利用者:Yauchi/作業場2
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
兼用工作物(けんようこうさくぶつ)とは、道路や河川といった公共用物のうち、本来の効用を果たすと同時に公共の用に供する他の工作物または施設(他の工作物)としての効用を果たし、物理的に一体不可分の工作物をいう。
概要
[編集]道路や河川といった公共用物は、それぞれ道路法や河川法といった公物法により、それぞれの定義や管理方法が定められている。しかし、街路と一体となった都市公園や、河川管理施設である堤防上に設けられる道路などは、別々に管理することでかえって効率が悪くなる事や、互いの根拠法の管理権限が衝突してしまうおそれがある。
このため、各々の工作物としての効用を果たし、かつ一体不可分な範囲について「兼用工作物」と定める事により[1]、法の規定に関わらず両管理者が協議して管理方法を決める事ができるものとした。
協議の対象と方法
[編集]全ての公共用物が他の工作物との兼用工作物になれるものではなく、逆に公共用物に対して全ての他の工作物が兼用工作物になれるものではない。兼用工作物の協議の対象になりうる工作物は各公物法によって定められており、その協議内容や手続きについても、各法令で示されている。兼用工作物の設置は、必ずしも当初から計画されていたものである必要はない。例えば道路の場合、道路として設置されたものが後に他の工作物の効用を兼ねる事になっても、逆に他の工作物として設置されたものが道路の効用も果たす事になっても、あるいは当初から両方の効用を兼ねることを目的に設置されたものであってもよいと解されている[2]。
兼用工作物の管理協定は、主となる工作物の管理者と他の工作物の管理者との間で協議した上で締結されるが、両者は対等な立場の管理者として協議を行うこととされている。ただし、各法律によって協議の対象となる管理方法の範囲が限定されている事があるため、協議によっても他の工作物の管理者が行えない管理行為もある。締結された管理協定はその内容を官報等で公示することとなる。
他の工作物の管理者が私人であっても設置目的が公の目的をもって設置されたものであれば認められる。例えば、道路法では道路と鉄道橋とが兼用工作物になる事を認めているが、私鉄の鉄道橋であっても対象となる。ただし私人が公物管理者の管理権限を扱うことはできないため、他の工作物の管理者が私人の場合は、各法令によって協議の対象となる管理の範囲が制限されている。
兼用工作物の例
[編集]以下、各法律によって定められている兼用工作物の例を挙げる。順序は各根拠法の制定順による。
港湾・漁港
[編集]道路
[編集]道路との兼用工作物になりうる他の工作物は、道路法第20条第1項により以下のものが挙げられている。
- 堤防
- 護岸
- ダム
- 鉄道または軌道用の橋、踏切道
- 駅前広場
- その他公共の用に供する工作物または施設
このうち、堤防に関しては管理協定の雛形や協定締結に伴って必要となる手続きが定められており、準則協定と呼ばれている[3]。また、道路と鉄道が交差する場合には協議すべき内容や方法について別途道路法第31条が設けられているため、同条に基づく協議が一般的ではあるが、第20条に基づく協議を排除するものではない[4]。このほか、特殊な例として高速道路のサービスエリアの第二駐車場を都市公園の駐車場と兼用させるハイウェイオアシスがある。
都市公園
[編集]空港
[編集]海岸
[編集]下水道
[編集]地すべり対策
[編集]河川
[編集]脚注
[編集]- ^ 従って、前述した堤防と道路の例では、重複している部分のみ兼用工作物となる。必ずしも堤防全体または道路全体が兼用工作物になる訳ではない。道路法令研究会(2007)118ページ
- ^ 道路法令研究会(2007)118ページ
- ^ 昭和47年6月19日付建設省河川局長・道路局長通達
- ^ 道路法令研究会(2007)186ページ
参考文献
[編集]- 道路法令研究会、2007年7月25日『改定4版 道路法解説』大成出版社、ISBN 978-4-8028-9179-0