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利用者:Nova replet laetitia/sandbox/宇宙・物理・自然科学/電子配置

量子数と軌道

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原子を構成している電子の振舞いは原子核による静電ポテンシャル中の3次元シュレーディンガー方程式を解くことで得られる(特に水素原子におけるシュレーディンガー方程式の解は解析的に解ける)。

量子力学では運動量

と演算子で書く(正準量子化)。換算プランク定数は虚数。よってハミルトニアン

となる。

1次元の量子的な調和振動子についての時間依存しないシュレーディンガー方程式は、以下のように書ける。

この方程式は解析的に解くことができ、その解(エネルギー固有状態)はエルミート多項式 を使って以下のように表される。

ただし、規格化定数で次式で与えられる。

また、エルミート多項式

で定義される。具体例として の場合を示すと

である。基底状態()のエネルギー固有状態はガウス波束であり、付近に局在している。 エネルギー固有値は次のようになる。

つまりエネルギー準位は という均等な間隔で並ぶ。の状態は零点振動、そのエネルギー固有値は零点エネルギーと呼ばれる。


量子調和振動子波動関数エルミート多項式 Hn を使って以下のように書ける。エルミート多項式は、

where n = 0,1,2,....

原子を構成している電子の振舞いは原子核による静電ポテンシャル中の3次元シュレーディンガー方程式を解くことで得られる(特に水素原子におけるシュレーディンガー方程式の解は解析的に解ける)。電子のとり得る軌道は主量子数 n、方位量子数 l、磁気量子数 m の3つによって指定される。

  • 主量子数 n は軌道の大きさとエネルギーを決定している。1, 2, 3, ... と整数値をとり、これは電子殻 K殻、L殻、M殻、…に対応している。
  • 方位量子数 l は軌道の形を決定している。0, 1, 2, ..., n−1 の整数値をとる。これはs軌道p軌道d軌道、f軌道、g軌道…に対応している。
  • 磁気量子数mは各軌道を決定している。−l, −l+1, ..., 0, ..., l−1, l の整数値をとる。

例えば、主量子数2、方位量子数1の軌道を総称して2p軌道と呼ぶ。2p軌道は −1, 0, 1 の3つの磁気量子数をとり得るが、これらに対応して、2px, 2py, 2pz の異なる配位をもつ3つの軌道が存在する。

電子のとり得る軌道は主量子数 n、方位量子数 l、磁気量子数 m の3つによって指定される。

  • 主量子数 n は軌道の大きさとエネルギーを決定している。1, 2, 3, ... と整数値をとり、これは電子殻 K殻、L殻、M殻、…に対応している。
  • 方位量子数 l は軌道の形を決定している。0, 1, 2, ..., n−1 の整数値をとる。これはs軌道p軌道d軌道、f軌道、g軌道…に対応している。
  • 磁気量子数mは各軌道を決定している。−l, −l+1, ..., 0, ..., l−1, l の整数値をとる。

例えば、主量子数2、方位量子数1の軌道を総称して2p軌道と呼ぶ。2p軌道は −1, 0, 1 の3つの磁気量子数をとり得るが、これらに対応して、2px, 2py, 2pz の異なる配位をもつ3つの軌道が存在する。

量子数と軌道と電子対

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The electron probability density for the first few hydrogen atom electron orbitals shown as cross-sections. These orbitals form an orthonormal basis for the wave function of the electron. Different orbitals are depicted with different scale.

The wave functions of an electron in a Hydrogen atom are expressed in terms of spherical harmonics and generalized Laguerre polynomials (these are defined differently by different authors—see main article on them and the hydrogen atom).

It is convenient to use spherical coordinates, and the wavefunction can be separated into functions of each coordinate,[1]

where R are radial functions and Ym
(θ, φ)
are spherical harmonics of degree and order m. This is the only atom for which the Schrödinger equation has been solved exactly. Multi-electron atoms require approximative methods. The family of solutions is:[2]

where a0 = 4πε0ħ2/mee2 is the Bohr radius, L2 + 1
n − 1
are the generalized Laguerre polynomials of degree n − 1, n = 1, 2, ... is the principal quantum number, = 0, 1, ... n − 1 the azimuthal quantum number, m = −, − + 1, ..., − 1, the magnetic quantum number. Hydrogen-like atoms have very similar solutions.

This solution does not take into account the spin of the electron.

このように電子の配置は、3つの量子数(n、l、m)で区別される軌道に対応付けられる。そして電子の属する軌道の種類に応じて、電子も分類されて呼称される。

  • s電子 - s軌道上の電子。1s電子、2s電子、3s電子、4s電子、5s電子、6s電子、7s電子が存在する。
  • p電子 - p軌道上の電子。2p電子、3p電子、4p電子、5p電子、6p電子、7p電子が存在する。
  • d電子 - d軌道上の電子。3d電子、4d電子、5d電子、6d電子が存在する。
  • f電子 - f軌道上の電子。4f電子、5f電子が存在する。

さらに、電子はフェルミ粒子であり、複数のフェルミ粒子が1つの軌道には、お互いに逆向きのスピンをもつ2個の電子しか入ることができない(「パウリの排他原理」)。このように軌道が2つの電子によって占有された状態を電子対と呼ぶ。

粒子を表す波動関数φ が位置 x 存在するとき、これを φ(x) で表すと、波動関数

同じ粒子が異なる位置 y でも存在して 2 粒子系をとるとき、フェルミ粒子は

という性質をもつ。2 粒子系の波動関数 ψ は

これが正の値をとるためには、

もし同じ軌道に電子が2つはいると、

となり


おなじ軌道に別の粒子が存在してこれをχ で表すと、フェルミ粒子では

とならなくてはならないから、すなわち、2つのフェルミ粒子があってそれぞれの1粒子の波動関数が φ, χ と表せるなら、2つのフェルミ粒子の全波動関数は単に

ではなく、この入れ替えについての性質から

と表されなくてはならない。

仮に2つのフェルミ粒子が同じ1粒子波動関数をとると

2つのフェルミ粒子が同じ状態にある時は、ψ = 0という結果が得られる。すなわち、フェルミ粒子は、1つの体系内で2個の粒子がある同じ量子状態になることが許されない。すなわち、フェルミ粒子はパウリの排他原理に従う。この規則から導かれる熱平衡状態にある同種のフェルミ粒子からなる体系が従う量子統計をフェルミ=ディラック統計という。

言い換えると、2p軌道には最大6個の電子が収容される。同様に3d, 4d等のd軌道には最大10個、4f等のf軌道には最大14個の電子が収容される。

以上をまとめると下表のようになる。

量子数と軌道の対応

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量子数と軌道の対応[3]
=0
(s軌道)
=1
(p軌道)
=2
(d軌道)
=3
(f軌道)
  • s亜殻 の最大電子数 2
  • p亜殻(≧1)の最大電子数 6
  • d亜殻(≧2)の最大電子数 10
  • f亜殻(≧3)の最大電子数 14
m m =1 m =2 m =±1 m =0 m =±1 m =±2 m =0 m =±1 m =±2 m =±3
最大電子数 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
n =1
(K殻)
1s
K殻の最大電子数 = 2(1s軌道)
n =2
(L殻)
2s
2pz
2px
2py
L殻の最大電子数 2(2s軌道)+6(2p軌道) = 8
n =3
(M殻)
3s
3pz
3px
3py
3dz2
3dxz
3dyz
3dxy
3dx2-y2
M殻の最大電子数 2(3s軌道)+6(3p軌道)+10(3d軌道) = 18
n =4
(N殻)
4s
4pz
4px
4py
4dz2
4dxz
4dyz
4dxy
4dx2-y2
4fz3
4fxz2
4fyz2
4fxyz
4fz(x2-y2)
4fx(x2-3y2)
4fy(3x2-y2)
N殻の最大電子数 2(4s軌道)+6(4p軌道)+10(4d軌道)+14(4f軌道) = 32
=0
(s軌道)
=1
(p軌道)
=2
(d軌道)
=3
(f軌道)
m m =1 m =2 m =±1 m =0 m =±1 m =±2 m =0 m =±1 m =±2 m =±3
n= 5
(O殻)
5s
5pz
5px
5py
5dz2
5dxz
5dyz
5dxy
5dx2-y2
5fz3
. . .
5fxz2
. . .
5fyz2
. . .
5fxyz
. . .
5fz(x2-y2)
. . .
5fx(x2-3y2)
. . .
5fy(3x2-y2)
. . .
O殻の最大電子数 2(5s軌道)+6(5p軌道)+10(5d軌道)+14(5f軌道)+18(5g軌道) = 50
n = 6
(P殻)
6s
6pz
6px
6py
6dz2
6dxz
6dyz
6dxy
6dx2-y2
6fz3
. . .
6fxz2
. . .
6fyz2
. . .
6fxyz
. . .
6fz(x2-y2)
. . .
6fx(x2-3y2)
. . .
6fy(3x2-y2)
. . .
P殻の最大電子数 2(6s軌道)+6(6p軌道)+10(6d軌道)+14(6f軌道)+18(6g軌道)+22(6h軌道) = 72
  • 第6周期元素の貴ガス ラドン(Rn)の電子数:54(=[Xn])+2(6s軌道)+14(4f軌道)+10(5d軌道)+6(6p軌道) = 86
n= 7
(Q殻)
7s
7pz
. . .
7px
. . .
7py
. . .
7dz2
. . .
7dxz
. . .
7dyz
. . .
7dxy
. . .
7dx2-y2
. . .
7fz3
. . .
7fxz2
. . .
7fyz2
. . .
7fxyz
. . .
7fz(x2-y2)
. . .
7fx(x2-3y2)
. . .
7fy(3x2-y2)
. . .
Q殻の最大電子数 2(7s軌道)+6(7p軌道)+10(7d軌道)+14(7f軌道)+18(7g軌道)+22(7h軌道)+26(7i軌道) = 98

原子中の電子の5g軌道は第8周期元素において現れると予測されている。

O殻(n=5)における量子数とg軌道の対応[4]
=4
(g軌道)
=5
(h軌道)
  • g亜殻(≧4)の最大電子数 18
m m =0 m =±1 m =±2 m =±3 m =±4
最大電子数 2 2 2 2 2 2 2 2 2
n =5
(O殻)
5gz4 5gxz3 5gyz3 5gz2(x2-y2) 5gxyz2 5gzx3 5gzy3 5gx4+y4 5gxy(x2-y2)
  • 第8周期元素の推定貴ガス E168(Uho)の推定電子数:
    118([Og])+2(8s軌道)+18(5g軌道)+14(6f軌道)+10(7d軌道)+6(8p軌道) = 168

しかしg軌道はd軌道やf軌道以上に相対論効果が著しくなるため理論通りの電子配置をとるかどうかはまだ明らかでなく、電子配置が定まらないため第8周期以降、119番以降の元素は、いまだにさまざまな拡張周期表が提案されている段階にすぎない。また原子核も不安定で短時間で崩壊してしまうため、仮に物理的には人工的な元素合成ができたとしても、化学的性質の同定は極めて困難と推測されている。


  1. ^ Physics for Scientists and Engineers – with Modern Physics (6th Edition), P. A. Tipler, G. Mosca, Freeman, 2008, ISBN 0-7167-8964-7
  2. ^ David Griffiths (2008). Introduction to elementary particles. Wiley-VCH. pp. 162–. ISBN 978-3-527-40601-2. https://books.google.com/books?id=w9Dz56myXm8C&pg=PA162 27 June 2011閲覧。 
  3. ^ Grand Orbital Table”. 2018年8月4日閲覧。
  4. ^ McCaw, Charles S. (2015). Orbitals: With Applications in Atomic Spectra. p. 51. ISBN 978-1783264131