勘当の鬼
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勘当の鬼(かんどうのおに)は、12世紀後半(平安時代末-鎌倉時代初頭頃)の絵巻。作者未詳。松永家旧蔵品、現在は福岡市美術館に所蔵されている。重要文化財。
絵巻物の断簡であり、「勘当の鬼」という呼称は残存している詞書部分からのものである。紙本著色地獄草紙とされており、『地獄草紙』(東京国立博物館蔵)ならびに『辟邪絵』と詞書の筆者が同一人物ではないかと見られている[1]。もとは同じ絵巻物の一部であっただろう別の断簡(伝寂蓮筆)の放射性炭素年代測定結果も、12世紀後半から13世紀前半の年代を示している[2]。
内容
[編集]天邪鬼が毘沙門天に仕えていたが勘当され忉利天を追放される。そこを、天竺で寺を同じく追放された僧侶と出会う。彼を肩に乗せて歩くと人々に浮遊して見え尊崇される。しかし、夜叉神に露見し鬼は僧を見捨て逃亡する。
参考文献
[編集]- 「地獄草紙断簡 (勘当の鬼図) 」部分 (松永記念館寄贈) 福岡美術館蔵(『美術研究』331号 東京国立文化財研究所) 1985年
- 文化遺産オンライン「文化遺産データベース」(文化庁) https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/190736
脚注
[編集]- ^ 奈良国立博物館 編『奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡』奈良国立博物館 1997年 317-318頁
- ^ 池田和臣、小田寛貴「新 古筆資料の年代測定I ―加速器質量分析法による炭素14年代測定―」『文学部紀要 言語・文学・文化』, 中央大学文学部, 119, 2017年3月 pp.36-40, http://id.nii.ac.jp/1648/00008630/