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利用者:Sillycrown/sandbox

普遍代数学において、代数系が等式コンパクト: equationally compact)であるとは、位相空間論におけるコンパクト性のある種の代数的な類似が成立することをいう。ヤン・ミシェルスキー英語版によって導入された[1]

定義[編集]

一階述語論理の言語 L を固定する。L-論理式の部分集合 K について、構造英語版 AK-コンパクト(弱 K-コンパクト)とは、任意の )について、Σ の任意有限部分がAで充足可能ならば Σ 自体が充足可能となるときをいう[2]。ここで、K を論理式全体とし、Σ を濃度 κ 未満に制限したとき、K-コンパクト性は κ-級飽和性、弱 K-コンパクト性は κ-級広大性と呼ばれる。

代数系 A が等式コンパクト(弱等式コンパクト)であるとは、K を等式全体としたとき、AK-コンパクト(弱 K-コンパクト)であるときをいう。

性質[編集]

代数系の等式コンパクト性は位相空間のコンパクト性を弱めた性質と見做せる。位相を備えた代数系であって、位相空間としてハウスドルフであり、かつ各演算がその位相について連続であるものを位相代数系と呼ぶことにする。例えば位相群はハウスドルフ位相を備えた群であって積と逆元を取る演算が連続なものをいう。位相代数系 A が位相空間としてコンパクトならば、代数系として等式コンパクトとなる。実際、任意の等式 に対して、解全体 閉集合となることがハウスドルフ性および演算の連続性より分かる。したがって、A において有限充足可能な等式の集合は、A 上の有限交叉性を持つ閉集合族に対応し、コンパクト性より共通部分は空でない。すなわち共通解が存在する。

代数系 A を代数系 B初等部分構造とし、A は等式コンパクトであるとする。このとき AB のレトラクトとなる[3]。各 に対して相異なる変数記号 を用意する。これらを自由変数として持つ A 上の等式であって と代入したときに(B において)真になるもの全体を とおく。B において(有限)充足可能であるから、初等性より A において有限充足可能である。A の等式コンパクト性より A において充足可能である。すなわち、写像 が存在して、 に現れる に置き換えたものが(A において)真となる。各 に対し、等式 に属すから、 が成り立つ。また、n-項関数記号とすれば、等式 に属すから、 が成り立つ。すなわち は準同型であって を固定する。例えば代数系 A はその超準化(例えば超冪 のレトラクトとなる。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Jan Mycielski. "Some compactifications of general algebras." Colloquium Mathematicae 13.1 (1964): 1-9.
  2. ^ Węglorz, B.. "Equationally compact algebras (I)." Fundamenta Mathematicae 59.3 (1966): 289-298.
  3. ^ Korppi, Tuomas (2010年). “Vanishing of derived limits of non-standard inverse systems”. Topology and its Applications 157 (17): pp. 2692-2703. doi:10.1016/j.topol.2010.07.021