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利用者:Kmakeja/sandbox

予報用語(よほうようご)とは、気象庁が、天気予報において誤解や混乱を防ぐため、予報に用いるものとして定めている用語である[1]

予報用語のあり方[編集]

天気予報や注意報・警報など気象庁が発表する各種情報は、電話ラジオによる音声を主体にしたもの、テレビFAXインターネットによる画像・文字を主体にしたものと多様化している[2]。このように様々な形で提供される天気予報などが誰にでも正確に伝わるよう、気象庁では報道機関などの意見も参考に、天気予報などに使う予報用語を定めている[2]。そして、メディアに対してもそれに準じた用語を使用するよう指導している。気象庁が定めている予報用語については次の4つの観点から決められる。

  • 明確さ - 情報の受け手に正確に伝わるように意味の明確な用語を用いる。ただし、予報用語の「明確さ」のなかには、技術的な限界を超えてまで時間や場所を特定するのではなく、予報の持つ「不確かさ」を一定のルールに基づいて表現するという意味も含める(所により、一時、時々など)[2]
  • 平易さ - 天気予報などは広く一般の人を対象として発表しているため、専門的な用語は最小限とし、誰にでも理解できるような用語を選択する[2]
  • 聞き取りやすさ - 気象に関する情報は活字として伝達されるばかりではなく、ラジオ・テレビなど音声でも提供される。文字では一目瞭然な用語でも、音声にすると意味を取り違えたり、わかりにくくなったりするものがあるため、音声で伝えることも意識した用語を用いる[2]
  • 時代への適応 - 本来、用語は時代とともに変化し、時代の求めに応じて新しい用語が生まれる。時代に適応しなくなったものは予報用語としては不適当である。予報用語の選択にあたっては、固定的にとらえずに、社会一般の言語感覚と遊離しないようにする[2]

主な予報用語[編集]

時に関する用語[編集]

年の用語
用語 区分 説明
おととし 備考 a)(一昨年)とも書く。

b) これより前は暦年を用いる。

きょねん 備考 a)(去年)とも書く。

b) さくねん(昨年)を用いることもある。観測の統計値な どの記述の際、「昨年比」という使い方もある。

ことし 備考 (今年)とも書く。
らいねん 備考 (来年)とも書く。
さらいねん 備考 a)(再来年)とも書く。

b) これより後は暦年を用いる。

平年(値) 平均的な気候状態を表すときの用語で、気象庁では30年間の平均値を用い、西暦年の1位の数字が1になる10年ごとに 更新している。
例年 いつもの年。
用例 例年だとこの季節には ・・・・・ 。
月の用語
用語 区分 説明
先月 備考 これより前は暦月を用いる。
今月
来月 備考 これより後は暦月を用いる。
日の用語
用語 区分 説明
おととい 備考 a)(一昨日)とも書く。

b) これより前は暦日を用いる。

きのう 備考 (昨日)とも書く。
きょう 備考 (今日)とも書く。
あす 備考 (明日)とも書く。
あさって 備考 a)(明後日)とも書く。

b) これより後は暦日を用いる。

継続の用語
用語 区分 説明
終日 一日中。
きょう一杯 予報発表時から24時まで。
あす一杯 あすの0時から24時まで。
~より~にかけて ~から~にかけて。
備考 時、場所の起点には「から」を用いる。
一両日 きょうもあすも。
備考 「ここ一両日」も同義。
2~3日 今日を含めて2~3日を指し、状況によって過去の期間をいう場合と未来の期間をいう場合がある。
用例 ここ2~3日は気温が低かった。

ここ2~3日は気温が低い見込み。

備考 できるだけ具体的な期間を用いる。
数日 4~5日程度の期間。
備考 できるだけ具体的な期間を用いる。
しばらく 2~3日以上で1週間以内の期間を指し、状況によって過去の期間をいう場合と未来の期間をいう場合がある。
備考 a) 乾燥注意報の本文において用いられることがある。また、週間天気予報などでも用いる。

b) 季節予報の発表文には使用しない。 c) できるだけ具体的な期間を用いる。 d)「ここしばらく」も同義。

当分 しばらく。
今の時点からあと「しばらく」の期間。
備考 a) 期間を明記するように努める。

b)「ここ当分」も同義。

一日の時間細分の用語

昨日、今日、明日の細分用語
用語 区分 説明
昨夕 きのうの夕方。
昨夜(来) ××日の夜(から)。
備考 日界をはさむ期間であり、誤解を招くおそれがあるので具体的な日時を用いる。

例えば、21日の明け方に発表する気象情 報の中で「昨夜」を用いた場合、20日の日の出までの夜を指すのか、21日の日の出までの夜を指すのかが不明確になる。 「20日の夜(から)」を用いた場合は後者の夜を指す。

昨晩 ××日の夜。
備考 「昨夜」と同じ理由で不明確なので、具体的な日時を用いる。
昨日来 きのうから。
けさ 備考 (今朝)とも書く。
今夕 きょうの夕方。
今晩 今夜。
明朝 あすの朝。
時刻の用語
用語 区分 説明
24時 時刻として用いる場合には0時を用いる。

期間の終点を24時とした方がわかりやすい場合は、用例のように24時とも表現する。

0時。
用例 朝晩:午前0時頃から午前9時頃までと、18時頃から24時頃まで
備考 a) 気象庁における予報、注意報・警報、気象情報では、24時制を用いる。

b) 新聞、テレビなどの報道では「午前・午後」を用いている。したがって、報道用として用いる場合は次の例のように言い換える。ただし、午後0時に対しては正午を用いる。また、午前6時20分前のような用い方はせず、午前5時40分とする。  例、13時   → 午後1時     0時   → 午前0時    12時20分 → 午後0時20分

時間経過などを表す用語
用語 区分 説明
一時 現象が連続的に起こり、その現象の発現期間が予報期間の1/4未満のとき。
備考 時刻の1時とまぎらわしいので、「 ・・・ 午後一時雨」とはせずに「・・・・ 午後には一時雨」とする。
時々 現象が断続的に起こり、その現象の発現期間の合計時間が予報期間の1/2未満のとき。
備考 a) 府県天気予報でいう現象の「連続的」と「断続的」は、次のように取り決める。

  「連続的」・・・・・ 現象の切れ間がおよそ1時間未満。   「断続的」・・・・・ 現象の切れ間がおよそ1時間以上。 ここでおよそ1時間とは、気象官署以外での現象の確認の難しさを考慮したものである。ただし、季節予報では1日またはそれ以上の期間を単位とする。 b) 現象が「一時」現れるとき、および連続現象が予報期間の1/4以上1/2未満のときはその発現時間帯を指定するように努める。例えば、「曇り午後には一時雨」、「曇り日中晴れ」。

のち  予報期間内の前と後で現象が異なるとき、その変化を示すときに用いる。
備考 (後)とも書く。

「・・・ のち ・・・」は大局的な傾向を表す用語であるから可能な限り用いないで、具体的な時間帯を示すように努める。 例えば「晴れのち曇り」は「晴れ昼過ぎから曇り」などとする。ただし、以下の3点については例外とする。 a) 時間帯を示す用語が2つになる時は一方に「のち」を用いる。その際の時間指定は降水現象を優先する。例えば「晴れ昼過ぎから曇り夕方から雨」とはせずに「晴れのち曇り夕方から雨」などとする。 b) 明後日予報などで具体的な時間帯を示す精度がない場合は「のち」も用いる。 c) 風、波の予報では「のち」も用いる。

次第に ある現象が(順を追って)だんだんと変わるときに用いる。
用例 風が次第に強くなる。
続く 用例 いま降っている雨は夕方まで続き、夜には次第に止む。
備考 ある現象の持続することが、情報価値のある場合は「続く」を用いる。
はじめ(のうち) 予報期間の初めの1/4ないし1/3くらい。週間天気予報では予報期間の初めの1/3くらい。
備考 a) 今日、明日、明後日に対する予報では、朝の9時くらいまで。今夜に対する予報では、19時くらいまでとなる。

ただし、今日に対する予報では、「朝」を、今夜に対する予報では、「夜のはじめ頃」を用いることが望ましい。 b) 週間天気予報で使用する場合は、日付を併記することが望ましい。

いま 用例 いまは晴れているが、次第に曇ってくる。

いまの気温は20度。

現在 用例 ××時現在の台風の位置。
備考 観測の成果を発表するときに用いる。
今期間 (週間天気予報では)向こう一週間。
中頃(半ば) 季節、週間天気予報では、予報期間の中間の1/3くらい。
備考 使用する場合は日付を併記することが望ましい。
終わり 季節、週間天気予報では、予報期間の終端前1/3くらい。
備考 使用する場合は日付を併記することが望ましい。

上記の1/3は一応の目安である。

前半(後半) 季節、週間天気予報では、予報期間の前(後ろ)半分。
期末 期間の終わりころ。
週末 土、日曜日。
備考 週間天気予報文の中では、期間の終わりとまぎらわしいので用いない。
旬末 備考 「××日頃」のように日付けを明記する。
周期的 期間中に何回か繰り返される天気変化のこと。
用例 気圧の谷が周期的に通る。
~の日がある a) 週間天気予報では、記述した現象の発現期間が予報期間内で1~2日あるとき。

b) 季節予報では、記述した現象の発現期間が予報期間の1/2未満のとき。

備考 暖・寒候期予報には用いない。
~の時期がある 記述した現象が連続的に起こり、その現象の発現期間が予報期間の1/2未満のとき。
~の日が多い 記述した現象が予報期間の1/2以上発現するとき。
備考 平年に比べていうときは、その旨明記する。
しばしば 備考 意味が曖眛なので発表文には用いない。
予報期間(予報期間の区切りは 別図 による)
用語 区分 説明
きょう(今日) 5時、11時発表の天気予報では「発表時刻から24時まで」。
こんや(今夜) 17時発表の天気予報では「発表時刻から24時まで」。
あす(明日) 天気予報では「明日の0時から24時まで」。
あさって(明後日) 天気予報では「明後日の0時から24時まで」。
季節を表わす用語
用語 区分 説明
盛夏 おおよそ梅雨明けから8月いっぱいの期間。

ただし北海道ではおおよそ7月から8月いっぱいの期間。

暖候期 4月から9月までの期間。
備考 暖候期予報では、3月から8月までを予報期間としている。
寒候期 10月から3月までの期間。
備考 寒候期予報では、10月から2月までを予報期間としている。
3月から5月までの期間。
6月から8月までの期間。
9月から11月までの期間。
12月から2月までの期間。
半旬 連続する5日の期間で、区切り方により通年半旬と暦日半旬がある。

通年半旬:毎年1月1日から始まる5日毎の期間。 暦日半旬:毎月を1日から5日毎に区切った期間。

地域に関する用語[編集]

用語 区分 説明
海上 「陸上」に相対する用語で、一般には海面から上をいう。風、視程、天気などの現象を述べるときに用いる。
備考 波浪は海面の現象であるが、慣例として「海上」の現象としている。
海岸(地方) 陸と海の相接する地帯。
備考 「沿岸」より狭い地帯に用いる。海岸線から××km以内とは定め難く、また海陸風の及ぶ区域全部を「海岸」とすることには無理がある。

風・気温などの気象要素に、海・陸の影響がある程度及ぶ区域は「沿岸」を用いたほうがよい。

沿岸(部) 海岸線の両側のある広さを持った地域と水域。
沿岸の海域 海岸線からおおむね20海里(約37km)以内の水域。
備考 海岸線を持つ予報区には「沿岸の海域」が含まれることを、天気予報、注意報・警報では留意する。
海などで岸から遠く離れたところ。
備考 海の場合「沿岸の海域」とその外側を含めた水域のうち、陸地の影響の少なくなった水域に用いる。府県予報区では、「沿岸の海域」内を「海岸」に近い海域と「沖」に分けることになる。ただし、地形(半島、岬など)や風向によって、風速、波浪などの発現域が異なることから、境界を具体的に定めることはできない。
沖合 沖の方。
備考 「沖」と同義。
内陸 海岸(地方)に対して、海から遠く離れた地帯。「沿岸(部)」を除く。
平野部 起伏の極めて少ない地帯。盆地を除く。
平地 「平野」と「大きな盆地」。「山地」に相対する用語。
山岳部 平野部に対して山地の部分。
山地 山の多いところ。「平地」に相対する用語。
山沿い 山に沿った地域。平野から山に移る地帯。
山間部 山と山の間の地域。
備考 a)「山沿い」、「山間部」ともに霜、なだれ、気温、雨、雪の分布に用いる用語である。季節によっては人々の活動範囲が広がるため、注意報・警報では予報の「山沿い」、「山間部」などよりも対象高度を上げなければならないことがある。

b)「平地」に対しては「山地」、「平野部」に対しては「山岳部」と「山間部」が相対する。「平地」には「平野」と「大きな盆地」が含まれるので、「平地」は「平野部」よりは適用範囲が広い。 c)「山地」は「山岳部」と「山間部」を含み、このうち人が定住し、活動の多いところが「山間部」である。また、「山沿い」は「平地」から「山地」へ、あるいは「平野部」から「山岳部」へ移る地帯をいう。

全般に 「全国的に」、「広い範囲」など、広い地域を対象とするときに用いる。
備考 a) 支障がない場合には、「全国的に」、「広い範囲で」などを用いる。

b)「全般」は全国予報区、全般海上予報区を対象に行う予報、警報、情報などの名称に用いる。    例 全般週間予報、全般海上警報 c) 音声伝達の際は「前半(ゼンハン)」とまぎらわしいので注意する。

局地的 (府県予報区の)細分区域内のごく限られた範囲。
用例 局地的な大雨。
多雪地域(地帯) 雪の多く積もっている地域(地帯)。
用例 多雪地域(地帯)では、なだれに注意。
豪雪地帯 豪雪地帯対策特別措置法によって指定されている、冬期に大量の積雪がある地域。
備考 北海道から山陰までの24道府県が対象。
南岸 用例 日本の南岸。
備考 a) どこの南岸かを明示する。

b) 陸上ばかりでなく沿岸の海域も含むものとする。

方面 ある領域とその周辺を含む地域または海域。
用例 北日本方面。アリューシャン方面。
ところどころ ある現象が散発して発生しているとき、それらの状況を総括的に表現する場合に用いる。

その発現域の合計面積が、対象予報区全体の50%未満である。

用例 ところどころで霧が発生している。
備考 (所々)とも書く。

実況に対して用い、予報に対しては「所により」を用いる。

所により 現象が地域的に散在し、複数の地域を指定して表現することで冗長な表現になる場合に用いる。

その発現域の合計面積が、対象予報区全体の50%未満である。

備考 予報に対して用い、実況に対しては「ところどころ」を用いる。

天気概況などで必要に応じ、「・・‥所がある」のような言い換えもする。たとえば、「所により雷を伴う」は「雷を伴う所がある」とすることもある。

気圧・高気圧・低気圧に関する用語[編集]

気圧に関する用語
用語 区分 説明
気圧 大気の圧力。通常、ある地点の気圧はその点を中心とする単位面積上でその上の空気柱の総重量が相当する。
備考 単位はhPa(ヘクトパスカル)を使用する。
等圧線 天気図上で、気圧の等しいところを結んだ線。
用例 等圧線の間隔。1000hPaの等圧線。
気圧の傾き 単位長さあたりの気圧の差。天気図上では等圧線の混みぐあいのこと。気圧の傾きが大きいところほど、天気図上では等圧線が混んでいる。
用例  気圧の傾きが大きい(小さい)。気圧の傾きが緩む(急になる)。
気圧傾度 等圧線の間隔。気圧の傾き。
高気圧に関する用語
用語 区分 説明
高気圧 高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が高く、閉じた等圧線(等高度線)で囲まれたところ。
用例 a) シベリア高気圧。太平洋高気圧。

b) 優勢な高気圧。大きな高気圧。

気圧の尾根 低圧部と低圧部の間の気圧が高い部分の稜線。
備考 「気圧の峰」は用いない。
リッジ 気圧の尾根。主に高層天気図において用いる。
移動性高気圧 温帯低気圧と交互に東に移動していく高気圧。春、秋に多く現れる。
シベリア高気圧 寒候期にシベリアやモンゴル方面に現れる優勢な高気圧。
チベット高気圧 春から夏にかけて、アジアからアフリカの対流圏上層に現れる高気圧。特に、100hPa(およそ高度15~16km)天気図で明瞭。
大陸の高気圧 主として寒候期に大陸に存在する高気圧。シベリア高気圧もこれに含まれる。
オホーツク海高気圧 オホーツク海や千島付近で勢力を強める下層に寒気を伴った停滞性の高気圧。梅雨期に現れることが多い。
備考 出現時には北日本~東日本の太平洋側を中心に低温・寡照の天候をもたらすことが多い。
亜熱帯高気圧 緯度20~30°を中心に存在する高気圧。太平洋高気圧はその一部である。
太平洋高気圧 夏期を中心に強まる高気圧で、その中心はハワイ諸島の北の東太平洋にある。
用例 日本付近は太平洋高気圧に覆われている。
小笠原高気圧 太平洋高気圧の一部で、小笠原諸島から南鳥島方面に中心を持つ。
備考 小笠原高気圧を、特に強調する必要がある場合に用いるが、通常は太平洋高気圧とする。
帯状高気圧 東西方向に長く帯状に広がっている高気圧。春、秋に多く現れ晴天が続く。
高圧部 高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が高いが閉じた等圧線(等高度線)が描けないところ。
用例  広い高圧部。高圧部に入る。
高圧帯 帯状高気圧。高圧部。
低気圧に関する用語
用語 区分 説明
低気圧 高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が低く、閉じた等圧線(等高度線)で囲まれたところ。
用例 a) 温帯低気圧。熱帯低気圧。

b) 日本海低気圧。東シナ海低気圧。

備考  低気圧は、その発生域や立体構造から温帯低気圧と熱帯低気圧などに分けられるが、単に「低気圧」と言った場合には基本的に温帯低気圧のことをいう。
気圧の谷 高圧部と高圧部の間の気圧の低いところ。
用例 a) 日本付近は気圧の谷に入っている。

b) 気圧の谷は××日に通過する。

トラフ 気圧の谷。主に高層天気図において用いる。
温帯低気圧 中緯度や高緯度に発生する水平スケール数千km程度の低気圧で、前線を伴うことが多い。
備考 通常は単に「低気圧」とするが、台風が温帯低気圧に変わったときなど、その変化を強調する場合に用いる。
地形性の低気圧 日射や地形の影響によって発生する低気圧。
熱的低気圧 主として日中の加熱により発生する低気圧。
備考 「地形性の低気圧」として用いる。
副低気圧 地形の影響などにより、本来の低気圧から離れたところに発生する低気圧で、勢力がこれに移ることがある。
備考 「別の低気圧」として用いる。
低圧部 高さ(気圧)の同じ面で、周囲よりも気圧(高度)が低く循環が弱くて、中心が特定できないところ。
東シナ海低気圧 東シナ海に発生する低気圧で、日本の南岸を発達しながら東~北東に進むことが多い。太平洋側に大雪などをもたらすことがある。
台湾低気圧 台湾付近に発生し、発達しながら北東に進む低気圧。
備考 特に強調する必要がある場合の他は「東シナ海低気圧」として用いる。
アリューシャン低気圧 アリューシャン列島を中心にオホーツク海からアラスカ沿岸まで、北太平洋北部を東西に広く覆う停滞性の低気圧。
備考 シベリア高気圧とともに日本付近の西高東低の冬型の気圧配置を構成するもう一つの要素である。
二つ玉低気圧 日本列島を南北に挟んで通過する2個の低気圧。
日本海低気圧 日本海を主として東~北東に進む低気圧。発達して「春一番」などをもたらすことがある。
南岸低気圧 日本の南海上を主として東~北東に進む低気圧。
台風並みに発達した低気圧 発達した低気圧。
備考 a) 台風は最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上であるため、“台風並みに”を低気圧に用いても発達程度を適切に表現することはできない。

b) 必要に応じ、「猛烈な風」「非常に強い風」を伴う発達した低気圧などとする。

爆弾低気圧 中心気圧が24時間で24hPa×sin(φ)/sin(60°)以上低下する温帯低気圧(φは緯度)。例えば北緯40°なら17.8hPa/24hが基準となる。(気象科学事典等による)
「急速に発達する低気圧」などと言い換える。
超低気圧 「非常に強い風を伴う低気圧」「猛烈な風を伴う低気圧」などと言い換える。

台風に関する用語[編集]

台風に関する用語
用語 区分 説明
熱帯低気圧 1)熱帯または亜熱帯地方に発生する低気圧の総称で、風の弱いものから台風やハリケーンのように強いものまである。

2)気象情報等で「熱帯低気圧」を用いる場合は、台風に満たない、低気圧域内の最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)未満のものを指す。

備考 熱帯じょう乱のうち、低気圧性循環の中心が不明瞭なものは原則として「低圧部」と解析される。
台風 北西太平洋または南シナ海に存在する熱帯低気圧のうち、低気圧域内の最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のもの。
台風崩れの低気圧 台風から変わった低気圧。
台風の眼 台風の中心付近で風が弱く雲が少ない部分。
中心示度 中心気圧。
台風番号 気象庁が台風と認めたとき、その年の発生順に付ける番号。
用例 a)平成22年台風第9号(情報文などでは、元号を用いる)。

b)台風1110。T1110(天気図などでは、台風番号の前に、西暦年下2桁の数字付した4桁で表示することもある。)

台風の呼名 国際的に用いられる台風の名称。命名は、気象庁が台風と認めた時、台風委員会が管理する呼名を用い気象庁が行う。呼名は台風に関係するアジアの国など(台風委員会メンバー)から提案された140個からなる名簿を循環的に使用する。 ただし、西経域など気象庁の責任領域外から移動してきた名称がある熱帯低気圧の場合、その熱帯低気圧の名称を引き継いで台風の名称とする。
予報円 台風や暴風域を伴う低気圧の中心が予報時刻に到達すると予想される範囲を円で表したもの。
備考 台風や低気圧の中心が予報円に入る確率はおよそ70%である。
強風域 台風や発達した低気圧の周辺で、平均風速が15m/s以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域。通常、その範囲を円で示す。
暴風域 台風の周辺で、平均風速が25m/s以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に、吹く可能性のある領域。通常、その範囲を円で示す。
暴風警戒域 台風の中心が予報円内に進んだときに、暴風域に入るおそれのある領域。
暴風域に入る確率 ある地域またはその一部が一定の時間内に台風の暴風域内にある確率。市町村等をまとめた地域等の確率と、格子毎の確率の分布について、120時間先まで3時間刻みの各時間帯と、24、48、72、96、120時間以内の確率で示す。
暴風圏 暴風域。
豆台風 風の強い領域が小さい台風の俗称。(中心付近では急に風が強まることがあり、かえって危険である)。
風台風 雨による被害は比較的小さく、風による被害が大きい台風。

例 洞爺丸台風

雨台風 風による被害は比較的小さく、雨による被害が大きい台風。

例 狩野川台風

夏台風 夏に発生する台風。秋台風に比べて動きが遅く、複雑な動きをするものが多い。
秋台風 秋に発生する台風。日本の南海上で進路を北東に変え、速度を速めながら日本付近に近づくことが多い。

日本付近にある秋雨前線の活動を強め、大雨を降らせることがある。

迷走台風 複雑な運動をし、その進路の予想が困難なことがある台風。
複雑な動きをする台風。
備考 台風が迷走しているわけではないので用いない。
藤原の効果 2つ以上の台風が接近して存在する場合に、それらが互いの進路に影響を及ぼすこと。その結果、相対的に低気圧性の回転運動をするなど、特徴的な動きをする。
備考 台風は他の台風以外にも気圧の谷や高気圧、偏西風などの影響も受けること、個々の事例については相互作用の程度を明確に示せないことなどから、解説には用いない。
台風の接近 a)ある地点への台風の接近:台風の中心が、その地点から300km以内に入ること。

b)ある広がりをもった地域(地方予報区など)への台風の接近:台風の中心が、その地域に含まれるいずれかの気象官署等から300km以内に入ること。

備考 日本本土への接近と言う場合は、北海道・本州・四国・九州のいずれかへの接近を指す。

用いる気象官署等については、統計の継続性の観点から 一貫したリストを用いている。

台風の上陸 台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸に達した場合を言う。
備考 上陸・通過した時刻については、1時間を正時及び15分、30分、45分を中心とした15分間に4分割して、それぞれ「時頃」、「時過ぎ」、「時半頃」、「時前」と表現し、最も適した時間帯を用いる。
台風の通過 台風の中心が、小さい島や小さい半島を横切って、短時間で再び海上に出る場合を言う。
台風の階級 台風を英文で報ずるとき、その最大風速によって次の3階級に分ける。
階級 最大風速 備考
TS(Tropical Storm) およそ17m/s(34ノット)以上 25m/s(48ノット)未満 海上強風警報に相当
STS(Severe Tropical Storm) 25m/s(48ノット)以上 33m/s(64ノット)未満 海上暴風警報に相当
TまたはTY(Typhoon) 33m/s(64ノット)以上 海上台風警報に相当
台風の大きさ 台風に伴う風速15m/s以上の領域の半径を基準にして次のように決める。風速15m/s以上の半径が非対称の場合は、その平均値をとる。
大きさ 風速15m/s以上の半径
(表現しない) 500km未満
大型:(大きい) 500km以上 800km未満
超大型:(非常に大きい) 800km以上
台風の強さ 台風の最大風速を基準にして次のように決める。
強さ 最大風速
(表現しない) 33m/s(64ノット)未満
強い 33m/s(64ノット)以上 44m/s(85ノット)未満
非常に強い 44m/s(85ノット)以上 54m/s(105ノット)未満
猛烈な 54m/s(105ノット)以上
1時間後の推定値 台風の中心位置(緯度、経度)、強度(中心気圧、最大風速)、大きさ(暴風域の半径、強風域の半径)の1時間後の推定値。台風解析・予報情報及び位置情報の作成・通報を毎時行っている台風を対象として発表する。
台風解析・予報情報 気象庁本庁が行った台風の解析及び予報の成果を通報する情報。気象庁部内では台風指示報として取り扱う。
台風の中心位置の確度 台風の中心位置を決定する際に、使用する資料の精度から推定される中心位置の確度を次のように3階級で表したもの。
階級 確度
正確(GOOD) 概ね55km(30海里)以下
ほぼ正確(FAIR) 概ね55km(30海里)超 概ね110km(60海里)以下
不確実(POOR) 概ね110km(60海里)超

気団・前線・気圧配置・天気図・気圧系の発達、移動に関する用語[編集]

気団に関する用語
用語 区分 説明
気団 広い範囲にわたり、気温や水蒸気量がほぼ一様な空気の塊。
寒気団 相対的に寒冷な気団。
暖気団 相対的に温暖な気団。
北極気団 北極域に発現する低温で乾燥した気団。
寒帯気団 寒帯に発現する冷たい気団の総称。
熱帯気団 熱帯または亜熱帯に発現する気団の総称。
シベリア気団 冬にシベリアや中国東北区に発現する大陸性寒帯気団。
オホーツク海気団 梅雨や秋雨の頃にオホーツク海や三陸沖に発現する海洋性寒帯気団。
小笠原気団 北西太平洋の亜熱帯高気圧域に発現する海洋性熱帯気団。
長江(揚子江)気団 一般には移動性高気圧の通過に際して、日本付近を覆う大陸性亜熱帯気団。春と秋に長江流域で発現する。
前線に関する用語
用語 区分 説明
前線 寒気団と暖気団との境界線で、風向、風速の変化や降水を伴っていることが多い。前線はその動きと構造によって温暖、寒冷、閉塞、停滞の4種類に分けられる。
用例 a) 前線がのびる。

b) 前線の活動が活発(前線付近で活発な降水現象が生じている、または予想される状態)。

備考 「のびる」に漢字は使用しない。
温暖前線 寒気団側へ移動する前線。通常、前線の通過後に気温が上がる。
寒冷前線 暖気団側へ移動する前線。通常、前線の通過後に気温が下がる。
停滞前線 ほぼ同じ位置にとどまっている前線。
閉塞前線 寒冷前線の移動が速くなり温暖前線に追いついた前線。
不連続線 広義には、温度、湿度、風向、風速などが急に変化するところを結んだ線で、前線と同義として用いられる場合もある。特に前線と区別する場合は、温度の変化が小さいが湿度や風の変化が大きいところに対して用いる。
シアーライン 風向、風速(どちらか一方でも良い)が急に変化しているところを結んだ線。総観規模の前線には大きな風のシアーがあるが、通常はメソスケールの現象に対して用いる。
収束線 風が収束しているところを結んだ線。通常はメソスケールの現象に対して用いる。
強い前線 水平温度傾度が特に大きい前線。強い雨や雷、突風を伴うことが多い。
前線が活発 前線の活動が活発。
前線を刺激する 前線の活動が活発。
前線帯 2つの気団の境界の領域。一般に、100km以上の幅を持っている。
前線帯となる 前線が停滞する。前線が形成されやすい。
前線上の波動 前線上に発生し、前線上を移動する小さな低圧部で、天気図上では前線が北へふくらんだように描かれる。
梅雨前線 春から盛夏への季節の移行期に、日本から中国大陸付近に出現する停滞前線で、一般的には、南北振動を繰り返しながら沖縄地方から東北地方へゆっくり北上する。
秋雨前線 夏から秋への季節の移行期に、日本付近に出現して、長雨をもたらす停滞前線。
寒帯前線 高緯度の寒気団と中緯度の暖気団との間の前線の総称。
熱帯収束帯 南北両半球からの貿易風が合流する帯状の境界。
備考 「赤道前線」は同じ意味。
日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ) 冬に日本海で、寒気の吹き出しに伴って形成される。水平スケールが1000km程度の収束帯。この収束帯に伴う帯状の雲域を、「帯状雲」と呼ぶ。強い冬型の気圧配置や上空の寒気が流れ込む時に、この収束帯付近で対流雲が組織的に発達し、本州日本海側の地域では局地的に大雪となることがある。

Japan sea Polar air mass Convergence Zone

気圧配置、天気図に関する用語 
用語 区分 説明
気圧配置 高気圧、低気圧、前線などの位置関係。
西高東低の気圧配置 日本付近から見て西が高く東が低い気圧配置。冬期に典型的に現れる気圧配置。
南高北低の気圧配置 日本付近から見て南が高く北が低い気圧配置。夏期に典型的に現れる気圧配置。
冬型の気圧配置 大陸に高気圧、日本の東の海上から千島列島・オホーツク海方面に発達した低気圧がある気圧配置。
用例 冬型の気圧配置が強まる(緩む、弱まる)。
備考 大雪警報や暴風雪警報が対象とする程度の現象を伴う場合は、「強い冬型の気圧配置」といった表現を用いても良い。

時間的、空間的に小さな西高東低の気圧配置は「冬型の気圧配置」とはいわない。

冬型 冬型の気圧配置。
備考 梅雨型、夏型などについても同様に「気圧配置」を付けて用いる。
梅雨型の気圧配置 オホーツク海方面にオホーツク海高気圧、日本の南に太平洋高気圧があって、日本付近に前線が停滞する気圧配置。
夏型の気圧配置 日本の南または南東海上に太平洋高気圧があって日本付近を覆い、大陸が低気圧となっている気圧配置。
北高型の気圧配置 それぞれの地方から見て高気圧が北の方にあり、その地方の南に低気圧や前線がある気圧配置。
備考 「高気圧が××地方より北にある、いわゆる北高型の気圧配置」などと説明を付ける。
暖気移流 相対的に暖気団側から寒気団側へ向かって風が吹き、温暖な気塊が、寒気に覆われていた空(地)域に流入すること。
寒気移流 相対的に寒気団側から暖気団側へ向かって風が吹き、寒冷な気塊が、暖気に覆われていた空(地)域に流入すること。
じょう乱 一般には定常状態からの乱れをいう。気象学ではかなり広義に用いられている。例えば、

a)低気圧。 b)まとまった雲や降水などを伴う大気の乱れ。 c)定常状態からの大気の偏り。

熱帯じょう乱 熱帯または亜熱帯に発生するじょう乱の総称で、広義の熱帯低気圧(台風やハリケーンなど風が強いものを含む)と、一般に低圧部として解析される低気圧性循環が明瞭でないじょう乱を含めていう。
高層天気図 特定の高度や気圧面における気象要素の分布図。気象庁では300、500、700、850hPaなどの等圧面天気図を作成している。
備考 「上空約5500m付近の天気図」などという。
数値予報天気図 物理学の方程式に基づき作成した予想天気図。
北緯(東経)××度××分 備考 北緯(東経)の10分位をいう場合は原則として「分」を用い、分は5分単位とする。
気圧系の発達、移動に関する用語
用語 区分 説明
発達した低気圧 中心気圧または最大風速からみて、最盛期または衰弱期にある低気圧のこと。海上警報においては、最大風速34ノット以上の風を伴う低気圧を指す。
発達中の低気圧 中心気圧または最大風速からみて、今後、中心気圧が下がるか、または最大風速が増すことが予想される低気圧のこと。海上警報においては、最大風速が34ノットになると予想される、または34ノット以上の風を伴う低気圧を指す。
急速に発達する 低気圧や台風の中心気圧が12(24)時間以内におよそ10(20)hPa以上下がること。
発達した高気圧 優勢な高気圧。
高気圧が発達する 高気圧が勢力を強める。
高気圧が張り出す 高気圧が勢力を拡げる。
加速(減速)する 備考 発表文には、現在の速度の2割の加(減)速を目安として用いる。
ゆっくり(移動) 速度が5ノット(9km/h)以下で移動していること。
用例 ゆっくり東へ移動。
備考 方向を示して用いる。
(ほとんど)停滞 速度が5ノット(9km/h)以下で移動方向が明らかでないこと。
備考 「停滞」または「ほとんど停滞」として用いる。ただし、暴風域を伴っている低気圧や台風については「停滞」は用いず、「ほとんど停滞」とする。
(低気圧が)分裂する (低気圧が)2つ(またはそれ以上)に分かれる。
(低気圧が)合併する (2つ以上の低気圧が)1つにまとまる。
北偏する 北に偏る。
東(西)進する 東(西)へ進むこと。
北上(南下)する 北(南)へ進むこと。
用例 台風が北上している。前線が本州を南下する。
ループを描く 進路を180度以上変えて、もと来た経路と交差するようになること。
転向する 台風の進路の方向が、偏西風の影響下に入り、西向きから北又は東向きに変わること。
補外する これまでの動きから今後の動きを推定すること。
横断、縦断 一般には、横または東西の方向に横切ることを横断、縦または南北の方向に通り抜けることを縦断と言う。
備考 日本列島は弓なりになっており、地域によっては違和感を生ずる場合がある。横断、縦断を用いる場合は、利用者が混乱しないように留意し、必要に応じて台風の上陸地点、通過地域、方向などを具体的に示す。

大気の流れ・エルニーニョに関する用語[編集]

大気の流れなどに関する用語
用語 区分 説明
循環指数 大気大循環の状態をみるために、その特徴をよく表すように作られた指数。主に、500hPa高度を用いて作られる。 東西指数、極渦指数をはじめ、亜熱帯指数、沖縄高度指数、オホーツク海高気圧指数、小笠原高気圧指数、中緯度高度指数、東方海上高度指数、西谷指数などがある。
備考 循環指数に用いる極東東西指数などの「極東」とは90°Eから180°Eの範囲を指す。90°Eの値を含み180°Eの値は含まない。
東西指数 偏西風が南北に蛇行しているか(低指数)、あるいは東西の流れが卓越しているか(高指数)を示す指数で、特定緯度圏間の高度差またはそれを換算した地衡風速で表す。
備考 季節予報では40°Nと60°Nの500hPa高度偏差から算出している。
極渦 北極付近の上空に形成される低圧部のこと。
西谷 地球をとりまく大きな流れの中で、日本の西に気圧の谷が形成されている状態。日本付近には南西の気流が流入しやすくなる。
日本谷 地球をとりまく大きな流れの中で、日本付近に気圧の谷が形成されている状態。
東谷 地球をとりまく大きな流れの中で、日本の東に気圧の谷が形成されている状態。日本付近には北西の気流が流入しやすくなる。
北暖西冷型 気温分布型のひとつ。日本を大きく北と西とに分けて北が平年より高く、西が平年より低い状態をいう。

冬期に暖冬に関連して用いる。

備考 「北冷西暑」など、暖(暑)、冷、並を組み合わせて用いる。

ただし、「暑」は西が平年より高い場合のみ。全国一様のときは、全国高温または全国低温などと表現する。

北冷西暑型 気温分布型のひとつ。日本を大きく北と西とに分けて北が平年より低く、西が平年より高い状態をいう。

夏期に着目される。

層厚換算温度 2つの等圧面の間の高度差を温度に換算した量で、等圧面間の気層の平均気温を表す。
備考 季節予報では、北半球全体と緯度帯別に帯状平均した300hPa面と850hPa面間の層厚換算温度を算出しており、おおよそ対流圏の平均気温とみなすことができる。
偏西風 極を中心にして西から東に向かって吹く地球規模の帯状風。
備考 平均的には、赤道付近と極地方の下層部を除く対流圏は偏西風域である。
偏東風 東から西に向かってほぼ定常的に吹く地球規模の帯状風。
圏界面 対流圈と成層圏の境界である対流圏界面を単に「圏界面」とも呼ぶ。
強風帯 周囲に比べて風速の大きな帯状の領域。規模の大きなものでは、圏界面付近で風速が最大になり、中緯度帯に沿ってほぼ地球を一周するジェット気流があり、逆に規模の小さなものでは、集中豪雨時に大気下層の 700~850hPa付近によく出現する下層ジェットがある。
ジェット気流 対流圏上部または圏界面付近の狭い領域に集中して吹いている帯状の非常に強い風。

通常は10kmくらい上空に強風の軸があり、中心の風速は寒候期には50~100m/sに達する。

備考 北半球では、緯度30度付近にある亜熱帯ジェット気流と、その北側の中緯度帯にあり、寒帯前線をともなう寒帯前線ジェット気流とがある。後者はポーラー・ジェット気流ともいわれる。
強風軸 高層天気図などで強風帯の中心を連ねた線。ジェット気流の中心線は典型的な強風軸である。
偏西風の軸 ある高度で偏西風の最も強いところ。前線帯や地上の低気圧の位置と密接に関連する。
偏西風の蛇行 極の周りを西から東に流れる偏西風は、南と北の温度差を減少させるように南北に波を打ち蛇行する。偏西風の蛇行の様子は、地上の高・低気圧の動向および天気経過と密接に関連する。
備考 a) 蛇行の大きな流れ:南北の熱の交換が大きく、強い寒気が南下することがある。南北流型あるいは低指数循環という。

b) 蛇行の小さな流れ:南北の熱の交換は小さく、強い寒気が南下することは少ない。東西流型あるいは高指数循環という。

ブロッキング現象 長波の振幅が大きくなり、その位相が長期間停滞する現象。

同じ天候が長く続くことから、異常気象の原因ともなる。長波の気圧の尾根をブロッキング高気圧という。

貿易風 赤道付近で定常的に吹いている対流圏下層の偏東風。エルニーニョ現象発生時には貿易風が弱まる。
ハドレー循環 低緯度における子午面方向の南北直接循環。この循環の上昇気流域は対流活動が活発な熱帯収束域に、下降気流域は亜熱帯高気圧域に対応する。

北半球が夏の時は赤道付近の対流圏下層では南風が、上層では北風が吹き、冬の時はその逆となる。

ウォーカー循環 太平洋赤道域で見られる東西の循環。通常、対流圏下層で東風が、上層で西風が吹いており、インドネシア付近が上昇流域に、太平洋東部が下降流域になっている。エルニーニョ現象時にはこの循環が弱くなることが知られている。
テレコネクションパターン ある特定の季節において、遠く離れた地域の例えば 500hPa高度偏差が同じ(あるいは全く逆の)符号となる分布が統計的にいくつか見られる。その高度偏差パターンの総称のこと。

北東太平洋から北米大陸にかけてのPNA(太平洋・北米)パターンやユーラシア大陸から日本付近にかけてのEU(ユーラシア)パターンなどがある。

熱帯の対流活動 季節予報や気候系監視では、熱帯収束帯(前線に関する用語参照)に沿った積雲対流雲群など、熱帯における大規模な積雲対流群の活動を、熱帯の対流活動と呼ぶ。

熱帯域の積雲対流活動に伴う潜熱放出は、地球規模の視点で見た大気の流れを駆動する重要な熱源のひとつである。

備考 熱帯の対流活動はENSO(エンソ)や季節内変動、モンスーンなど熱帯域の大気と深い関係があるほか、中緯度の大気の流れに大きな影響を与える。
北極振動(AO) 大規模な海面気圧偏差パターン(テレコネクションパターン)の一つで、北極域と中緯度域のあいだが逆符号となるほぼ同心円状の偏差パターン。 北極域が平年より高い(低い)とき、中緯度域で平年より低く(高く)なる。 冬季には成層圏にまで及ぶような背の高い構造をしており、極渦の強さと関係している。日本の天候を左右する要因の一つとして注目されている。Arctic Oscillation
季節内変動 季節変化より短く10日程度より長い周期で強弱を繰り返す大気の変動の総称。このうち、 赤道域を30~60日の周期で対流活動活発域等が東進する現象を赤道季節内振動、あるいは発見者の名前に因み、Madden-Julian振動(MJO)と呼ぶ。
モンスーン 季節的交替する卓越風系、すなわち季節風(いろいろな風に関する用語参照)を意味する。 広い意味では、この季節風伴う雨季も含めて、モンスーンと定義される。 季節風が卓越する地域はモンスーン(季節風)気候帯と呼ばれる。 代表的なものとしては、アジア・モンスーン(インド・モンスーン)を含む)、 オーストラリア・モンスーン、アフリカ・モンスーン、南アメリカ・モンスーンなどがあり、アジア・モンスーンに伴う対流活動の変動は日本の天候に大きな影響を与える。
エルニーニョ現象に関する用語
用語 区分 説明
エルニーニョ現象 東部太平洋赤道域で2~7年おきに海面水温が平年より1~2℃、ときには2~5℃も高くなり、半年から1年半程度続く現象。この影響は地球全体に及び、世界各地に異常気象を引き起こす傾向がある。
備考 a) 気象庁では、エルニーニョ監視海域のうちNINO.3海域(北緯5度~南緯5度、西経150度~90度)の月平均海面水温を用いて、エルニーニョ現象、ラニーニャ現象を次のように定義している。 世界的に統一された定義はない。

 エルニーニョ現象:NINO.3海域の月平均海面水温の基準値(その年の前年までの30年間の各月の平均値)との差の5か月移動平均値が6か月以上連続して+0.5℃以上になった場合。  ラニーニャ現象 :同じく5か月移動平均値が6か月以上連続して-0.5℃以下になった場合。 b) 「エルニーニョ」は狭義には、クリスマスのころエクアドルからペルー沿岸に暖水が進入する現象を指すが、広域的な現象として「エルニーニョ現象」と同じ意味で用いられることもある。  季節予報などの解説で広域的な現象を指す場合は「エルニーニョ現象」を用いる。

ラニーニャ現象 エルニーニョ現象とは逆に、東部太平洋赤道域の海面水温が平年より低くなる現象。
備考 季節予報などの解説では「ラニーニャ」ではなく「ラニーニャ現象」を用いる。
南方振動指数 南太平洋上のタヒチとオーストラリアのダーウィンの地上気圧偏差を基に、その差を指数化したもので、貿易風の強さの目安となる。エルニーニョ現象発生時にはマイナス(負値)となることが多い。
ENSO(エンソ) エルニーニョ/ラニーニャ現象と南方振動とは、同じ現象を海洋と大気の側面からとらえたものと考えられ、エルニーニョ(El Nino)と南方振動(Southern Oscillation)のそれぞれの頭文字を取ってENSO(エンソ)と呼ばれている。
エルニーニョ監視海域 気象庁がエルニーニョ現象を監視するために太平洋赤道域に設けた監視海域で、NINO.1+2、3、4、WEST海域がある。

単に「エルニーニョ監視海域」と言う場合、エルニーニョ現象のシグナルとして最も重要な「NINO.3海域」を指す。 別図 参照。

備考 米国海洋大気庁(NOAA)では、エルニーニョ現象、ラニーニャ現象の定義にはNINO3.4(北緯5度~南緯5度、西経170度~120度)の月平均海面水温を用いている。
OLR指数 OLR(気象衛星に関する用語参照)を使って求めた指数で、正の値は積乱雲が多いすなわち対流活動が平年よりも活発であることを、負の値は対流活動が平年より不活発であることを表す。
備考 気象庁で指数を計算する領域には、フィリピン付近、インドネシア付近、日付変更線付近の3つがある。

月毎の変動の他に、ENSOの状況にあわせて、数年周期の変動を示す。 詳細はこちらを参照。

赤道東西風指数 赤道付近の東西循環の指数の1つで、正(負)の値は西風(東風)偏差であることを示す。
備考 気象庁で指数を計算する領域は、対流圏下層(850hPa)の西部太平洋赤道域、中部太平洋赤道域、東部太平洋赤道域と対流圏上層(200hPa)のインド洋、中部太平洋赤道域がある。

月毎の変動の他に、ENSOの状況にあわせて、数年周期の変動を示す。 詳細はこちらを参照。

海洋データ同化システム 数が少なく空間的、時間的に偏在している海洋観測データから、空間的、時間的に均質なデータを生成するシステム。
暖水の蓄積 太平洋の赤道付近において、貿易風によって海面近くの相対的に暖かい海水(暖水)が、西部に吹き寄せられて厚く蓄積すること。一方、東部太平洋赤道域では、通常暖水の厚さは薄くなっている。エルニーニョ現象などに伴って、この水温構造は大きく変動する。
西風バースト 対流圏下層の太平洋西部から中部にかけて赤道上で吹く強い西風のこと。 赤道を挟んで北半球と南半球のそれぞれに熱帯低気圧が発生する(ツインサイクロン)ことに伴って吹くことが多い。

エルニーニョ現象の発生に結びつくような海洋表層の変化をもたらすことがある。

エルニーニョ予測モデル エルニーニョ現象等の予測に使用する気象庁の大気海洋結合モデル。
エルニーニョ監視速報 エルニーニョ現象等の監視と予測に関して毎月1回発表する情報。予測情報として、 向こう6か月までの「エルニーニョ現象等の今後の見通し」を記述している。

天気に関する用語[編集]

大気の流れなどに関する用語
用語 区分 説明
循環指数 大気大循環の状態をみるために、その特徴をよく表すように作られた指数。主に、500hPa高度を用いて作られる。 東西指数、極渦指数をはじめ、亜熱帯指数、沖縄高度指数、オホーツク海高気圧指数、小笠原高気圧指数、中緯度高度指数、東方海上高度指数、西谷指数などがある。
備考 循環指数に用いる極東東西指数などの「極東」とは90°Eから180°Eの範囲を指す。90°Eの値を含み180°Eの値は含まない。
東西指数 偏西風が南北に蛇行しているか(低指数)、あるいは東西の流れが卓越しているか(高指数)を示す指数で、特定緯度圏間の高度差またはそれを換算した地衡風速で表す。
備考 季節予報では40°Nと60°Nの500hPa高度偏差から算出している。
極渦 北極付近の上空に形成される低圧部のこと。
西谷 地球をとりまく大きな流れの中で、日本の西に気圧の谷が形成されている状態。日本付近には南西の気流が流入しやすくなる。
日本谷 地球をとりまく大きな流れの中で、日本付近に気圧の谷が形成されている状態。
東谷 地球をとりまく大きな流れの中で、日本の東に気圧の谷が形成されている状態。日本付近には北西の気流が流入しやすくなる。
北暖西冷型 気温分布型のひとつ。日本を大きく北と西とに分けて北が平年より高く、西が平年より低い状態をいう。

冬期に暖冬に関連して用いる。

備考 「北冷西暑」など、暖(暑)、冷、並を組み合わせて用いる。

ただし、「暑」は西が平年より高い場合のみ。全国一様のときは、全国高温または全国低温などと表現する。

北冷西暑型 気温分布型のひとつ。日本を大きく北と西とに分けて北が平年より低く、西が平年より高い状態をいう。

夏期に着目される。

層厚換算温度 2つの等圧面の間の高度差を温度に換算した量で、等圧面間の気層の平均気温を表す。
備考 季節予報では、北半球全体と緯度帯別に帯状平均した300hPa面と850hPa面間の層厚換算温度を算出しており、おおよそ対流圏の平均気温とみなすことができる。
偏西風 極を中心にして西から東に向かって吹く地球規模の帯状風。
備考 平均的には、赤道付近と極地方の下層部を除く対流圏は偏西風域である。
偏東風 東から西に向かってほぼ定常的に吹く地球規模の帯状風。
圏界面 対流圈と成層圏の境界である対流圏界面を単に「圏界面」とも呼ぶ。
強風帯 周囲に比べて風速の大きな帯状の領域。規模の大きなものでは、圏界面付近で風速が最大になり、中緯度帯に沿ってほぼ地球を一周するジェット気流があり、逆に規模の小さなものでは、集中豪雨時に大気下層の 700~850hPa付近によく出現する下層ジェットがある。
ジェット気流 対流圏上部または圏界面付近の狭い領域に集中して吹いている帯状の非常に強い風。

通常は10kmくらい上空に強風の軸があり、中心の風速は寒候期には50~100m/sに達する。

備考 北半球では、緯度30度付近にある亜熱帯ジェット気流と、その北側の中緯度帯にあり、寒帯前線をともなう寒帯前線ジェット気流とがある。後者はポーラー・ジェット気流ともいわれる。
強風軸 高層天気図などで強風帯の中心を連ねた線。ジェット気流の中心線は典型的な強風軸である。
偏西風の軸 ある高度で偏西風の最も強いところ。前線帯や地上の低気圧の位置と密接に関連する。
偏西風の蛇行 極の周りを西から東に流れる偏西風は、南と北の温度差を減少させるように南北に波を打ち蛇行する。偏西風の蛇行の様子は、地上の高・低気圧の動向および天気経過と密接に関連する。
備考 a) 蛇行の大きな流れ:南北の熱の交換が大きく、強い寒気が南下することがある。南北流型あるいは低指数循環という。

b) 蛇行の小さな流れ:南北の熱の交換は小さく、強い寒気が南下することは少ない。東西流型あるいは高指数循環という。

ブロッキング現象 長波の振幅が大きくなり、その位相が長期間停滞する現象。

同じ天候が長く続くことから、異常気象の原因ともなる。長波の気圧の尾根をブロッキング高気圧という。

貿易風 赤道付近で定常的に吹いている対流圏下層の偏東風。エルニーニョ現象発生時には貿易風が弱まる。
ハドレー循環 低緯度における子午面方向の南北直接循環。この循環の上昇気流域は対流活動が活発な熱帯収束域に、下降気流域は亜熱帯高気圧域に対応する。

北半球が夏の時は赤道付近の対流圏下層では南風が、上層では北風が吹き、冬の時はその逆となる。

ウォーカー循環 太平洋赤道域で見られる東西の循環。通常、対流圏下層で東風が、上層で西風が吹いており、インドネシア付近が上昇流域に、太平洋東部が下降流域になっている。エルニーニョ現象時にはこの循環が弱くなることが知られている。
テレコネクションパターン ある特定の季節において、遠く離れた地域の例えば 500hPa高度偏差が同じ(あるいは全く逆の)符号となる分布が統計的にいくつか見られる。その高度偏差パターンの総称のこと。

北東太平洋から北米大陸にかけてのPNA(太平洋・北米)パターンやユーラシア大陸から日本付近にかけてのEU(ユーラシア)パターンなどがある。

熱帯の対流活動 季節予報や気候系監視では、熱帯収束帯(前線に関する用語参照)に沿った積雲対流雲群など、熱帯における大規模な積雲対流群の活動を、熱帯の対流活動と呼ぶ。

熱帯域の積雲対流活動に伴う潜熱放出は、地球規模の視点で見た大気の流れを駆動する重要な熱源のひとつである。

備考 熱帯の対流活動はENSO(エンソ)や季節内変動、モンスーンなど熱帯域の大気と深い関係があるほか、中緯度の大気の流れに大きな影響を与える。
北極振動(AO) 大規模な海面気圧偏差パターン(テレコネクションパターン)の一つで、北極域と中緯度域のあいだが逆符号となるほぼ同心円状の偏差パターン。 北極域が平年より高い(低い)とき、中緯度域で平年より低く(高く)なる。 冬季には成層圏にまで及ぶような背の高い構造をしており、極渦の強さと関係している。日本の天候を左右する要因の一つとして注目されている。Arctic Oscillation
季節内変動 季節変化より短く10日程度より長い周期で強弱を繰り返す大気の変動の総称。このうち、 赤道域を30~60日の周期で対流活動活発域等が東進する現象を赤道季節内振動、あるいは発見者の名前に因み、Madden-Julian振動(MJO)と呼ぶ。
モンスーン 季節的交替する卓越風系、すなわち季節風(いろいろな風に関する用語参照)を意味する。 広い意味では、この季節風伴う雨季も含めて、モンスーンと定義される。 季節風が卓越する地域はモンスーン(季節風)気候帯と呼ばれる。 代表的なものとしては、アジア・モンスーン(インド・モンスーン)を含む)、 オーストラリア・モンスーン、アフリカ・モンスーン、南アメリカ・モンスーンなどがあり、アジア・モンスーンに伴う対流活動の変動は日本の天候に大きな影響を与える。

天気に関する用語[編集]

天気とその変化に関する用語
用語 区分 説明
天気 気温、湿度、風、雲量、視程、雨、雪、雷などの気象に関係する要素を総合した大気の状態。
備考 気象庁では国内用として、次の15種類に分けているが、国際的には96種類が決められている。

快晴、晴れ、薄曇り、曇り、煙霧、砂じん嵐、地ふぶき、霧、霧雨、雨、みぞれ、雪、あられ、ひょう、雷。

よい天気(好天) 備考 意味がいろいろに解釈され誤解をまねきやすいので用いない。少雨のときには、晴れよりも雨のほうがよい天気ともいえる。具体的な天気を明示する。
さわやかな天気 備考 原則として夏期や冬期には用いない。秋に、移動性高気圧におおわれるなどして、空気が乾燥し、気温も快適な晴天の場合に用いることが多い。
雲の多い天気 曇りの日が多い。曇りのところが多い。
備考 意味がいろいろに解釈され誤解をまねきやすく、また晴れか曇りか不明であるので用いない。
悪い天気(悪天) 備考 意味がいろいろに解釈され誤解をまねきやすいので用いない。干天のときには、雨よりも晴れのほうが悪い天気ともいえる。具体的な天気を明示する。
ぐずついた天気 曇りや雨(雪)が2~3日以上続く天気。
変わりやすい天気 対象とする予報期間の中で、晴れが続かず、すぐに曇ったり雨(雪)が降ったりする天気。
備考 週間天気予報等では天気が比較的短周期(2日程度)に変わると予想されるときに用いる。
不安定な天気 大気の成層状態が不安定で、にわか雨や雷雨の起こりやすい天気。
備考 a) 晴れの日と曇りや雨の日が小刻みに変わるような天気経過と混同されるので用いない。

b) 必要ならば、「大気の状態が不安定」などとする。

荒れた天気 注意報基準を超える風が吹き、雨または雪などを伴った状態。
大荒れ 暴風警報級の強い風が吹き、一般には雨または雪などを伴った状態。
用例 海、山は大荒れ。
荒天 荒れた天気。
不順な天候 備考 意味が曖眛なので予報文には用いない。
~模様の天気 備考 意味がいろいろに解釈され誤解をまねきやすいので用いない。具体的な天気を明示する。
天気が下り坂 晴れから曇り、または曇りから雨(雪)に変わる天気の傾向。
天気が崩れる 雨または雪などの降水を伴う天気になること。
備考 季節予報の予報文には用いない。
天気が周期的に変わる 天気は数日の周期で変わる。
天気は数日の周期で変わる 天気は3~4日程度の周期で変わると予想されること。
快晴 全雲量が1以下の状態。
備考 予報文には用いない。
晴れ 全雲量が2以上8以下の状態。
備考 (晴)とも書く。

「全雲量が2以上8以下の状態」は主に観測用である。天気予報では、予報期間内が快晴または晴れの状態、および「薄曇り」で地物の影ができる状態に用いる。

晴天 備考 音声伝達では「晴れ」、「晴れの天気」などを用いる。
晴れ(曇り)がち 備考 いいまわしが適当でないので用いない。
晴れの日 備考 季節予報の予報文には「晴れの日」、「晴れる日」を用いる。
晴れる日
晴天の日
晴れ間 備考 利用者にとって価値があると判断される場合(ぐずついた天気の期間中など)に限って用いる。また夜間には用いない。
晴れ間が広がる 雲の多い状態の中で、雲のすき間が多くなってくること。
備考 予報用語としては「次第に晴れてくる」を用いる。
晴れ間が多い 備考 予報用語としては「一部で晴れている」、「曇りで所々晴れ」などを用いる。
日が射す 全雲量が9以上で青空が見える状態。
備考 a) 雨、曇り時々雨、曇り一時雨などの天気が続いたのち、全雲量が9以上で青空が見えると予想されたときに用いる。

b) この用語が利用者にとって価値があると判断される場合に限って用いる。

曇り 全雲量が9以上であって、見かけ上、中・下層の雲が上層の雲より多く、降水現象がない状態。
備考 (くもり)、(曇)とも書く。
用例 雲が厚くなる。雲が次第に多くなる。
雲が(を)増す 雲が多くなる。雲が広がる。
曇天 曇り。
曇天域 曇りの地域(範囲)。
高(本)曇り 曇りの天気のうち「本曇り」は、下層雲量が中・上層の雲量よりも多い場合。「高曇り」は、中層雲が他の雲量より多い場合。
曇り。
薄曇り 全雲量が9以上であって、見かけ上、上層の雲が中・下層の雲より多く、降水現象がない状態。
備考 地物の影ができることが多く、予報では「晴れ」として扱う。
薄雲が広がる 上層雲が広がってくる状態。密度の薄い中層雲を含んでいてもよい。
備考 a) 天気が下り坂になるときに起こることが多い。

b) 晴れから薄雲が広がり、曇りになる変化過程が遅い場合に用いることもある。

朝曇り 明け方から朝にかけての曇り。
備考 通俗的な用語のため予報、解説には用いない。
曇雨天 曇りや雨の天気。
乾燥した 湿度がおよそ50%未満の状態をいう。
備考 季節予報の予報文では乾燥注意報が発表されると予想されるときに用いることがある。
天気日数 ある期間内の「晴れ」「雨」などの日数。
備考 季節予報では、日照時間が可照時間の40%以上の日数、日降水量1mm以上の日数、日降水量10mm以上の日数をそれぞれ「晴れ日数」「降水日数」「雨日数」としている。
天候 天気より時間的に長い概念として用いられ、5日から1か月程度の平均的な天気状態をさす。
備考 5日以上の平均的な天気状態を述べる季節予報、天候情報等に用いる。週間天気予報は7日間を予報対象期間としているが、基本的に1日ごとの天気状態を予報しているので"天気"を用いる。

風に関する用語[編集]

風向に関する用語
用語 区分 説明
風向 風の吹いてくる方向。
備考 観測では16または36方位を用いているが、予報では8方位を用いる。
(南の)風 予報期間内および予報区内の平均風向が(南)を中心に45度の範囲にあるとき。
(南よりの)風 風向が(南)を中心に(南東)から(南西)の範囲でばらついている風。
備考 a) 東、西、南、北の4方向のみに用いる。

b) 予報文には用いない。注意報・警報、情報文でも必要最小限にとどめる。

(東または南の)風 備考 a) 音声伝達では「東の風または南の風」を用いる。

b) 予報区域内で、場所によって東の風が吹くところや南の風が吹くところがあるときに用いる。 c) 風向が大きくばらつく予報は好ましくないので多用しない。

風の強さに関する用語
用語 区分 説明
風速 10分間平均風速を指し、毎秒×.×m、または×.× m/sと表す。
備考 注意報、警報、台風情報などで、誤解されるおそれのない場合は「メートル」とも表記する。
最大風速 10分間平均風速の最大値。
用例 a) ××日(月、年)の最大風速。

b) ××時までの最大風速。 c) 台風の通過に伴う最大風速。

瞬間風速 風速計の測定値(0.25秒間隔)を3秒間平均した値(測定値12個の平均値)。
最大瞬間風速 瞬間風速の最大値。
瞬間最大風速 最大瞬間風速。
風が衰える 風が弱まる。
風がおさまる 「風が弱まる」と同義。
風力 気象庁風力階級表による風速の尺度。
気象庁風力階級表
風力 相当風速(m/s) 相当風速(ノット) 備考
0.0 から 0.3未満   1未満
0.3 以上 1.6未満   1以上 4未満
1.6 以上 3.4未満   4以上 7未満
3.4 以上 5.5未満   7以上 11未満
5.5 以上 8.0未満  11以上 17未満
8.0 以上 10.8未満  17以上 22未満
10.8 以上 13.9未満  22以上 28未満
13.9 以上 17.2未満  28以上 34未満 海上風警報に相当
17.2 以上 20.8未満  34以上 41未満 海上強風警報に相当
20.8 以上 24.5未満  41以上 48未満    〃
10 24.5 以上 28.5未満  48以上 56未満 海上暴風警報に相当
11 28.5 以上 32.7未満  56以上 64未満    〃
12 32.7 以上  64以上 海上暴風警報または海上台風警報に相当
静穏 風力0(風速0.3m/s未満)。
備考 音声伝達では「風弱く(漁業気象に用いる)」、「風が穏やか」などを用いる。
やや強い風 風速が10m/s以上15m/s未満の風。
強い風 風速が15m/s以上20m/s未満の風。
用例 風速が15m/s以上の強い風。
備考 天気概況や情報には風速を明示して用いる。
非常に強い風 風速が20m/s以上30m/s未満の風。
用例 風速が20m/s以上の非常に強い風。
備考 天気概況や情報には風速を明示して用いる。
暴風 暴風警報基準以上の風。
用例 風速が20m/s以上の暴風。
備考 a) 暴風を標題(警報、海上警報)以外で使用する場合は原則として風速を付記する。

天気概況や情報には風速を明示して用いる。 b) 台風の風速25m/s以上の暴風域。

猛烈な風 風速がおよそ30m/s以上、または最大瞬間風速が50m/s以上の風。
備考 a) 天気概況や情報には風速を明示して用いる。

b) 風速が30m/s以下でも、防災上の見地から最大瞬間風速が50m/s以上の風に対して用いることもある。

強風 風の強い状態の総称。
いろいろな風に関する用語
用語 区分 説明
突風 急に吹く強い風で継続時間の短いもの。
風の息 瞬間の風速の変動幅。
用例 風の息が大きい。
季節風 季節によって特有な風向を持つ風で、一般には大循環規模など空間スケールの大きなものをいう。
用例 北西の季節風。
備考 a) 日本付近では、冬期には大陸から海洋に向かって一般には北西の風が吹き、夏期には海洋から大陸に向かって一般には南東または南西の風が吹く。

b) 普通は、寒候期の北西の季節風に用いることが多い。

季節風が吹き出す 季節風が吹き始めること。
備考 「季節風の吹き出しが強まる」は用いず、「季節風が強くなる」などとする。
卓越風向 ある地点で月ごと、または年間を通して一番吹きやすい風向。
一般風 地形など局地的な影響を受けない、広い地域を代表する風。
海風 日中、気温の低い海面から気温の高い陸地に向かって吹く風。
陸風 夜間、気温の低い陸地から気温の高い海面に向かって吹く風。
海陸風 海陸の温度差により日中は海から陸に、夜間は陸から海に向かって吹く風。
備考 気圧の傾きが小さいときに、より明瞭になる。
朝(夕)なぎ 海陸風の弱まる朝夕に沿岸でほとんど風が吹かなくなること。
局地風 備考 a) 予報用語としては「局地的な風」を用いる。

b) 地域によって「××おろし」、「××だし」などの名称が付く強風がある。

離岸風 岸から離れる方向に向かって吹く風。
備考 海岸付近では比較的波が穏やかでも、沖合では波が高くなっていることが多い。
おろし 山から吹きおろす局地的な強風。
用例 六甲おろし。赤城おろし。
だし 陸から海に向かって吹き、船出に便利な風であることからきた風の名。
用例 清川だし。
春一番 冬から春への移行期に、初めて吹く暖かい南よりの強い風。
備考 気象庁では立春から春分までの間に、広い範囲(地方予報区くらい)で初めて吹く、暖かく(やや)強い南よりの風としている。
木枯らし 晩秋から初冬にかけて吹く、北よりの(やや)強い風。
空っ風 山越えの乾燥した、寒くて、(やや)強い風。
備考 主として、寒候期に関東地方で用いられる。
北東気流 大気の下層に流れ込む、寒冷な東よりの気流で曇りや雨になることが多い。
備考 主として、関東地方を中心に用いられる。
やませ 春から夏に吹く冷たく湿った東よりの風。東北地方では凶作風といわれる。
備考 主として、東北地方の太平洋側を中心に用いられる。
上昇(下降)気流 用例 地形による上昇(下降)気流。低気圧に伴う上昇気流。
風圧 風にさらされた物体が、風から受ける力。物体の形状によってかなり異なる。風向に垂直に向けた平板では風速の2乗に比例する。
乱気流 大気中の乱流。通常、飛行中の航空機に揺れを与えるような気流の乱れをいう。山岳波や積乱雲などの影響で起こることが多く、ジェット気流の近傍の高度の高いところでは、晴天乱気流(CAT)が起こることもある。
竜巻 積雲や積乱雲に伴って発生する鉛直軸を持つ激しい渦巻で、漏斗状または柱状の雲を伴うことがある。地上では、収束性で回転性の突風や気圧の急下降が観測され、被害域は帯状・線状となることが多い。
メソサイクロン 積乱雲の中に発生する直径数km~十数km程の低気圧性の渦。
備考 メソサイクロンを持つ積乱雲は竜巻を発生させる可能性が高く、気象ドップラーレーダーでの検出結果が竜巻注意情報等に利用されている。
ダウンバースト 積雲や積乱雲から生じる強い下降流で、地面に衝突し周囲に吹き出す突風である。地上では、発散性の突風やしばしば強雨・ひょうを伴う。被害域は、円または楕円となることが多い。
マイクロバースト

マクロバースト

ダウンバーストを水平方向の風の広がりで分類したもの。

マクロバーストは4km以上、マイクロバーストは4km未満をいう。

ガストフロント 積雲や積乱雲から吹き出した冷気の先端と周囲の空気との境界で、しばしば突風を伴う。地上では、突風と風向の急変、気温の急下降と気圧の急上昇が観測される。
吹き返しの風 台風が通過した後にそれまでと大きく異なる風向から吹く強い風。
縁辺流 高気圧の縁を回る湿った空気の流れ。
備考 縁辺流が強い時には、前線や低気圧を伴わなくても大雨となることがある。
藤田スケール 竜巻やダウンバーストなどの風速を、建物などの被害状況から簡便に推定するために、シカゴ大学の藤田哲也博士により1971年に考案された風速の尺度。

竜巻やダウンバーストなどは現象が局地的なため、風速計で風速を観測できることがほとんどないことから、このような現象における強い風を推測する尺度として世界的に用いられている。 Fスケールともいい、F0からF5の6段階で表わされる。

F0:17 ~32m/s

(約15 秒間の平均)

テレビアンテナなどの弱い構造物が倒れる。小枝が折れ、根の浅い木が傾くことがある。非住家が壊れるかもしれない。
F1:33 ~49m/s

(約10 秒間の平均)

屋根瓦が飛び、ガラス窓が割れる。ビニールハウスの被害甚大。根の弱い木は倒れ、強い木の幹が折れたりする。走っている自動車が横風を受けると、道から吹き落とされる。
F2:50 ~69m/s

(約7 秒間の平均)

住家の屋根がはぎとられ、弱い非住家は倒壊する。大木が倒れたり、ねじ切られる。自動車が道から吹き飛ばされ、汽車が脱線することがある。
F3:70 ~92m/s

(約5 秒間の平均)

壁が押し倒され住家が倒壊する。非住家はバラバラになって飛散し、鉄骨づくりでもつぶれる。汽車は転覆し、自動車が持ち上げられて飛ばされる。森林の大木でも、大半は折れるか倒れるかし、引き抜かれることもある。
F4:93 ~116m/s

(約4 秒間の平均)

住家がバラバラになってあたりに飛散し、弱い非住家は跡形なく吹き飛ばされてしまう。鉄骨づくりでもペシャンコ。列車が吹き飛ばされ、自動車は何十メートルも空中飛行する。1 トン以上もある物体が降ってきて、危険この上もない。
F5:117 ~142m/s

(約3 秒間の平均)

住家は跡形もなく吹き飛ばされるし、立木の皮がはぎとられてしまったりする。自動車、列車などが持ち上げられて飛行し、とんでもないところまで飛ばされる。数トンもある物体がどこからともなく降ってくる。
日本版改良藤田スケール 気象庁では藤田スケールを改良し、より精度良く突風の風速を評定することができる「日本版改良藤田スケール(JEFスケール)」を策定し、突風調査に使用している。
階級 風速の範囲

(3秒平均)

主な被害の状況(参考)
JEF0 25~38m/s ・木造の住宅において、目視でわかる程度の被害、飛散物による窓ガラスの損壊が発生する。比較的狭い範囲の屋根ふき材が浮き上がったり、はく離する。

・園芸施設において、被覆材(ビニルなど)がはく離する。パイプハウスの鋼管が変形したり、倒壊する。 ・物置が移動したり、横転する。 ・自動販売機が横転する。 ・コンクリートブロック塀(鉄筋なし)の一部が損壊したり、大部分が倒壊する。 ・樹木の枝(直径2cm~8cm)が折れたり、広葉樹(腐朽有り)の幹が折損する。

JEF1 39~52m/s ・木造の住宅において、比較的広い範囲の屋根ふき材が浮き上がったり、はく離する。屋根の軒先又は野地板が破損したり、飛散する。

・園芸施設において、多くの地域でプラスチックハウスの構造部材が変形したり、倒壊する。 ・軽自動車や普通自動車(コンパクトカー)が横転する。 ・通常走行中の鉄道車両が転覆する。 ・地上広告板の柱が傾斜したり、変形する。 ・道路交通標識の支柱が傾倒したり、倒壊する。 ・コンクリートブロック塀(鉄筋あり)が損壊したり、倒壊する。 ・樹木が根返りしたり、針葉樹の幹が折損する。

JEF2 53~66m/s ・木造の住宅において、上部構造の変形に伴い壁が損傷(ゆがみ、ひび割れ等)する。また、小屋組の構成部材が損壊したり、飛散する。

・鉄骨造倉庫において、屋根ふき材が浮き上がったり、飛散する。 ・普通自動車(ワンボックス)や大型自動車が横転する。 ・鉄筋コンクリート製の電柱が折損する。 ・カーポートの骨組が傾斜したり、倒壊する。 ・コンクリートブロック塀(控壁のあるもの)の大部分が倒壊する。 ・広葉樹の幹が折損する。 ・墓石の棹石が転倒したり、ずれたりする。

JEF3 67~80m/s ・木造の住宅において、上部構造が著しく変形したり、倒壊する。

・鉄骨系プレハブ住宅において、屋根の軒先又は野地板が破損したり飛散する、もしくは外壁材が変形したり、浮き上がる。 ・鉄筋コンクリート造の集合住宅において、風圧によってベランダ等の手すりが比較的広い範囲で変形する。 ・工場や倉庫の大規模な庇において、比較的狭い範囲で屋根ふき材がはく離したり、脱落する。 ・鉄骨造倉庫において、外壁材が浮き上がったり、飛散する。 ・アスファルトがはく離・飛散する。

JEF4 81~94m/s ・工場や倉庫の大規模な庇において、比較的広い範囲で屋根ふき材がはく離したり、脱落する。
JEF5 95m/s~ ・鉄骨系プレハブ住宅や鉄骨造の倉庫において、上部構造が著しく変形したり、倒壊する。

・鉄筋コンクリート造の集合住宅において、風圧によってベランダ等の手すりが著しく変形したり、脱落する。

用例 この突風の強さは、風速約45m/sと推定され、日本版改良藤田スケールでJEF1に該当する。

波浪・潮位に関する用語[編集]

波浪に関する用語
用語 区分 説明
波浪 海洋表面の波動のうち、風によって発生した周期が1~30秒程度のもの。風浪とうねりからなる。
備考 a) 音声伝達では「波」を用いる。

b) 注意報、警報の名称に用いる。

「波浪」と同じ
用例 波が高くなる。波がおさまる。多少波がある。
しけ 強風のため海上が荒れること。
風浪 その場所で吹いている風によって生じた波で、個々の波は不規則で尖っている。発達した風浪ほど波高が大きく、波長や周期は長い。
うねり 遠くの台風などにより作られた波が伝わってきたもので、滑らかな波面を持ち、波長の長い規則的な波。
備考 a) 予報の対象となる波浪は「うねり」と風による「風浪」の重なったものである。

b) 強い風がおさまるとともに、「風浪」はなくなるが「うねり」のみが残ることがある。 c) 波長が100m以上、周期が8秒以上のものが多い。

波長 波の山(または谷)から次の波の山(または谷)までの長さ。
周期 波の山(または谷)が来てから次の波の山(または谷)が来るまでの時間。
波高 波の山から谷までの高さ。
備考 音声伝達では「波の高さ」を用いる。波の高さの表現は波浪表による。
波高1.5m 備考 音声伝達では「波の高さは1メートル50センチ(メートル)」を用いる。
有義波高 ある地点で一定時間(例えば20分間)に観測される波のうち、高いほうから順に1/3の個数までの波について平均した波高。これは目視観測による波高に近いと言われている。
備考 波の高さの予報は「有義波高」を対象とする。
最大波高 ある地点で一定時間(例えば20分間)に観測される波のうち最大のもの。
備考 統計的には、観測される波のうち「1000に1」の割合で有義波高の2倍近い波が出現すると言われている。
高波 波浪注意報・警報の対象になる程度の高い波。
船舶 「船」と同義。
洋上 海上。
潮位に関する用語
用語 区分 説明
潮位 基準面から計った海面の高さで、波浪など短周期の変動を平滑除去したもの。防災気象情報における潮位は「標高」で表す。

「標高」の基準面として東京湾平均海面(TP)を用いるが、島嶼部など一部では国土地理院による高さの基準面あるいはMSL(平均潮位)等を用いる。

高潮 主に台風など強い気象じょう乱に伴う気圧降下による海面の吸い上げ効果と風による海水の吹き寄せ効果のため、海面が異常に上昇する現象。
吹き寄せ(効果) 海岸に向かって吹く風によって、海水が沿岸に吹き寄せられて潮位が高くなること。
吸い上げ(効果) 台風など強い気象じょう乱に伴う気圧降下によって、海水が吸い上げられて潮位が高くなること。
異常潮位 潮位が比較的長期間(1週間から3か月程度)継続して平常より高く(もしくは低く)なる現象。府県より広い範囲に及ぶことが多く、原因として暖水渦の接近、黒潮の蛇行等があげられるが、様々である。
副振動 日々くり返す満潮・干潮の潮位変化を主振動としてそれ以外の潮位の振動に対して名づけられたものであり、湾・海峡や港湾など陸や堤防に囲まれた海域等で観測される、周期数分から数10 分程度の海面の昇降現象をいう。

主な発生原因は、台風、低気圧等の気象じょう乱に起因する海洋のじょう乱や津波などが長波となって沿岸域に伝わり、湾内等に入ることにより引き起こされる強制振動である。強制振動の周期が湾等の固有周期に近いものであれば、共鳴を起こして潮位の変化が著しく大きくなる場合がある。

満潮 主として月と太陽の起潮力によって潮位が極大となった状態。多くの海岸で1日2回ずつ現れる。
干潮 主として月と太陽の起潮力によって潮位が極小となった状態。多くの海岸で1日2回ずつ現れる。
大潮 朔(新月)及び望(満月)の頃、満潮と干潮の潮位の差が大きくなった状態。
既往最高潮位 各検潮所で、潮位の観測開始から現在までの期間に記録された最高の潮位。
過去最高潮位
過去最高潮位 各検潮所で、潮位の観測開始から現在までの期間に記録された最高の潮位。
潮位偏差 天体の動きから算出した天文潮(推算潮位)と気象などの影響を受けた実際の潮位との差(ずれ)。
潮位の観測基準面

(DL)

各検潮所毎に設定された潮位を観測する基準面。通常、観測値が負にならないように設定する。

Datum Line

東京湾平均海面

(TP)

標高(海抜高度)の基準面。水準測量で使用する日本水準原点はTP上24.3900m と定義されている。

Tokyo Peil

平均海面水位

(MSL)

ある一定期間の海面水位の平均値。一定期間として1年や5年が用いられることが多い。

Mean Sea Level

暖水渦 周囲より水温が高く、北半球(南半球)で時計回り(反時計回り)の循環をもつ渦を暖水渦と呼ぶ。暖水渦の中心では、水位が周囲に比べて高いという特徴がある。
冷水渦 周囲より水温が低く、北半球(南半球)で反時計回り(時計回り)の循環をもつ渦を冷水渦と呼ぶ。冷水渦の中心では、水位が周囲に比べて低いという特徴がある。

気温・湿度に関する用語[編集]

気温に関する用語
用語 区分 説明
気温 通常は地上1.25~2.0mの大気の温度を摂氏(℃)単位で表す。度の単位に丸めるときは十分位を四捨五入するが、0度未満は五捨六入する。
用例 a) 気温が上がる(下がる)。

b) 気温は氷点下×.×度。 c) 高さ×××mの気温。

備考 摂氏以外でいうときは単位系を付ける。
氷点下 気温0度以下。
用例 上空約1500メートルには氷点下9度の寒気
備考 気象情報では「氷点下」を使用し、「マイナス9度」といった表現はしない。0度の場合は、氷点下は付加しない。
気温がのぼる(くだる) 気温が上がる(下がる)。
気温は平年並 備考 天気予報で日平均気温について用いる場合は平年差がおよそ1度以内をいう。
気温は低(高)め 気温の平年値との比較をいう。
気温の平年偏差 気温の平年値との差。
500hPaの気温 上空約5,500mの気温。
備考 季節と場所により5,000mまたは6,000mに言い換える。

850、700、300hPaについてはそれぞれ約1500、3,000、9,000mとする。

最低(最高)気温 通常は日最低(最高)気温のこと(日界は0時)。
用例 a) 明日朝の最低気温(明日0時から9時までの最低気温)。

b) 日中の最高気温(9時から18時までの最高気温)。

備考 発表時刻により異なる場合があるので時刻または時間帯を明示する。新聞等では、最高気温は当日0時~15時、最低気温は前日21時~当日9時を対象とした値を掲載していることが多く、地上気象観測統計とは異なる場合がある。
日(月、年)平均気温 日平均気温は1時から24時までの毎正時24回の観測値の平均。月(年)平均気温は毎日(月)の平均気温の月(年)間の平均。
××度の等温線 気温××度の等しい点を結んだ線。
高(低)温域 周辺より気温が高(低)い地域。
気温の減率 高度が上がるにつれて気温が下がる割合。対流圏では普通100mにつき0.5~1度下がる。
気温の逆転 大気の鉛直の気温分布で、下層より上層が高くなっている状態。
逆転層 気温が上方に向かって等温または高くなっている気層。前線に伴うもの、放射冷却などによるものがある。
気温の日(月、年)較差 1日(月、年)の最高気温と最低気温の差。
気温の1日(月、年)の変動幅。最高気温と最低気温の差。
暑(寒)さ 用例 a) 暑(寒)さが加わる(和らぐ、戻る)。

b) 厳しい暑(寒)さ。

備考  「暑(寒)さ」は気温に湿度や風の効果が加わった主観的なものであるから「気温の高(低)さ」と混同して用いないこと。

例えば、フェーンによる高温は「8月頃の暑さ」ではなく「8月頃の気温」というべきである。

暑(寒)さが増す(加わる) 一段と暑(寒)くなること。
暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)(℃) 気温・湿度・日射量などから算出する指数で、熱中症を予防する際の目安となる。
酷暑(寒) 厳しい暑(寒)さ。
むし暑い 風が弱く、湿度が高くて暑いこと。
寒波 主として冬期に、広い地域に2~3日、またはそれ以上にわたって顕著な気温の低下をもたらすような寒気が到来すること。
寒気 周りの空気に比べて低温な空気。
用例 輪島の上空約5,000mには氷点下40度以下の寒気がある。
寒気が入る(寒気の流入、寒気の南下) 寒気が流れ込むこと。このことにより気温が下がったり大気の状態が不安定になる。
備考 季節予報では年間を通して用いる。
寒気の吹き出し 冬型の気圧配置に伴い、シベリア方面の高気圧が張り出し、強い寒気が南下して来ること。
寒さがゆるむ 「寒さが和らぐ」と同じ。
暖気 周りの空気に比べて高温な空気。
用例 低気圧に吹き込む暖気が・・・・・。
熱波 広い範囲に4~5日またはそれ以上にわたって、相当に顕著な高温をもたらす現象。
備考 「相当に顕著な高温」としては、平年値が最も高い時期において「かなり高い」気温を目安とする。
残暑 立秋(8月8日頃)から秋分(9月23日頃)までの間の暑さ。
涼しい 暑くなく、体温が快い程度に奪われる感じのこと。
不快指数 気温と湿度による「むし暑さ」の指数。風速が含まれていないので体感とは必ずしも一致しない。
備考 気象庁の統計種目にはない。
放射冷却 地表面の熱が放射によって奪われ気温が下がること。
ヒートアイランド現象 都市域の高温現象。人工熱や都市環境などの影響で都市域が郊外と比較して高温となる現象。
フェーン現象 湿った空気が山を越える時に雨を降らせ、その後山を吹き降りて、乾燥し気温が高くなる現象。または、上空の高温位の空気塊が力学的に山地の風下側に降下することにより乾燥し気温が高くなる現象。
大気の状態が不安定 局地的な対流活動が起こりやすいこと。上空に寒気が流れ込んだり、下層に暖かく湿った空気が入った場合に生じることが多い。
備考 「不安定な天気」は使用しない。
冬日 日最低気温が0度未満の日。
真冬日 日最高気温が0度未満の日。
夏日 日最高気温が25度以上の日。
真夏日 日最高気温が30度以上の日。
猛暑日 日最高気温が35度以上の日。
熱帯夜 夜間の最低気温が25度以上のこと。
備考 気象庁の統計種目にはない。
三寒四温 冬期に3日間くらい寒い日が続き、次の4日間くらい暖かく、これが繰り返されること。中国北部、朝鮮半島などに顕著な現象。
絶対温度 氷点下273.15度(℃)を0度(K)とした温度体系。
寒い 季節予報では、主に寒候期(10~3月)に気温が「低い」こと。
暑い 季節予報では、主に暖候期(4~9月、主に夏)に気温が「高い」こと。
暑さがしのぎやすい 備考 意味が曖眛なので発表文には使用しない。
暑さがぶり返す 暑さが戻る。
寒の戻り 3~4月に再び寒くなること。
残暑が厳しい 季節予報では、主に立秋(8月8日頃)から秋分(9月23日頃)までの間に気温が「高い」こと。
冷え込む 日中の暖かさに対し、朝や晩の気温の下がりが大きいこと。
暖かい 季節予報では、夏を除き気温が「高い」こと。
温暖な 備考 季節予報の発表文では「暖かい」と言い換える。
暑夏 夏(6~8月)平均気温が3階級表現で「高い」夏。
冷夏 夏(6~8月)平均気温が3階級表現で「低い」夏。
備考 冷害と結び付けて受け取られやすく、影響が大きいので使用に注意する。例えば、季節平均気温が「かなり低い」夏、あるいは顕著な冷害が発生した夏、またはそのおそれがある夏などに対して用いるなどの配慮が必要。
暖冬 冬(12~2月)平均気温が3階級表現で「高い」冬。
寒冬 冬(12~2月)平均気温が3階級表現で「低い」冬。
寒暖の変動が大きい 気温の高い期間と低い期間が交互に現れ、その差が大きいこと。
備考 「寒暖の」が適当でない場合には「気温の」と言い替える。
湿度に関する用語
用語 区分 説明
湿度 普通は相対湿度のこと。相対湿度は水蒸気量とそのときの気温における飽和水蒸気量との比を百分率で表したもの。
用例 a) 湿度が高(低)い。

b) 湿度が上(下)がる。 c) ××時の湿度。

最小湿度 通常は日最小湿度のこと(日界は0時)。
用例 ××日の最小湿度。
最低湿度 最小湿度。
日(月、年)平均湿度 日平均湿度は1時から24時まで毎正時の24回の観測値の平均。月(年)平均湿度は毎日(月)の平均湿度の月(年)間の平均。
実効湿度 木材の乾燥の程度を表す指数で、数日前からの湿度を考慮に入れて計算する。実効湿度が50~60%以下になると火災の危険性が高まる。
湿潤な(湿った)空気 湿度が高い空気で、目安として湿度がおよそ80%以上の状態をいう。
高温多湿な 温度が高く、湿っていること。
湿舌 梅雨前線帯などに見られる高度3km付近の舌状にのびた湿潤な領域。前線帯での対流活動により、下層の水蒸気が上空に運ばれた結果、形成される。
乾燥した(乾いた)空気 湿度が低い空気で、目安として湿度がおよそ50%未満の状態をいう。
水蒸気 気体の状態にある水分。
用例 空気中の水蒸気は・・・・・。
飽和する 相対湿度が100%の状態になること。
露点温度 水蒸気圧を一定にして温度を下げたとき、相対湿度が100%となる温度。空気中の水蒸気が凝結して露を結ぶ温度。

降水に関する用語[編集]

雨に関する用語
用語 区分 説明
用例 雨が降る(やむ)。(雪が)雨に変わる。

雨の日。雨の天気。

霧雨 微小な雨滴(直径0.5mm未満)による弱い雨。
雷雨 雷をともなう雨。
用例 雷雨がある。
備考 予報文では「雨(雪)で雷を伴う」という表現を用いることもある。
長雨 数日以上続く雨の天気。
備考 気象情報の見出しなどに用いる。
風雨 雨をともなった風。
備考 「風雨」は用いない。天気予報文では「風雨が強い」とはせずに、風と雨について個別に強さを示す。例えば、「~の風が強く、雨」。
地雨 雨量強度が一様で地域的にも降り方に偏りの少ない雨で、層雲系の雲から降ることが多い。
備考 一般的な用語でないので予報、解説には用いない。
夕立 備考 夏期のみに用いる。
ひょう 積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊。
雨もよう 雨や曇り、雨または曇り。
備考 「雨もよう」、「雪もよう」または「~もようの天気」などは意味がいろいろにとれるため用いない。
雨をみる 雨が降る。
雨がある 雨が降る。
備考 「雷雨」は「降る」と言わずに「ある」という。
雨のやみまがある 雨のやむとき(こと)がある。
雨があがる 雨がやむ。
雨が残る (雨の主体が通ったあと)しばらくの間、雨が降ること。
雨が小降りになる 雨の降り方が弱まること。
備考 「弱い雨」より弱くなる場合に用いる。
雨が本降りになる (弱い雨や断続的な雨から)雨の降り方が強まるか、または連続的になること。
雨域 雨の区域。
用例 雨域が移る。
雨天 雨の天気。
線状降水帯 次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域。
用例 ○○地域では、線状降水帯が形成され、集中豪雨となった。
備考 線状降水帯の多くは暖候期に発生し、大きな災害の要因となる集中豪雨を引き起こすことがある。
雨の強さに関する用語
用語 区分 説明
暴風雨 暴風に雨を伴うもの。
備考 「暴風」と「暴風雨」が混同される可能性がある(特に音声伝達の場合)ため、天気予報文としては用いず、風と雨について個別に強さを示す。

例えば、「××の風が非常に強く、雨も強く降る」。また、解説用語として音声で「暴風雨」を用いる場合は「暴風」と混同されないように、雨の強さを具体的に示すなどして用いる。

豪雨 著しい災害が発生した顕著な大雨現象。
用例 「○○豪雨に匹敵する大雨」等著しい災害が発生し命名された大雨災害の名称か、もしくは地域的に定着している災害の通称(例:東海豪雨)の名称を引用する形で用いる。一般に発表する予報や警報、気象情報等では、「豪雨」単独では用いない。
備考 a)著しい災害とは、激甚災害、命名された大雨災害。

b)既に命名された現象もしくはそれに匹敵する過去事象に対する使用に限定する。 c)命名の目安は「浸水家屋10000棟」等。

集中豪雨 同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨。
備考 積乱雲が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことにより起き、重大な土砂災害や家屋浸水等の災害を引き起こす。
局地的大雨 急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨。「局地的な大雨」とも言う。
備考 単独の積乱雲が発達することによって起き、大雨や洪水の注意報・警報が発表される気象状態でなくても、急な強い雨のため河川や水路等が短時間に増水する等、急激な状況変化により重大な事故を引き起こすことがある。
ゲリラ豪雨 局地的大雨、集中豪雨など。
雨の強さ 備考 予報用語でいう「雨の強さ」は、解説表に従って決めており、地上気象観測指針でいう「降雨強度」とは必ずしも対応しない。
弱い雨 1時間雨量が3mm未満の強さの雨。
備考 「弱い雨」は「小雨」を含む。
やや強い雨 1時間に10mm以上20mm未満の雨。
強い雨 1時間に20mm以上30mm未満の雨。
用例 ○○地方では5時から6時までの1時間に20mmの強い雨が降っています。
激しい雨 1時間に30mm以上50mm未満の雨。
用例 ○○市付近では1時間におよそ40mmの激しい雨となっています。
非常に激しい雨 1時間に50mm以上80mm未満の雨。
猛烈な雨 1時間に80mm以上の雨。
大雨 災害が発生するおそれのある雨。
備考 気象庁HPの過去の気象データ検索の天気概況については、該当期間に30mm以上の雨の場合に記述される。
小雨 数時間続いても雨量が1mmに達しないくらいの雨。
小雨がぱらつく 小雨が断続的に降る状態。
雨が強くなる 「強い雨」が降るようになること。
雨が激しくなる 「激しい雨」が降るようになること。
まとまった雨(雪) 季節予報で少雨(雪)の状態が続いているときに、一時的にせよその状態が緩和されると期待されるときに用いる。
備考 季節予報で用いる。
少雨傾向 備考 a) 季節予報では対象期間、対象地域のかなりの部分で降水量が「少ない」状態。

b) 明らかに少ない状態の場合は「傾向」は付加しない。

雪に関する用語
用語 区分 説明
用例 雪が降る。雪が積もる。雪が解ける。(雨が)雪に変わる。雪の日。雪の天気。
みぞれ 雨と雪が混在して降る降水。
備考 「みぞれ」を予報することは難しいので、予報文では「雨か雪」、「雪か雨」と表現することが多い。

天気分布予報や地域時系列予報では、「雨か雪」と「雪か雨」を合わせたものを「雨または雪」と表現する。

みぞれ混じりの雪(雨) みぞれ。
あられ 雲から落下する白色不透明・半透明または透明な氷の粒で、直径が5mm未満のもの。
備考 a) 直径5mm以上は「ひょう」とする。

b)「雪あられ」と「氷あられ」とがある。予報文では、「雪あられ」は雪、「氷あられ」は雨に含める。

凍雨 雨滴が凍って落下する透明の氷の粒。
備考 透明な氷粒であるが、予報文では「雪」として扱う。
細氷(ダイヤモンドダスト) 大気中の水蒸気が昇華し、ゆっくりと降下する微細な氷の結晶。
氷霧 微細な氷の結晶が大気中に浮遊して視程が1km未満となっている状態。予報では「霧」とする。
備考 「こおりぎり」と読む。
ふぶき 「やや強い風」程度以上の風が雪を伴って吹く状態。降雪がある場合と、降雪はないが積もった雪が風に舞上げられる場合(地ふぶき)とがある。
用例 ふぶく、ふぶきになる、ふぶきがおさまる。
備考 視程の障害を伴う。

(吹雪)とも書く。

地ふぶき 積もった雪が風のために空中に吹き上げられる現象。
用例 地ふぶきのため見通しが悪い。
備考 (地吹雪)とも書く。

(非常に)風が強く、地ふぶきによる視程障害や吹きだまりによる交通障害の発生する可能性がある場合には、暴風雪警報、風雪注意報を発表する。

猛ふぶき 強い風以上の風を伴うふぶき。
備考 著しい視程の障害を伴う。

(猛吹雪)とも書く。

風雪 雪を伴った風。
ホワイトアウト 視界が白一色になる現象であり,吹雪や降雪時において、視程より近い距離に雪以外に識別できる地物が無い状況。
備考 ホワイトアウトにより方向感覚がなくなり、自分の位置がわからなくなる。
しぐれ 大陸からの寒気が日本海や東シナ海の海面で暖められて発生した対流雲が次々に通るために晴れや曇りが繰り返し、断続的に雨や雪の降る状態。「通り雨」として用いられる場合もある。
用例 北陸地方ではしぐれる。
備考 主に晩秋から初冬にかけて、北陸から山陰地方や九州の西岸などで使われる。関東地方では後者の意味で用いられる。
山雪 山地に比較的多く降る雪。
里雪 山地に加えて平野部でも多く降る雪。
備考 「山雪」、「里雪」は北陸を中心に使われており、季節風による雪の降り方を表す。
着氷(船体着氷) 水滴が地物に付いて凍結する現象。海上で低温と風により波しぶき、雨や霧が船体に付着し、凍結する現象を特に「船体着氷」という。
備考 航空機にも発現する場合がある。
着雪 湿った雪が電線や樹木などに付着する現象。
落雪 屋根等に積もった雪が落下すること。
備考 大雪や、気温が上昇し雪解けが進むようなとき、天気概況や気象情報の本文で、「屋根からの落雪にも注意してください」等の表現で使用する。
融雪 積雪が大雨や気温の上昇により解ける現象。
備考 風が強いと解けやすくなる。
湿り雪 含水率の大きい雪。大きな雪片となりやすく、着雪の被害を起こしやすい。
備考 予報用語としては、「湿った(重い)雪」などの平易な用語を用いる。ただし、北日本など「湿り雪」という用語が一般に浸透している所では用いることもある。
なだれ 山などの斜面に積もった雪が、重力により崩れ落ちる現象。表層なだれと全層なだれとがある。
雪の強さに関する用語
用語 区分 説明
暴風雪 暴風に雪を伴うもの。
用例 暴風雪となる。
備考 「暴風雪がおさまる」は、解釈上曖眛さを生じるので解説する場合は雪と風を分けて述べることが望ましい。例えば、「非常に強い風はおさまるが、雪は降り続く」。
豪雪 著しい災害が発生した顕著な大雪現象。
用例 昭和38年1月豪雪、平成18年豪雪。
備考 豪雨に準じた用い方をする。
大雪 大雪注意報基準以上の雪。季節予報および天候情報においては、数日以上にわたる降雪により、社会的に大きな影響をもたらすおそれのある雪。
備考 気象庁HPの過去の気象データ検索の天気概況については、該当期間に北海道内の気象官署と青森、秋田、盛岡、山形、新潟、金沢、富山、長野、福井、鳥取および松江の各官署においては概ね20cm以上、その他の官署では概ね10cm以上の降雪の場合に記述される。
強い雪 降雪量がおよそ3cm/h以上の雪。
弱い雪 降雪量がおよそ1cm/hに達しない雪。
小雪 数時間降り続いても、降水量として1mmに達しない雪。
備考 北日本や日本海側の地方で「小雪」の表現が適切でないときは、「雪」の表現を用いることもある。
小雪がちらつく 微量の雪が降ること。
雨、雪の量的表現に関する用語
用語 区分 説明
雨量 用例 総雨量。××日の雨量。
備考 雨量を観測(予報)した時間または時刻を明確にする。
降水量 備考 雨と雪の場合を一括して扱うときに用いる。
××時間雨量 用例 ××時までの××時間雨量。
××時間降水量 用例 ××時までの××時間降水量。
日雨量 用例 ××日の日雨量は××ミリ(日界は0時)。
雨日数 備考 a) 音声伝達では「雨の降った日数」を用いる。

b) 雨量の基準値を明確にして「××mm以上の雨の降った日数」のように用いる。 c) 季節予報では、日降水量10mm以上の日数を「雨日数」としている。

雪日数 備考 a) 音声伝達では「雪の降った日数」を用いる。

b) 降雪量の基準値を明確にして「××cm以上の雪の降った日数」のように用いる。

降雪 用例 降雪がある。降雪の深さ。
備考 やや専門的な用語なので「雪が降る」などの説明を付ける。
降雪の深さ 一定の期間内に積もった雪の深さ(cm単位)。
備考 期間を明記する。府県気象情報等ではアメダスの積雪深計についても積雪差の正の値の合計を「降雪の深さ」として用いる。
降雪量 降雪の深さ(cm単位)。
××時間降雪量 用例 ××時までの××時間降雪量。
積雪の深さ 積もった雪の深さ(cm単位)。
積雪 地表面などに堆積している雪やあられ。
備考 「積雪0cm」とは、露場(観測を行う場所)の地面の半ば以上を雪が覆う現象。「積雪なし」とは、露場の地面に雪が全くないか、または半ば以上を覆っていない状態。
新積雪 降雪の深さ。
最深積雪 用例 この冬(××年)の最深積雪は××センチ。
積雪量 備考 音声伝達でわかりにくいので使用しない。
「積雪の深さ(cm単位)」を用いる。
にわか雨(雪)に関する用語
用語 区分 説明
所によりにわか雨 備考 しゅう雨性の雨と特定できる場合に用いる。
所により一時雨 備考 しゅう雨性以外の雨またはしゅう雨性の雨と特定できない場合に用いる。
にわか雨 降水が地域的に散発する一過性の雨。
備考 「にわか雨」のなかには「一時的に降る雨」という意味が含まれているので、冬期の日本海側において、対流雲が次々と通り、晴れとしゅう雨(雪)が繰り返すような現象に対しては「にわか雨(雪)」は用いない。
時々にわか雨 時々雨または、時々小雨。
備考 「にわか雨」のなかには「一時的に降る雨」という意味が含まれている。
にわか雪 降水がしゅう雪性であって、地域的に散発する一過性の雪。
備考 「にわか雪」のなかには「一時的に降る雪」という意味が含まれている。
時々にわか雪 時々雪、または時々小雪。
しゅう雨 対流性の雲から降る雨。
備考 a) 音声伝達では「にわか雨」、「雨」を用いる。

b) 広域の長時間にわたる「しゅう雨」は「雨」とする。

しゅう雪 対流性の雲から降る雪。
備考 a) 音声伝達では「にわか雪」、「雪」を用いる。

b) 広域の長時間にわたる「しゅう雪」は「雪」とする。

氷・霜・霧・雷・日照時間に関する用語[編集]

氷に関する用語
用語 区分 説明
用例 初氷、海氷、流氷。
結氷 備考 a) 予報用語としては「氷がはる」を用いる。

b) 湖、川、海岸などの固有名詞を付す場合には用いることもある。

用例 諏訪湖の結氷。
解氷 備考 予報用語としては「氷がとける」を用いる。
霜に関する用語
用語 区分 説明
用例 霜がおりる。
霜が降る 霜がおりる。
霜がある 霜がおりる。
弱い霜 植物の葉などの限られた部分にしか認められない程度の霜。
備考 晩霜の時期には「弱い霜」でも霜害を引き起こすことがある。
うす霜 弱い霜のこと。
強い霜 畑の植物や地面が一面に白く見えるような霜。
初霜 秋から冬にかけて初めておりる霜。
はや霜(早霜) 秋の季節外れに早い霜。農作物に被害が出ることがある。
備考 音声伝達では「はや霜」を用いる。
おそ霜

(遅霜、晩霜)

晩春から初夏にかけての霜。農作物に被害が出ることが多い。
備考 音声伝達では「おそ霜」を用いる。
霧や視程に関する用語
用語 区分 説明
視程 水平方向での見通せる距離。
備考 a) 音声伝達では「見通し」を用いる。

b) 方向によって異なる場合は、通常、最小の距離をいう。

微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態。
用例 霧が発生する。霧が薄く(濃く)なる。
濃霧 視程が陸上でおよそ100m、海上で500m以下の霧。
備考 濃霧注意報と同一基準で用いる。濃霧注意報の基準は地方によって多少異なる。
もや 微小な浮遊水滴や湿った微粒子により視程が1km以上、10km未満となっている状態。
かすみ 備考 気象観測において定義がされていないので用いない。
煙霧 乾いた微粒子により視程が10km未満となっている状態。
黄砂 アジア内陸部の砂漠や黄土高原などで強風によって上空に舞い上がった多量の砂じんが、上空の風で運ばれ、徐々に降下する現象。春に観測されることが多い。
用例 黄砂現象があった。黄砂を観測した。
雷に関する用語
用語 区分 説明
雷電(雷鳴および電光)がある状態。
備考 電光のみは含まない。
用例 雷が発生する。雷が鳴る。落雷。
強い雷 落雷を伴うような雷。
激しい雷雨 「強い雷」や「雷を伴った激しい雨」のように雨の強さに応じた表現とする。
備考 激しいのは雷なのか雨なのかわかりにくいので用いない。
雷雲 すでに雷を伴っているか、または発生させる可能性がある雲(積乱雲)。
界雷 前線付近で発生する雷。
熱雷 夏期、強い日射により局地的に発生する雷。
熱界雷 熱雷と界雷が複合したもの。
備考 「熱的界雷」も同じ意味。
うず雷 低気圧や台風の中心付近の強い上昇流で発生する雷。
雷。
日照時間に関する用語
用語 区分 説明
日照時間 直射日光が雲などに遮られずに0.12kw・m -2 以上で地表を照射した時間。×.×時間とあらわす。
日照不足 日照時間が少ない状態が続くこと。農作物の生育に影響を及ぼすことがある。

海氷に関する用語[編集]

海氷に関する用語
用語 区分 説明
海氷 海に浮かぶ氷の総称。
備考 国際的には海水が凍結したものを海氷と分類し、氷山など淡水由来の氷と区別することもある。
定着氷 海岸に定着している海氷。
流氷 海氷のうち、海を流れ漂い、海岸に定着していないもの。
備考 国際的にはこのうち海水が凍結したものだけを流氷とすることもある。
新成氷 結氷により新しく生成した氷。
密接度 海氷域内のある領域を対象として、氷に覆われている海面の割合。
用例 ○○沖では、海氷の密接度が高く、船舶の航行は困難である。
海氷域 海氷のある海域で、密接度1/10以上。
開放水面 航行可能な広い海域で、その中に海氷があっても密接度は1/10未満。
水路 海氷域の中で、船舶の航行が可能な割れ目や狭い通路。
沿岸の海氷現象に関する用語
用語 区分 説明
流氷初日 視界外の海域から漂流してきた流氷が、視界内の海面で初めて見られた日。
流氷終日 視界内の海面で流氷が見られた最後の日。
流氷期間 流氷初日から流氷終日までの期間。
全氷量 観測地点における視界内の全海域(港内を含める)に対して、海氷の占める割合。10分位で表す。
流氷接岸初日 流氷が接岸、または定着氷と接着して沿岸水路が無くなり船舶が航行できなくなった最初の日。
海明け 全氷量が5以下になり、かつ沿岸水路ができて船舶の航行が可能になった最初の日。

季節現象に関する用語[編集]

季節現象
用語 区分 説明
季節現象 ある季節にだけ現れ、その季節を特徴づける生物活動や大気・地面の現象。梅雨、春一番、桜の開花、秋雨、初霜、初雪、初氷、初冠雪など。
春の訪れが早(遅)い 備考 a) 季節予報では、3月の平均気温が「高い(低い)」と予想されるとき。

b) 3か月予報で用いる。

春めく 備考 意味が曖眛なので発表文には使用しない。
菜種梅雨 菜の花の咲く頃の長雨。
桜前線 桜の開花日の等期日線。
花曇り 桜の咲く頃の曇り。
備考 通俗的な用語のため予報、解説には用いない。
さみだれ 梅雨期の雨(旧暦五月の雨、「五月雨」と書く)。
備考 通俗的な用語のため予報、解説には用いない。
さつき晴れ 5月の晴天。
備考 本来は旧暦の5月(さつき)からきたことばで、梅雨の合間の晴れのことを指していた。
梅雨 晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間。
備考 梅雨前線のように「ばいう」と読む場合もあるが、単独では「つゆ」と読む。
梅雨のような天候 備考 いずれも意味が曖眛である。気温、降水量などを具体的に示して用いる。
梅雨らしい 備考
顕著な梅雨 備考
梅雨のはしり 梅雨に先立って現れるぐずついた天気。
梅雨入り 梅雨の期間に入ること。
梅雨入り(明け)の発表 備考 数日から一週間程度の天候予想に基づき、地方予報中枢官署が気象情報として発表する。情報文には予報的な要素を含んでいる。「梅雨入り(明け)の宣言」は使用しない。
入梅 梅雨入り。
梅雨の中休み 梅雨期間の中で現れる数日以上の晴れ、または曇りで日が射す期間。
梅雨寒 梅雨期間に現れる顕著な低温。
備考 通俗的な用語のため予報、解説には用いない。
陽性の梅雨 強い雨が降ったかと思うと晴天が現れたりするような、雨の降り方の変化が激しい梅雨。気温は高めになることが多い。
備考 意味が曖昧なので予報、解説には用いない。
陰性の梅雨 あまり強い雨にはならないが、曇りや雨の天気が長く続く梅雨。気温は低めになることが多い。
備考 意味が曖昧なので予報、解説には用いない。
空梅雨 梅雨期間に雨の日が非常に少なく、降水量も少ない場合をいう。
梅雨明け 梅雨の期間が終わること。
出梅 梅雨明け。
梅雨の戻り 梅雨明け後に現れるぐずついた天気。
秋の訪れが早(遅)い 備考 a) 季節予報では、9月の平均気温が「低(高)い」)と予想されるとき。

b) 3か月予報で用いる。

秋めく 備考 意味が曖眛なので発表文には使用しない。
秋雨 秋に降る雨、長雨になりやすい。
備考 a) おおむね、8月後半から10月にかけての現象だが、地域差がある。

b) 季節予報では主に解説などで用いる。予報文では「曇りや雨の日が多い」などとする。

秋雨模様の天気 備考 意味が曖眛なので用いない。
秋の長雨 9月頃に現れる長雨(曇りの日があってもよい)。
秋りん 秋の長雨。
秋晴れ 秋のよく晴れわたった天気。
紅葉前線 カエデの紅葉日の等期日線。
小春日和 晩秋から初冬にかけての暖かく穏やかな晴天。
冬の訪れが早い 備考 a)季節予報では、11月の平均気温が「低い」と予想されるとき。

b)寒候期予報および3か月予報で用いる。

初雪 8月1日から翌年の7月31日までに初めて降る雪。みぞれでもよい。
初冠雪 8月1日から翌年の7月31日までに山麓の気象官署から見て、山頂付近が初めて積雪などで白く見えること。
根雪 冬の期間中に積もった雪が、長期間消えずに残っている状態。
備考 a)積雪の継続期間は30日以上とする。

b)気象庁の統計では「長期積雪」という。

終雪 この冬最後に降る雪。みぞれでもよい。
備考 「初雪」に相対する用語だがあまり一般的ではない。
終雪日 冬から春にかけて、一番最後に雪の降った日。
備考 専門的な用語のため予報、解説には用いない。

表現に関する用語[編集]

用語 区分 説明
高め(低め)、多め(少なめ) 高い(低い)、多い(少ない)と同じ意味。
備考 発表文では高い(低い)、多い(少ない)を用いる。
早い、並、遅い 備考 気象現象の発現の平年や昨年との比較に用いる。
高い(低い) 備考 気温の階級表現に用いる。 高温(低温)と表現する場合がある。
多い(少ない) 備考 a) 降水量・日照時間・降雪量などの階級表現に用いる。 多雨(少雨)、多照(寡照)、多雪(少雪)と表現する場合がある。

b) 晴れ・雨などの天気日数の表現に用いる場合は、平年との違いを明確にする。単に「多い(少ない)」とする場合は、対象期間の1/2より多い(少ない)ことを示す。

平年並 備考 気温・降水量・日照時間などの階級表現に用いる。
平年差(比)の階級表現
階級区分
用語 累積相対度数(全体を1とする割合) 生起確率(全体を1とする割合) 備考
低い(少ない) 0以上 1/3以下 1/3 季節予報や週間天気予報では、累積相対度数が0以上1/10以下を「かなり低い(少ない)」と表す
平年並 1/3を超えて2/3以下 1/3
高い(多い) 2/3を超えて1以下 1/3 季節予報や週間天気予報では、累積相対度数が9/10を超えて1以下を「かなり高い(多い)」と表す
備考 気温、降水量、日照時間について、平年との違いの程度を表す場合に使用する。

階級区分の基準は、次に示す累積相対度数および生起確率の範囲による。累積相対度数が0以上1/10以下または9/10を超えて1以下の状態をかなりの確度で予測できるときは、予報文の中でそれぞれ「かなり低い(少ない)」または「かなり高い(多い)」を用いることがある。

季節予報における確率表現 季節予報における確率予報では「低い(少ない)」、「平年並」、「高い(多い)」の3つの階級について、それぞれの予想される確率を表現している。
備考 気候値予報では、各階級の確率はそれぞれ1/3、1/3、1/3であり、これを「気候的出現率」という。
平年との比較の表現
用語 区分 説明
平年に比べ 用例 a) 晴れの日は平年に比べて多い。

b) 平年に比べて(平年よりも)低気圧や前線の影響を受けやすい。

備考 天気日数などの出現率が平年よりも大きい(小さい)場合や天候の特徴が平年と異なる場合などに用いる。
平年と同様に 用例 a) 晴れの日は平年と同様に多い。

b) 平年と同様に天気は数日の周期で変わる。

備考 天気日数などの出現率や天候の特徴が平年と同じ場合などに用いる。
地域平均気温平年差 地域ごとの気温平年差を平均して算出した値。
備考 欠測地点などがあることを考慮し、地域平均気温は算出していない。
地域平均降水量平年比 地点ごとの降水量平年比を平均して算出した値。
備考 欠測地点などがあることを考慮し、地域平均降水量は算出していない。
地域平均日照時間平年比 地点ごとの日照時間平年比を平均して算出した値。
備考 欠測地点などがあることを考慮し、地域平均日照時間は算出していない。
平年偏差図 平年値からの差を表示した天気図。

平年値を上回る領域を「正偏差域(場)」、下回る領域を「負偏差域(場)」という。

その他の表現
用語 区分 説明
(~の)おそれ 大雨(雪)、霜などの現象が起こる可能性が高いこと。
備考 災害が起こりそうな時に限定して用いる。
比較的 備考 ある現象が現れやすいが、その程度が弱い場合に用いる。平年と比較する時はその旨明記する。
~しやすい 備考 季節予報の予報文では「~の日が多い」と言い換える。
目立つ 備考 言い回しが適当でないので発表文には用いない。

気象災害に関する用語[編集]

用語 区分 説明
気象災害 大雨、強風、雷などの気象現象によって生じる災害。
備考 風害、大雨害、大雪害、雷害、ひょう害、長雨害、干害、なだれ害、融雪害、着雪害、落雪害、乾燥害、視程不良害、冷害、凍害、霜害、塩風害、寒害、日照不足害など。
重大な災害 被害が広範囲に及ぶ、または被害の程度が激甚であり、地域がその社会の一般的な規範(社会通念)によって「重大」と判断するような災害。
備考 そのような災害が起こるおそれがあるときの気象状況が警報の対象となる。
異常気象 一般に、過去に経験した現象から大きく外れた現象または状態のこと。気象庁では、気温や降水量などの異常を判断する場合、原則として「ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節等)において30 年間に1 回以下の出現率で発生する現象」を異常気象としている。
二次災害 大規模な災害の後に、ある時間間隔をおいて副次的に発生する災害。
風害 強風や竜巻によって引き起こされる災害。広義には塩風害や乾風害も含める。
大雨害 大雨や強雨が原因となって起こる災害。
大雪害 比較的短期間の多量の降雪によって起こる災害。
洪水害 洪水によって引き起こされる災害。
浸水害 浸水によって引き起こされる災害。
土砂災害 降雨、地震及び火山噴火等による土砂の移動が原因となる災害。
落雪害 落雪によって起こる災害。
備考 平成18年豪雪では、落雪により多数の死者が出た。
雷害 落雷や降ひょうによって起こる災害。
ひょう害 降ひょうによって起こる災害。
長雨害 長雨や湿度の高い日が何日も続くことにより農作物などに起こる災害。
干害 長期間にわたる降水量の不足によって農作物などに起こる災害。
備考 音声伝達時には「寒害」と混同しないように注意。
なだれ害 なだれによって起こる災害。
融雪害 融雪が原因となって起こる災害。
着雪害 電線などに降雪が付着することによって起こる災害。
乾燥害 空気の乾燥によって起こる災害。
視程不良害 霧、雨、雪などによる視程不良が原因となって交通機関などに起こる災害。
冷害 7~8月を中心とした暖候期の低温によって農作物に起こる災害。
凍害 冬期の低温によって、水が凍ることに伴い起こる災害。
霜害 主に、春秋期の降霜によって農作物などに起こる災害。
高潮害 台風や発達した低気圧の接近に伴い、海水面が上昇し海水が陸地に浸入して起こる災害。
異常潮害 台風などによる高潮や津波以外の潮位の異常によって起こる災害。
塩風害 海上からの強風により運ばれた塩分粒子により植物や送電線などに起こる災害。
備考 「塩害」を用いることもある。
波浪害 高波のために海岸や海上で起こる災害。
船体着氷害 冬期、船の上部に氷が着くことによって起こる災害。
水害 大雨や強雨、あるいは融雪水が原因となって起こる災害の総称。
風水害 強風と大雨および高潮、波浪により起こる災害の総称。
寒害 冬期、低温によってひき起こされる災害の総称。
熱中症 高温、多湿、風が弱いなどの環境や、激しい労働や運動によって体にたまる熱などに体が十分に対応できず体内の水分や塩分のバランスが崩れ、また体温の調節機構が破綻するなどの原因で起こる症状の総称。
用例 ○○では、今日日中の予想最高気温は××度になる見込みです。熱中症などに注意してください。

河川・洪水・大雨浸水・地面現象に関する用語[編集]

河川に関する用語
用語 区分 説明
水系 同じ流域内にある本川、支川、派川、およびこれらに関連する湖沼を総称したもの。
本川(幹川) 流量、長さ、流域の広さなどから、その水系のなかで一番大きい河川。
支川 本川に合流する河川。本川へ直接合流する川を一次支川、一次支川へ合流する川を二次支川と区別する場合がある。
派川 本川から分かれて流れる河川。
流域 降雨や降雪がその河川に流入する地域。
備考 洪水予報では、水位を予測する基準地点に流入する水量を推算するための領域を指す。
流域平均雨量 河川の流域ごとに面積平均した実況及び予想の雨量。河川の洪水と関係がある。
流路延長 水源から河口までの距離。
備考 一般には、水源の代わりにはっきりした水路になっている地点が始点として採用されている。
基準地点 その河川を代表して水位、流量を観測・予報する地点。大きな河川は複数の基準地点を持つ。
天井川 川底が周辺の土地より高くなっている河川。
右岸、左岸 河川の上流から下流に向かって右側の岸を右岸、左側の岸を左岸という。
一級水系 国土の保全上、国民の経済上特に重要な水系で政令で指定したもの。
備考 一級河川、準用河川、普通河川より成る。
二級水系 一級水系以外の水系で公共の利害に重要な関係がある水系。
備考 二級河川、準用河川、普通河川より成る。
単独水系 一級、二級水系以外の水系。
備考 準用河川、普通河川より成る。
一級河川 一級水系のうち国土交通大臣が指定し、管理を行う河川。
二級河川 二級水系のうち都道府県知事が指定し、管理を行う河川。
準用河川 一級河川、二級河川以外の河川で市町村長が指定し、管理を行う河川。
普通河川 一級河川、二級河川、準用河川以外のすべての小河川で、地方公共団体が管理を行う河川。
大臣管理区間 一級河川のうち国土交通大臣が直接管理する区間。
備考 「指定区間外区間」ともいう。
知事管理区間 一級河川のうち国土交通大臣の指定により都道府県知事に通常の管理を委任している区間。
備考 指定都市の長に管理を委任する区間と併せて「指定区間」ともいう。
洪水予報指定河川

(指定河川)

水防法の規定により、洪水により重大又は相当な損害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣又は都道府県知事が指定し、気象庁長官と共同して洪水予報を実施する河川。
備考 気象庁においては、誤解の生じない範囲において「指定河川」と略称することもある。
洪水、大雨浸水に関する用語
用語 区分 説明
水位 河川水面の高さ。
平常水位 増水や渇水をしていないときのふだんの水位。
通報水位 増水時に通報を始める水位。水防団待機水位と同じ。
「水防団待機水位」に言い換える。
警戒水位 増水時に災害が起こるおそれがある水位。氾濫注意水位と同じ。
「氾濫注意水位」に言い換える。
危険水位 基準地点の受け持つ予報区域において、氾濫のおそれが生ずる水位。氾濫危険水位と同じ。
「氾濫危険水位」に言い換える。
計画高水位(けいかくこうすいい) 堤防などを作る際に洪水に耐えられる水位として指定する最高の水位。
最高水位 ある地点の、ある増水時の最も高い水位。
水防団待機水位 水防団が待機する水位。住民に行動を求めるレベルではない。
氾濫注意水位 増水時に災害が起こるおそれがある水位。河川の氾濫の発生に注意を求めるレベルに相当する。
備考 洪水予報指定河川では、水位が氾濫注意水位に到達し、さらに上昇する場合に○○川氾濫注意情報を発表する。
避難判断水位 住民に対し氾濫発生の危険性についての注意喚起を開始する水位。市町村長の避難準備・高齢者等避難開始の発表判断の目安。
備考 洪水予報指定河川では、避難判断水位に到達し、さらに上昇が見込まれる場合、あるいは一定時間後に氾濫危険水位に到達が見込まれる場合に○○川氾濫警戒情報を発表する。
氾濫危険水位 洪水により相当の家屋浸水等の被害を生ずる氾濫の起こるおそれがある水位。市町村長の避難勧告等の発令判断の目安。
備考 洪水予報指定河川では、水位が氾濫危険水位に到達した場合には、○○川氾濫危険情報を発表する。
洪水特別警戒水位 水防法の規定により、洪水予報指定河川以外の河川で、水位周知を行う河川において、洪水による災害の発生を特に警戒すべきとして設定された水位。市町村長の避難勧告等の発令判断の目安。
流量 川のある断面を単位時間に流れる水の量。
出水 大雨や融雪などにより川の水量が増大すること。
「増水」に言い換える。
増水 平常の水位よりも水かさが増すこと。
溢水(いっすい) 河川の水があふれ出ること。
「氾濫」または「水があふれる」に言い換える。
越水(えっすい) 河川の水が堤防を越えてあふれ出ること。
「氾濫」または「水があふれる」に言い換える。
浸水 ものが水にひたったり、水が入りこむこと。
用例 床下浸水。低地の浸水。
冠水 農地や作物、道路が水をかぶること。
決壊 河川の増水により、堤防が壊れること。
破堤 河川の増水により、堤防が壊れること。
「決壊」に言い換える。
氾濫 河川の水がいっぱいになってあふれ出ること。
外水氾濫 河川の水位が上昇し、堤防を越えたり破堤するなどして堤防から水があふれ出ること。
備考 単に「氾濫」ともいう。外水氾濫の対語として、河川外における排水困難で浸水することを「内水氾濫」ともいう。
内水氾濫 河川の水位の上昇や流域内の多量の降雨など(要因によって湛水型とか氾濫型等の表現も用いる)により、河川外における住宅地などの排水が困難となり浸水すること。
備考 内水氾濫の対語として、河川の氾濫を「外水氾濫」ともいう。
表面雨量指数 短時間強雨による浸水害のリスクの高まりを把握するための指標。
備考 降った雨が地中に浸み込まずに、どれだけ地表面に溜まっているかを指数化したもの。

これまでに降った雨(解析雨量)及び今後降ると予想される雨(降水短時間予報等)をもとに、全国くまなく1km四方の領域ごとに算出する。 大雨警報(浸水害)等の判断基準に用いており、表面雨量指数を用いて浸水害発生の危険度を判定した結果は「大雨警報(浸水害)の危険度分布」で確認できる。 詳細は こちら を参照。

大雨警報(浸水害)の危険度分布 短時間強雨による浸水害発生の危険度の高まりを、地図上で1km四方の領域ごとに示す情報。
備考 大雨警報(浸水害)等が発表されたときに、どこで危険度が高まるかを面的に確認することができる。

1時間先までの表面雨量指数の予測値が大雨警報(浸水害)等の基準に到達したかどうかで、浸水害発生の危険度を5段階に判定し、色分け表示している。常時10分毎に更新している。 詳細は こちら を参照。

洪水 河川の水位や流量が異常に増大することにより、平常の河道から河川敷内に水があふれること、及び、堤防等から河川敷の外側に水があふれること。
備考 水文学における「洪水」の定義では、降雨や融雪などにより河川の水位や流量が異常に増大すること。
融雪洪水 流域内の積雪が、大量に解けて引き起こされる洪水。4~5月頃に大雨や気温の急上昇などとともに起こることが多い。
流域雨量指数 河川の上流域に降った雨によって、どれだけ下流の対象地点の洪水害のリスクが高まるかを把握するための指標。
備考 降った雨が、地表面や地中を通って河川に流れ出し、さらに河川に沿って流れ下る量を指数化したもの。

内閣府「避難勧告等に関するガイドライン」(平成29年1月)では、6時間先までの「流域雨量指数の予測値」を用いた避難準備・高齢者等避難開始及び避難勧告の発令基準が例示されている。 これまでに降った雨(解析雨量)及びこれから降ると予想される雨(降水短時間予報等)をもとに、国土数値情報に登録された全国約20,000の河川について1km四方の領域ごとに算出する。 洪水警報等の判断基準に用いており、流域雨量指数を用いて洪水害発生の危険度を判定した結果は「洪水警報の危険度分布」で確認できる。 詳細は こちら を参照。

洪水警報の危険度分布 指定河川洪水予報の発表対象ではない中小河川(水位周知河川及びその他河川)の洪水害発生の危険度の高まりを、地図上で概ね1kmごとに示す情報。
備考 洪水警報等が発表されたときに、どこで危険度が高まるかを面的に確認することができる。

3時間先までの流域雨量指数の予測値が洪水警報等の基準に到達したかどうかで、洪水害発生の危険度を5段階に判定し、色分け表示している。常時10分毎に更新している。 詳細は こちら を参照。

地面現象に関する用語
用語 区分 説明
地すべり 斜面の一部あるいは全部が地下水の影響と重力によってゆっくりと斜面下方に移動する現象。

(風水害情報ガイドブックより)

山崩れ 山地の斜面の土砂や岩石が急激に移動する現象で、大雨や融雪が原因となる場合が多い。地震が原因となることもある。
崖崩れ 降雨時に地中にしみ込んだ水分により不安定化した斜面が急激に崩れ落ちる現象。

(風水害情報ガイドブックより)

土砂崩れ 山崩れ。がけ崩れ。
土石流 山腹、谷底にある土砂が長雨や集中豪雨などによって一気に下流へと押し流される現象。

(風水害情報ガイドブックより)

先行降雨 山崩れ、がけ崩れにおいては数日前からの降水が原因となることがある。ある時刻に影響を与える過去の降水量をいう。時間的に厳密な定義はないが1日より前を対象にすることが多い。

前日までに降った大雨によって土が湿っているときなどに「先行降雨の影響で山崩れやがけ崩れの発生のおそれが高くなっている」などと表現する。

山津波 土石流のうち規模の大きいもの。
「土石流」に言い換える。
鉄砲水 短時間の強い雨などにより谷川の水位が急上昇し水流が堰を切ったように押し出すこと。土石流や都市河川の急激な増水をいうこともある。

大気汚染に関する用語[編集]

用語 区分 説明
大気汚染 自然または人工的に作り出された有害物質によって大気が汚染されること。
光化学大気汚染 光化学オキシダントによる大気汚染。
スモッグ 高濃度の汚染物質により視程が悪くなる状態。もともとは、煙(Smoke)と霧(Fog)の合成語。
備考 大気汚染では霧の存在とは関係なく、高濃度の大気汚染の場合に使われている。ばい煙と霧による場合はロンドン型スモッグ、光化学オキシダントによる場合はロスアンゼルス型スモッグと呼ばれる。
光化学オキシダント 大気中の炭化水素と窒素酸化物の光化学反応から二次的に生成される酸化性物質で、オゾン、パーオキシアセチルナイトレート(PAN)などが含まれる。刺激性があり、人や動植物に悪影響を与える。
光化学スモッグ 大気が安定で、風が弱く、日射が強く、気温が高いなどの気象条件下で、光化学反応により地表付近の光化学オキシダント濃度が高くなるようなときに視程が悪くなる現象。
酸性雨 大気中の窒素酸化物や硫黄酸化物などの酸性物質が溶けこむことにより酸性度が強くなった降水。
大気汚染物質 窒素酸化物、硫黄酸化物、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質、炭化水素など、人や動植物に悪影響を与える大気中の汚染物質。
硫黄酸化物 硫黄と酸素との化合物で二酸化硫黄(亜硫酸ガス)を主とし、三酸化硫黄などを含む総称(SOxと書くこともある)。酸性雨の原因物質の一つ。
窒素酸化物 窒素と酸素との化合物で一酸化窒素や二酸化窒素などの総称(NOxと書くこともある)。それ自体強い毒性を持ち、光化学オキシダント、酸性雨の原因物質の一つ。
炭化水素 炭素と水素からなる化合物の総称で、大気中で光化学反応により諸種の物質を生ずる。光化学オキシダント生成の原因物質の一つ。
オゾン 酸素原子3個からなる気体。
備考 オゾン(O 3 )は主として成層圏に多く分布するが、大気汚染の分野で問題とするものは、下層大気中の光化学オキシダントの主成分としてのオゾン。
光化学スモッグ注意報 地方自治体が大気汚染緊急時対策として「発令」する措置の一つ。「光化学スモッグ注意報」のほか予報・警報などがある。
備考 「光化学オキシダント注意報」としている自治体もある。東京都の場合は、学校関係を対象とする「光化学スモッグ学校情報」も発令している。
硫黄酸化物注意報 地方自治体が大気汚染緊急時対策として「発令」する措置の一つ。硫黄酸化物注意報のほか、予報・警報などがある。
大気汚染気象 大気汚染に関連する気象。
スモッグ気象情報 大気汚染気象に関して担当する気象官署が一般及び関係機関に対して注意喚起のために発表する情報。
全般スモッグ気象情報 全国を対象として、翌日に光化学スモッグの発生しやすい気象状態が予想される場合に気象庁本庁が一般及び関係機関に対して発表する情報。
大気汚染気象ポテンシャル 気象条件による高濃度な大気汚染の発生の可能性。
用例 気温が高く、風が弱いため、大気汚染気象ポテンシャルが高い。
最大混合層高度(MMD) 地表付近で大気中に排出された汚染物質が大気の乱れや対流活動で鉛直方向に運ばれ、周囲との混合・希釈が行われる高さを混合層高度という。最高気温の出る日中に最も高くなり、この高さを最大混合層高度という。混合層高度が低く、風が弱いと汚染物質が地表付近に溜りやすい。Maximum Mixing Depthの略。
バックグランド汚染 自然または人工的に作り出された有害物質が放出され時間とともに拡散することによる低濃度の常時観測される残留汚染。

地域名・地名[編集]

全般気象情報などに用いる地域名(台風情報は除く)
用語 区分 説明
日本近海 地方海上予報区の範囲を指す。
北日本 北海道、東北地方。
北日本日本海側 北海道の日本海側とオホーツク海側(宗谷南部)、東北日本海側。
北日本太平洋側 北海道の太平洋側とオホーツク海側(網走・北見・紋別地方)、東北太平洋側。
東日本 関東甲信、北陸、東海地方。
東日本日本海側 北陸地方。
東日本太平洋側 関東甲信、東海地方。
西日本 近畿、中国、四国、九州北部地方、九州南部。
西日本日本海側 近畿日本海側、山陰、九州北部地方。
備考 季節予報の降雪量予報には九州北部地方は含まない。
西日本太平洋側 近畿太平洋側、山陽、四国、九州南部。
沖縄・奄美 鹿児島県奄美地方、沖縄地方。
本州付近 東北地方、東日本、西日本とその周辺海域。
中部地方 甲信、北陸、東海地方。
北海道地方 北海道全域。
東北地方 青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県。
関東甲信地方 東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、茨城県、千葉県、神奈川県、長野県、山梨県。
東海地方 静岡県、岐阜県、三重県、愛知県。
北陸地方 新潟県、富山県、石川県、福井県。
近畿地方 京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県。
中国地方 鳥取県、島根県、岡山県、広島県。
四国地方 香川県、愛媛県、徳島県、高知県。
九州北部地方(山口県を含む) 山口県、福岡県、大分県、佐賀県、熊本県、長崎県。
九州南部・奄美地方 宮崎県、鹿児島県。
沖縄地方 沖縄県。
地方気象情報等で使用する細分地域名
用語 区分 説明
北海道地方
北海道日本海側 宗谷北部、利尻・礼文、上川地方、留萌地方、空知地方、石狩地方、後志地方、檜山地方。
北海道日本海側北部 上川北部、上川中部、留萌地方、北空知、宗谷北部、利尻・礼文。
北海道日本海側南部 石狩地方、後志地方、檜山地方、中空知、南空知、上川南部。
北海道オホ-ツク海側 宗谷南部、紋別地方、網走地方、北見地方。
北海道オホ-ツク海側北部 宗谷南部、紋別北部。
北海道オホ-ツク海側南部 網走地方、北見地方、紋別南部。
北海道太平洋側 根室地方、釧路地方、十勝地方、胆振地方、日高地方、渡島地方。
北海道太平洋側西部 胆振地方、日高地方、渡島地方。
北海道太平洋側東部 根室地方、釧路地方、十勝地方。
東北地方 備考 季節や予報の内容により分割の仕方が異なる。
東北日本海側 青森県(津軽地方)、秋田県、山形県、福島県(会津地方)。
東北太平洋側 青森県(下北、三八上北地方)、岩手県、宮城県、福島県(中通り、浜通り地方)。
東北北部 青森県、秋田県、岩手県。
東北南部 山形県、宮城県、福島県。
関東甲信地方
関東地方 栃木県、群馬県、茨城県、東京都(島しょ部を除く)、埼玉県、千葉県、神奈川県。
関東地方北部 栃木県、群馬県、茨城県。
関東地方南部 東京都(島しょ部を除く)、埼玉県、千葉県、神奈川県。
甲信地方 長野県、山梨県。
甲信地方北部 「長野県の北部と中部」と言い換える。
甲信地方南部 長野県南部と山梨県。
伊豆諸島北部 大島、新島など。
伊豆諸島南部 三宅島、八丈島など。
小笠原諸島 父島、母島。
北陸地方
北陸東部 新潟県。
備考 季節予報では用いるが、天気予報や気象情報では県名を括弧書きで特定して用いる。
北陸西部 富山県、石川県、福井県。
備考 季節予報では用いるが、天気予報や気象情報では県名を括弧書きで特定して用いる。
東海地方
東海地方 愛知県、岐阜県、三重県、静岡県。
備考 季節予報、地方週間天気予報で寒候期に限り「岐阜県山間部」(美濃地方山地と飛騨地方)を使用。
近畿地方
近畿北部 京都府北部、兵庫県北部、滋賀県北部。
備考 滋賀県北部は寒候期は近畿北部に、暖候期は近畿中部に入れる。
近畿中部 京都府南部、兵庫県南部、奈良県北部、滋賀県南部、和歌山県北部、大阪府。
近畿南部 奈良県南部、和歌山県南部。
近畿太平洋側 京都府南部、兵庫県南部、滋賀県南部、大阪府、奈良県、和歌山県。
備考 季節予報で使用する。
近畿日本海側 京都府北部、兵庫県北部、滋賀県北部。
備考 季節予報で使用する。
中国地方
山陽 岡山県、広島県。
山陰 鳥取県、島根県。
四国地方
瀬戸内側 香川県、愛媛県(東予地方、中予地方)、徳島県北部。
太平洋側 愛媛県(南予地方)、徳島県南部、高知県。
九州北部地方(山口県を含む)
九州北部地方(山口県を含む) 山口県、福岡県、大分県、佐賀県、長崎県、熊本県。
九州南部・奄美地方
九州南部 宮崎県、鹿児島県の本土、種子島、屋久島。
奄美地方 奄美群島、トカラ列島。
沖縄地方
沖縄本島地方 本島北部、本島中南部、久米島。
大東島地方 南大東島、北大東島。
宮古島地方 宮古島市、多良間村。
石垣島地方 石垣市、竹富町。
与那国島地方 与那国町。
八重山地方 石垣島地方、与那国島地方。
日本および日本の周辺を個別的に表す地名
用語 区分 説明
北海道地方
宗谷海峡 ソウヤカイキョウ
津軽海峡 ツガルカイキョウ
襟裳岬 エリモミサキ
渡島半島 オシマハントウ
北海道の西海上
北海道の東海上
北海道の南東海上
東北地方
三陸沖 サンリクオキ

三陸は陸前、陸中、陸奥の総称。これらの沖に福島県沖を含めていう場合が多い。

秋田沖 アキタオキ
関東地方
房総半島 ボウソウハントウ
伊豆諸島 イズショトウ
八丈島 ハチジョウジマ
小笠原諸島 オガサワラショトウ
父島 チチジマ
南鳥島 ミナミトリシマ
沖の鳥島 オキノトリシマ
関東の東海上
関東の南東海上
北陸地方
佐渡(島) サド(ガシマ)
能登半島 ノトハントウ
若狭湾 ワカサワン
東海地方
東海(道)沖 トウカイ(ドウ)オキ
近畿地方
紀伊半島 キイハントウ
備考 含まれる県が不明確のため、予想雨量を記述する際など、対象地域を特定する必要のある場合には用いず、地方予報区の細分名や県名を用いる。
紀伊水道 キイスイドウ
潮岬 シオノミサキ
中国地方
山陰沖 サンインオキ
瀬戸内海 セトナイカイ
四国地方
室戸岬 ムロトミサキ
足摺岬 アシズリミサキ
九州地方
対馬 ツシマ
対馬海峡 ツシマカイキョウ

九州と朝鮮半島の間の海峡。対馬の北西側を西水道、南東側を東水道という。

豊後水道 ブンゴスイドウ
九州の西(海上)
南西諸島
南西諸島 ナンセイショトウ

九州南端から台湾の間の弧状列島の総称。

薩南諸島 サツナンショトウ

南西諸島の北半分。

南西諸島の北部。
種子島 タネガシマ
屋久島 ヤクシマ
奄美大島 アマミオオシマ
琉球諸島 リュウキュウショトウ

南西諸島の南半分。

南西諸島の南部。
沖縄 オキナワ

沖縄本島を指す。

宮古島 ミヤコジマ
石垣島 イシガキジマ
南大東島 ミナミダイトウジマ
日本以外の地域
用語 区分 説明
(島)
海南島 ハイナン島
備考 「カイナン島」は用いない。
ルソン島
ミンダナオ島
チェジュ島 備考 「サイシュウ島」は用いない。
ウルルン島 備考 「ウツリョウ島」は用いない。
マーシャル諸島
マリアナ諸島
カロリン諸島
グアム島
サイパン島
トラック島
ウェーク島
ミッドウェー島
(列島)
アリューシャン列島
千島列島 チシマレットウ
備考 北方四島は千島列島に含めない。「千島南部」は用いず「エトロフ島付近」などという。
(半島)
カムチャツカ半島
山東半島 サントウハントウ
備考 「シャントン半島」は用いない。
朝鮮半島 チョウセンハントウ
(海峡)
間宮海峡 マミヤカイキョウ
台湾海峡 タイワンカイキョウ
バシー海峡
バリンタン海峡 備考 台湾とルソン島の間の海峡のうち、北部がバシー海峡、南部がバリンタン海峡。
ルソン海峡
朝鮮海峡 対馬付近、または対馬海峡。
備考 「朝鮮海峡」は対馬海峡の西水道にあたる。
(川・河)
アムール川 備考 上流、中流、下流に分ける。
黄河 コウガ
備考 上流、中流、下流に分ける。
長江 チョウコウ
備考 上流、中流、下流に分ける。

「揚子江」は用いない。

(海・湾)
ボッ海 ボッカイ
アニワ湾
トンキン湾
ベーリング海
オホーツク海
日本海 ニホンカイ
備考 北部、中部、西部に分ける。
太平洋 タイヘイヨウ
北太平洋 キタタイヘイヨウ
黄海 コウカイ
東シナ海 ヒガシシナカイ
南シナ海 ミナミシナカイ
(海域)
千島の東(海上) チシマノヒガシ
千島近海 チシマキンカイ
アリューシャンの南(海上) アリューシャンノミナミ
アリューシャン近海 アリューシャンキンカイ
日本の東(海上) ニッポンノヒガシ
本州の東(海上) ホンシュウノヒガシ
日本のはるか東(海上) ニッポンノハルカヒガシ
日本の南(海上) ニッポンノミナミ
四国の南(海上) シコクノミナミ
沖縄近海 オキナワキンカイ
フィリピンの東(海上) フィリピンノヒガシ
(ロシア)
サハリン 備考 「樺太」は用いない。
シベリア
沿海州 エンカイシュウ
バイカル湖 バイカルコ
ウラジオストク
(中国)
中国大陸 チュウゴクタイリク
華北 カホク
華中 カチュウ
華南 カナン
中国東北区 チュウゴクトウホクク
チベット
台湾 タイワン
(その他)
モンゴル
ヒマラヤ
インドシナ
フィリピン
地方気象情報などに用いる地名(全般用との共用部分は除く)
用語 区分 説明
北海道地方
宗谷岬 ソウヤミサキ
奥尻島 オクシリトウ
択捉島 エトロフトウ
国後島 クナシリトウ
根室海峡 ネムロカイキョウ
珸瑤瑁水道 ゴヨウマイスイドウ
積丹半島 シャコタンハントウ
知床半島 シレトコハントウ
根室半島 ネムロハントウ
石狩湾 イシカリワン
内浦湾 ウチウラワン
備考 噴火湾(フンカワン)を用いることもある。
留萌沖 ルモイオキ
網走沖 アバシリオキ
日高沖 ヒダカオキ
十勝沖 トカチオキ
釧路沖 クシロオキ
東北地方
三陸沿岸 サンリクエンガン
津軽半島 ツガルハントウ
下北半島 シモキタハントウ
陸奥湾 ムツワン
八戸沖 ハチノヘオキ
酒田沖 サカタオキ
仙台湾 センダイワン
金華山沖 キンカザンオキ
福島県沖 フクシマケンオキ
奥羽山系 オウウサンケイ
関東甲信地方
三浦半島 ミウラハントウ
東京湾 トウキョウワン
相模湾 サガミワン
鹿島灘 カシマナダ
房総沖 ボウソウオキ
伊豆大島 イズオオシマ
三宅島 ミヤケジマ
中部山岳 チュウブサンガク
北陸地方
富山湾 トヤマワン
佐渡海峡 サドカイキョウ
東海地方
伊豆半島 イズハントウ
駿河湾 スルガワン
遠州灘 エンシュウナダ
渥美半島 アツミハントウ
志摩半島 シマハントウ
伊勢湾 イセワン
熊野灘 クマノナダ
近畿地方
丹後半島 タンゴハントウ
淡路島 アワジシマ
琵琶湖 ビワコ
大阪湾 オオサカワン
播磨灘 ハリマナダ
紀伊山地 キイサンチ
中国地方 備考 中国大陸と混同しないように「地方」をつける。
隠岐 オキ

隠岐諸島全体を指す。

山陰(地方) サンイン(チホウ)
山陽(地方) サンヨウ(チホウ)
中国山地 チュウゴクサンチ
瀬戸内 セトウチ
四国地方
土佐湾 トサワン
四国山地 シコクサンチ
四国沖 シコクオキ
九州地方
九州山地 キュウシュウサンチ
五島列島 ゴトウレットウ
薩摩半島 サツマハントウ
大隅半島 オオスミハントウ
周防灘 スオウナダ
玄界灘 ゲンカイナダ
五島灘 ゴトウナダ
日向灘 ヒュウガナダ
天草灘 アマクサナダ
有明海 アリアケカイ
大隅海峡 オオスミカイキョウ
佐多岬 サタミサキ
備考 佐田(さだ)岬と混同されやすいので注意する。
女島 メシマ
備考 住民は居住していないが用いることもある。
壱岐 イキ
南西諸島
大隅諸島 オオスミショトウ
トカラ列島 トカラレットウ
奄美群島 アマミグントウ
沖縄諸島 オキナワショトウ
大東諸島 ダイトウショトウ
先島諸島 サキシマショトウ

「宮古諸島」「八重山諸島」の総称。

宮古諸島 ミヤコショトウ
八重山諸島 ヤエヤマショトウ

脚注[編集]

  1. ^ 知恵蔵. “予報用語とは”. コトバンク. 2021年4月3日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 気象庁|予報用語 予報用語について”. www.jma.go.jp. 気象庁(一部改変). 2021年4月3日閲覧。

出典[編集]

気象庁HP・予報用語より

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