利用者:Stinglehammer/The Good Terrorist2

Stinglehammer/The Good Terrorist2
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著者 ドリス レッシング
発行日 1985
発行元 Jonathan Cape, UK; Knopf, US
ジャンル 政治小説
英国
言語 英語
ページ数 370
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The Good Terrorist は 1985年にイギリスの作家ドリスレッシングによって執筆された政治小説です。同年9月に英国のJonathan Capeと米国のAlfred_A._Knopfから出版されました。本書の主人公アリスはナイーヴで優柔不断な反面、ロンドンで急進派の仲間とスコーターで暮らすなかでテロ活動に引き込まれていきます。

レッシングは1983年にロンドンで起きたハロッズでのアイルランド共和軍(IRA)による爆破事件の後にこの小説に着手しました。グレートブリテン共産党の党員でしたが1956年のハンガリー動乱の後に去りました。この小説について風刺的という批評もありますが、レッシング自身はユーモアと表現しています。この撞着語法的なタイトルはアリスのどっちつかずな性格を強調しているといえます。

この小説への批評は二つに分かれています。一方は内面や登場人物の描き方を評価し、他方は形式や登場人物が深みに欠けると批判しています 。 ある批評ではレッシングの「力強い文章と現実的な登場人物の人格化」[1] やまた別の批評では「テロ行為に参加する個人の性格について見事に描いている」[2] と称賛される一方で、「驚くほど退屈」[3]で登場人物が「平凡、深みに欠ける、自己欺瞞に陥っている」[3]と批判されています 。この小説は ブッカー賞の候補にもあがり、 モールコンカドーロ賞とWH-スミス文学賞受賞を受賞しています。

プロットの概要[編集]

この小説は、主人公アリスの 主観的な第三者 の視点から描かれています。アリスは政治と経済を大学で学び、30代半ばで仕事がなく、コミューンを渡り歩いています。 アリスはジャスパーという青年と学生のコミューンで知り合い恋に落ち、そこで15年過ごします。しかし、彼の無関心に苛立ち、同性愛を選びます。 革新的で「ファシストの帝国主義」[4] に立ち向かっていると自分自身を認識している彼女ですが、実際は彼女を軽蔑している両親に経済的に依存しています。1980年代初頭には「同志」[5]に加わり、ロンドンの廃屋、スクワットで一緒に暮らし始めます。 その仲間のなかには、無能なリーダーのベルト、レズビアンのカップル、母性的なロベルタと、彼女の不安定で傷つきやすいパートナーのフェイがいました。[6]

廃墟の家は修復が不可能な状態で 市議会の取り壊しの対象に認定されています。 仲間の誰もそのことに無関心なところ、彼女は掃除し家を修復します。 また交渉して電気や水道も通してもらいます。 アリスはその家の「母」のような存在として、メンバーの食事の支度をしたり、地区の警察が立ち退きを要求してくるのにも対処します。 メンバーは共産党連合(CCU)の一員としてデモや監視に参加します。 アリス自身もそうした活動にも参加しますが、ほとんどの時間を家事に投じます。

闘争に役立てるため、ジャスパーとバートはアイルランドと ソ連 へ行き、アイルランド共和国軍 (IRA)と KGBの活動に加わろうとしますが却下されます。 より組織立ったグループがアリスたちの家の隣に移ってきて、軍の運営のために家を使おうとしますがアリスが抵抗します。[7]>そして謎めいた人物が彼らのスクワットを訪れ決断を迫ります.[8]

アリスたちは彼らだけで活動することを選び、自らを「自由英国共産党」[9]と称します。そして爆発物の実験や爆破に使う車の改造を始めます。 アリスはこうした活動を支持しないものの、ほとんどの決断を受け入れます。彼らは供給ホテルナイツブリッジラグジュアリーを攻撃の対象としますが、経験がなかったために異常爆発してしまい、仲間のファイや通行人など死者を出してしまいます。 この結果、残る仲間たちも動揺し解散しスクワットを出ます。 ジャスパーに幻滅したアリスは彼に付いていかず、手を入れこんだ家に残ります。 爆破について支持していなかったにも関わらず、仲間の行動を他人に正当化して説明する必要があると感じますが、「ふつうの人には理解できない」[10]と 無駄だということに気が付きます。彼女はいつからか自分はテロリストと認めるようになります。[11]

背景[編集]

A head-and-shoulders photograph of an elderly woman
是レッシングはバラエテ語で ケルン文芸フェスティバル、ドイツ、2006年

ドリス・レッシングは1940年代南ローデシア(現ジンバブエ)で生活していた頃から政治に関心を持ち始めました。 彼女は「準共産党」 に魅せられ、ソールズベリー(現 ハラレ[12] の左翼ブッククラブに参加しました。 当時ローデシアで起きた闘争がきっかけで、南ローデシア労働党にも加わりました。 レッシングは1949年にロンドンに移り作家活動を開始します。 1950年初頭にはグレートブリテン共産党の党員となり、反核運動に加わります。[13]

1964年までにレッシングは小説を6作品出版しています。一方で1956年のハンガリー蜂起 で幻滅し、イドリス・サハのスフィスを読んでからは彼女の関心はスーフィズムに移っていきます。 [14] [15]そして5巻に渡るSF的な物語[14]、スペースフィクションを書きます。 アルゴ座のカノープスシリーズにはスーフィズムの概念が描かれています。 これらの作品は読者によって評価がわかれており[14]、なかには彼女の「合理的な世界観」が失われてしまっているという人もいます。[16]

グッドテロリストはレッシングがその後初めて出版した作品になります。そして「レッシングが地球に戻ってきた」[17] 「現実に戻ってきた」[18] と賞する人もいました。グッドテロリストは風刺的というレッテルを張られますが、

[19] [20][21] 彼女はユーモアだとコメントしています:

これは政治的な主張をしている作品ではありません。 ある種の政治的な人物を題材にしていますが、それは豊かな社会にだけ生み出される自称の改革です。 多くの芝居がありますが、彼らが望んでいるのは極左改革や即座の変革を望んでいる社会とは違います。[17]

レッシングは、1983年にロンドンで起きたアイルランド共和国軍によるハロッズ爆破事件の後にグッドテロリストを書きました。[22] 「メディアは素人による犯行と報道していました。そして私はどのような背景をもっていたのだろうかと想像し始めました」[17]と回想しています。 「もし彼らが子どもだったら、自分たちの行動について客観的に見ることができず、いったいなにをしているのかわからないままテロリストの活動にのめりこんでしまうこともあるのではないかと思ったのです」。 レッシングの頭のなかにはすでに主人公アリスのイメージが浮かんでいました。「アリスみたいに、母のように人の世話をする反面、ためらいもなく多くの人を殺してしまう計画に加わってしまう、そんな人物はいる気がします。 アリスは相対する面をたくさん持っているので「もの静かなおばかさん」かもしれません。 アリスの恋人ジャスパー以外、例えば薬物常用者で傷つきやすいフェイのように[6]、登場人物が「破壊的な人物」となっていったことに驚いていると話していました。[22]

ジャンル[編集]

グッドテロリストはニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスのアリソン・ルリー書評も含め一部の出版社や書評家から「政治小説」 に分類されています。 ルリーは、政治小説として、ジョゼフ・コンラッド『密偵』(1907)以来の「傑作の一つとしてテロリストの内面をよく描いている」と称賛し 、 一方ウィリアムH.チャードはハドソン・レビューでコンラッドに比べて「鋭敏さに欠ける」と評価に疑問を呈しました。 多くの批評家は政治小説というよりも政治についての小説だとコメントしています。 「帝国の周縁で:クリスティーナ・ステッド、ドリス・レッシング、ナディン・ゴディマ、ルイス・イリンでも本質的に政治小説とは違い、政治についての小説だと述べられています。[23]

グッドテロリストはう風刺的とも言われています。 レッシングについての本『ドリス・レッシング:変化の政治』においてガイ・グリーンは「一連の変革の風刺」と呼び、[24]スーザン・ワトキンスは『ドリス・レッシング:国境を越えて』において「左翼のグループのひとつに加わった女性をドライに風刺的な視点で描いている」と述べています。 2007年にノーベル文学賞を受賞した時に出されたスウェーデンアカデミーのレッシングの伝記では「全権管理を必要とする現代の左翼を風刺的に、また主人公の女性が道を誤り苦難とそれを克服していくさまを描いている」と述べられています。 イリンは小説は「風刺と追憶」の両方に振り子のように傾いていると述べています。[25] ロバート・E.クーンは風刺的では全くなく、「最もブラックで陽気な種の風刺」と述べています。 彼の意見では、レッシングは全くユーモアのセンスがなく、風刺作家の鞭で打つ代わりに、絶え間ない価値を下げた皮肉で彼らを扱っています。

バージニアスコットはファンタジーと言っています。 インターナショナルフィクションレビューにおいてルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』について述べるなかで、政治的革命グループに加わるレッシングのアリスはファンタジーの真面目な分野としてキャロルのアリスに匹敵すると言っています。 両方ののアリスが家に入り不可能に見える課題に直面します。キャロルのアリスは狭すぎる道を通らなければならず、レッシングのアリスは解体の対象となっている住むのが難しいと思われる場所におかれます。 両方のアリスが直面している問題の外観を変えます。キャロルのアリスは必要を満たすために自分のサイズを変え、レッシングのアリスは他の人に対する彼女の望みをかなえるために家を住めるように変えます。 スコットはこの点でグッドテロリストはフォイヤーが述べているように「アリスの不思議、不思議なアリス」として、[26] キャロルのアリスを暗示していると述べます。

テーマ[編集]

A photograph of a multi-storey department store
1983年のアイルランド共和軍(IRA)の爆破事件が起きたハロッズ(2009年撮影)。グッドテロリストを書くきっかけになった。

アメリカの小説家ジュディス・フリードマンはグッドテロリストの共通テーマのひとつとして個人のアイデンティティを集団のなかに位置づけ、それを「個人の意識」として伝えていることだと言っています。 これは人が無理に環境に順応しようとするときに起きる問題を提起しています。 アリスは「とても善良な女性であり小さな家政婦が変革をけしかけている」圧力のもとで悪い方向に行ってしまっている。

もうひとつの点は象徴的な家の存在です。 マーガレット・スキャンランはマンスフィールド・パークジェーン・エアのように、グッドテロリストは「女性を家に関連して定義している」と述べます。[27] 「小説研究」において、キャさリーン・フィッシュバーンはレッシングは「家」を用いて「心理的、存在論的な変化」を象徴しています。[28]ここでは「家が、小説でのアリスの役目を象徴しています」。[28] イリンによれば、グッドテロリストは、郊外の陰惨な家としてイングランドを分類しており、つまりロンドンの家がイングランドを表象しています。[23] 「女性の虐待:ドリス・レッシングのグッドテロリストにおける政治的な圧制と男性的な強情」において、ラルバッシュとヤヤは家とそのなかでの圧制の関係が、[29] 社会との圧制の関係を反映しています。[29]

また母性に注目する批評もあります。 「母と娘/高齢と死」でクレア・スプラグは、レッシングは、母親の行動が娘に受け継がれ母と娘のわだかまりがどのように世代を通じ浸透していくのかというテーマを書いているの述べます。 イギリスの小説家ジェーン・ロジャースは、グッドテロリストは母性について極左であるかのように厳しく辛辣に描いています。 なので母性は「痛烈」です。 アリスは母親のようにジェスパーの世話をし、関係は絶望的になります。 ロジャーのための母性は、復讐や傷つける傾向があるにも関わらずその弱さを守るものとして描かれます。

フェミニズム と女性の服従もグッドテロリストに関連するテーマとしてあげられています。スカンランによれば、小説に描かれる仲間の多くは女性ですが、政治活動は女性の地位を向上させないことに気づき、軽蔑している父権制のわなにはまっていきます。[30] イリンによれば、レッシングはCCUの男性メンバーや彼らの役目を嘲笑しつつ、女性メンバーの男性優位の政治組織に共謀し彼らに服従していく様子を批判的にみています。[31] しかし、ジェスパーの同性愛の引喩によって、レッシングは、「女性の父権制のミソジニーへの心酔とミソジニストの男性へ感情的に依存する女性への批判」は、同性愛恐怖症と「男性の同性愛の父権制おn構造に広がるミソジニー」によって和らげられていると言います。[32] ラルバッシュとヤヤはレッシングはアリスを「典型的な家政婦」[33] として家族、ここでは仲間たちを世話しますが「無視されないがしろにされている」と言います。[33] イギリスの社会フェミニズム活動家ジュリエット・ミシェルによれば、アリスの運命は封印されている、なぜなら女性は「人間として平等に権利がある」はずなのに「経済的、社会的、政治的に周縁に追いやられている」。'

批評[編集]

いくつかの批評ではグッドテロリストというタイトルは撞着語法だと指摘されています。 Robert Boschmanによれば、アリスがスクワットの家を修復していく一方で社会に対して破壊的になっていく「矛盾を含んだ性格」を反映しているといいます。[34] The Hudson Reviewでは、George Kearns がタイトルは「皮肉をともなって小説の上にとどまっている」と述べています。[35] 読者はアリスが「グッドテロリスト」だと受け取ると思うが、それは善良な人物である一方で「テロリストに陥っていく」ということではないかといいます。[35] World Literature TodayでMona Knappはヒロイン、アリスは善良な人物でも立派な革命家でもない、と述べます。 彼女は家を修復していく方法を知っていますし都合の良いように人々を巧みに扱いますが、無職で両親に経済的に依存しています。 実際に革命のための活動が開始されスクワットが武器を輸送するために使用されるようになると、彼女はパニックに陥り 、仲間の影に隠れて彼らを通報します。[28] Knappはアリスを「テロリストとしても人間としても不完全」と述べます。 Fishburnは、善良なテロリストはレッシング自身であり、アリスに象徴されているが、レッシングの場合は「文学における政治的なテロリズム」だと述べています。[28] レッシングは自身の考えを頻繁に「一見非常に家庭的に感じられる小説」の中に隠しつつ[28] 私たちの現実への認識に直接的に挑戦していると説明しています。[28]

Kuehnに記載のアリスとして最も楽観的な見通しを持ってい遂には、cannyともに、愛らしい"と、 として人36んで育った、いまだに依存し、両親します。 Yelinとのアリス"状態の永遠の思春期"は、[23] や彼女の"母の皆様""極端な例での心理的回帰や故障の繁栄"です。[36] Greeneの記事は英語で書かれた記事をアリスの"人道主義リアをデザインは彼女の世界"には、[36] と記述しい"相手に猛烈と自分"をもたらしていることはも未熟な理解何が起きているのは、彼女の行動が異なっても危険です。[37]

Boschmanはレッシングの語りは「皮肉[36] を含んでいると言います。彼は、実際のアリスとアリスが考える自身の姿と、理想に近づこうとするなかにかい離がないと説明しています。[36] アリスは彼女の「母親のような活動」[37] は自身が母親に認めてもらいたいからだということを認めようとせず、母親に「裏切られ捨てられた」と信じ込んでいます。[37] そして「自己像と世界観についての信条を抱き続けるための」方法としてジャスパーを選びます。[37] ジャスパーが彼女の意図を誤解し彼女の好意を利用しても、アリスは自己像が「彼への見方をつくり否定と自己欺瞞を増殖させる」ため彼に固執します。[38] ジャスパーが同性愛者になったという事実をアリスは「彼の感情の世界」を失ったと感じ、「自分の感情を抑制させて」いきます。[39] Kuehnはアリスのジャスパーに対する「不運な」「不快な」執着を「理解できる」、 なぜなら彼の虐待に耐えなければならない一方で同性愛になったことに安堵している面があるからだと説明しています。

Knappはレッシングは自身のスタイルの「暴徒」を「中流階級の損なわれた未熟な産物」として暴露している、一方で意味のある変化につながっていない無能さを嘲笑していると述べています。 レッシングは「テロを支持する」ことは否定している一方で、労働者階級を搾取しホームレスを無視する組織に対する姿勢をもっています。 Knappはレッシングはこれらのあいまいな状態をに明確な答えは出していないものの、そうした社会の状況やそこに立ち向かう人々を強調していると述べています。 Scanlanはレッシングの登場人物を リチャードE.RubensteinのAlchemists of Revolution: Terrorism in the Modern Worldのテロリストと比較しています。[40] Rubensteinは「野心的な理想家」が「統制する上層階級や反抗的な下層階級をもたなかった場合」 「災難の公式」と言います。

反応[編集]

グッドテロリストに対する評価は分かれています。 Elizavbeth Lowryは、ロンドン・レビュー・オブ・ブックスで「(レッシングは)散文の平凡さへの鋭い批判を受ける一方でそれに対する力強い擁護もあります」。 小説の文体についてアイルランドの批評家Denis Donoghueは「一貫して退屈」 、Kuehn は「驚くほど個性がない」と述べています。 一方、Lowryによれば、英国の研究者Clare Hansonは「小説がグレーで際立った特質がなく感じられるのはそういった言語を使っているからだ」と反論しています。

他にも、Freemanは「優美で熟練された物語」 として「テロリストの活動に参加する個人を非常に上手く描いている」 と述べています。ロサンゼルス・タイムズにおいてもレッシングは「非常に素晴らしい作家の4本の指に入る」 と称賛しています。サン・センチネルのレビューではBonnie Grossがグッドテロリストはレッシングの作品の中で「最も手に取りやすい」本と称し、「力強い描写とリアルな人物像」によって読者は「特別な」「価値のある読書体験」に導かれると述べています。 Grossは女性の登場人物、特にアリスについて、男性の登場人物よりもより深く洞察されていると考察しています。

Amanda Sebestyenはウーマンレビュー・オブ・ブックスでグッドテロリストについて、一見シンプルで展開も推測できるような印象を受ける一方で 、実際はスクワットでの生活描写に見られるように「生活の中での日々の努力を淡々と語る」ところにレッシングの強みがあると述べます。 また、Sebestyenはアリスの描写について、あたかも「私や同世代が抱える不安について語っているかのよう」と称賛しています。 米国のフェミニスト刊行誌”off our backs”のレビューでは、Vikie Leonardが、登場人物が「リアル」で「刺激的」に「非常に上手く描かれた」「魅力的な本」と述べています。Leonardはアリスはフェミニストではないが、作品自体がレッシングの「女性とその社会的な礼節への強い敬服」を反映していると付け加えています。

ガーディアンでRogerはグッドテロリストについて個人の視点で社会を洞察した「非情なクローズアップの小説」と表現しています。 同時に、「人間の愚かさと破壊的な面についての分別と怒り」であり 、ロンドンでのテロ事件の文脈では「事実に基づいて書かれるレポートでは手の届かない小説だからこそ描ける部分」の好事例担っていると述べています。 またKirkus Reviewsの批評では、アリスの物語は「非常に巧みで、リアルに、彼女の、正義のために復讐を試みる心情について描き出している」 、またアリスは「自己欺瞞」の面があり、必ずしも好感がもてるわけではないが 登場人物と彼らの政治的な動機についての描写に作品の強みがあると述べられています。

Donoghueはニューヨークタイムズで、アリスとその仲間に起きたことはそれほど気にかけなかったと述べています。 それはレッシングがアリスを通して「政治上の反動や偏見が全く無意味である」ことを読者に気がつかせ それ以上の関心をそこに抱かせないからではないかと分析しています。 Donoghueは一方で、レッシングは登場人物が「地の塩(世の腐敗を防ぐ健全な人、聖書マタイ伝より)なのかクズなのか」決めかねているようだと批判します。 シカゴ・トリビューンでは、Kuehnは作品は全体として印象が薄く記憶に残りにくいと述べています。 レッシングは登場人物の成長に力を注ぎ込んでいるが、彼らは「つまらない、あるいは二次元止まりで深みがない、あるいは自己欺瞞によりどこか不自由になっている」と批判しています。

グッドテロリストは1985年ブッカー賞にノミネートされ 、1986年には モールコンカドーロ賞WH-スミス文学賞を受賞しています。 2007年にレッシングはノーベル文学賞を受賞 し「文学の歴史と生きた文学の一部となりました。 。受賞式ではスウェーデンの作家 Per Wästberg 「スクワットを中心に活動する極左翼の文化が女性の自己犠牲を飲み込んでいく深みのある話」と称賛しました。グッドテロリストはレッシングの傑作5本の一つとしてあげられていますインドの作家 Neel Mukherjeeは2015年に「革命に関する本のトップ10」の一つとしてガーディアンにも公表しています。


掲載履歴[編集]

グッドテロリストは1985年にハードカバーで英国の出版社ジョナサン-ケープ と米国の出版社アルフレッド-A.Knopf から初版が出ています。 ペーパーバック版はその翌年の9月にグラフトンから出版されました。 また、1999年の4月には米国でブラックストーン・オーディオから13時間に及ぶフル録音版でオーディオ・カセットが出ています。 翻訳版はカタロニア語、中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、スウェーデン語が出版されています。

参考文献[編集]

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引用[編集]

外部リンク[編集]

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