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利用者:Kimmm-mi/sandbox

== お食い締め ==  

歴史[編集]

2003年頃より愛知学院大学心身科学部健康学科講師 牧野日和(言語聴覚士認定心理士歯学博士)による造語として誕生。

意味[編集]

  • 狭義:人生最期の食事
  • 広義:人生最期の食事を通じたライフバトン(逝く者による後進への無言の教育の場)

お食い初めが『生誕100日目の乳児に一生食べることに困らないように』という願いで縁起物の食材を食べる真似をする情緒的な風習であるように、看取り期(死を迎える方)の者が過去に最期に食べたいと望んでいたことを、家族等が死を迎える方(看取り期)の食べたい夢をかなえようとする行為(情緒的かつ科学的な支援)。

【解釈】

 対象者の意思を尊重した「可能な範囲の支援」として行うため、例えば
 ・嚥下反射がない
 ・意識がない
 ・こじ開けないと口が開かない
 ・食べるために苦痛の涙を流すなどの対象者には用いない。
 訓練時期を過ぎ、お食い締めの条件を満たすことで、「死にゆく対象者と後進の永遠の別れの場、後進が生を学ぶ場(ライフバトン)」である。

「死から生をみる」=お食い締め

人は病気やケガ、死を忌み嫌い遠ざけようとすることは遺伝子の命をつなぐプログラムに基づいており、病気や死をネガティブにとらえ、その人のできなくなった点に注目する(生から死を見る)であるのに対し、自身や近親者の病気や死に触れた時などには往々にして見え方が変わり、治らぬ病気や死を受け入れ、その人が今まだできることに注目する(死から生を見る)である。
維持期や看取り支援においては、家族を含め「死から生を見る」への認識の変化が当事者が内発的に気づいて変容する。

障害や老いによる衰退に対し、出来うる精一杯の支援を受け、それでも歯が立たないことを目の当たりにする。
そしてあきらめ感に呆然とし、やがて受け入れる。
こうした結果、今まだ生きていることに目を向け、後悔しないよう行動をおこすことが「死から生を見る」ということである。

お食い締めは、リハビリテーション(とりもどし)ではない。みとり期にのみ行うライフバトンをめざした情緒的なケアである。 死から生をみる認識に変わる過程を踏んで、お食い締めは始まるべきなのであると牧野は提唱している(Facebookお食い締めサークル:2016/02/19 週報 投稿)

お食い締めの条件[編集]

  1. 看取り期である/自己摂取が不可能(あらゆる治療を行っても回復が望めない)
  2. 本人が最期に食べることを望んでいる(望んでいた)
  3. 食べることが苦痛でない(意識がある、嚥下反射を有している、自ら食そうとする)
  4. 家族のコンセンサスを得ている(同意書・同意撤回書を得ていることが望ましい)
  5. 職場のコンセンサスを得ている(職場の方針である、日頃よりリスクマネジメント教育がなされている)

上記5項目が満たされていなければ成立しないとされている。

【エビデンスとナラティブ】エビデンス」とは科学的根拠である。「ナラティブ」とは語り・人生物語である。看取り期を扱う支援者は、対象者をエビデンスでとらえるとともに対象者や家族のナラティブをとらえることが欠かせない。今後の医学には必要な見地であると牧野は解説している。

摂食嚥下支援の変遷[編集]

世界的に見て摂食嚥下障害リハビリテーションの歴史は新しい。

1981年 創設されたJohns Hopkins大学のswallowing centerが摂食嚥下リハビリテーションの発展に大きく寄与

1983年 アメリカの言語聴覚士JerilynLogemannにより嚥下の教科書が刊行。

1986年 学会誌「Dyspfagia」が刊行。

1981年 嚥下研究会(日本嚥下医学会)が国内にて発足。

1994年 診療報酬改定時には「摂食機能療法」が医科歯科に新設。

     「リスクマネジメント偏重時代」とされ、食思低下、むせの出現を有する対象者を即、経管栄養法にすることは珍しくなかった。

2013年 医療経済研究機構によって胃瘻造設の際の、嚥下評価や訓練実施の実態調査が行われ、胃瘻患者の約半数が十分な評価なく胃瘻を造設されていたことや、

      胃瘻後半数以上の方が摂食嚥下訓練を実施しておらず、そのうち術前に経口可能だと判断されながら訓練をされない方が1/4もいたことが明らかになっ

      た[1]

2014年 厚生労働省は診療報酬改定を機に、胃瘻を実施する際には事前の評価と、造設後の嚥下訓練を実施するよう推進した。

      一方でマスメディアや一部の支援者側の過剰ともいえる経口推進思想が拡がり、胃瘻は不要、経口摂取を禁じてはだめとの考えが生まれ、理論を用いず

     出たとこ勝負で経口摂取を行う支援者が多く出現した。リスクマネジメント偏重と対極の「クオリティマネジメント偏重」である。

     これは対象者の命を危険にさらすことが危惧される。今後は食べるための科学的方略の開発と実践が急務と思われる。

注釈[編集]

[1] 医療経済研究機構:胃ろう造設および造後の転帰等に関する調査研究事業.平成24年度老人保健事業推進費など補助金 老人健康増進等事業:1-162,2013


禁忌[編集]

リスクマネジメントなどの配慮が重要。医師・歯科医師の指示のもと言語聴覚士などの専門家と連携を保ち指導を仰ぐことが重要。 一般の方が理論を持たずに「口から食べる」を推し進めれば「善意の危険行為」となりかねないため注意が必要。 専門家の判断を仰いだかどうかは、有事時の訴訟においても重要な焦点になる。


関連書籍[編集]

おはよう21(中央法規出版


関連外部リンク[編集]

  1. ^ リンクタイトル、追加テキスト