説を強く称賛した[5]パブリッシャーズ・ウィークリー誌は『翡翠戦争』に星付きレビューと今週のピックアップステータスを与え、「リーの物語は広範囲でゆったりとしていて壮大であり、政治的陰謀とシャープな振り付けのアクションシーンを組み合わせているが、その中心はキャラクター主導の家族ドラマである。紛争は、繊細な役員交渉から劇的な決闘、暗殺から全面戦争まで多岐にわたり、複雑化する物語は絶えず利害関係を高めていく」と述べている[6]

受賞とノミネート[編集]

『翡翠戦争』はドラゴン賞英語版ファンタジー長編部門、オーロラ賞英語版長編小説部門、イグナイト賞英語版長編小説部門およびローカス賞ファンタジイ長編部門にノミネートされた[7][8][9][10][11]

映像化[編集]

2020年に、グリーンボン・サーガの第1作『翡翠城市』を基にしたテレビシリーズがリーがコンサルティングプロデューサーとしてPeacockで企画されていることが発表された[12]。2022年7月にPeacockがこの計画を取りやめたことが発表されたが、リーはTwitterでチームが別の制作会社を探しているとシェアした[13]

脚注[編集]

  1. ^ Guan, Sarah (2018年9月24日). “Cover Launch: JADE WAR by Fonda Lee” (英語). Orbit Books. 2021年7月26日閲覧。
  2. ^ 'Jade War' Is A Magical, Operatic Crime And Family Drama” (英語). NPR.org. 2021年7月26日閲覧。
  3. ^ Fonda, Lee. “Jade War”. Library Journal. 2021年7月26日閲覧。
  4. ^ (英語) JADE WAR | Kirkus Reviews. https://www.kirkusreviews.com/book-reviews/fonda-lee/jade-war-the-green-bone-saga/ 
  5. ^ Jade War by Fonda Lee book review - Fantasy Book Review”. www.fantasybookreview.co.uk. 2021年7月26日閲覧。
  6. ^ Jade War by Fonda Lee”. Publishers Weekly. 2022年8月18日閲覧。
  7. ^ “2020 Dragon Awards Winners”. Locus. (September 8, 2020). https://locusmag.com/2020/09/2020-dragon-awards-winners/ 2022年8月16日閲覧。. 
  8. ^ “2020 Aurora Awards Winners”. Locus. (August 7, 2020). https://locusmag.com/2020/08/2020-aurora-awards-winners/ 2022年8月16日閲覧。. 
  9. ^ “Ignyte Awards Winners”. Locus. (October 18, 2020). https://locusmag.com/2020/10/ignyte-awards-winners/ 2022年8月16日閲覧。. 
  10. ^ Lewis, L. D. (October 17, 2020). “Results: The 2020 Ignyte Awards”. FIYAH Magazine of Black Speculative Fiction. https://www.fiyahlitmag.com/2020/10/17/results-the-2020-ignyte-awards/ 2022年8月16日閲覧。. 
  11. ^ “2020 Locus Awards Winners”. Locus. (June 27, 2020). https://locusmag.com/2020/06/locus-awards-winners-2020/ 2022年8月16日閲覧。. 
  12. ^ Petski, Denise (2020年8月12日). “'Jade City' TV Series Based on Books In Works At Peacock From Dave Kalstein, Breck Eisner & Dean Georgaris”. Deadline. 2020年8月16日閲覧。
  13. ^ Edwards, Molly (2022年7月5日). “Peacock cancels adaptation of award-winning fantasy book years into development”. GamesRadar. 2022年8月16日閲覧。

外部リンク[編集]