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利用者:Tanqueray/sandbox

名古屋めし(なごやめし)とは、愛知県名古屋市を中心とする中京圏が発祥の食文化、もしくは他地域から中京圏に持ち込まれ発展した食文化を、一括りに表現するために生み出された造語である。

由来と普及[編集]

名古屋は独特な食文化を持っていると言われている。元々のメニューにアレンジを利かせたアイデア料理が特徴で、その中でも、味噌カツきしめん天むすといった名物は、昭和時代末期以前においてもマスコミやガイドブックなどで紹介されており、一定の知名度は上げていた[1][2]

2001年、名古屋に本社を構えていたゼットン東京へ進出、店の目玉として名古屋の地元料理をアレンジした「味噌串カツ」や「石焼ひつまぶし」を提供しはじめる。取材に訪れたグルメ情報誌の編集者がこれらをひとまとめにし、イタリア料理イタめしをまねて『なごめし』という呼称で紹介しようとしたところ、ゼットンの代表取締役社長である稲本健一が、もっとわかり易く『名古屋めし』と呼ぶことを提案、採用されたのがこの言葉の始まりである[3]

ゼットンに続くように、その後も矢場とん[4]世界の山ちゃん[5]など、名古屋名物を提供する外食産業が東京へ進出する。時を同じくして愛・地球博の開幕や、名古屋周辺地域の好景気などを背景に、マスコミが中京圏の話題を多く取り上げるようになり、その代表として「名古屋嬢」のようなファッション文化や、独自で多種多様な食文化にスポットライトが当たる機会が増えていった。その際、食に関する名古屋名物をダイレクトかつインパクトもある便利なキャッチフレーズとして一括りにした「名古屋めし」という表現が多用され、このことがこの言葉を、そして多彩な食文化の数々を全国的に認知させていく結果を導いた[3]。東京で生まれ、東京のマスコミから発信されたこの言葉が、地元の名古屋でも使われるようになったのはその後のことである[3]

「名古屋めし」という括りの誕生以前でも、全国的に名の知れている名古屋名物がいくつかあったが、他地域に住む人にとってそれらは名古屋周辺地域に来訪した際くらいしか口にすることのないもので、大阪お好み焼き札幌味噌ラーメンといった、比較的全国各地でも味わうことのできるようなメジャーな存在になっているご当地メニューや食べ物は存在していなかった。更にタモリが名古屋をバッシングするネタを披露して話題を集めたり、とある英和辞典[6]の「joke town」(=ジョークの対象になる都市)の項目に、例として「日本における名古屋」との記述が掲載されて話題になるなど、名古屋をネタにした「差別ギャグ」[7]と呼べるものが何の咎めもなく世間に吹聴され、名古屋特有の食文化も笑いのネタなどにされ茶化される存在となってしまっていた[3]。また、名古屋周辺の出身者は他の地域において、積極的に地元的なものを話題にしたりその良さを標榜することがなく、「名古屋めし」という言葉の登場以前、唯一ブームを巻き起こしたともいえる「天むす」にしても、実際に話題となるきっかけを作ったのは、仕事のために来名することの多かった他地域を中心に活躍する某タレントであった[8]

このような状況が、「名古屋めし」という言葉の登場とその後のブームで一変する。前述のとおり、ご当地名古屋でもこの言葉と括りはすんなりと受け入れられて[3]、巷間の店舗などでは「名古屋めし」であることを標榜しつつ飲食物を提供し、近年に到っては地方自治体も「名古屋めし」を前面に押し出した観光イベントを開催して行楽客を誘致するなど、官民上げて「名古屋めし」を積極的に

特色と現状[編集]

名物、八丁味噌に代表されるようにいずれも味付けが濃い傾向がある。多くは、名古屋市周辺が発祥の名物とされる料理であるが、他地域発祥であっても名古屋地区において独特の発展を遂げたものも含む。また、メディアで話題となってからは、全国的にその調理方法や名称が浸透したものを中心に、実際には名古屋市周辺の発祥であるにもかかわらず、発祥の地を名乗る店舗が他の地域で現れたり、インターネットや口承により出典や根拠のない発祥が広まってしまったものが見受けられるようになってきている。

  1. 名古屋市周辺の発祥ではないことが明らかになっているもの
  2. 名古屋市周辺の発祥であるが、のちに他地域の店舗により提案された別の供食方法も一般的に知られるようになったもの
    • 味噌カツ(洋食風に平皿の上に載せて供される形態は、1965年に三重県津市の「カインドコックの家 カトレア」が創めたものであると名乗りをあげている。なお、カトレアの「みそカツ」(当店のメニュー表ではこのように表記)を広義の味噌カツの発祥であるとする文献資料[9]も見られるが、豚カツを味噌ダレで食する形態はそれ以前からも愛知県地方や岐阜県南部地域に存在[10]していたため、時系列的に言ってカトレアの「みそカツ」は広義の味噌カツの発祥とは言えず、あくまで亜型的存在である)
  3. 名古屋市周辺に限らず、東海地方の比較的広範囲でその由来となる供食方法の存在が指摘されているもの
    • ひつまぶし(鰻重などの調理の際に余った切れ端や硬い食感の質の悪い鰻などを刻み、ご飯の上に乗せたり茶漬けにしたりする食べ方は、東海地方の他地域にも存在していた[要出典]ことから、ひつまぶしの特徴的な供食方法に含まれる個々の特徴を取り上げて、ひつまぶしの発祥地を名古屋とすることに対して異議が唱えられることがあるが、ひつまぶしという供食方法自体は紛れもなく名古屋市周辺の発祥である[11][12]
  4. 名称に他地域の名前が含まれているものの、名古屋市周辺の発祥であることが明らかになっているもの

2005年ころからナゴヤドームで球場独自の弁当として「球弁」が取り入れられた。この「球弁」にも名古屋めしの食材を取り入れたものが多く、ドームでの野球観戦での食事にも愛されている。また、名古屋駅駅弁にも名古屋めしの食材を取り入れたものが数多くある。

なお、かつてタモリ名古屋弁を面白おかしく誇張するネタにおいて、名古屋ではエビフライのことを「えびふりゃー」と言うと話題にした影響で、エビフライも名古屋名物であるとの誤解が広まってしまった。実際のところ、エビフライは名古屋(中京圏)生まれでも、独自の進化を遂げたわけでもなく、また特に食べられていたわけでもない。しかし現在ではそれを逆手にとり、名古屋市内にもエビフライ専門店が複数誕生していたり、エビフライを取り入れたメニューを提供する店も現れはじめており、名古屋めしのひとつとして話題にのぼることも見受けられるようになってきた(なおエビフライの材料に使われるクルマエビは「愛知県の魚」に指定されている)。

一覧[編集]

中京圏発祥の名古屋めし[編集]

中京圏発祥でも独自でもないが、多く提供されていることによる名古屋めし[編集]

中京圏より進出したことにより含まれる名古屋めし[編集]

独自の名称を用いる名古屋めし[編集]

料理ではないが中京圏独自の食べ物[編集]

名古屋めしに多く用いられる、また特徴付ける素材・食材[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 鈴木修 『名古屋の味』 保育社 カラーブックス 377 1976年11月5日発行
  2. ^ 中島公司 『名古屋味どころ』 保育社 カラーブックス 643 1984年6月5日発行
  3. ^ a b c d e 大竹俊之 『「名古屋メシ」のルーツは東京だった!?』中日新聞プラス 2012年9月1日 2015年1月閲覧.
  4. ^ 矢場とん歴史博物館株式会社矢場とん総合情報サイト 2015年1月閲覧.
  5. ^ 沿革世界の山ちゃん(株式会社エスワイフード)サイト 2015年1月閲覧.
  6. ^ 『小学館ランダムハウス英和大辞典』 小学館 1993年12月発行(第二版初刷)
  7. ^ 呉智英 『真実の「名古屋論」トンデモ名古屋論を撃つ』 樹林舎・人間社  2012年5月22日発行
  8. ^ 「ファミ☆ピョン」(TBSテレビ、2011年7月20日放送)
  9. ^ 津市観光協会のサイトより
  10. ^ 矢場とんのルーツ
  11. ^ あつた蓬莱軒の歴史
  12. ^ 錦三丁目 いば昇のサイトより
  13. ^ 2013年8月30日0時55分メーテレ放送「ビーバップ!ハイヒール」で日本経済新聞社特別編集委員の野村泰申氏の解説

関連項目[編集]

外部リンク[編集]