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利用者:Kusamura N/sandbox/6

観念学

観念学派の哲学 [編集]

コンディヤックの還元論的な要素分解とそ再構成による「分析」と記号言語論が、18世紀後半-19世紀初頭のフランス自然科学(ラヴォワジェ化学の元素記号はコンディヤックの理想言語論の実践であった)にもたらした成果に刺激を受けた観念学派の探求は、

トラシーの胸像
カバニスの胸像

「生理学的観察」にもとづいて生物としての「人間」の感覚や思惟といった「諸能力」を記述しようとする「生理学的観念学
「意識の観察」にもとづいて思索しようとする「合理主義的観念学
のふたつに大別できる[1]。村松正隆は「生理学的イデオロジー」の代表として医学者でもあるカバニスを、「合理主義的イデオロジー」の代表として観念学の名付け親でもあるデステュット・ド・トラシーを挙げている。[2]







ナポレオンと観念学派[編集]

フランス革命後からナポレオンが政権奪取してしばらくの間まで、観念学派(イデオロジスト)とナポレオンの関係は良好だった。立憲共和制支持の王党派が多かったイデオロジストは、旧体制(アンシャン・レジーム)の中でカトリック教会権力を強く否定したが、過激なジャコバン主義には同調せずフランス革命後の恐怖政治時代には政治から距離を置くという点で一致していた。<> [3] ナポレオンが1801年にローマ教皇と政教条約を結んだ事は、宗教権力に批判的なイデオロジストたちにとって革命への裏切りを意味した。

観念学派を敵視し始めていたナポレオンは、デステュットたち観念学派の牙城であった学士院「倫理(道徳)と政治の科学クラス」を解体し「アカデミー・フランセーズ」と「碑文アカデミー」に分割することで観念学の中心である「観念と感覚の分析」部門を葬り去った。


ミシェル・フーコー『言葉と物』における観念学への批評[編集]

観念学派の人々[編集]

狭義の観念学派は、学士院の第2類「道徳と政治の科学クラス」に集って観念学の思想を主導したり、観念学派の雑誌に積極的に投稿した人を指すものとする。 デステュット・ド・トラシー、カバニスはイデオロジストの代表といえる。 経済学者のジャン=バプティスト・セイ (Jean-Baptiste Say), 1767-1832.は、観念学派の機関誌ともいえる≪La Décade philosophique (哲学の十年)≫誌の編集を行った。かれの1800年の論説 Olbie は、フランスアカデミーによるコンテストに投稿された。セイの名声は大いに高まり、1799 年には法制委員会の財務担当に任命された。[1]  ジョゼフ・ラカナル[4] 病理学者のビシャも観念学派の一人としてカウントされることもある。

観念学を信奉したり、影響を受けた、あるいは初期にはイデオロジストとして出発しながら変化していった人たちも広義に観念学派とするなら、 スタンダール

メーヌ・ド・ビラン、 クーザン オーギュスト・コント

参考文献[編集]

  • 松永澄夫編 編『哲学の歴史〈第6巻〉知識・経験・啓蒙―18世紀 人間の科学に向かって』8章「観念学派とその周辺」執筆:村松正隆、中央公論新社、2007年6月、572-596頁。ISBN 4124035233 
  • 松永澄夫『哲学史を読む Ⅱ』東信堂、2008年6月。ISBN 4887138369 
  • 合田正人19世紀フランス哲学 -「人間の科学」の光と翳」『明治大学人文科学研究所紀要』第62巻、明治大学人文科学研究所、2008年3月31日、31-65頁、ISSN 0543-3894 
  • ミシェル・フーコー 著、渡辺一民、佐々木明 訳『言葉と物 -人文科学の考古学』(25版(1991年5月))新潮社、1974年6月5日。ISBN 410506701X 

脚注[編集]

  1. ^ 例えばミシェル・フーコーは『言葉と物』の中で、「われわれの近代性の発端は」「《人間》とよばれる経験的=先験的二重体がつくりだされた日に位置づけられる」として「そのとき、二種類の分析の誕生が認められた。ひとつは、肉体の空間に宿り、知覚や感覚器官のメカニズムや運動神経の図式や物と有機体に共通する分節などの研究」「もうひとつは、人類の諸幻想の研究をつうじて」とコンディヤックを起源とする18世紀フランス哲学の位置を描写した。『言葉と物』第九章「人間とその分身」。338-339頁
  2. ^ 『哲学の歴史6』(執筆:村松正隆)、576頁.
  3. ^ こういった政治思想や、人の観念や感覚を社会的(階級を含む外部との)関係を考慮に入れない形での内面的分析に特化したなどを捉えてマルクスはイデオロジ-(観念学)ストをブルジョワ思想と批判した。
  4. ^ 『哲学の歴史6』p.575

関連項目[編集]

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外部リンク[編集]