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利用者:Tomos/名誉毀損関連ガイドライン草稿 文章表現関連

以下は、未整理のメモです。今のところ実用に耐えるものにはなっていません。

名誉棄損に詳しい方、調査に基づいて編集して下さる方は歓迎です。

一定の質が達成できれば、正式ガイドライン化へ向けてコミュニティの合意などをとりつけて下さる方も歓迎です。

正式なガイドラインとしては採用されず、このページに留まって、ひとつの見方として議論で参照されることがある、ということでもよいように初版の執筆・投稿者は考えています。

Tomos 2007年7月31日 (火) 11:34 (UTC)




文章表現上の工夫[編集]

Q. 他の人が述べている批判や疑惑であれば、それを紹介することは名誉毀損にはならないのでは?

そうとも限りません。


Q. 他の人が述べている批判や疑惑が名誉毀損になるかも知れない場合でも、それを批判的に紹介すれば名誉毀損にはならないのでは?

そうとも限りません。


Q. 他人や組織などに対して批判的な論調をとらず、中立的な記述であれば名誉毀損にはならないのでは?

名誉毀損は、事実を摘示して人の名誉を毀損することだと定義されています。そこで、批判的な意見を述べない場合でも、名誉毀損は成立します。

Q. 非常に丁寧な口調であっても名誉毀損が成り立つのですか?

そうです。

Q. 主張ではなく、疑惑の紹介であれば名誉毀損にはならないのでは?

Q. 実名を伏せた形で述べれば、本人の名誉を毀損することはないので問題はないのでは?

そうとは限りません。 平成13年11月14日東京高裁判決が参考になると思います。この裁判では、実名を伏せた形で、ある人物について、その人物がある凶悪犯罪の犯人である可能性が高いということを示唆するような報道が問題になりました。(犯人であるという断定は行いませんでした。)匿名での報道であれば名誉毀損に相当しないかどうかは争点のひとつとなりましたが、裁判所はこれについて、匿名でも名誉毀損は成り立つという考えを示し、この報道についても名誉毀損にあたるとしました。


石に泳ぐ魚事件(原審、控訴審、上告審) http://www.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/11-2.html

モデル小説。名誉毀損、名誉感情の侵害。原告を知らない人の間での原告の評判を落とすことはない。 だが、原告を知る人の間での評判を落とすことはありうる。そのような限定された範囲であっても、 不特定多数の人の間での評判を落とすものであるから、名誉毀損が成り立つ。

他にモデル小説を扱ったものとして、女子高生・OL連続誘拐殺人事件がある。

http://www.translan.com/jucc/precedent-2000-10-25a.html


Q. ちゃんと読めば別に不名誉になるようなことは書いていないが、適当に読む人は他人の名誉を傷つけるものと誤解されるような文章はどうなるのでしょうか?


http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=3128&hanreiKbn=03 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/A92646C075E670C149256F4D001DDAA9.pdf 平成16年09月16日 名古屋高裁 (歯科医院事件)

そして,一般読者は,新聞報道について,必ずしも精読をするとは限らないが,さりとて見出しのみを読んで報道内容を理解するのが通常であるともいえず,むしろ,見出しによって記事に対する関心を寄せた上で,リード文(前文)及び本文の記述を通読するのが通常であるといえるから,新聞記事のうち,見出しや特定の記述(リード文や本文の一部)を独立して取り上げてその部分のみを評価の対象とするのは相当でなく,一般読者が,それらを含めた記事全体を読んでどのような印象を受けるかという観点から判断すべきである。


昭和31年7月20日最高裁判決 「所論新聞記事がたとえ精読すれば別個の意味に解されないことはないとしても,いやしくも一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容に従う場合,その記事が事実に反し名誉を毀損するものと認められる以上,これをもって名誉毀損の記事と目すべきことは当然である」

東京地裁 平成12年2月21日判決 「週刊誌の記事において,そのないようが社会的,営業的信用を毀損するかどうかは,一般読者を基準として,記事において取り上げられた者の社会的評価が当該記事のないようにより低下すると認めることがdきるか否かで判断されるべきである。そして,右判断に当たっては,記事中の個々の記載内容を検討することが大切なことはもちろんであるが,それとともに,記事の見出し,構成,文脈等から,記事全体から一般読者がどのような印象を持つかという観点も重要である。」

(参考:野村豊弘 「マス・メディア間の名誉毀損 -日本テレビCM間引き事件」  『メディア判例百選』 別冊ジュリスト No. 179 2005/12 有斐閣 p.84-85)


Q. 普通人の注意と読み方を基準にする場合には、「普通の人は見出しだけで全文を読まないかも知れない」ということも前提にするのでしょうか?

そのように判断されたケースもあります。 [1]

他に、

などからも、見出しの付けかた、冒頭部分などの要約のしかた、などに裁判所は注意を払うことがあるようです。


Q. 自分としては名誉を毀損するつもりなどなかったのに自分の書いた文章が名誉毀損ではないかと言われました。そんなことはありうるのでしょうか?


名誉毀損の判断基準は、普通人の注意と読み方によるとされているので、書き手の意図は決め手にはなりません。

但し、書き手が全く知らない事情などのせいで他人の名誉が棄損されてしまった場合で、そもそも書き手がそのような事情の存在を予期することもできなかった、予防・回避することもできなかっただろう、と考えられるような特殊なケースであれば、書き手は、賠償責任などは負わないかも知れません。


Q. 読者が本気にしないような発言であれば名誉毀損にはならないのでは?

普通人の注意と読み方が基準になりますが、次のような判例もあります。 H15. 7.17 東京地方裁判所 平成14年(ワ)第8603号 損害賠償等請求 DHC名誉毀損事件 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/152016A52F14569549256D7F00180D4E/.pdf

「この点に関し,被告は,本件ホームページの性質上,利用者が発言のすべてを真実であると理解するとは限らないから,原告らの名誉又は信用が毀損されることはないと主張するけれども,本件発言1及び2を閲覧した者がすべてこれを真実でないと認識するとは限らないのであって,その真偽を問わず,原告らの社会的評価(原告会社に対する経済的な側面における評価である信用を含む。)に直接的な影響を及ぼす事柄であることに照らすと,これを採用することはできない。」


Q. 婉曲的な表現を用いれば問題ないのでは?

H17. 9.15 東京高等裁判所 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/55ED97E5DCCA7F7249257097001A6980.pdf 「テレビジョン放送をされた番組によって摘示された事実がどのようなものであるかを判断するためには,当該番組の全体的な構成,これに登場した者の発言の内容や,画面に表示されたフリップやテロップ等の文字情報の内容を重視すべきことはもとより,映像の内容,効果音,ナレーション等の映像及び音声に係る情報の内容並びに放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮すべきであるから,制作意図もこれらを理解するための考慮要素とはなり得るが,あくまでもテレビジョン放送をされた番組自体によって摘示された事実がどのようなものであるかを,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方とを基準として判断すべきものであって,制作意図を過度に重視することは必ずしも相当とはいい難い。」


Q. ソースを明示して、そのソースが必ずしも信頼できるものでないとコメントしておけばよいのでは? あるいは、そのソースが信頼できるかどうかについては、読者の判断に任せればよいのでは?

そうでもないようです。

噂を噂と断った上で紹介した記事について、紹介した人は噂の内容が真実であると証明しなければならないとされているケースがあります。