ResearcherID
URL |
researcherid |
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言語 | 英語 |
運営者 | Clarivate Analytics |
登録 | オプション |
開始 | 2008年1月 |
現在の状態 | 稼働中 |
プログラミング言語 | 英語 |
OCLC番号 | 926725318 |
ResearcherID は科学界の学術論文執筆者の典拠管理システム。
沿革
[編集]サービス開始の2008年1月からトムソン・ロイターが運営し、その後、他のデータベースに吸収されている(後述)。独自の識別子を設け[1]、執筆者の特定と正しい出典管理を目指す。科学界ならびに学術出版物の記事の出典を示すとき、慣習として執筆者の氏名および欧文の場合はイニシャルを示す。しかしながら同名もしくは頭文字が同じ人物が複数いる場合、あるいは掲載誌がつづりを誤記した場合など、同一人物の氏名に複数の表記が記録されたり、複数の人物の表記が同一だったりする状況にある。あるいは同一人物の著作物ごとに異なるIDが振られるサービスもある[2]。
ResearcherIDを利用し、執筆者が自らの著作物であること、個人に割り当てられた識別子(ResearcherID) を付与するよう申し入れることができる。典拠情報の訂正により、執筆者には著作物一覧をつねに最新情報に保てるという。
デジタルオブジェクト識別子 (DOI) と ResearcherID の併用により執筆者と研究論文を紐付けると、たとえば登録新案の研究者を探したり、同じ研究分野に取り組む人々や共同研究者を探したりする用途が期待される[3]。
データベース統合
[編集]研究者が自らの研究成果を縦覧したり専門家による査読、専門誌 (ジャーナル) の投稿受付や編集作業の場を提供するサービスに、Clarivate Analytics社の Publons (en) がある[注釈 1]。2019年4月に実施された両社のプラットフォーム統合は、Publons 上で ResearcherID をホストすることにより、研究者が単一のアクセス先でより統合的に研究成果ならびに論文掲載を把握できるよう企図された。研究分野によって査読により会議発表の記事をまとめたり (コンピュータ科学)、単行本や書籍に収載された文章を重視したり (人文科学や社会科学の諸分野) するなどの差に対応する試みである。
さらに Web of Science (2018年12月)[5][6]、ORCiD[7]との合併により、データベース間の多元的な紐付けが実現している。またその評価は商業主義的あるいは独占的などの批判[8]や「執筆者誤認という共通の問題に取り組むイニシアチブ」という見方[9]や、ばらばらだった典拠情報が紐付けされる利便性に注目される[10]など割れている。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “IDs on popular search platforms (広く使われる検索プラットフォームのIDのしくみ)” (英語). WUR (2017年4月19日). 2019年7月17日閲覧。
- ^ (英語) (PDF) Scopus の複数プロフィールを統合するには. WUR 2019年7月17日閲覧。
- ^ Enserink, Martin (2009-03-27). “SCIENTIFIC PUBLISHING: Are You Ready to Become a Number?”. Science 323 (5922): 1662–1664. doi:10.1126/science.323.5922.1662. PMID 19325094.
- ^ “Authenticating with Publons: what's changed? (Publonsにおける認証:何が変わったのですか?)”. Publons. 2019年7月17日閲覧。
- ^ “Your ResearcherID of Web of Science moved to Publons (お客様のResearcherIDアカウントをWeb of ScienceからPublonsに移管しました)” (英語). WUR (2019年4月24日). 2019年7月17日閲覧。
- ^ “Why is ResearcherID coming to Publons? (Publons が ResearcherID を合併する理由は?)”. Publons. 2019年7月17日閲覧。
- ^ “ResearcherID & ORCID Integration (ResearcherID と ORCID の統合について)”. Clarivate. 2019年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。29 March 2013閲覧。
- ^ Wolinsky, Howard (2008). “What's in a name? (氏名から引き出せるものとは?)”. EMBO Reports 9 (12): 1171–1174. doi:10.1038/embor.2008.217. PMC 2603453. PMID 19047988 .
- ^ Cals, Jochen WL; Kotz, Daniel (2008-06-28). “Researcher identification: the right needle in the haystack (研究者の識別:干し草の山から正しい針を拾う)”. The Lancet 371 (9631): 2152–2153. doi:10.1016/S0140-6736(08)60931-9. ISSN 0140-6736. PMID 18586158 2009年9月22日閲覧。.
- ^ “Exciting news! ResearcherID and Publons, both part of the Web of Science..” (pdf). Web of Science Service for UK Education (2019年1月). 2019年7月17日閲覧。
関連文献
[編集]- 岩井雅史, 後閑壮登「研究者情報との連携による機関リポジトリの戦略的発信 : 信州大学の取り組み(<特集>e-Researchと学術出版)」『情報の科学と技術』第59巻第1号、情報科学技術協会、2009年、18-22頁、doi:10.18919/jkg.59.1_18、hdl:10091/2762、ISSN 0913-3801、NAID 110007028637。
- 小山聡「アイデンティティを推定する(<特集>WebアイデンティティとAI)」『人工知能』第24巻第4号、人工知能学会、2009年、544-551頁、doi:10.11517/jjsai.24.4_544、ISSN 09128085、NAID 110007338471。
- 渡邊隆弘「典拠コントロールの現状と将来(<特集>書誌コントロール再考)」『情報の科学と技術』第60巻第9号、情報科学技術協会、2010年、371-377頁、doi:10.18919/jkg.60.9_371、ISSN 09133801、NAID 110007701194。
- 蔵川圭 (2011年) 「Web上に公開される著者のデータベースと識別子(<特集>典拠・識別子の可能性:ウェブ・オントロジーとの関わりの中で)」『情報の科学と技術 』第61巻第11号、一般社団法人 情報科学技術協会。447-452頁。doi:10.18919/jkg.61.11_447
- 谷藤幹子、田辺浩介 (2015年) 「次世代研究者プロフィールサービス SAMURAIからNinjaへ」『情報管理』第58巻第2号、国立研究開発法人 科学技術振興機構。107-116頁。doi:10.1241/johokanri.58.107
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ResearcherID 公式サイト Clarivate Analytics 提供