利用者:Wighter/漢字の字体
この文書は私論です。一部のウィキペディアンが助言や意見を記したものです。広く共有されている考え方もあれば、少数意見の見解もあります。内容の是非については慎重に検討してください。 |
この文書では、記事名を決定する際や記事を執筆する際に、漢字の字体をどのように決めるかについて述べます。
使用できる漢字
[編集]記事名
[編集]記事名には、以下に該当する字を除く、JIS X 0212・JIS X 0213・IBM拡張文字のいずれかで規定されている漢字が使えます。
使用できない漢字は、異なる字で代用するか、平仮名もしくは片仮名で表記します。それらの場合は、{{記事名の制約}}を用いることで記事名が正確でないことを注意できます。
記事本文
[編集]記事本文には使用できる漢字に制限はありませんが、基本的には常用漢字表に含まれる漢字を使用します。ただし、常用漢字表に含まれない漢字(表外漢字)の使用を制限するものではありません。
一方で、記事名に使用できない漢字は閲覧環境によっては正常に表示されないおそれがあります。そのため、記事本文でもそうした漢字の使用は最小限にとどめた方がよいでしょう。やむを得ず使用する場合は、可能ならばその漢字について文章で説明する、画像を用いるなどの方法で補足します。利用者に注意を促すテンプレートに{{特殊文字}}があります。
また、記事名に使用できる漢字であっても、JIS X 0208に規定されていない漢字は、一部の古い環境では正常に表示できない場合があります。これに注意を促す場合は{{JIS2004}}を使用します。
使用する漢字の字体
[編集]使用する漢字の字体は、原則として以下によるものとし、俗字や略字、旧字体などは用いません。
ただし、これには以下に示す#固有名詞および#正字でない字だけがJIS X 0208に含まれる場合の例外があります。また、引用文においても原文表記を優先する場合は旧字体などを使用できます。
固有名詞
[編集]固有名詞には前節の規則は適用されません。使用できる漢字の範囲内で、旧字体やそのほかの異体字などを適宜使うことができます。
表記の方法が複数考えられる場合は、Wikipedia:記事名の付け方の「記事名の付け方の目安」や「正式名称」などにしたがいます。
JIS漢字コードに含まれる略字など
[編集]JIS漢字コードでは、常用漢字表や印刷標準字体に示される字体以外にも、その略字や異体字などが収録されていることがあります。それらの字の扱いについては以下の通りとします。
双方がJIS X 0208に含まれる場合
[編集]常用漢字表や印刷標準字体に示される字体(以下、正字とします)と、その略字や俗字(特に、常用漢字の字体簡略化を他の漢字にも適用させた、いわゆる拡張新字体)がともにJIS X 0208に規定されている場合は、原則として正字を使用します。こうした漢字には以下のような例があります。
(工事中、頸と頚、攪と撹など)
正字でない字だけがJIS X 0208に含まれる場合
[編集]常用漢字表や印刷標準字体に示される字体(正字)がJIS X 0208に規定されず、その拡張新字体がJIS X 0208に規定されている漢字があります。
これらの漢字は、インターネット媒体ではしばしば正字が「機種依存文字」として扱われ、その拡張新字体が代替として使用されることがあります。また、かな漢字変換においても、変換候補として拡張新字体が優先して表示される、あるいは正字での表記が変換候補に出てこないといった問題が生じることがあります。
そのため、こうした漢字を記事名や記事本文に用いる場合は、必ずしも正字を用いる必要はありません。いわゆる拡張新字体を用いても構いませんが、どちらを優先して使用するかはまだ結論が出ていません。
該当する漢字は以下の通りです。
- 常用漢字
- 通用: 常用漢字表掲載の字体(通用字体)
- 異体: その字の異体字(略字、俗字、拡張新字体)
- 簡慣: ○のあるものは、異体字が表外漢字字体表にて簡易慣用字体とされている
- デザイン差とは、字形の違いが字体の違いにまで及ぶと捉えなくてよいもの
通用 | 異体 | 簡慣 | 備考 |
---|---|---|---|
塡 | 填 | 2010年に常用漢字追加 | |
頰 | 頬 | 2010年に常用漢字追加 | |
剝 | 剥 | 2010年に常用漢字追加 | |
𠮟 | 叱 | 2010年に常用漢字追加。デザイン差。叱はもともとは𠮟とは別字 |
- 表外漢字
- 印標: 印刷標準字体
- 異体: その字の異体字(略字、俗字、拡張新字体)
- 簡慣: ○のあるものは、異体字が表外漢字字体表にて簡易慣用字体とされている
- デザイン差とは、字形の違いが字体の違いにまで及ぶと捉えなくてよいもの
印標 | 異体 | 簡慣 | 備考 |
---|---|---|---|
俠 | 侠 | ||
俱 | 倶 | デザイン差 | |
吞 | 呑 | デザイン差 | |
啞 | 唖 | ○ | |
噓 | 嘘 | ||
嚙 | 噛 | ○ | |
囊 | 嚢 | ||
姸 | 妍 | ||
屛 | 屏 | ○ | |
屢 | 屡 | ||
幷 | 并 | ○ | |
搔 | 掻 | ○ | |
摑 | 掴 | ||
攢 | 攅 | ||
潑 | 溌 | ||
瀆 | 涜 | ||
焰 | 焔 | ||
禱 | 祷 | ○ | |
簞 | 箪 | ||
繡 | 繍 | ○ | |
繫 | 繋 | ||
萊 | 莱 | ||
蔣 | 蒋 | ○ | |
蟬 | 蝉 | ||
蠟 | 蝋 | ○ | |
軀 | 躯 | ||
醬 | 醤 | ○ | |
醱 | 醗 | ||
顚 | 顛 | ||
驒 | 騨 | ||
鷗 | 鴎 | ○ | |
鹼 | 鹸 | ○ | |
麴 | 麹 | ○ |
- このほかにも、常用漢字表や人名用漢字、表外漢字字体表に示されていない漢字で、漢和辞典等において正字とされることがある字体がJIS X 0208に規定されていない字(纘〈纉〉、屭〈屓〉、 拋〈抛〉、麤〈麁〉など。括弧内がJIS X 0208内の字体)が一部にあります。それらの字についても同様に扱います。
その他
[編集]JIS X 0208に規定されていない拡張新字体(箋に対する䇳、睨に対する𥆩など)は、原則として用いません。
包摂について
[編集]元横綱の曙太郎は、大関に昇進する前までは点のない「曙」を、昇進後は点のある「」を使用しています。しかし、この2字は違いが細微なものであるとして、JIS漢字コードでもUnicodeでも区別されていません。このように、微細な差しかない漢字を同一に扱うことを包摂と言います。基本的に、包摂された漢字は使い分けることができません。一点しんにょうか二点しんにょうか、「人葛()」か「ヒ葛()」か、といった違いも包摂されています。
こうした包摂によって、固有名詞などの正確な表記ができない場合は、{{記事名の制約}}を用いて記事名が正確でないことを注意できます。
また、JIS X 0213:2004では、表外漢字字体表の答申を受けて一部の漢字の例示字体が変更されました(詳細はJIS_X_0213#JIS X 0213:2004の改正を参照)。この変更を反映しているフォントとしていないフォントでは、字体に細かな差が生じることがあります。このことが問題になる場合は、{{統合文字}}を用いることで字体についての注意をすることができます。
包摂されている字体であっても、画像を用いたり、{{JIS90フォント}}などのフォント指定テンプレートを使用すれば細かな字体の差を表現できる場合もあります。しかし、基本的には包摂されている漢字を無理に正しく表示させようとしたりする必要はありません。
資料を確認する際の注意
[編集]どのような表記を用いるべきか調べるために、各種資料に当たる機会もあるでしょう。この際には、以下のような点に留意してください。
紙媒体
[編集]基本的に、紙媒体の資料はインターネット媒体の資料よりも信頼をおくことができます。技術的な制約が少なく、正しい漢字表記が用いられていることが多いでしょう。
ただし、新聞などにおいては、固有名詞の異体字や旧字体を、常用漢字体(通用字体)などの正字に適宜あらためて掲示することがあります。それが一般的に定着している表記であればよいですが、そうでない場合にはより多くの資料に当たった方がよいでしょう。
また、紙媒体での調査で「正しい表記」がはっきりしたとしても、インターネット上ではその表記はあまり使われていないかもしれません。紙媒体とインターネット媒体のどちらに重きを置くかは定まっていませんが、検索や執筆の際に不便をきたすような場合は、あえて正しい表記を用いないという選択肢も十分考えるべきです。
インターネット媒体
[編集]インターネットでの資料は技術的な制約を受けていることが多く、紙媒体の資料をそのまま移植した資料でも、もとの字体をそのまま保存しているとは限りません。表記を調査する際には、このことに注意してください。
紙媒体の資料を調査するのが困難な場合は、インターネット上の資料のみで字体を決定しても構いません。また、紙媒体とインターネット媒体でよく用いられる字体が異なる場合、どちらを優先するかは定まっていません。両者のメリットやデメリットを勘案して表記を決定しましょう。
字体を気にしすぎない
[編集]どちらの表記を用いるかで悩んだり、あるいは表記の不統一が気になって、すべての記事の表記を統一したくなったりすることがあるかもしれません。
しかし、過度に漢字の字体を気にする必要はありません。情報を伝達するという目的を果たすことができれば多くの場合問題はありません。特に、表記の統一を試みるような編集は基本的に推奨されません。