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劇団区民劇場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

劇団区民劇場(げきだん くみんげきじょう)は、1955年7月4日に創立された日本劇団。所在地は東京都墨田区京島。

概要

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軽演劇大衆芝居に対抗し、本格的な芝居をやろうという目的で、「安い料金で大人にも子供にも心から楽しんでもらえる芝居を」という理念のもと[1]、役者から裏方までを団員たちで兼任、セットもお手製と、すべて手作りである点が特徴。「区民」とは庶民、市民ということで、アマチュア公務員職人会社員など20人前後が在籍している。毎年6月11月曳舟文化センター(墨田区京島一丁目38番11号)にて公演を行っている。

歴史

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劇団設立の中心となった山田勝巳(1926 - 2010)は明治大学の演劇部出身で、一時は俳優座に在籍したほか、新宿『帝都座』で額縁ショーにもかかわったが、結局演劇を本職とすることはなく、1950年からは地域情報紙の仕事をしていた[2]。1950年、山田は高校を卒業しは家業の建具店に専心していた久保田要三らと組み、劇団を立ち上げた。当初は稽古場もなく、区内の掘立小屋を使ったり学校の教室を借りたりしていたが、のちに久保田の父が自宅の2階を稽古場として提供し、徐々に劇団としての体裁を整えていった[3]

当初は児童向け作品を持って学校を巡回していたが、1971年にはイタイイタイ病を扱った「神通川」を公演し、初めて社会問題を取り上げた[4]。翌1972年には東京大空襲を取り上げた作品も公演した[5]

1987年には地元に曳舟文化センターが開館し、ここを本拠に活動を行っている。

最近の作品

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2008年
  • 劇団区民劇場第99回公演 ウエディングマーチで行こう(作: 福田卓郎・演出: 長谷川正美)
  • 劇団区民劇場第100回公演 出航(作: 木村快・演出: 長谷川正美)
2009年
  • 劇団区民劇場第101回公演 領家堂騒動記 真夏の餅つき(作・演出: 長谷川正美)
  • 劇団区民劇場第102回公演 蠅取り紙~山田家の5人兄妹~(作: 飯島早苗、鈴木裕美・演出: 長谷川正美)

脚注

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  1. ^ 碕泰央「ルポ 地域に愛され楽しんでもらえる演劇を 区民劇場60年のあゆみ」『月刊社会教育』第60巻第3号、国土社、2016年6月、28-30ページ。
  2. ^ 「人間登場 しろうと劇団を率いて反公害演劇「神通川」を演出した 山田 勝巳さん 下町、愛、政治不信 甘える新劇に失望」『読売新聞』昭和46年6月13日付東京本社朝刊4面。
  3. ^ 「若い芽④ 墨田の「劇団区民劇場」 お年よりにもファン」『朝日新聞』昭和38年1月8日付東京本社朝刊14面(東京版都心)。
  4. ^ 「劇団区民劇場 公害の怒りを舞台に イ病の苦しみ切々と 「神通川」きょう開演 現地取材でリアルに」『読売新聞』昭和46年6月12日付東京本社朝刊12面(都民版)。
  5. ^ 「3・10東京大空襲 「平和を考える」 墨田区のアマ劇団」『毎日新聞』昭和37年(1972年)11月11日付18面(東京版)。

外部リンク

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