利用者:Tantal/執筆vol.5採点基準
表示
理系の分野は、自分で審査できる実力がないのは百も承知なので、分野Aと分野Cの審査員を勤めさせていただきます。良質な記事が多いので、自分の採点基準を提示することで、順位付けの根拠とします。
以下の文章が私の採点基準となります。加筆コンクールと違い、執筆コンテストはあくまでも秀逸な記事の選考の孵化器と思っていますので、秀逸な記事の選考に耐えられるかに関してはボーナスポイントと思ってください。満点は20点になります。表記は見た目を重視し、○で表示します。
- 日本語版Wikipediaにおいて、新規の地平を開いた記事であるかどうか。(2点)
- 最新の研究成果を反映した内容であるかどうか。(2点)
- 執筆された記事に関して詳しくない人に対して、簡潔な概要を示しているかどうか。(2点)
- 内容が正確であるか、記事の内容に関して、不足はないか。あるいは冗長に陥っていないか。(3点)
- 画像や図、グラフが効果的に用いられているか。(3点)
- 脚注が適切に用いられているか。(3点)
- 参考文献が適切に用いられているか。(3点)
- (Bonus)すぐにでも、秀逸な記事の選考に耐えられるか。(2点)
【分野A】
- 境根原合戦(3点)--室町時代・戦国時代という場合によったら参考となる文章が散逸、特に、600年前には、そういう文字文化に関して無関心であった関東地方の記事に挑戦された姿勢は評価したいと思います。とはいえ、収集された文献に関しては貧弱であると思います。一層の努力が求められるかと。
- ○○。
- 。
- 。
- ○。
- 。
- 。
- 。
- (Bonus)。
- 2009年千葉県知事選挙(4点)--日本語版ウィキペディアにおいての弱点は地域史と思っています。日本語版において、アメリカ各州の歴史が網羅されていることに対して、47都道府県の歴史や一つの時代に焦点を当てた記事がないこと(例外は江戸時代)を考えると評価が難しい直近の出来事に挑戦された姿勢は評価すべきと考えます。しかし、検証可能性に関してはやはりペーパーベースでの渉猟が容易だったことを考えるとインターネットに頼り切ったことはやはり問題点であると考えています。
- ○。
- 。
- ○。
- ○。
- ○。
- 。
- 。
- (Bonus)。
- 富山の売薬(4点)--昨年から共同作業をともに行っているだけに、仕事が多忙であったので、満足できる記事ができなかったことに関しては仕方ない面があるかもしれませんが、北は稚内市から南は波照間島に住んでいる人に対して与えられた時間は全員が一緒だったことを考える(うーん、日本POV)と厳しい評価かもしれません。また、私の地元がサロンパスの久光製薬であることから過度の期待を持っていたこともありました。
- ○。
- 。
- ○。
- 。
- 。
- ○。
- ○。
- (Bonus)。
- 日韓通信業務合同(11点)--日本・韓国における逓信史の知られざる部分の整理と言う観点は記事への焦点から面白いと感じました。正史における外伝みたいな記事であるため、資料の収集がかなり困難であったことは想像以上だったと思います。また、朝鮮半島における逓信の始まりの概観も知ることができた点は評価したいと思います。
- ○○。
- ○。
- ○。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- ○。
- (Bonus)。
- 満州国の郵便史(6点)--これまた、近代逓信史の一側面の記事であり、資料の収集が困難を極めたと思います。ただ、時間切れだったのかどうかはわかりませんが、切手が前面に出てきてしまったこと、旧満州の郵便事情(郵便局の数、人員といった基礎情報)が欠けた点はマイナスとしての評価になります。
- ○。
- ○。
- ○。
- 。
- ○○。
- 。
- ○。
- (Bonus)。
- 香川県立亀鶴公園(7点)--室町時代から現代の間のミッシングリンクがどうしても気になる。郷土史からの観点からの加筆が期待されます。とはいえ、金沢市の兼六園や水戸市の偕楽園と違って、全国的には少なくとも知名度が低いだけに記事の加筆には困難も想像されますが。写真はきれいだと思います。この公園の理解に大いに役立っています。
- ○。
- 。
- ○○。
- 。
- ○○。
- ○。
- ○。
- (Bonus)。
- 寺田宗有(9点)--宮本武蔵、千葉周作、土方歳三……といった有名どころがある程度記事になっている中で、高崎藩を中心に活躍した1人の人物記事という形で拝読しました。執筆者とは旧知ですし、高崎市に写真を撮ってきてくださいということ自体が無理な話なので、画像提供依頼を使っていただいてもよかったと思います。今後の発展性としては高崎藩における民政家としての業績を郷土史の資料から渉猟するというところでしょうか。そうすると一剣豪から一歴史人物への記事への脱皮が図られることができると思います。目指すは二宮尊徳?
- ○。
- ○。
- ○。
- ○○○。
- 。
- ○○。
- ○。
- (Bonus)。
- トーマス・マコーリー(19点)--英語版からの移植のみでは新しい地平は開けなかったと思います。近代イギリス史に関する情報へのアクセスは少なくとも私の取り扱っている東南アジア・南アジア・中東よりは容易であることから、日本語版にふさわしい情報の追加に関しては好感を持てました。ほぼ、満点の評価です。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- ○○○。
- ○○。
- ○○○。
- ○○○。
- (Bonus)○○。
- アメリカ合衆国の経済史(15点)--各国の経済が少しずつ整備されている中で、さらに、もう1つ踏み込んだ1国の経済史は、新たな地平を開いたと評価します。脚注や参考文献も適切に表示してある点は素直に評価いたします。サブプライム問題以降は現在進行のため、記事の評価には加えていません。ファニーメイ、フレディマック、リーマン・ブラザーズ、クライスラーといった企業の破綻はこれからも継続するでしょうし、バラク・オバマの経済政策の評価を下すには今般の経済が回復してからでも遅くないでしょう。ただ、記事の節構成が平板だった点は減点かと。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- ○○○。
- ○○。
- ○○。
- (Bonus)。
- ユーゴスラビア王国(13点)--1つの国についての記事を書くことはイギリス領インド帝国を加筆した経験があるので、かなりの困難が生まれるのは承知しています。最低でも、政治、外交、経済、社会、文化の5側面を抑えなければ記事の内容は十全にならないものと考えています。その中で、民族構成が複雑である近代ユーゴスラヴィアに果敢に挑戦された姿勢は評価したいと考えています。とはいえ、記事の内容が政治、社会、外交に傾斜してしまったこと、その政治もセルビア対クロアチアに特化してしまい(まあ、そうならざるを得ないか)、スロベニアやモンテネグロといった地域が放置されてしまったこと、経済についても世界恐慌に巻き込まれたことのみでの記述になったのは残念です。
- ○○。
- ○○。
- ○。
- ○○。
- ○。
- ○○○。
- ○○。
- (Bonus)。
- 磐城の戦い(14点)--戊辰戦争のミッシングリンクが埋まったという印象を持ちました。東北地方における局面では会津戦争と庄内藩の降伏がどうしても対比される形になりますが、最大の藩が仙台藩であることから、当然看過してはいけないことを丁寧に埋めていった点を評価したいと思います。地図を効果的に用いている点も評価したいと思います。
- ○。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- ○○○。
- ○○。
- ○○。
- (Bonus)。
- 神京・京宝特急(11点)--この記事の評価すべき点は、阪急電鉄における歴史的意義をまとめている点だと思います。逆に減点対象となるのは地図や車両の画像が求められる点だと思います。地図を効果的に用いたのは今回のコンテストでは前述の磐城の戦いですので、参考にしていただければと思います。
- ○。
- ○○。
- ○。
- ○○○。
- 。
- ○○。
- ○○。
- (Bonus)。
- 公示地価(9点)--ファイナンシャル・プランニングにおける必要最低限の記事内容が記述されていると思います。また、社会との位置づけがあることによって記事の内容に深みが与えられていると考えます。収益還元法あるいは不動産投資信託との関連があるともう少し、記事に面白みが生まれると思いました。
- ○。
- ○。
- ○。
- ○○○。
- 。
- ○。
- ○○。
- (Bonus)。
- (審査員コメント)記事の充実度にばらつきがある格好となりました。突出のできは、近代イギリスのトーマス・マコーリーで、ほぼ満点のできだと思います。唯一、この記事だけ、ボーナスポイントをつけました。さすが、秀逸な記事にジャコバイトを送り込んでいるだけのことはあります。次点はアメリカ合衆国の経済史。経済の記事は数字があってナンボだけに各種統計をグラフで表した点は経済の記事の中でも特筆すべきかと思います。磐城の戦いは、幕末から明治の中でも焦点が当たりづらいところを立派な記事に仕立て上げた点を評価したいと思います。今回は、S_kitahashiさん、龍伯さん、Wushiさんといった執筆コンテスト、秋の加筆コンクール、秀逸な記事の選考といった分野である程度の実績がある方が記事の執筆で活躍したこともあったので、新規参加者の上位入賞には大きな壁が聳え立つ採点結果となりました。そのなかでのヒトナミさんのような新鋭が登場したことは嬉しいと思います。何はともあれ、皆様、記事の執筆お疲れ様でした。
【分野C】
- ジルベルド・ジル(11点)--現代音楽の記事はどうしても、アメリカ合衆国やイギリスが多くなりがちになる中で、地球の反対側の現代音楽の記事の執筆は苦労も多かったと思います。ラテンアメリカの音楽となると私の場合はどうしても、ランバダかあるいは、アンデス山脈の音楽(コンドルは飛んでゆくやコーヒールンバ)のイメージが強いため、ためになりました。また、ブラジル人の記事はどうしてもサッカー選手が中心となってしまいます。その中で風穴を開けた点は評価したいと思います。
- ○○。
- ○。
- ○○。
- ○○。
- ○。
- ○。
- ○○。
- (Bonus)。
- 日本のアウトサイダー・アート(13点)--まず、アウトサイダー・アートの概念という現代芸術に正面から取り込んだ点を評価したいと思います。その現代性のために、著作権問題が付きまとってしまうために、芸術の理解をするのに、やや困難な面が出たのは仕方ない部分もありますが。
- ○○。
- ○。
- ○○。
- ○○。
- ○。
- ○○○。
- ○○。
- (Bonus)。
- 悪魔を憐れむ歌(10点)--ジルベルト・ジルとは違い、情報量が豊富なアメリカ合衆国の現代音楽に対して、正面に取り組んだ記事だと思います。これ以上長いと記事も冗長になってしまうので、これぐらいが限界か。後は、参考文献の提示がもう少し多めでもいいかと思いました。
- ○。
- ○。
- ○○。
- ○○○。
- ○。
- ○○。
- 。
- (Bonus)。
- 神戸居留地競馬(12点)--秀逸な記事を多く輩出している方が主執筆者になっているだけに安心して記事を読むことができた記事です。とはいえ、立川(富山大学人文学部紀要)に大きく依拠している部分が多く、それ以外の文献の渉猟が今後の課題となるでしょうか。ただ、単なる競走馬の記事が執筆コンテストには不向きであることを考えると新しい分野への開拓は評価したいと思います。
- ○。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- ○。
- ○○。
- ○○。
- (Bonus)。
- 初日カバー(9点)--必要最低限のことは記載してあり、文章の構成にも問題はないと判断します。郵便の世界も奥が深いなと。ということは裏を返せば、郵便切手や封筒の蒐集に関しての参考文献や記事の正確性を担保する脚注が不足気味であることが今後の記事の発展性の課題でしょう。
- ○○。
- ○。
- ○○。
- ○。
- ○○。
- 。
- ○。
- (Bonus)。
- ハイデルベルク城(12点)--日本以外の城郭の記事ということで、ドイツ語版ウィキペディアからの翻訳ということで、新しい文化を知ることができました。とはいえ、ドイツ語版がこの記事の元になっているので、日本語版とは違って脚注をあまり使用しないだけに、正確性にはやや不安が感じる点があります(たぶん、大丈夫なんでしょうけど)。
- ○。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- 。
- ○○○。
- (Bonus)。
- ガブリエレ・ミュンター(14点)--「青騎士」の内容をさらに深く知る良質な記事と判断します。ドイツの現代芸術の記事は音楽分野を除くと発展途上であることから、新規の地平を少しずつ切り開いていっている印象です。また、人物記事の難しさはその人間の歴史的評価を複数提示することですが、この点も達成されていることからすばらしいと思います。
- ○○。
- ○。
- ○○。
- ○○○。
- ○○。
- ○○。
- ○○。
- (Bonus)。
- テーレポス(8点)--ギリシア神話の記事は、赤リンクを埋めていく作業がその中での努力を評価したいと思います。とはいえ、散逸した文章が多いことが影響を受けているとはいえ、私が過去にコンクールで携わったアルゴナウタイやギリシア神話と比較するとやや正確性には難がある記事だと思います。記事の内容はまだ膨らませることが可能だと思います。
- 。
- ○。
- ○。
- ○○。
- ○。
- ○。
- ○○。
- (Bonus)。
- (審査員コメント)分野Aと異なり、こちらのほうは激戦区になりました。新しい分野を開拓している記事も多く、散々悩んだ結果ですが、1位はガブリエレ・ミュンター。2位は日本のアウトサイダー・アート。3位は神戸居留地競馬とハイデルベルク城が採点表だと同点になりますが、日本語文献での記事の補強があればという期待度もあったため、神戸居留地競馬を上位に据えました。とはいえ、分野Aと異なり、突出した出来の記事がなかったことも確かであり、この分野の記事の執筆の難しさを感じました。--Tantal 2009年5月18日 (月) 11:56 (UTC)