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利用者:Kovayashi/sandbox

惑星保護(わくせいほご、: planetary protection)とは、探査の対象となる天体の環境を地球から運搬される微生物や生命関連物質による汚染から保全すること、または対象天体から探査機が地球圏[注 1]へ帰還する際に潜在的な地球外生命と生命関連物質による汚染から地球圏を保護することである[1]

歴史[編集]

月や惑星の汚染の潜在的問題は、1956年にローマで開催された国際宇宙航行連盟第7回総会で初めて提起された。1958年、アメリカ科学アカデミーは、「アメリカ科学アカデミーは、初期のオペレーションが妥協したり、重要な科学実験の後に永遠に不可能としたりしないように科学者が月や惑星の研究を細心の注意と深い関心を以て計画することを強く要望する」という決議を採択した。この決議がきっかけとなり、地球外探査による汚染に関する特別委員会 (CETEX) が設立された。CETEXは1年間の会合を開き、惑星間宇宙船の滅菌を推奨し、「滅菌の必要性は一時的なものに過ぎない。火星とおそらく金星は、有人宇宙船による研究が可能となるまでの間だけは、汚染されていない状態を維持する必要がある」とした。

惑星保護は、1959年に新たに設立された国際宇宙空間研究委員会 (COSPAR) に移管された。COSPARは1964年に発表した決議26で以下のことを確認した。 地球外生命体の探査は宇宙研究の重要な目的であること、火星がこの探査を行う唯一の実行可能な機会であること、この惑星が汚染されていると探査がはるかに困難となり、いつまで経っても明確な結果が得られない可能性があること、この探査が十分に行われるまで、火星が生物学的に汚染されないようにするためのあらゆる実用的な措置が取られるべきであり、そのような汚染を避けるためには、全ての深宇宙探査機の打ち上げ当局の側で、適切な実験のスケジューリングと宇宙船の滅菌技術使用の協力が必要であること。

1967年、アメリカ、ソ連、イギリスは国際宇宙条約を批准した。惑星保護の法的根拠は、この条約の第9条にある。 第9条……条約の締約国は、月その他の天体を含む宇宙に関する研究を行い、それらの有害な汚染及び地球外物質の導入に起因する地球環境の不利な変化を避けるために、それらの探査を行うものとし、必要に応じて、この目的のために適切な措置を講じるものとする……

それ以来、この条約は104ヶ国によって署名・批准されている。24ヶ国は署名したが批准していない。宇宙開発に意欲的な国の中でも、アラブ首長国連邦シリア北朝鮮は署名しているが批准していない。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ を含む。

出典[編集]

  1. ^ 藤田和央「宇宙探査と惑星保護」『ISAS NEWS』第463巻、宇宙科学研究所、2019年10月、1-3頁、ISSN 0285-2861