利用者:Surgematrix/sand34
無人店舗(むじんてんぽ、英: Unmanned store)とは、店内に従業員やレジ係がいない店舗を指す概念である。決済にはモバイルアプリを使用する。無人店舗は、自動化されたコンビニとは異なり、スマートフォン関連の技術とAIを活用することにより、伝統的な店舗が持つ特徴を取り除いたものである。
歴史
[編集]初期
[編集]2012年、Cisco社は、近年スマートフォンやタブレットが急速に普及したことにより現実味を帯びた無人店舗が秘める可能性について論文を発表した[1]。2014年、ShelfX社が無人店舗の第一号店を開発した。客は店内でスマートフォンにカードをスワイプすることで料金を支払うことができ、レジで会計をせずに店外に出ることができた。2016年2月、スウェーデン初の無人店舗がVikenにオープンした[2][3]。
米中競争
[編集]2016年12月、アマゾンは無人店舗『Amazon Go』の立ち上げや研究開発を開始した。2018年1月22日、アメリカのシアトルで一般客が利用できる無人店舗を正式にオープンした[4]。2019年5月7日、Amazonはアメリカのニューヨークに初の無人店舗「Amazon Go」をオープンすると発表した。店舗はニューヨークのブルックフィールド・プラザ・ショッピングセンターの2階に作られた[5][6]。
アマゾンがアメリカで最初に無人店舗の開設を発表したのに対して、中国は国内での無人店舗の開設と成長でアメリカに対抗した[7][8]。2017年7月、淘宝網は杭州に期間限定の無人店舗『タオ・コーヒー』をオープンした。2018年1月にはアリババが体験型無人店舗をオープンさせた。他にも、中国の小売大手である京東商城やWeChatも無人店舗を出店している[9]。
2017年12月、日本のローソンは来年春にもレジ係不要の無人店舗を導入すると発表した[10]。5月16日、韓国の無人店舗『SIGNATURE』がソウルで最も高いビルであるロッテワールドタワーの31階にオープンした[11]。2018年1月29日には台湾でもセブンイレブン初の無人店舗『X-STORE』が開店した[12]。2017年には、中国で200の無人店舗がオープンしたと推定される[13]。
中国における無人店舗の衰退
[編集]2018年早々、中国では多くの無人店舗が閉店や倒産に追い込まれ、無人店舗バブルは崩壊した。2018年7月、オンライン小売業者のJD.comは主要都市のオフィスビルに5,000機のスマートシェルフを配置する計画を発表したが、その6ヶ月後に計画を撤回した[13]。また、無人店舗を有人店舗に改修したケースも多い[14]。無人店舗が急速に衰退した理由として、多くの店舗がテクノロジーに注力する一方でカスタマーエクスペリエンスを軽視していたことが挙げられる[15]。
一度は衰退した中国での無人店舗だが、技術と小売りの融合は今後益々進んでいくと考えられ、同国での無人店舗には未だ発展の余地が残されている[14]。
無人店舗のしくみ
[編集]無人店舗は完全にセルフサービス、セルフレジであるためレジ待ちの列は存在しない。購入した商品の登録や支払いはモバイルアプリを通して行う。
店舗の天井にはカメラやセンターが備え付けられている。客が入店した時から、移動したルート、商品の閲覧、手に取った商品、ラベルの閲覧、商品の返品など、客がとるあらゆる動作がカメラに記録される。保存されたデータはAIに送られ画像認識が行われる。客が特定の商品を選択すると、APP内に存在する仮想ショッピングカートに自動で商品が追加される。客が商品を購入した場合、APP内の仮想ショッピングカートに存在する商品は自動的に削除される。前述した通りセルフレジであるため、レジ係の会計を待つ必要はなく客はそのままドアから外に出ればよい[4]。
出典
[編集]- ^ “Manning the Unmanned Aisles of Retail”. cisco.com (September 2012). 28 February 2020閲覧。
- ^ Chris Teller (29 February 2016). “This 24-hour convenience store in Sweden doesn't have a single employee — here's how”. Businessinsider.com. 24 February 2020閲覧。
- ^ Jam Olsen (29 February 2016). “Sweden opens first unmanned 24-hour convenience store”. Globalnews.ca. 24 February 2020閲覧。
- ^ a b “無人商店-財經知識庫”. MoneyDJ理財網. 2019年12月15日閲覧。
- ^ “深度直擊全球Amazon首家無人商店,Amazon Go維運關鍵大公開” (中国語). iThome. 2019年12月14日閲覧。
- ^ “Amazon Go 無人商店進入紐約,可接受現金付款” (中国語). TechNews 科技新報. 2019年12月14日閲覧。
- ^ Meng JJing (26 July 2017). “China embraces Amazon’s unmanned store concept as part of country’s efforts to redefine retail experience”. Scmp.com. 24 February 2020閲覧。
- ^ Maggie Zhang (22 January 2018). “Tencent beats Amazon to launch unmanned shop, but lags other Chinese tech rivals”. Scmp.com. 24 February 2020閲覧。
- ^ “中國無人商店錢坑超乎想像,阿里巴巴、騰訊也由熱轉冷” (中国語). TechNews 科技新報. 2019年12月14日閲覧。
- ^ Staff, Reuters (4 December 2017). “ローソンが無人レジ店舗展開へ、人手不足対策”. Reuters 2021年1月2日閲覧。
- ^ “韓國7-Eleven Signature無人商店” (中国語). 購物中心情報站 (2019年3月27日). 2019年12月14日閲覧。
- ^ “台灣也加入無人商店戰場!7-11宣布推出全台第一家無人超商「X-STORE」測試計畫-居家生活-GQ瀟灑男人網” (中国語). GQ TAIWAN. 2019年12月14日閲覧。
- ^ a b Hiroshi Murayama (17 June 2019). “China's unmanned store boom ends as quickly as it began”. Nikkei.com. 28 February 2020閲覧。
- ^ a b “相次ぐ無人小売店の閉店、復活のカギは「技術を使った消費体験」”. www.afpbb.com. 2021年1月2日閲覧。
- ^ Emily Cheng (17 February 2020). “Can humanisation save the unmanned store?”. Insideretail.asia. 28 February 2020閲覧。
関連項目
[編集]- 良心市 - AI等のIT機器に頼らず、顧客の善意を前提に設置される無人店舗。