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利用者:Tutenze/球陽附巻_0001

[附巻0001][尚寧王]【【十二年、日本の喜安入道、力を国に効す。】喜安入道(名乗は蕃元)は、扶桑国、泉州界の人なり。孩提の時、父、道にト卦する者に逢ひ占ふに孩児を以てす。占ひて曰く、本国は甚だ利あらず。成長を為すに及びて必ず南国に往かば、則ち富貴甚だ極まり、一生栄華ならんと。喜安年三十五歳、果して球国に到り、力を朝廷に効す(喜安は、生資廉慎、聡明絶世にして、幼少の時、康印先生に従ひて茶経を伝授せられ、昼夜懈らず。能く精奥に徹す。王、偶々之れを見て甚だ悦ぶ。康印は扶桑国茶道の宗、千宗易の伝緒なり)。幾年を閲せずして擢んでられて侍従官と為り、茶道の宗職に任ず。此れよりの後、茶道を国人に教授し、茶道愈々興る。今に至り延綿として、敢へて稍しも絶えざるなり。