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利用者:ShuBraque/sandbox/2009年以降の通貨安競争

通貨安競争の節について)

2009年、世界貿易量の約12%減[1]という事態に象徴されるような深刻な経済沈滞に伴い、2009年までに通貨安競争という要件を満たすための条件のうちいくつかは満たされていた。当時、先進国の間で、先進国の赤字の大きさが広く不安視されていた。先進国経済は、輸出主導の経済成長を最適な戦略とみなす中で、ますます新興国経済との関係を深めることとなった。国際協調が2009年のロンドンG20サミット(第2回20か国・地域首脳会合)によってピークに達する以前に、2009年3月には経済学者であるTed Trumanは競争的な為替切り下げの懸念を警告した最初期の人物のひとりとなった。彼はまた、"competitive non-appreciation"という言葉を作った人物でもある[2][3][4]

2010年9月27日、ブラジルのマンテガ財務大臣は「世界は国際的な通貨安競争の真っただ中にある」と述べた[5][6]。 数々の金融系ジャーナリストがマンテガの見解に賛同しており、例えば「フィナンシャルタイムズ」のAlan Beattie や「The Telegraph's」のAmbrose Evans-Pritchardが挙げられる。ジャーナリストはマンテガの見解をさまざまな国によってなされる、為替レート切り下げを意図した介入と結びつけた。このような介入を行っている国として、中国、日本、コロンビア、イスラエル、スイスなどが挙げられる[7][8][9][10][11]。経済学者の中島厚志は「2010年秋にかけての通貨安競争は、アメリカの量的金融緩和政策がドル安を招いたことが一つの要因だった」と指摘している[12]

2010年10月6日、経済学者のジョセフ・E・スティグリッツは、欧州中央銀行(ECB)や連邦準備理事会(FRB)の金融緩和政策が世界経済を「混乱状態」に陥れているとしており、ブラジルや日本などの国々が打ち出した自国通貨高抑制の動きについて「必要だった」と理解を示し、「通貨高で輸出を崩壊させるわけにはいかないと言うのは自然である」と述べた[13]

2013年にモスクワで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議において採択された共同声明においては、「通貨の競争的な切り下げを回避する」と明記され、通貨安競争を避ける方針で一致した[14]

2013年2月22日、IMFが公表した世界経済に関する報告書で、外国為替市場での円安・ドル高の進行について、円安の進行が通貨安競争を引き起こすとの懸念については「誇張されている」としている[15]。経済学者のポール・クルーグマンは、「G20で、各国は円安を許容せざるを得ないだろう。 欧州中銀のマリオ・ドラギ総裁が懸念を示しても、日本に経済制裁を科すわけではない。日米ともに景気の現状を踏まえて、金融緩和を進めているに過ぎないのであり、『結果』としての通貨安である」と指摘している[16]

2013年2月26日、経済学者のアラン・ブラインダーは、中央銀行の金融緩和策の推進が「通貨戦争」を招くとの議論に対して、「景気を押し上げるためにあらゆることを行っている中央銀行は全て通貨戦争をしていることになるという考えはばかげている」と述べ、議論は的外れとの見方を示した[17]

2013年4月17日、カナダ中央銀行マーク・カーニー総裁は「日銀の金融政策は、モスクワG20声明と完全に整合しており、国内目標に照準を定めている」との見解を示した[18]。同日、アメリカのジェイコブ・ルー財務長官は、「日本が国内向けの政策ツールを用いて内需拡大を目標としている限り、G7が数週間前にモスクワ会合で合意した内容に沿っている」と述べた[19]

2013年6月6日、アメリカ合衆国下院の与野党議員226人は、日本を主要な為替操作国と名指しし、安倍首相の政策は「市場を歪めている」として対応を求める連名の書簡をバラク・オバマ大統領に送った[20]。2013年7月17日、FRBベン・バーナンキ議長は、中国は人民元安を維持しようと為替相場を管理しているとして、日本と中国の金融政策の違うとしており「日本は為替レートを操作しておらず、直接介入することもない」と述べた[21]

2014年10月11日、アメリカのジェイコブ・ルー財務長官は、国際通貨金融委員会(IMFC)に対する声明を発表し、為替相場について通貨安競争を回避するとしたG7声明などの順守を強調した[22]

2014年10月、ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議では、議題予定になかった為替に関する発言が相次いぎ、アメリカのジェイコブ・ルー財務長官は通貨安競争をけん制した一方で、日銀総裁・欧州諸国は自国通貨安による経済へのプラス面を強調した[23]

CFA Instituteのジェームズ・リカーズは、世界は2010年からアメリカを発端として、2014年現在まで通貨安競争の状態になっているとしている[24]。リカーズは、2012年時点で、通貨戦争が一過性のものではなく本格化していくと予想しており、ドル減価で世界が終わりなき通貨戦争へと至るとしている[25]

  1. ^ Bloomberg.co.jp. 2010/02/24.「世界貿易量:昨年は12%減、予想上回る落ち込み-WTO事務局長」2015年2月8日閲覧。
  2. ^ Brown 2010, p. 229
  3. ^ Tim Geithner (6 October 2010). “Treasury Secretary Geithner on IMF, World Bank Annual Meetings”. United States Department of the Treasury. 27 December 2010閲覧。
  4. ^ Edwin M. Truman (6 March 2009). “Message for the G20: SDR Are Your Best Answer”. Voxeu.org. 27 December 2010閲覧。
  5. ^ Martin Wolf (29 September 2010). “Currencies clash in new age of beggar-my-neighbour”. The Financial Times. 29 September 2010閲覧。
  6. ^ Tim Webb (28 September 2010). “World gripped by 'international currency war'”. London: The Guardian. http://www.guardian.co.uk/business/2010/sep/28/world-in-international-currency-war-warns-brazil 27 December 2010閲覧。 
  7. ^ Jonathan Wheatley in São Paulo and Peter Garnham in London (27 September 2010). “Brazil in 'currency war' alert”. The Financial Times. 29 September 2010閲覧。
  8. ^ Alan Beattie (27 September 2010). “Hostilities escalate to hidden currency war”. The Financial Times. 29 September 2010閲覧。
  9. ^ Ambrose Evans-Pritchard (29 September 2010). “Capital controls eyed as global currency wars escalate”. London: The Daily Telegraph. http://www.telegraph.co.uk/finance/economics/8031203/Capital-controls-eyed-as-global-currency-wars-escalate.html 29 September 2010閲覧。 
  10. ^ West inflates EM 'super bubble'. The Financial Times. 29 September 2010. 2010年9月29日閲覧
  11. ^ Russell Hotten (7 October 2010). “Currency wars threaten global economic recovery”. BBC. http://www.bbc.co.uk/news/business-11484532 17 November 2010閲覧。 
  12. ^ 通貨安競争再燃か 求められる一層の円高阻止WEDGE Infinity(ウェッジ) 2012年7月27日
  13. ^ FRBとECBの超緩和政策、世界を混乱に=スティグリッツ氏Reuters 2010年10月6日
  14. ^ 日本経済新聞電子版「通貨安競争を回避」G20声明 日本批判避ける」2013年2月16日の記事。2015年2月7日閲覧。
  15. ^ IMFがドル安を指摘 通貨安競争は「誇張」日本経済新聞 2013年2月22日
  16. ^ どう見る“アベノミクス”NHK Bizプラス 2013年2月12日
  17. ^ 通貨戦争「ばかげた考え」=元米FRB副議長時事ドットコム 2013年2月27日
  18. ^ 日銀の緩和強化、モスクワG20声明と整合=カナダ中銀総裁
  19. ^ 米財務長官、日銀の異次元緩和に支持表明Reuters 2013年4月18日
  20. ^ 米議員226人、大統領に為替操作対応求める 日本を名指しAFPBB News 2013年6月7日
  21. ^ バーナンキFRB議長:日本は円操作せず、焦点は景気の拡大Bloomberg 2013年7月18日
  22. ^ 日本は構造改革断行を=通貨安競争の回避重要-米財務長官時事ドットコム 2014年10月11日
  23. ^ G20で為替発言相次ぐ、米が通貨安競争けん制し日欧はメリット強調Reuters 2014年10月11日
  24. ^ James Rickards. 2014.Currency Wars Revisited. CFA publications. 3(31). p15.
  25. ^ 通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した! ジェームズ・リカーズ著/藤井清美訳 〜通貨安競争は本格貿易戦争を招くのか東洋経済オンライン 2012年10月22日