利用者:ZCU/著作物性

定義文[編集]

原告文章
城とは人によって住居、軍事、政治目的をもって選ばれた一区画の土地と、そこに設けられた防禦的構築物をいう。
著作物性
否定(東京地方裁判所平成6年4月25日判決)
理由
本件定義は、原告が長年の調査研究によって到達した、城の学問的研究のための基礎としての城の概念の不可欠の特性を簡潔に言語で記述したものであり、原告の学問的思想そのものと認められる。そして、本件定義のような簡潔な学問的定義では、城の概念の不可欠の特性を表す文言は、思想に対応するものとして厳密に選択採用されており、原告の学問的思想と同じ思想に立つ限り同一又は類似の文言を採用して記述する外はなく、全く別の文言を採用すれば、別の学問的思想による定義になってしまうものと解される。また、本件定義の文の構造や特性を表す個々の文言自体から見た表現形式は、この種の学問的定義の文の構造や、先行する城の定義や説明に使用された文言と大差はないから、本件定義の表現形式に創作性は認められず、もし本件定義に創作性があるとすれば、何をもって城の概念の不可欠の特性として城の定義に採用するかという学問的思想そのものにあるものと認められる。
ところで、著作権法が著作権の対象である著作物の意義について「思想又は感情を創作的に表現したものであって、・・・」と規定しているのは、思想又は感情そのものは著作物ではなく、その創作的な表現形式が著作物として著作権法による保護の対象であることを明らかにしたものと解するのが相当であるところ、右に判断したところによれば、本件定義は原告の学問的思想そのものであって、その表現形式に創作性は認められないのであるから、本件定義を著作物と認めることはできない。
学問的思想としての本件定義は、新規なものであれば、学術研究の分野において、いわゆるプライオリティを有するものとして慣行に従って尊重されることがあるのは別として、これを著作権の対象となる著作物として著作権者に専有させることは著作権法の予定したところではない。

挨拶文[編集]

原告文章

「VEGETA・ベジタ」休刊のお知らせ
 小誌は、昭和六十三年四月に野菜と健康の情報誌「VEGETA・ベジタ」として創刊し、その理念に多くのかたがたより深いご賛意と共感をたまわり、厚いご支援の中で現在に至りました。
 しかしながら、このたび突然ではございますが、諸般の事情により本号(四月号)をもちまして休刊の止むなきに至りました。
 創刊以来五年の永きにわたりご愛読いただきました読者の皆様、またお力添えをいただきました諸先生に、ここにあらためまして心より御礼もうしあげますとともに、不本意ながら休刊の運びとなりましたことを、深くお詫びいたします。
 いずれに、再スタートの機をかたく心に誓う所存でございますので、なにとぞ事情ご賢察のうえ、ご理解たまわりますようお願い申し上げます。

著作物性
否定
理由
ある著作が著作物と認められるためには、それが思想又は感情を創作的に表現したものであることが必要であり(著作権法二条一項一号)、誰が著作しても同様の表現となるようなありふれた表現のものは、創作性を欠き著作物とは認められない。
本件記事は、いずれも、休刊又は廃刊となった雑誌の最終号において、休廃刊に際し出版元等の会社やその編集部、編集長等から読者宛に書かれたいわば挨拶文であるから、このような性格からすれば、少なくとも当該雑誌は今号限りで休刊又は廃刊となる旨の告知、読者等に対する感謝の念あるいはお詫びの表明、休刊又は廃刊となるのは残念である旨の感情の表明が本件記事の内容となることは常識上当然であり、また、当該雑誌のこれまでの編集方針の骨子、休廃刊後の再発行や新雑誌発行等の予定の説明をすること、同社の関連雑誌を引き続き愛読してほしい旨要望することも営業上当然のことであるから、これら五つの内容をありふれた表現で記述しているにすぎないものは、創作性を欠くものとして著作物であると認めることはできない。(ラストメッセージin最終号事件、東京地方裁判所平成7年12月18日)

駅の説明文[編集]

原告文章

JR中央線・総武線で東京から、特別快速二四分、快速二八分、各駅停車三七分。新宿から特別快速一一分、快速一五分、各駅停車一八分。中野から特別快速七分、快速・各駅停車一一分、地下鉄東西線(総武線に乗入れ)で一一分。

JR中央線の駅。谷保天神、本宿町へ行くバスが出る。東京駅から快速四三分、各駅停車五〇分。新宿駅から快速三〇分、各駅停車三一分。三鷹駅から快速・各駅停車一三分。立川駅から快速・各駅停車二分。特別快速は停まらない。

新宿より特急二七分、急行三五分、快速三七分、各駅停車五一分。調布より特急一三分、急行一五分、快速一六分、各駅停車二四分。武蔵野台より各駅停車一九 分。府中駅より特急八分、急行一〇分、快速一一分、各駅停車一三分。聖蹟桜ヶ丘駅より特急・急行・快速四分、各駅停車六分。

京より特別快速五四分、快速六七分、各駅停車七五分。新宿より特別快速四〇分、快速五四分、各駅停車五六分。三鷹より特別快速二七分、快速・各駅停車三六 分。立川より一七分。日野より一三分。八王子より六分。京王線では、新宿より特急四〇分、急行五〇分、快速五七分、各駅停車七〇分。調布より特急二六分、 急行三〇分、快速三六分、各駅停車四二分。府中より特急二〇分、急行二三分、快速・各駅停車三〇分。高幡不動より特急一二分、急行一三分、快速・各駅停車 二〇分。

著作物性
否定
理由
誰が記載しても異なった記述になり得ないものは、これを選択したことについても、表現形式においても創作性があるものとはいえず、著作物性を認めることができない。(史跡ガイドブック事件、東京地方裁判所判決平成13年1月23日)