利用者:Oranda garashi/sandbox
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大正時代の再評価と「大正ロマン」の誕生[編集]
桑原武夫や南博などによって1960年代から大正時代と文化の再評価が始まり、文芸・美術の紹介を通して1970年代には「大正ロマン」と呼ばれるようになった[3][4][注 1]。
秋山清は竹久夢二を自由への憧れと庶民への郷愁の面から再評価して、懐古的憧れではなく「現実否定の思いにおいて今日に通じる」とした。石子順造は文化的にキッチュな時代であるとして、大正期について「古い日本的な価値観に基づく情緒が、ためらいなく新しい西欧的な流行の様式になじんだ」と評している。川本三郎は佐藤春夫の『びいだあ・まいやあ』を引いて、大正時代の内密的な雰囲気がビーダーマイヤー文化と共通するとした。
「大正ロマン」を色濃く表現する後世の作品[編集]
大正ロマンはレトロブームともかかわりながら、ファッション・漫画・ゲーム・アニメなどのサブカルチャーの題材として扱われ、文明開化から戦間期を背景にしたそのイメージを定着・拡大してきた。
『月刊漫画ガロ』の連載作家だった林静一は、歌謡曲に対する興味からさかのぼって「赤い鳥運動」で作られた童謡に着目し、童謡をモチーフにした画集『紅犯花』を1970年に発表[5]。1970年の『ガロ』には秋山清も竹久夢二の論考の連載を始めており、林は1971年度の表紙を担当している。林が少女を描いた『ガロ』の表紙を発注イメージにして、1974年からロッテのキャンディ『小梅』のアートディレクションは始まった。甘い飴に対してすっぱい飴を提案することに重ねて、高度経済成長を経た社会に対して和装の少女画を採用する、インパクトを追求した若手チームの企画であった[6]。
1975年に海外で広告賞を受賞したアニメCM『小梅』は、当時の読売新聞では「大正ロマンのムードをそのまま絵にしたCM」と評価された[7]。同じ年には『はいからさんが通る』の漫画連載が始まり、奔放なヒロインのメロドラマとして人気を博した。時代遅れのCMと見ていた日本の広告業界[8]、歴史物はウケないとされていた当時の少女漫画の常識[9][10]を覆す好評であった[注 2]。『小梅』は吉永小百合、山口百恵がそれぞれ主演した歴代の『伊豆の踊子』の映画からイメージを作り[8]、『はいからさんが通る』は落語「お婆さん三代姿」と俗曲「間がいい節」からストーリーを着想している[10]。型破りな意図で大正時代と少女のロマンスが描かれ、両作品は文学史的・美術史的な意味のロマンティシズムとは異なる「大正ロマン」ブームの火付け役になった[13][注 3]。
注釈[編集]
- ^ 出典の『大正ロマン手帖』では、1974年に生誕90年であった竹久夢二が「ロマン」と付されて紹介された流れを挙げている。「2009年版」では1978年のサントリー美術館での「大正ロマン」展がこの語の初出とする調査結果を報告しているが、「2021年版」では1962年の『月に吠える』の記事を挙げ1970年代に成立と改めている。2024年の「YUMEJI展」図録では、明治百年祭後に広まった語とし、夢二の紹介と同時期に川上澄生も大正ロマンの画家とされていたことを挙げている。
- ^ 備考として1974年から『三丁目の夕日』の連載が始まっている。歴史ロマンの『ベルサイユのばら』は1972年から1973年まで連載され、1974年からベルばらブームを起こしている。ディスカバー・ジャパン運動で「ふるさと」のノスタルジーが喚起されていたころで[11]、林静一も1972年から関連する季刊誌の表紙を手掛けている[12]。
- ^ 『精選版 日本国語大辞典』では夢や憧れといった意味合いでロマンが使われると、「大正浪漫」「男のロマン」を例に挙げて解説している(「ロマンス」語誌)。
出典[編集]
- ^ 『お蝶夫人』:新字新仮名 - 青空文庫 - 二二 自転車美人のころ
- ^ 紙屋牧子「「自転車に乗る女」のメディア表象 : 三浦環から原節子へ」『演劇研究 : 演劇博物館紀要』第36巻、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、2014年、1-4頁、CRID 1050001202509684480。
- ^ 引用エラー: 無効な
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タグです。「yumeji2024
」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません - ^ 石川桂子 2021, p. 120-121.
- ^ 林静一『林静一叙情の世界 : 1967-2007』八王子市夢美術館、2007年、51頁。
- ^ 林静一、ロッテ『小梅ちゃん : 初恋すとおりい』近代出版社、2004年、100,108頁。ISBN 978-4-907-81612-4。
- ^ 佐藤守弘 2022, p. 3.
- ^ a b “誕生から45年、愛され続ける小梅ちゃんの秘密 林 静一さん”. ロッテ (2019年10月15日). 2023年12月21日閲覧。
- ^ 外舘惠子 2017, p. 105.
- ^ a b 別冊宝島編集部 編『はいからさんが通るの世界』宝島社、2017年、16頁。ISBN 978-4-800-27414-4。
- ^ 高野光平『昭和ノスタルジー解体 : 「懐かしさ」はどう作られたのか』晶文社、2018年、21-25頁。ISBN 978-4-7949-6996-5。
- ^ 成相肇『ディスカバー、ディスカバー・ジャパン「遠く」へ行きたい』東京ステーションギャラリー、2014年、120-121頁。
- ^ 佐藤守弘 2022, p. 6.