利用者:Nunone23564/二郷半領用水路
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二郷半領用水路 | |
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三郷市内 | |
延長 | 16.7[1]km |
灌漑面積 | 1800ha |
取水元 | 松伏溜井(大落古利根川)、中川 |
合流先 | 第二大場川(下第二大場川) |
流域 | 埼玉県吉川市、三郷市、北葛飾郡松伏町 |
備考 |
別称:二郷半用水[2] 旧称:二郷半領本田用水路、東葛西用水路[3] |
二郷半領用水路(にごうはんりょうようすいろ)は、埼玉県南東部吉川市大字上内川から三郷市戸ヶ崎地先の第二大場川(下第二大場川)に至る用水路である。
概要
[編集]二郷半領用水路は、吉川市、三郷市、北葛飾郡松伏町東部地域の灌漑の為に整備された用水路である。
寛永年間に二郷半領本田用水路として開削され、[4]、松伏領四か村、二郷半領及び東葛西領(現東京都葛飾区)の灌漑の為に松伏溜井から小合溜井まで送水された水路である[5]。
江戸川と中川に挟まれた三郷市・吉川市の地域は、古くは二郷半領と呼ばれていた。この地域は早場米の産地であったが[2]、元々中川低地に位置しているため、たびたび水害に悩まされていた。そのため、戦前・戦後を通じて幾多の灌漑排水事業を行った結果、良質な穀倉地帯となった[4]。
現在、松伏町大字松伏の二郷半領揚水機場にて大落古利根川の松伏溜井から、また水量補給の為、三郷市彦川戸の二郷半領中川揚水機場にて中川より取水を行っている。
本用水路は松伏溜井から三郷放水路までが葛西用水路土地改良区によって[6]、三郷放水路より下流は三郷市によって管理されている[7]。
歴史
[編集]- 1630〜1660年(寛永7年〜万治3年):二郷半領本田用水路開削、松伏溜井から取水する。
- 1728〜1731年(享保13〜16年):用水路拡幅、小合溜井及び上下之割用水と接続する[8]。二郷半領本田用水路は東葛西用水路と称される[7]。
- 1792年(寛政4年):大場川と不動堀(廃川)の河道変更に伴い、寄巻村(三郷市寄巻)に大場川と不動堀に伏越を設置する。
- 1843年(天保14年):金町村(葛飾区金町)の江戸川に、今上村(野田市今上)の江戸川と上笹塚村(吉川市上笹塚)の庄内古川(廃川)に圦樋を新たに設置し、新堀を通じて川野村(吉川市川野)を経て送水されるようになる。これに伴い、松伏溜井からの常時引水は停止され、松伏溜井筋は松伏領四か村への灌漑と、二郷半領本田用水路の用水不足の際の備用水となる。
- 1846~1847年(弘化3~4年):大雨により上笹塚圦樋が破損。今上圦樋筋の庄内古川に伏越樋を設置する。
- 1855年(安政2年):安政の大地震により伏越樋が破損、取水困難により庄内古川からの取水のみとなる。
- 1865年(慶応元年):用水不足の為、再び松伏溜井からも取水となる。
- 1870年(明治3年):東葛西領への導水が停止される。東葛西用水路は二郷半領用水路と称される。
- 1923年(大正12年):庄内古川(中川)の河道変更に伴い、松伏溜井からの水路が切断され、金杉村大字金杉(松伏町大字金杉)にて圦樋(旧二郷半領用水元圦)を設置し、江戸川から取水される。
- 1938年(昭和13年):第二大場川開削により、戸ヶ崎村長沼(三郷市長沼)から同村寄巻までが第二大場川となる。
- 1948〜1951年(昭和23〜26年):昭和前期の干ばつ、それに伴う江戸川水利統制事業、川砂利採取等により、昭和10年代後半から20年代前半に掛けて深刻な用水不足となる。この為、彦成村花和田(三郷市花和田)に第一揚水機場が、同村上彦川戸(同市彦川戸)に第二揚水機場が、吉川町高富(吉川市高富)に第三揚水機場が、松伏領村下赤岩(松伏町下赤岩)に第四揚水機場が設置され、中川からの取水を開始する。
- 1971年(昭和46年):江戸川の河底低下、中川の水位低下により取水困難となる。その為の県営かんがい排水事業に伴い、旧二郷半領用水元圦に旧二郷半領用水機場を新設し、JR武蔵野線より上流区域の河床がコンクリート化される。また、第三、第四揚水機場も同時に廃止される。
- 1979年(昭和54年):三郷放水路建設に伴い、酒井揚水機場を設置、二合半橋にて放水路を渡河するようになる。
- 2003年(平成15年):河川施設の老朽化、江戸川の河床低下、みお筋の変化、周辺地域の地盤沈下等により適正な取水、配水が困難となる。その為の利根中央事業に伴い、旧二郷半領用水元圦、旧二郷半領揚水機場、第一、第二揚水機場が廃止され、旧二郷半領用水元圦から現二郷半領分水工までが廃止または金野井用水路扱いとなる。また、松伏町大字松伏に二郷半領用水機場が、第二揚水機場跡地に二郷半領中川揚水機場が新設される。これに伴い、取水先が江戸川から再び松伏溜井へ移される。同時に、JR武蔵野線より下流区域の河床もコンクリート化される。
地理
[編集]中川左岸と平行に南下する。
- 松伏町
- 大字松伏の二郷半領揚水機場にて松伏溜井(大落古利根川)より取水し、二郷半領分水工へ送水する。かつては、大字金杉に揚水機場を設置して江戸川から取水していた[4]。現在では、揚水機場は撤去され、流路跡も埋立てられ公園や原っぱとなっている。
- 吉川市
- 大字上内川(内川橋付近)の二郷半領分水工にて松伏溜井から送水される。大字拾壱軒から松伏町大字下赤岩まで中川左岸堤防沿いを南下し、大字川藤にて下八間堀悪水路と木売落が伏越する。大字川野の川野堰付近にて鍋小路用水路を分水し、武蔵野線付近の木売堰にて高久用水路を分水する[9]。川藤堰から木売堰までの区間は下八間堀悪水路や木売落旧流路が併走しており、桜や公園等が設置され、市民の憩いの場となっている。武蔵野線より南は東京都道・埼玉県道67号葛飾吉川松伏線西側沿いに南下し三郷市境へ至る。また、この区間及び三郷市区間は緑道が整備されている。
- 三郷市
- みさと団地の西側を南下し、野良島橋付近にて幸房用水路を分水する。彦川戸1丁目勝橋北側にて二郷半領中川揚水機場からの水路と合流し、三郷ジャンクションの西側を南下する。首都高速6号三郷線を通過した後、中川の流路に沿う様に南東方向に進み、三郷放水路に至る。なお、谷口の佐久間橋付近に、廃止された第一揚水機場からの水路との合流跡が残されている。酒井揚水機場にて三郷放水路を渡った後、戸ヶ崎1丁目の前川大橋より中川を離れ、南東方向に流路を変え戸ヶ崎3丁目にて久兵衛用水路を分水し、下第二大場川と合流する。
稀少植物
[編集]流域の自治体
[編集]分水路・交差水路など
[編集]- 分水
- 交差水路・河川
河川施設
[編集]- 上流より
- 二郷半領揚水機場
- 二郷半領準水路(二郷半領導水路)
- 二郷半領分水工
- 二郷半領用水路着水槽
- 下八間堀悪水路伏越
- 小左衛門前伏越(木売落伏越)
- 川藤堰
- 川野堰
- 木売堰
- 二郷半領中川揚水機場
- 彦川戸チェックゲート(彦川戸堰)
- 谷口堰
- 酒井揚水機場
- 長沼堰
- 廃止設備
- 旧二郷半領用水元圦
- 旧二郷半領揚水機場(江戸川揚水機場)
- 中川揚水機場
- 第四揚水機場(下赤岩揚水機場)
- 第三揚水機場(高富揚水機場)
- 第二揚水機場(彦川戸揚水機場、現二郷半領中川揚水機場)
- 第一揚水機場(花和田揚水機場)
設備詳細
[編集]- 二郷半領中川揚水機場
- 所在地:埼玉県三郷市彦川戸1丁目347−4(35.846091, 139.844347)
- 設備:竪軸斜流ポンプ口径600㎜2台
- 設置時期:2003年(平成15年)
- 酒井揚水機場
- 所在地:埼玉県三郷市中央2丁目39(35.817997, 139.872692)
- 設備:竪軸斜流ポンプ口径700㎜1台、口径500㎜1台
- 設置時期:1979年(昭和54年)
- 廃止設備について
- かつて、松伏町大字金杉地先に旧二郷半領揚水機場、同町大字下赤岩に第四揚水機場、吉川市高富に第三揚水機場、三郷市彦川戸に第二揚水機場、同市花和田に第一揚水機場が設置されていたが、江戸川の河床低下及びミオ筋の変化により安定的な取水が困難なこと、中川の水位低下、周辺地域の地盤沈下及び揚水機場が築造後20年以上経過して老朽化が顕著となった為、全て廃止となった[4]。
橋梁
[編集]- 上流より
- 内川橋(埼玉県道・千葉県道19号越谷野田線)
- (埼玉県道378号中井松伏線)
- 稔橋
- 榮橋
- かち橋
- 前新田橋(埼玉県道・千葉県道326号川藤野田線)
- 川野橋
- 川富橋
- 関橋
- 香取橋
- 下手橋
- さくら橋
- 新道橋(埼玉県道377号加藤平沼線)
- 歩道橋
- 一之橋(埼玉県道・千葉県道52号越谷流山線)
- (JR武蔵野線)
- 高富北橋
- 高富南橋
- 高久南橋
- 高久大橋
- 中曽根橋
- 道庭橋
- (東京都道・埼玉県道67号葛飾吉川松伏線)
- 彦糸上沼橋
- 彦糸橋
- 彦糸下沼橋
- 彦糸蛭田橋
- 彦音橋
- 彦富橋
- 北在家橋
- 前在家橋
- 彦成橋
- 川端橋
- 野良島橋
- 彦成橋(埼玉県道・千葉県道29号草加流山線)
- 上彦川戸橋
- 旭橋
- 勝橋
- 下彦川戸北橋
- ( 国道298号・東京外環自動車道)
- 彦野橋
- 倉野橋(二郷半用水通)
- 虚空蔵橋
- 彦倉橋
- 上口上橋
- 上口橋
- 上口下橋
- 上地橋 - 「あげぢばし」
- 番匠免橋
- 拾町橋 - 「じっちょうばし」
- 彦沢橋
- 新彦沢橋(埼玉県道116号八潮三郷線・首都高速6号三郷線)
- 彦沢下橋
- 彦江橋
- 彦江中橋
- 彦江下橋
- 上橋
- 下橋
- 佐久間橋
- 馬洗場橋
- 中橋
- 谷口橋(埼玉県道376号上笹塚谷口線)
- 三文橋
- 門二橋
- (つくばエクスプレス)
- 鈴蘭橋
- 酒井大橋
- (三郷放水路)
- 五月橋
- 早乙女橋
- 稲荷橋
- 夕月橋
- 曙橋
- 地蔵橋
- 前川新橋
- 前川大橋(横堀橋通)
- 前川中之橋
- 平和橋
- 天王橋
- 梅田橋
※他にも多数の名称不明の橋が存在する。
周辺の施設
[編集]- 上流から
- 東埼玉テクノポリス
- 吉川市立関小学校
- 吉川団地
- 吉川市立南中学校
- JAさいかつ吉川支店
- 吉川変電所
- JR武蔵野線:吉川駅
- 吉川市立中曽根小学校
- 吉川市立美南小学校
- みさと団地
- 三郷市立彦糸中学校
- 三郷市立彦糸小学校
- 三郷市立彦郷小学校
- ピアラシティ
- 東京外環自動車道:外環三郷西インターチェンジ
- 常磐自動車道、東京外環自動車道、首都高速6号三郷線:三郷ジャンクション、インターチェンジ
- 東京外環自動車道:三郷中央インターチェンジ
- 三郷市立前川中学校
脚注
[編集]- ^ 二郷半領用水 - 株式会社ココロマチ(itot)、2015年11月14日閲覧。
- ^ a b 吉川の歴史を知りたい! - 吉川市、2012年8月28日、2015年11月14日閲覧。
- ^ 松浦茂樹,「埼玉平野の近代治水整備」『水利科学』59巻 5号 2015年 p.37-69, 日本治山治水協会, doi:10.20820/suirikagaku.59.5_37 - p. 46-52「III. 大正から昭和初頭の中川および綾瀬川改修事業」
- ^ a b c d “二郷半領揚水機場”. midorinet-kasai.or.jp. 2020年4月10日閲覧。
- ^ “二郷半領用水を歩く ①”. 坂道散歩. 2020年4月11日閲覧。
- ^ “葛西用水路土地改良区の概要”. midorinet-kasai.or.jp. 2020年4月20日閲覧。
- ^ a b 二郷半領水利史. 二郷半領用悪水路土地改良区. (平成15年3月31日 平成15)
- ^ 三郷市史 第十巻 別編水利水害編. 三郷市. (平成12年3月31日 平成12)
- ^ 第5章 地域の概況 (PDF) p. 8-9 - 埼玉県、2015年11月14日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 二郷半領用水逃樋 - ウェイバックマシン(2019年1月1日アーカイブ分) - 有限会社フカダソフト(気まぐれ旅写真館)
- 葛西用水路土地改良区 - 水土里ネット葛西