ケン・リュウ
ケン・リュウ Ken Liu | |
---|---|
誕生 | 1976年??月??日 |
職業 | 小説家、翻訳家 |
言語 |
創作:英語 翻訳:中国語から英語 |
ジャンル | SF |
主な受賞歴 |
ネビュラ賞(2011年) ヒューゴー賞(2012年、2013年) 世界幻想文学大賞(2012年) |
公式サイト | http://kenliu.name/ |
ウィキポータル 文学 |
ケン・リュウ | |
---|---|
出身地: | 中国 甘粛省蘭州市 |
各種表記 | |
繁体字: | 劉宇昆 |
簡体字: | 刘宇昆 |
拼音: | Liú Yǔkūn |
発音転記: | リウ・ユークン |
ケン・リュウ(Ken Liu、中国語:劉宇昆(リウ・ユークン)、1976年 - )は、アメリカ合衆国の小説家、翻訳家である。SF作品を得意とし、数々の賞を受賞している。中国系アメリカ人。
概要
[編集]1976年、中華人民共和国の蘭州に生まれる。8歳(11歳という説あり[1])の時、両親とともにアメリカ合衆国に渡り、以後はカリフォルニア州のパロアルトで育つ。後、さらにコネチカット州のウォーターフォードに移る。
ハーバード大学に入学し、法律を専門に学ぶ。ロースクールを出て、法務博士号を取得し、卒業後は弁護士、コンピュータープログラマー、中国語書籍の翻訳者として働きながら、文筆活動を行っていた。
短編小説を中心に活動している。2012年に、「紙の動物園」でネビュラ賞とヒューゴー賞と世界幻想文学大賞の短編部門で受賞、史上初の三冠を達成した。2013年もヒューゴー賞の短編部門で受賞した。2015年に初の長篇となるファンタジー”The Dandelion Dynasty”(『蒲公英(ダンデライオン)王朝記』)を刊行。シリーズ化の予定である。また、翻訳家としても活動し、中国の作家を英語圏に紹介している。
作風は、東洋の伝統を下敷きにした細やかな情感を特徴とする。自身の出自である中国文化を背景にした作品も多い。また、日本での初翻訳となった「もののあはれ」のように日本人を主役とした作品もある。著者は日本の漫画「ヨコハマ買い出し紀行」に啓発された作品と語っている[2]。
2015年、日本での初めての著作となる『紙の動物園』が早川書房より刊行。又吉直樹がテレビ番組で推薦したことで話題となった。
妻と二人の娘とともにマサチューセッツ州のクインシーに住んでいる。趣味は、古いタイプライターの蒐集、修理である[3]。
日本語訳作品
[編集]著者名はすべて「ケン・リュウ」。
- もののあはれ (古沢嘉通訳、『THE FUTURE IS JAPANESE』早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション、2012年7月)(原題 Mono no aware、2012年)
- 収録作品の一作である短編『円弧』(アーク)が日本で映画化、『Arc アーク』と題し2021年6月に公開。
- 紙の動物園 (古沢嘉通訳、『S-Fマガジン』2013年3月号)(原題 The Paper Menagerie、2011年)
- どこかまったく別な場所でトナカイの大群が (古沢嘉通訳、『S-Fマガジン』2015年2月号)(原題 Altogether Elsewhere,Vast herds of Reindeer、2011年)
- 良い狩りを (古沢嘉通訳、『S-Fマガジン』2015年4月号)(原題 Good Hunting、2012年)
- 『輸送年報』より「長距離貨物輸送飛行船」(『パシフィック・マンスリー』2009年5月号掲載) (古沢嘉通訳、『S-Fマガジン』2015年6月号) (原題 "The Long Haul From the ANNALS OF TRANSPORTATION, The Pacific Monthly, May 2009"、2014年)
書籍
[編集]- 『紙の動物園』(古沢嘉通編訳) (2015年4月、《新☆ハヤカワ・SF・シリーズ》第2期第8回配本、日本オリジナル編集(短編集)) のち、『紙の動物園』『もののあはれ』としてハヤカワ文庫
- 『蒲公英(ダンデライオン)王朝記』「巻ノ一 諸王の誉れ」 / 「巻ノ二 囚われの王狼」(古沢嘉通訳) (2016年4月・6月、《新☆ハヤカワ・SF・シリーズ》第3期第2回・第3回配本)(原題 The Grace of Kings、2015年)
- 『母の記憶に』(古沢嘉通編訳、幹遙子、市田泉訳)(2017年4月、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)日本オリジナル短篇集。
- 『STARWARS ジャーニー・トゥ・最後のジェダイ ルーク・スカイウォーカーの都市伝説』(稲村広香訳)(2018年1月、講談社KK文庫)
- 『生まれ変わり』(古沢嘉通、幹遙子、大谷真弓訳)(2019年2月、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)日本オリジナル短篇集。
- 『宇宙の春』(古沢嘉通編訳)(2021年3月、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)日本オリジナル短編集。
受賞・候補歴
[編集]- 紙の動物園(The Paper Menagerie)
- 2011年 ネビュラ賞 短編小説部門受賞
- 2012年 ヒューゴー賞 短編小説部門受賞
- 2012年 世界幻想文学大賞 短編小説部門受賞
- 2012年 ローカス賞 短編小説部門ファイナリスト
- 2012年 シオドア・スタージョン記念賞ノミネート
- 2014年 第45回星雲賞海外短編部門受賞
- The Man Who Ended History: A Documentary
- 2011年 ネビュラ賞 ノヴェラ部門ノミネート
- 2012年 ヒューゴー賞 ノヴェラ部門ノミネート
- もののあはれ(Mono No Aware[4])
- 2013年 ヒューゴー賞 短編小説部門受賞
- 2013年 ローカス賞 短編小説部門ファイナリスト
- 良い狩りを(Good Hunting)
- 2016年 第47回星雲賞 海外短編部門 受賞
- シミュラクラ(Simulacrum)
- 2017年 第48回星雲賞 海外短編部門 受賞
中国SF翻訳家としての活動
[編集]中国のSF小説の英訳者としても活動しており、劉慈欣(りゅう じきん)、夏笳(か か、シア・ジア)、馬伯庸(ば はくよう、マー・ボーヨン)、陳楸帆(ちん しゅうはん、チェン・チウファン)、郝景芳(かく けいほう、ハオ・ジンファン)らの作品を英訳している。陳楸帆のSF短編「丽江的鱼儿们」(麗江の魚ら)をケン・リュウが英訳した"The Fish of Lijiang"[5]は2012年の第2回SF・ファンタジー翻訳作品賞を受賞した(この賞は作者と翻訳者がともに受賞者となる)。
また、劉慈欣の長編SF『三体』三部作の第一部及び第三部の英訳を担当した[6]。中国の長編SFが英訳されたのは『三体』第一部が初めてである。
脚注
[編集]- ^ “华裔作家斩获科幻界诺贝尔奖 科幻也能写真情” (中国語). 雅虎 (2012年9月5日). 2011年9月7日閲覧。
- ^ “中国系作家がSFの最高賞を受賞、小説の背景は日本文化―中国紙”. レコードチャイナ. (2013年9月7日) 2013年9月8日閲覧。
- ^ “Interview: Ken Liu _ The Asian American Literary Review” (英語). Aalrmag.org (2012年8月16日). 2013年9月8日閲覧。
- ^ Mono no aware by Ken Liu | Lightspeed Magazine
- ^ Clarkesworld Magazine - Science Fiction and Fantasy : The Fish of Lijiang by Chen Qiufan, translated by Ken Liu
- ^ “Three Body”. Ken Liu Website. 2017年8月20日閲覧。