利用者:Tomos/商標とGFDLについての議論
以下は、思い出せる限りで、(ということは自分が関わったものがどうしても多くなってしまいますが)、GFDLと商標についての議論の流れをまとめたものです。
Template‐ノート:Registered Trademarkでの意見・質問として書いているため、ややそのページでの文脈に依存した部分があります。同時期の議論にWikipedia:井戸端/subj/商標登録されたPD画像、Wikipedia:削除依頼/画像:Matsuzakaya.svgの2点があります。
(なお、このページをもう少し多くの方の観点を盛り込む形で改訂して、Wikipedia:名前空間の適当なページに移動することには反対ではありませんが、個別の利用者名を特定した記述というのはWikipedia名前空間の解説文書にはあまり見当たらないようにも思うので違和感もあります。法律についての専門的な知識を持っていると僕が考えた人の意見を中心にしていますので、ウィキペディアにおける意思決定の原則に照らせば、かなり偏ったものになっていると思いますので、不適切ではないかということも考えます。いずれも解消可能な問題だと思いますが。)
2003-2004
[編集]Wikipedia‐削除依頼の過去の版でのFalcosapiensさんの意見(2003年9月)のように、商標権の問題には触れずに著作権法上問題があるということを理由に削除をするというのが一応わかりやすい例だと思いますが、それでは当然解消しきれない問題が残るわけです。
ノート:アンパンマン(2003年11月から2004年1月)のT. Nakamuraさんの考察辺りが、商標権についてかなり正面切って論じた最初の例かと思います。
これは著作権法の制限条項(屋外美術)、キャラクターの著作権などもかかわっているのでややこしいですが、この際に僕が提起した以下のような疑問は、今日Monanekoさんが提起されている疑問と基本的に同一であるように思います。(つまりほとんど解決しないままになっているのではないかと思われます。)
- ただ、例えば、素朴で漠然とした感覚ですが、「この文章にどのような改変をしても構わない」という風にリリースした記事の文章を改変して誰かの名誉を毀損するような文章を書いたらそれが誰の問題になるか、というと、それは改変した人の問題になるような気がします。名誉毀損をしてもいいとはどこにも書いていないわけですし。ただ、上と同じ理屈で「でもどんな改変をしてもOKだと利用許諾をしているじゃないか」という議論は成り立つわけです。そこで、どこかで線を引くのがいいんじゃないかと思うのですが、どこでどう線を引くといいのか、僕にはちょっとわからないです。引用はOKなのか、商標の無断利用はOKなのか、などなど、GFDLのことを考えると怪しくなって来るものはいろいろあります。
これを受けてT. Nakamuraさんが出した答えは、GFDLで提供することは商標法上問題がないというものではなく、むしろ、他人が商標として利用するための商標を提供することは問題があるか、あると考えられる、という意見だったと思います。
商標についての(に限らずですが)ZCUさんの意見にはかねがね注目しているのですが、このT. Nakamuraさんの意見と、ZCUさんの意見は相容れないものであるように思えます。それがまずは気になるところです。T. Nakamuraさんは残念ながらプロジェクトを離れてしまわれて長いので議論を交わして頂くこともできないわけですが、ZCUさんが意見を異にする理由だけでも伺えたら参考になるのではないかと思いました。
ところで、当時はGFDLがversion 1.1 でしたから、ライセンスにWarranty Disclaimersをつけてもよいとかいけないという規定はありませんでしたが、1.2に移行してこのWarranty Disclaimersを導入すればよいのではないか、あるいは、それとは関係なくともかく免責条項のページを作成してはどうか、ということも僕は考えました。(それも当時の議論に書いてありますが。)
T. Nakamuraさんの当時の意見は、ネット上の免責条項の有効性については、必ずしも疑問の余地がないわけではないという、保留付きの評価であったと言っていいと思います。
さて、問題があるという認識に立った上で、T. Nakamuraさんが考えたのは、GFDLに特定の解釈を明記することによって、提供者の意図を明確にすることで対処しようというものでした。商標の問題を強く意識した当時の議論については、Wikipedia‐ノート:著作権 の過去の版とそれに続く部分にあります。2004年1月から2月頃です。当初は解釈宣言の導入を構想していたのですが、それが実際にはWikipedia:著作権の大幅な書き換え(というよりも現在のような内容の実質的な起草)という形で実現しました。
そこで重要な対処策として盛り込まれたのは、GFDLで提供しているコンテンツは、提供された著作物をどのように使っても構わない、法令に違反する形ででも使ってよい、というような目的で提供しているわけはありません、ということを明記するということでした。 現在の版でも「総則」の第一文として示されているところです。
商標であれ、他の著作権法以外の法との兼ね合いであれ、これがひとまずは解決ないしその一部になると考えたわけです。(今になって考えると、商標法などについても触れているものが著作権と名前のついたページに明記されていることに若干違和感を感じる部分もあり、気になるところですが。これについても意見があれば聞きたいところです。)
(僕は、そもそも「解釈と契約の違い」「解釈宣言の有効性」など自分で扱いきれないモノが出てきてしまった感じで、あまりうまく議論ができていませんが。。)
ただ、当時のT. Nakamuraさんの考えでも、免責条項の導入は予定されていたように理解しています。但し、その起草や導入に関与される前にウィキペディア日本語版からは去られてしまったため、詳細はわかりません。
利用者‐会話:T. Nakamuraの2004年5月に、僕が書き込んだものを読むと、商標関連はまだ詰めが残っているという風にあります。(とこれは僕が考えているだけかもしれませんが。。)
2005
[編集]2005年1月に、画像‐ノート:シュレッダー.JPG/削除でSphlさんが同じく著作物性がないと思われる商標の含まれた削除案件についての意見の中で、それまでの議論をまとめていますが、(ちなみにSphlさんはご自身を「素人」とされています。念のため。)このWikipedia:著作権#総則についての対処法を持って解決とみなすかについては必ずしも合意がなかったようですし、免責条項を導入することの重要性が更なる対処法として挙げられています。
他に、画像‐ノート:Mozilla Thunderbird Win Ja.png画像‐ノート:Firefox-1.0.png/削除などは、自分で考えたものなので覚えています。
当時の議論を理解する上では参考になる点だと思うので一応述べておくと、引用を含む文章がGFDLで提供されることは問題がないのか、ということについても合意がなかったのが当時の状況です。英語でのメーリングリストでも、フェアユースによって他人の著作物をとりこんだものをGFDLでリリースすることの是非について意見の相違がありました。どちらかと言えば専門的な知識を持っている人は法的には問題がないと考える傾向にあったという印象を僕は持っていますが。。GFDLのようなライセンスというのは自分が持っている権利を他人に対して許諾するものであって、引用やら他人の商標やらについては自分が権利を持っているわけではないからそもそもライセンスで許諾を与えられているわけでもない、という風にライセンスを理解すれば、この引用問題については、原則論としては解決する(ウィキペディア上でどこまで引用を受け入れるべきかという点などについての議論はあるにせよ)というのが僕のその後の理解です。はたしてそのようなライセンスについての理解が正しいのか、ということが正面から議論されたことがあったかどうか、ちょっと思い出せませんが、Carbuncleさんと以前、いわゆるWikipediaChatの方でお話した際にはCarbuncleさんも同意見であったことは覚えています。商標画像についても、当然ながら撮影者の著作権とは何ら関係のない他者の商標権について何も許諾を与えるものではないということを、この議論からは、一応敷衍しうると思いますので、この問題を考える上ではひとつのカギになるのかなと思いました。(T. Nakamuraさんはこの点については何もおっしゃらなかったように思うので、どう考えていたのか、単にその見方に気がつかなかったのかなどについては僕にはわからないです。)また、仮にこのように理解するとしても、自らを撮影した写真の肖像権の扱いや、自らが権利を有する著作物を引用した上での投稿などについて、どこまでの権利が許諾の対象となっていると考えるべきなのかなど、わからない点は残っているような気がします。
免責事項の正式な導入はWikipedia:免責事項/投票を見て頂くとわかる通り、それから更に日が経って2005年10月になります。
ちょうど同じ頃、Wikipedia:井戸端/商標と著作権とで全中裏さん(今のZCUさん)が商標画像の掲載自体は商標法上問題がないという意見を述べています。他に参加された型からはあまり法律的に踏み込んだ議論は出されなかったようです。
2006
[編集]GFDLがversion 1.2になったのは2006年2月です。[1][2]
これで、数年来の課題として意識されていたGFDLの免責条項導入が果たされたかというと、僕にはどうもその点について疑問が残っています。これについてはWikipedia‐ノート:免責事項に指摘があります。(僕のものが多くて済みません。。)GFDL上の免責条項としては有効ではないとしても、サイトの免責条項としては有効なのではないか、と僕は思いましたが、上記のT. Nakamuraさんの意見を参考に考えると、そもそもサイトの免責条項の類がどこまで有効なのかがわからない点があるというところに難点がありそうです。