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かわもり しょうじ
河森 正治
本名 河森 正治
別名義 黒河 影次(くろかわ えいじ)
白河 明次(しらかわ めいじ)
生年月日 (1960-02-20) 1960年2月20日(64歳)
出生地 日本の旗 日本富山県東礪波郡(現南砺市
職業 メカニックデザイナー
アニメーション監督
演出家
脚本家
会社役員
ジャンル SFロボットファンタジー
活動期間 1978年 -
公式サイト 河森正治オフィシャルサイト
主な作品
マクロスシリーズ
地球少女アルジュナ
創星のアクエリオン
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河森 正治かわもり しょうじ1960年2月20日 - )は、日本メカニックデザイナーアニメ監督演出家。別名義として黒河 影次(くろかわ えいじ)、白河 明次(しらかわ めいじ)がある。富山県東礪波郡(現南砺市)出身。サテライト専務取締役。宇宙作家クラブ会員。

代表作は「マクロスシリーズ」『地球少女アルジュナ』『創聖のアクエリオン』など。アニメの他にゲーム・玩具などの分野でも活動しており、総合的な役職としてビジョンクリエイターと名乗っている。

略歴[編集]

生い立ちとアマチュア時代[編集]

合掌造りの家屋で知られる越中五箇山で生まれ[1]、3歳の時に神奈川県横浜市へ転居する。絵よりも先に立体物に興味を持ち、小学生の頃からペーパークラフトブロック玩具で工作を楽しむ。いすゞ・117クーペ[注 1]デ・トマソ・マングスタ[注 1]を見てカーデザイナーに憧れ、アポロ11号月面着陸中継に感動して宇宙工学エンジニアになる夢を抱く[注 2]。『ルパン三世』(TV第1シリーズ)を見て、アニメの作り手を意識するようになった[注 3]

慶應義塾普通部に進学後、慶應義塾高等学校にかけては美樹本晴彦細野不二彦ら同級生と放課後に集まり、イラストを描いていた。「慶應グループ」と呼ばれる一同は『宇宙戦艦ヤマト』を通してSFアート集団スタジオぬえの存在を知り、同人会クリスタル・コンベンション(通称「クリコン」)に参加する。河森は宮武一貴の薫陶を受け、講談社ブルーバックスや『S-Fマガジン』のカット描きのアルバイトを始める。

1978年、慶應義塾大学工学部2年生の時にスタジオぬえに入社し、大学を中退する1983年まで学生との兼業を続ける[注 4]。同人誌「Gun Sight」を経て、ムック本『ガンダムセンチュリー』に描いた「メンテナンスハッチ解放状態のガンダム」のイラストは、ガンプラブーム下のモデラーに影響を与えた[2]

デビューからマクロスへ[編集]

メカニックデザイナーとしてのプロデビュー作は『闘将ダイモス』のゲストメカデザイン。同時期にタカラのロボット玩具「ダイアクロン」シリーズ(トランスフォーマーの原型)のデザイン・監修を担当する。アニメでは『闘士ゴーディアン』『クラッシャージョウ』などの作品で新鋭デザイナーとして注目され始める。

1982年、スタジオぬえ原作の『超時空要塞マクロス』で初の主役ロボットとなるバルキリーを担当し、戦闘機からロボットへと3段変形するリアルなデザインで脚光を浴びる。本作には企画立案から参加し、第27話「愛は流れる」(絵コンテ担当)などの演出面にも関わる。1984年の劇場作『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』では石黒昇との共同監督に抜擢され、24歳の初監督作にして実力を評価された[注 5]

雌伏の10年と監督復帰[編集]

マクロス以降、デザイナーとしてはサンライズ系作品の『ガンヘッド』『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』で主役メカを担当。押井守監督作ではサポートメカを担当する。演出家としては企画をものにできず、原作・監督を担当した『舞夢』(1989年)が制作中止になるという挫折を経験する。

マクロスの続編は作らないという姿勢を保っていたが、1994年に演出復帰作としてOVA『マクロスプラス』、テレビアニメ『マクロス7』を同時展開し、以後もマクロスシリーズの中核を担うことになる。1996年には宮沢賢治の半生を描いた『イーハトーブ幻想~KENjIの春』でメカアニメ以外の新境地を開く。

CG表現とサテライト参加[編集]

1990年代後半は「アーマード・コアシリーズ」『超鋼戦紀キカイオー』『オメガブースト』などのゲーム作品に関わり、CG技術の可能性を学ぶ。

2000年代には『Kenjiの春』から付き合いのあるサテライトを創作の場とし、2003年に同社取締役に就任する。3DCGの映像表現を駆使し、環境問題を扱った『地球少女アルジュナ』や、破天荒な怪作(快作)『創聖のアクエリオン』を発表する。アニメ以外ではソニーペットロボットAIBOのカスタムデザインや、日産・デュアリスのCMに登場する変形パワードスーツを担当する。

2008年にはマクロスシリーズ25周年作品『マクロスF』を手がけ、2011年にかけて「劇場版 マクロスF」2部作を発表した。2012年はアクエリオンの続編『アクエリオンEVOL』と、アイドルグループAKB48のテレビアニメ企画『AKB0048』の総監督に就任する。

人物[編集]

デザイン[編集]

変形の河森」と呼ばれ、ロボットから他形態(飛行機・車)への変形機構デザインをライフワークとしている。平面上の図案に止まらず、自ら試作モデルを作り、立体化を提案するプランナーでもある。この試作にはレゴブロックを用いるが、可動部を綿密に検討するため、デザイン完成まで数年掛かりという場合もある。なお、子供の頃に親から買ってもらったフィッシャーテクニックというブロックはその性質上、可変メカの試作という点ではレゴよりも数段上との事で、あれがあれば楽だけど手に入らないからレゴを使っていると語っている[3]。『マクロスF』の主役機・VF-25では、河森のレゴ試作をCGスタッフが忠実に3DCGモデルで再現し、それを基にCGモデルを製作する手法が採られている[4]

架空のメカデザインにも、航空機や自動車など実在物のリアリティーを投影するのが特徴である。これは実際のメカから影響されたものだが、『サンダーバード』からも影響を受けたと語っている。2006年には『トランスフォーマー』のマスターピース・スタースクリームのデザインを監修[1]したが、ビークルモードを実在する戦闘機F-15のデザインに近づけようとした結果、ロボットモードが劇中のスタースクリームとは似て非なる物になった。

独創性[編集]

クリエーターとして「他人の真似はしない」「同じパターンは繰り返さない」など、独創性への強いこだわりをもつ。持論として、オリジナルのアイデアこそデザインであり、それをアレンジしたものは「スタイリング」と呼ぶべきと語っている[5]

オリジナリティに対する感性は富野由悠季の影響も大きいようである。ある時富野が講演で「昔職人を育てるには何時も本物だけを見せるようにしていた。そうすると特に何を教えなくても、本物と偽物の区別が自然とできるようになる。今のTVアニメは全て偽物なのだから、アニメを作りたい人間はアニメを見てはいけない」と語っていたのを聞き、実際に三年間アニメを見るのをやめてみた。そして改めてアニメを見てみると、それが全く面白くないばかりか、いったい何をやりたいのかすら分からなかったという。この経験から、河森は万人に対して真に訴える力を持った作品作りを深く考えるようになったと語っている。

趣味[編集]

中国やインドの奥地に一人旅するのが趣味で、創作面でも自ら体験する意義を重んじている。『マクロスプラス』ではパイロットの空間感覚を知るため、メカ作画監督の板野一郎とアメリカで模擬空中戦を体験。『創聖のアクエリオン』ではスタッフと「アレグリア2」を観賞し、身体が躍動するイメージを伝えた。

近年[いつ?]の趣味は野菜の菜園、観察。

交友関係[編集]

親交の深い映画監督押井守の作品に、印象的な活躍をみせる空挺兵器などを提供している。押井は小説『立喰師列伝』に河森をモデルにした偽インド人の立喰師「河森正三郎」を登場させ、2006年の実写映画化では、河森本人が演じることになった。

出渕裕がデザインしたドシュカを「T-34に足を生やしただけ」と評しているなど、同業者の仕事に対しては辛口である(註:河森と出渕は学生時代からの親友)。

周辺の人物と同様、とり・みきの漫画作品にスター・システムで出演している。

外見・別名義[編集]

眉毛が異様に太く、彼のトレードマークとなっている。また、ぬえのメンバー一の色黒で、薄暗い部屋では存在を見失うほどであることから「黒河影次」という名義でも活動する。この人物は『マクロス』の作品中に隠れキャラクターとして登場し、様々な災難にあっている。後には「白河明治」という名義も使っている。

思想[編集]

20代に過労で心身を病み、不眠症や「電話ノイローゼ」に苛まれたという。その後、「新体道」、「自然農法」等に出会い、「気や意識と自然の関係の深さ」に「目覚めさせられ」たと述べている。人体科学会第9回大会にも「出演者」として参加し、先のようなコメントを述べた。それに伴い、作品にもそういった思想の影響が如実に表れるようになっている[6]新体道協会発行の「楽天」に関わったこともある。

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人物[編集]

創造性
「小さい頃から人と同じ事をしてはいけないと思っていた[7]」といい、クリエイターとしてオリジナリティーにこだわっている。「他人の真似をしない」「新しいことに挑戦する」という信念をもっている。
過去の発表作品はすべてオリジナル企画。原作物のアニメ化を依頼されたケースでは、あらかじめ「思い切り変えますよ」と断っても、「ここまで変わるとは思わなかった」といわれて没になっている。
脚本家の吉野弘幸は「妥協とカロリー計算を知らないお方」[8]と評している。
旅行好き
「取材旅行に行きたいから仕事している」と公言している。中国やインド、ボルネオ、アマゾンの奥地を訪れ、少数民族の。行ってみたい場所は宇宙(バンアレン帯の外)と深海[9]
天空のエスカフローネ』の原案は、ネパールの2週間トレッキング旅行中に思いついた。
ラスベガスブロードウェイのショービジネスも取り入れている[注 6]
外見・別名義
眉毛が太く、色黒い風貌からインド人に例えられる。本人はインド旅行の際、北インド人に間違えられたという[10]。友人のとり・みきは「世界中どこの国へ旅行しても現地人から同胞だと思われるという不思議な特技を持つ」と。
2007年放送の『マクロスF』特番では、出演者の千原ジュニアから「エスパー伊東」と呼ばれた。
薄暗い部屋では存在を見失うほどであることから「黒河影次」というペンネームをもつ。後には「白河明治」という名義も使っている。
マクロスシリーズ
『超時空要塞マクロス』では過去のSFアニメとの決定的な違いとして、武力ではなく歌が戦いを終結させるというコンセプトを生み出した[11]。その後は続編の誘いを断わり続けたが[12]バンダイビジュアルの高梨実プロデューサー[注 7]に「10年経ったら時効だから」と説得され、再登板を決意した。以後、「歌」「可変戦闘機」「三角関係」というシリーズの3大要素を保ちながら、作品それぞれに異なるテーマを設けて創作している。
フィクション作品への登場
  • 『超時空要塞マクロス』第1話 - 市街地に墜落したバルキリーの噴射炎に吹き飛ばされる。
  • 『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』 - コンサート会場の楽屋で瓦礫の下敷きになる。
  • 『マクロスF』第10話 - 映画監督「ジョージ山森」が登場する。

また、友人のゆうきまさみとり・みきの漫画作品にもスター・システムで登場する。

作風[編集]

メカニックデザイン[編集]

デザインとスタイリング
持論として、機構・機能などコンセプトとなるものを設計することを「デザイン」、その上に形態を被せることを「スタイリング」と区別している。デザインについては発明に近いものを「オリジナルデザイン」、既存の発想に個性を加えたものを「パーソナルデザイン」として、常にオリジナルデザインを目指している[13]。スタイリングは世界観に見合うキャラクター性をことで、シルエットで何のメカか分かることが大事である。
実例
変形の河森
ロボットから他形態(飛行機・車)への変形機構デザインをライフワークとしている。元々が機械工学専攻で、玩具などのギミックで本物のマスプロダクトに近いことができる[15]。変形機構は複雑にした方がむしろ簡単なので、なるべく本来の関節を使い必要最小限になるようにしている[16]。また、各形態でパーツが機能するよう全収納しないことも心掛けている。「斜め変形」という手法。
変形メカのデザイン作業では平面上の図案に止まらず、試作モデルを自作してギミックを検証する。以前は紙やバルサ、発泡スチロールを素材にしていたが、現在は強度や再現性のあるブロック玩具を使用している。関節位置をミリ単位で微調整しているが、レゴジャパンがクリック付き可動パーツを提供してくれてから、制作時間を1/3にまで短縮できるようになった[13][注 9]。この試作品を3DCGモデリングし、CGスタッフとのやり取りでスタイリングを煮詰めていく。CGモデルはアニメ本編の映像や、商品化の参考として使われる。
立体に触れることで新たなアイデアが生まれることもある。バルキリーのガウォーク形態や強攻型アクエリオンのアーマゲドン・アサルトウォーカー形態は玩具の試作品をいじっているうちに閃いた。
実物へのこだわり
実在物のリアリティーを基調に、SF的なキャラクター性を兼ね備えたメカデザインが特徴。アニメや特撮より先に航空機や自動車などの実物から受けたインパクトが大きかったといい[17]サンダーバードからも影響を受けたと語っている。空気抵抗や揚力など、デザイン上で制約が多い部分が逆に楽しいとのこと[18]。ただし、リアル指向だけではキャラクター性が弱くなるので、SFメカ的なデフォルメも必要という。人型巨大ロボットが兵器として有効かというリアルロボット的論議については「日本独特の非現実的な発想」と断っている。

エピソード[編集]

  • VF-1バルキリーは、それまでのアニメで空力的にちゃんと飛びそうなメカがなかったこと、「飛行機のおもちゃは売れない」という玩具業界のジンクス、リアルロボットブーム下での変形不要論への挑戦意識から生まれた。名称の由来であるXB-70 バルキリーは、初めて写真で見たとき後部に6基並ぶノズルに衝撃を受けた。保存されている実機を見学したこともある。
  • 機動戦士ガンダム』のSF設定をスタジオぬえの松崎健一が受け持った経緯で、本編にコロニーレーザー(ソーラ・レイ)の設定を提供。『ガンダムセンチュリー』に掲載したフルオープン
  • クラッシャージョウ』劇場版に登場する重巡洋艦コルドバは複雑なデザインゆえにアニメーター泣かせといわれ、河森自身も作画に参加して苦労を知った。
  • ガンヘッド』はラフデザインに書いた「ストライク・ガンヘッド」という名が映画タイトルに採用された。公開当時、新宿アルタ前に全高6mの実物大プロップが展示されたが、高さの恐怖から「手摺りをデザインしておけばよかった」と悔やんだ。
  • OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では「巨大ロボットが突っ立って走ると的になるだけだから、せめて腰だめにしたい」という演出アイデアを出したが通らなかった。ガンダム試作2号機の核バズーカは大気圏内の局地戦用で、大気圏外だと「熱で表面が焼けるだけ[19]
  • アメリカのボードゲーム『バトルテック』はバルキリーやデストロイドのデザインを無断使用していたが、日本版では使用できないため河森がリライトすることになった。
  • 2006年にはトランスフォーマーのマスターピース・スタースクリームのデザインを監修したが[20]、ビークルモードを実在する戦闘機F-15のデザインに近づけようとした結果、ロボットモードが劇中のスタースクリームと似て非なる物になった。

演出[編集]

現実認識
人間の認識・思考力の限界と自分の自覚していないところにも、もっと大きな世界があるという思いを語っており[21]、作品では日常的な価値観が異質なものに触れて揺らぐカルチャーショックをとしている。
その根底には1985年の中国一人旅の体験がある。マクロスで異星人がカルチャーショックを受けるテーマを描いたが、旅先で見た現実の方が驚きに満ちており、自分の価値観が日本社会内での思い込みだったと自覚したという。画一的な教育やメディアに植えつけられた先入観を、河森は「洗脳」や「催眠」と表現する。[22]
また、富野由悠季が講演で「昔職人を育てるには何時も本物だけを見せるようにしていた。そうすると特に何を教えなくても、本物と偽物の区別が自然とできるようになる。今のTVアニメは全て偽物なのだから、アニメを作りたい人間はアニメを見てはいけない」と語っていたのを聞き、実際に3年間アニメを見るのをやめてみた。そして改めてアニメを見てみると、それが全く面白くないばかりか、いったい何をやりたいのかすら分からなかったという。
アニメの作り手として、アニメは現実よりも

自ら体験する取材の重要性を『マクロスプラス』ではパイロットの空間感覚を知るため、メカ作画監督の板野一郎とアメリカで模擬空中戦を体験した。『創聖のアクエリオン』ではスタッフと「シルク・ドゥ・ソレイユ」を観賞し、身体が躍動するイメージを伝えた。

内モンゴル地区のテレビのない部落で子供達の瞳が輝いていることにショックを受けた。 映像・音楽メディアには意識操作の性質を持つので、物の見方が変わるような作品をつくりたいと。 ある時富野が講演で「昔職人を育てるには何時も本物だけを見せるようにしていた。そうすると特に何を教えなくても、本物と偽物の区別が自然とできるようになる。今のTVアニメは全て偽物なのだから、アニメを作りたい人間はアニメを見てはいけない」と語っていたのを聞き、実際に三年間アニメを見るのをやめてみた。そして改めてアニメを見てみると、ガンダム


「生物としての人間の能力」に興味がある。20代に過労で心身を病み、不眠症や「電話ノイローゼ」に苛まれたという。その後、「新体道」、「自然農法」等に出会い、「気や意識と自然の関係の深さ」に「目覚めさせられ」たと述べている。人体科学会第9回大会にも「出演者」として参加し、先のようなコメントを述べた。それに伴い、作品にもそういった思想の影響が如実に表れるようになっている[23]新体道協会発行の「楽天」に関わったこともある。


ミスマッチ
「ものすごい違和感のあるものが融合する瞬間が好きです[24]カルチャーショックというを好む。性質の異なる物同士を組み合わせて生じる

劇判音楽では状況説明的なBGMを使わず、壮烈な戦闘シーンにアイドルの歌を合わせるといったミスマッチを ヒロイン役に新人声優を起用し、ベテランと組ませる

多様性
どちらがいい悪いという○×式の思考法をする。賛否両論が分かれる作風を好み、

作画では設定画に近づけることが重要視されているが、ばらついても描き手の個性を大事にしている。

創作論
メカデザイナーの感覚の延長でストーリーや演出をデザインしていると説明している。
創作物(フィクション)であることを前提に、テレビ版と劇場版では登場人物などの設定を大幅に変更している。「史実となる存在核があって、そこから抽出したものをある尺に収めるならこういったデフォルメがなされるだろう」[25]という。マクロスもエスカフローネもアクエリオンも共通の持っている。
登場人物が話している台詞が正しいとは限らず、表面的な部分では誤解されてもいいような作りに意図的にしているという。複層構造にして、テーマが体感的に伝わるかどうかは一種の賭けだという。
ロボットアニメの設定については楽しむために作るものであって、縛り付けるために作るものではないといい[26]、まず面白い絵をつくってから強引に原理を見出していく方向にスリルを感じるという[27]。理屈よりも絵的な面白さを採るスタイルを『マクロスF』のスタッフはカワモリングと呼んでいる[28]
スタッフワーク
綿密に設計図を描くようなよりも、目標と方向性を決めたらスタッフの自主性に、「遺伝子情報を撒いて育つのを待つ」指示通りで工夫がない場合にはOKを出さない(『マクロスF』では「かっこいい」とだけ書いた絵コンテを渡したことも)。キャラクターの作画もアニメーターの個性が出るよう統一していない。
ライブ感を持ち込む。「負の安定性」
近年の作品作りは方向性を決めるだけで、スタッフの挑戦を

関連人物[編集]

  • 慶応グループ
    • 小川正晴 - オガワモデリング代表[29]。慶應大学生当時、小川模型グループを率いて『さよならジュピター』のプロップを制作。河森デザインの『ガンヘッド』も手がけた。
    • 大野木寛 - 脚本家。『マクロス ゼロ』のシナリオ担当。『地球少女アルジュナ』では14回リテイクされたという逸話を持つ。
    • 原田則彦 - ザガート(SZデザイン)の主任カーデザイナー。河森がカーデザイナーへの夢を諦めたのは、原田の存在があったため。
    • 細野不二彦 - 漫画家。河森と同時期にスタジオぬえに入社した。
    • 美樹本晴彦 - 漫画家・イラストレーター。『超時空要塞マクロス』のキャラクターデザインで脚光を浴びる。
  • 宮武一貴 - メカニックデザイナーとしての師匠的存在。河森は航空機、宮武は艦艇のデザインを得意とするが、宮武は「横浜の高台で育った河森と、横須賀で軍艦を見上げながら育った自分の違い」と分析する。
  • 板野一郎 - マクロスシリーズのメカ作画監督。河森とは『クラッシャージョウ』の制作現場で知り合い、『マクロスプラス』では空戦シーン演出のため模擬空中戦を体験した。『マクロス ゼロ』以降は、板野の教え子達がCGを担当している。
  • 押井守 - 現用的デザインの空挺兵器や特殊車輌を提供している。押井は河森について「メカデザインという仕事がなぜ映画に必要なのか、何を監督と共に実現するのか、その本質をちゃんと考えて、しかも絵が描ける数少ないひとり」と評価している[30]。小説『立喰師列伝』には河森をモデルにした偽インド人「中辛のサブ(河森正三郎)」が登場し、2006年の実写映画化では河森本人が演じた。
  • 出渕裕 - ともに『闘将ダイモス』でデビューし、互いの作品に協力するなど関係が深い。河森は出渕がデザインしたドシュカは「T-34に足を生やしただけ[要出典]」と評している。河森・出渕・とり・みき原田知世の熱心なファンとして、映画『天国にいちばん近い島』の海外ロケにエキストラとして参加した。
  • 菅野よう子 - 河森作品に音楽面で協力する作曲家。
  • 佐藤英一 - 演出家。助監督として河森作品を支える。
  • 天神英貴 - イラストレーター。周りから「河森監督の贅沢品」といわれると言う。
  • 山海嘉之 - ロボットスーツHALの開発研究者。
  • 古田貴之 -

『超時空要塞マクロス』では「テレビでベトナム戦争の報道映像からチャンネルを変えればアイドルが歌っている」という現実感覚を集約したものだったという。、アイドルの歌で宇宙戦争が終結するというアイデアを閃く。周囲に反対されたが、絵コンテを担当した第27話「愛は流れる」で。劇場版『愛・おぼえていますか』ではブロードウェイミュージカルを観た体験をもとに、マクロスシリーズ特有の音楽と映像の一体感を作り上げた。

河森にとってマクロスは「変化や変容のシンボル」[31]、「新しい何かを見たり作ったりできる作品」[32]

幻の企画・作品[編集]

企画。または、諸事情により未完成となった作品。

空中宮殿ドッキンガム
売り込もうとしたら『E.T』が公開され「スピルバーグが嫌いになった」。
ジェノサイダス
マクロスの大元となる企画。宮武と主役メカのガウォークを考案するが、人型ロボットではないためスポンサーの反応が悪く、
機甲天使ガブリエル
第三次世界大戦を舞台にしたフィギュア・小説連動企画。バンダイに採用されず、アメリカの玩具メーカーに売り込みに行ったが実現せず。宮武のパワードスーツデザインをまとめた画集が発売されている[33]
アドバンスト・バルキリー
マクロスシリーズ#幻の企画を参照。
舞夢
EPICソニー・サンライズ共同製作(発表時)。紀州熊野から上京した少女、葛城舞夢が活躍するファンタジー作品で、パイロットフィルムが制作された。河森が原作・監督・脚本(大野木寛との連名)を務め、美樹本晴彦とのマクロスコンビ復活が注目された。
空中騎行戦記
天空のエスカフローネ』の原案。アジアを舞台にしたファンタジー物だったが、放送実現までに内容を大幅に変更した。


脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b イタリアのカーデザイナージョルジェット・ジウジアーロの作品。
  2. ^ 本人いわく「日本にNASAがあれば行っていた」(『モデル・グラフィック vol.211』 大日本絵画、2002年、34頁)。
  3. ^ 『ルパン三世』初期放送回を担当したおおすみ正秋を、影響を受けた演出家として挙げている(『ジ・アニメ 1984年11月号』 秋田書店、124頁)。
  4. ^ 『超時空要塞マクロス』放送当時は大学に通いながら制作に参加していた。追い込みの時期は1週間に3時間しか寝られなかった(『BSアニメ夜話 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』 キネマ旬報社、年、頁)。
  5. ^ マクロスプラス』の渡辺信一郎監督は、「マクロスの監督が二十代半ば」という噂を聞いたことがアニメ業界を選んだ理由のひとつと述べている(「この人に話を聞きたい第102回 渡辺信一郎」『アニメージュ 2007年10月号』 徳間書店)。
  6. ^ 『創聖のアクエリオン』ではCGスタッフに「シルク・ドゥ・ソレイユ」のステージを観賞させ、身体が躍動するイメージを伝えた
  7. ^ 『超時空要塞マクロス Flash Back 2012』から『マクロス ゼロ』までのマクロスシリーズ、『地球少女アルジュナ』『地球防衛家族』といった河森作品に関わるプロデューサー。
  8. ^ 空中サーフィンというアイデアは『地球防衛家族』の大地ファミリーで使っていた。
  9. ^ 試作に要した期間は『マクロス ゼロ』に登場するSV-51では1年半、『マクロスF』のVF-25 メサイアでは3ヵ月半(出典:『CONTINUE Vol.40』 2008年、45頁)。

出典[編集]

  1. ^ 『おぼえていますか 映画「超時空要塞マクロス」より』、75頁。
  2. ^ 機動戦士ガンダム公式Web SPECIAL 第11回 拡大するガンダム世界
  3. ^ 『アーマード・コア メカニカルガイダンス』 ソフトバンククリエイティブ 2002年
  4. ^ 『CG WORLD』2008年6月号
  5. ^ 『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』には、ガンダムのオリジナルデザインを尊重して、「メカニカルスタイリング」の肩書きで参加した。
  6. ^ 人体科学会ホームページ「人体科学会第9回大会<出演者プロフィール>」(1999)による
  7. ^ 「VARIABLE RIDE」『フィギュア王 vol.99』、ワールドフォトプレス、2006年、116頁。
  8. ^ 『グレートメカニック Dx.4』、双葉社、2008年、79頁。
  9. ^ “行ってみたい場所は「衛星軌道」!? 河森正治氏のインタビューをお届け!”. 電撃オンライン. (2008年12月18日). http://news.dengeki.com/elem/000/000/128/128695/ 2011年4月28日閲覧。 
  10. ^ “制作秘話に中島愛さんライブも! 「マクロスF」BD&DVD発売記念イベントレポ!!”. 電撃オンライン. (2008年8月14日) 
  11. ^ 『河森正治デザインワークス』、190頁。
  12. ^ 「河森正治さんが語る僕と『マクロス』の12年」『アニメージュ 1995年11月号』、徳間書店、82頁。
  13. ^ a b 『CG WORLD 2008年6月号』ワークスコーポレーション、14頁。
  14. ^ 『フィギュア王 vol.108』 ワールドフォトプレス、2007年、140頁。
  15. ^ アニメギガNHK-BS2 2007年11月20日放送より。
  16. ^ 『ウルトラジャンプ 2011年4月号』 集英社、173頁。
  17. ^ 『河森正治 デザインワークス』 エムディエヌコーポレーション p182
  18. ^ 「グレートメカニック 6」双葉社 p68
  19. ^ 『河森正治デザインワークス』 p197。
  20. ^ TRANSFORMERS OFFICIAL SITE GENERATION ONE
  21. ^ 「アニメージュ」 2001年1月号
  22. ^ presepe特集 河森正治総監督独占インタビュー!!
  23. ^ 人体科学会ホームページ「人体科学会第9回大会<出演者プロフィール>」(1999)による
  24. ^ 『ニュータイプ 1994年2月号』
  25. ^ メガミマガジン」 vol.11 学習研究社 p6
  26. ^ 「グレートメカニック 8」 p111
  27. ^ 「G20 ガンダム・トリビュートマガジン」vol.1 p21
  28. ^ CONTINUE」vol.40 p40
  29. ^ オガワモデリングHP
  30. ^ 『アニメージュ 1994年12月号』 徳間書店、7頁。
  31. ^ メガミマガジン」 vol.11 学習研究社 p9
  32. ^ 「アニメージュ」 2008年6月号
  33. ^ 機甲天使ガブリエル(ラピュータ)