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利用者:Senliguang60/sandbox

概要[編集]

 防炎(ぼうえん)とは、燃えにくい事象のことを意味しています。繊維などの可燃物の燃えやすい性質を改良して防炎性能を与えると、小さな火源(火だね:マッチ・ライター) を接しても炎が当たった部分が焦げるだけで容易に着火せず、着火しても自己消火性(自ら延焼拡大を停止する性能)により、容易に燃え広がることはありません。こうした性能を「防炎性能」といいます[1]。  火災の多くは、日常生活における小さな失火が原因となっているが、防炎性能には、初期火災を延焼拡大させない効果もあり、初期火災の火炎が他の着火物に及んでも防炎品(防炎物品及び防炎製品を総称していう。以下同じ。)が持つ「燃えにくさ」によって初期消火や避難などの初期における火災対応を行う貴重な時間を確保することができる。 「防炎」と同じような意味で「難燃」という言葉が使われ、一般的にほとんど同義語として用いられている[2]

防炎物品[編集]

防炎物品の概要[編集]

 消防法第8条の3を根拠とし、防炎規制の対象となる防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるもの)又はその材料で、政令で定める基準以上の防炎性能を有するもの。

歴史(防炎規制と火災事例) [2][編集]

  • 昭和26年頃 火災予防条例準則に防炎規制等を規定(国家消防庁)
  • 昭和30年代 共立講堂火災(昭和31年)、明治座火災(昭和32年)、東京宝塚劇場火災(昭和33年)

 東京消防庁は、舞台用どん帳、幕類、合板などの防炎処理推進の行政指導を開始

  • 昭和36年 自治省消防庁は、市町村火災予防条例準則を改正し、全国的に防炎規制を導入
  • 昭和37年 千代田火災ビル

 札幌市、東京都、北九州市の火災予防条例でシートの防炎化の規制を開始  日本防炎協議会発足(11月21日)

  • 昭和38年 西武百貨店火災
  • 昭和41年 金井ビル火災、水上温泉菊富士ホテル火災
  • 昭和42年 京都国際ホテル火災
  • 昭和43年 浅草国際劇場火災

 消防法の改正(昭和43年 法律第95号)消防法第8条の3の規定が制定

  • 昭和44年 磐梯熱海温泉磐光ホテル火災

 消防法施行令の改正(昭和44年 政令第18号)①防炎防火対象物等の指定、②カーテン、暗幕及びどん帳その他舞台において使用する幕並びに工事用シートについて、防炎性能を有しなければならない物品として指定、③防炎性能の基準の制定  日本防炎協議会を財団法人日本防炎協会に改組

  • 昭和46年 韓国大然閣ホテル火災
  • 昭和47年 消防法の改正(昭和47年 法律第94号)現行防炎表示制度確立

 消防法施行令の改正(昭和47年 政令第5号)防炎対象物品として布製ブラインド、展示用合板、舞台用合板・繊維板を追加

  • 昭和49年 「寝具類等の防炎表示物品の使用について」(自治省消防庁安全救急課長通知)の発出
  • 昭和50年 財団法人日本防炎協会が防炎製品認定委員会を設置、消防法で防炎化が義務付けられていない寝具類等について防炎製品としての認定を開始
  • 昭和53年 スナック・エルアドロ火災

 消防法施行令の改正(昭和53年 政令第363号)防炎対象物品としてじゅうたん等を追加

  • 昭和61年 社会福祉施設「陽気寮」火災

 消防法施行令の改正(昭和61年 政令第274号)防炎対象物品から繊維板を除外  「社会福祉施設等における防火安全対策について」(自治省消防庁次長通知)の発出、寝具類等の防炎性能の確保及び防炎製品の使用を促進  「社会福祉施設等における防炎物品等の使用促進について」(自治省消防庁予防救急課長通知)の発出、社会福祉施設等の出火防止の一環として防炎物品及び防炎製品の使用の重要性を指摘

  • 昭和62年 特別養護老人ホーム「松寿園」火災

防炎製品[編集]

  • 消防法に基づく防炎規制の対象となる防炎物品以外のもので、寝具類、衣服類、布張家具類等など多くの種類があり、その用途や火災危険度に対応した防炎製品性能試験基準、健康上の安全性に配慮した防炎製品毒性審査基準及び一定以上の品質の製品に継続して製造するための防炎製品品質管理基準に基づいて認定されており、現在25種類が認定可能である[3]
  • 米国英国などでは、寝具(子供用パジャマ、マットレスなど)を対象に防炎規制が実施されている。しかし、日本では、一般家庭における製品の防炎性能義務付けは行われていない[4]

脚注[編集]