ブーダン・フーリエの定理とは、実数係数の一変数多項式の根のある区間における根の数の上限を定める定理である。
フランス人数学者ブーダン (w:François Budan de Boislaurent) およびこれと等価な定理を示したフーリエにちなむ。
以下、 を x を変数とする実数係数の n 次一変数多項式 (n > 0) とする。
とする。
与えられた x について上式の各項を計算したとき、値が 0 となる項を除いた後に隣り合う数の符号が相異なる場合に符号が変化すると呼び、符号が変化した回数を で表す。
二つの相異なる実数 について、 のとき以下が成り立つ。
- 開区間 における の実根の数を とすれば
とする。
したがって区間 にある実根の数は 0 個か 2 個である。
なお実際の根の数 と符号交代の差 との差異 は複素根の数である。
の m 次導関数を とする。 のフーリエ列 を
なる n + 1 個の関数からなる列とする。
与えられた x についてこの列の各項を計算したとき、値が 0 となる項を除いた後に隣り合う数の符号が相異なる場合に符号が変化すると呼び、符号が変化した回数を で表す。
二つの相異なる実数 について、 のとき以下が成り立つ。
- 開区間 における の実根の数を とすれば
とする。
したがって区間 にある実根の数は 0 個か 2 個である。
なお実際の根の数 と符号交代の差 との差異 は複素根の数である。
本定理は1829年に発表されたスツルムの定理に先立つもので、多項式の根の数を与える定理として重要なものと考えられた。
上述したブーダンの定理でなくフーリエの定理の形で言及されることが多く[1][要出典]、単に「フーリエの定理」のほか「ブーダンの定理」「フーリエ・ブーダンの定理」「ブーダン・フーリエの定理」と様々な呼称で呼ばれる。
論文の発表としてはブーダンの方が先で(1807年[2])フーリエがこれに続いた(1820年[3])形だが、上述した定理の重要性から優先権に関する活発な論争が存在した[4][5][6]。