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利用者:ProfessorPine/Essay/Coconala経由の有償寄稿

ココナラ (coconala) は個人の知識・スキルを活かした業務委託などを提供する、日本のオンラインマッチングサービスです。ココナラにはWikipedia編集を有償で引き受けるなどのサービスが出品されることがあり、Wikipedia上での「有償の寄稿の開示」(WP:PAID) といった方針・ガイドラインに合致しない編集取引が行われることがあります。一度、問題ユーザがWikipedia側で投稿ブロック措置を受けても、多重アカウントやIP編集を用いて有償寄稿が続けられるケース (つまりブロック破り) もあり、ココナラ側での対応要請も必要になってきます。

そこで、2020年7月28日現在のココナラ「利用規約」(いかにも法律っぽい契約文面) と、そこから外部参照される「ご利用ガイド」(ルールとマナーの箇条書き) をベースに、ココナラ社に照会・通報する際の予備知識をお伝えします。以下の規約・ルールに抵触するとして、ココナラのアカウントを凍結してもらえるかもしれません。

  1. 利用規約 第4条 3. (会員登録を拒否することができる事由) の (5) には「所属する企業又は業界団体の内部規則等に違反し、当該企業又は業界団体から何らかの処分を受けたことがある場合」とあります。会社勤めの人が懲戒解雇になった場合などを想定していると思うのですが、この「業界団体」にWikipediaコミュニティも入るのであれば、無期限ブロックを受けた人は、ココナラ側で会員登録自体を抹消されてもおかしくありません。他に、ルールとマナー > 禁止行為で「他社サービスの規約違反となるサービス」も禁じられていることから、Wikipediaでブロック破り=規約違反であるから、それをもってココナラの禁止行為に違反したと捉えられるでしょう。
  2. 利用規約 第13条 2. (禁止行為) の (2) には「法令に違反する行為」とあります。また、ルールとマナー > 禁止行為 > サービスの出品に「法律、法令、条例に違反するサービスを出品する行為」や「他の会員に誤解を生じさせる虚偽の記載をする行為」が挙げられています。Wikipediaの執筆をココナラで有償代行すると、これは法律用語だと「請負契約」(成果物が決まっていて対価が支払われる委託業務) に該当します。そして消費者契約法景品表示法 (不当表示防止法) あたりにひっかかるのではないでしょうか? 分かりやすい事例は「こちら」と「こちら」。
    • ブロック破りの編集投稿は差し戻しされる可能性も相対的に高く、それをココナラの利用者 (購入者) に対して事前告知せずにココナラ上で取引すると、相手を欺いていることになります。
    • ブロックを受けた事実以外にも、Wikipedia:有償の寄稿の開示があることがココナラ受託者からココナラ購入者に対して告知されていないもの気になります。有償を示すテンプレートの掲示が求められていることから、「あぁあの人、お金払って書かせたんだな」という晒しだと捉える方もいるかもしれません。知っていたらサービス契約しない人も出てくるでしょう。
    • もう消えてしまったので見えませんが、成果物サンプルとしてWikipedia記事URLを掲載しているケースがあります。これが版指定のURLではないことから、実際にはTane3さんがサンプル掲載していた記事はTane3さんは1割未満しか加筆貢献していないにも関わらず、ココナラ購入者には貢献10割に見えてしまって過大広告です (Tane3さん以外にも類似ケースをみかけたことがあります)。
  3. ただし原則としては受託者と購入者間の相対取引であり、購入者からクレームが出ない限りはココナラ社が強く介入・指導しない方針スタンスにも見えます。具体的には、利用規約 第6条 (本サービスの利用)3. に「サービス利用会員が発信する情報につき、一切の責任を負うもの」として自己責任にいます。また、第9条(購入の申込及び売買契約の成立)2. でもココナラ社は責任を負わない旨が書かれています。
  4. なお、Wikipediaと違ってココナラの場合は多重アカウントの開設自体が技術的に難しいです。まず、ルールとマナー > 禁止行為に、「複数のアカウントを登録・所持する行為」が掲げられています。また、有償取引には決済口座が必要となり、マネーロンダリングの観点から口座のチェックはやっているはずです。こうした理由から、Wikipedia側で多重アカウントをもぐら叩きするより、ココナラで1つアカウントを凍結してもらえれば、効果の持続性は期待できそうです。

いろいろ法律のテクニカルな話を書きましたが、もしココナラに通報される際には、「ちゃんとした利用者で有償開示してくれれば、ココナラ経由の執筆もWikipediaは認めている」という点を忘れないようにお願いしたいです。一人のせいで、しっかりルールを守っている他者まで悪評が立つのはしのびないですし、Wikipediaからの通報が陰湿なクレーマーのごとく受け取られるのも、両者にとって得ではありません。