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利用者:Tatawidepine/sandbox/ゾーン30

ゾーン30(ゾーンさんじゅう[1])とは、警察庁の通達に基づき、日本で行われている交通静穏化対策である。

概要[編集]

住宅密集地の生活道路における交通の安全を確保すべく、ある特定の地域を一つの「ゾーン」として指定し、ゾーン内の全ての道路の最高速度を集合体として捉え、一括して時速30キロに指定するものである[2]。従来の速度規制が道路区間に対して「線的に」設定されるのに対し、ゾーン30は定められた区域を「面的に」規制対象とすることができるという点で異なる[3]

指定後は、ゾーン内の道路に、道路狭窄やハンプ、路面標示などといった交通抑制のための物理的デバイスを設置し、より一層の安全を確保する。

交通事故発生件数(日本)[注 1]
総数(件) 隘路(件) 割合
2003年 939,650 201,151 21.5%
2004年 952,720 208,135 21.8%
2005年 934,346 205,569 22.0%
2006年 887,267 197,643 22.3%
2007年 832,704 210,588 25.3%
2008年 766,394 193,316 25.2%
2009年 737,637 183,011 24.8%
2010年 725,924 181,425 25.0%
2011年 692,084 171,455 24.8%
2012年 665,157 162,581 24.4%
2013年 629,033 151,705 24.1%
2014年 573,842 137,921 24.0%
2015年 536,899 126.456 23.6%
2016年 499,201 N/A N/A

背景[編集]

欧米における生活道路網のゾーン対策が効果を見せていたことから、日本でも1996年より警察庁が各都道府県警に向けてこれと同様の「コミュニティ・ゾーン対策」を推進したが[5]、住民の反対や財政的問題により全国的には広まらなかった[6]。また、2003年には国土交通省により「あんしん歩行エリア」の指定が行われ、都道府県公安委員会と道路管理者によって対策が行われたが、2012年までの9年間で全国1378箇所の指定に留まった。

一方、交通事故発生件数は2004年(平成16年)を境に減少傾向となり、2010年には2004年比23.8%減となったにもかかわらず、生活道路と想定される幅員5.5m未満の道路における件数は同12.8%減に留まっており、全体における割合も微増減を繰り返していた[3][7]。特に交通死亡事故に占める歩行者の割合は欧米に比べて高く、その多くが自宅の付近で事故に遭っていることからも、依然としてゾーン対策の拡充が求められていた[8]

これを受けた警察庁は、2006年に17人が死傷した事故[9]により生活道路における30キロ制限の対策を進めていた川口市を参考に、国土交通省と共にゾーン対策に関する調査を進める[2]。2009年、これを元に交通規制基準の一部改正を行い、従来2車線以上の道路に関するものしかなかった速度規制基準について、生活道路及び区域規制に関する基準を追加した[3]

そして2011年9月20日、「ゾーン30の推進について」と題した通達を全国の各行政機関向けに発表し、本格的な取り組みが開始された[6]

実施[編集]

手法としては、住民の同意が得られた地域から優先的にゾーン30に指定し、その後ゾーン30において、道路管理者や自治体などと協力して物理的デバイスを設置していく。

出典[編集]

  1. ^ ゾーン30(ぞーんさんじゅう)とは - コトバンク”. コトバンク. 2017年7月30日閲覧。
  2. ^ a b 「ゾーン30」導入広がる 生活道路で時速30キロ規制”. 日本経済新聞. 2017年8月3日閲覧。
  3. ^ a b c 生活道路におけるゾーン対策推進調査研究報告書”. 警察庁. 2017年7月30日閲覧。
  4. ^ 交通統計 - 交通事故総合分析センター”. 財団法人 交通事故総合分析センター. 2017年7月30日閲覧。
  5. ^ コミュニティ・ゾーン対策の推進について”. 警察庁 (1996年6月24日). 2017年7月30日閲覧。
  6. ^ a b ゾーン30の推進について(通達)”. 警察庁 (2011年9月20日). 2017年7月30日閲覧。
  7. ^ 第2章 生活道路に関する交通事故の分析・整理及び傾向把握”. 国土交通省. p. 8. 2017年7月30日閲覧。
  8. ^ 「あんしん歩行エリア」及び「事故危険箇所」を指定”. 国土交通省. 2017年7月30日閲覧。
  9. ^ https://ja.wikinews.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%8F%A3%E5%B8%82%E3%81%A7%E4%BF%9D%E8%82%B2%E5%9C%92%E5%85%90%E3%81%AE%E5%88%97%E3%81%AB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%B3%E3%80%8116%E4%BA%BA%E6%AD%BB%E5%82%B7 川口市で保育園児の列にライトバン、16人死傷(ウィキニュース)
  1. ^ いずれの年も、財団法人交通事故総合分析センター『交通統計(平成15~27年版)』[4]の「道路幅員別・昼夜別交通事故件数」より。ただし表中「総数」は全て同27年版より。表中「隘路」は、2003年~2006年分は3.5m未満合計と3.5m以上合計を足したもの。2007年~2014年分は単路3.5m未満合計と単路3.5m以上合計、交差点第一当事者(小)合計を足したもの。表中「割合」は隘路を総数で割ったもの。