勝川春常
表示
勝川 春常(かつかわ しゅんじょう、生年不明 - 天明7年7月1日〈1787年8月13日〉)とは、江戸時代中期の浮世絵師。
来歴
[編集]勝川春章の門人。本名:安田岩蔵。号は子龍斎。法号は釈宗因。安永 - 天明期に細判の錦絵、黄表紙の挿絵、番付の絵などを描いた。春章の門人のなかでは、なかなか優れた手腕の絵師であった。錦絵では細判二枚続「沢村宗十郎 中村歌右衛門」(平木浮世絵美術館 UKIYO-e TOKYO所蔵)、細判「岩井半四郎」、大判「市川門之助 沢村宗十郎」が知られている。また肉筆美人画も描いた。なかでも同門の勝川春潮と合作した双幅「遊君禿図・歌妓と仲居図」(ニューオータニ美術館所蔵)は著名である。春常は招かれた座敷へ急ぎ柳の葉が繁る夏の夜道を行く芸者と、三味線箱と提灯を手にした仲居を描いており、珍しく横顔の仲居の容貌が美しい。墓所は台東区西浅草の善照寺。
作品
[編集]- 「五代目市川団十郎の坂田金時」 錦絵 細判5枚続 日本浮世絵博物館所蔵
- 「三代目沢村宗十郎」 錦絵 扇面 細判 ベルリン国立図書館所蔵
- 「三代目瀬川菊之丞」 錦絵 扇面 細判 ベルリン国立図書館所蔵
- 「三代目瀬川菊之丞のおはんと四代目松本幸四郎の長右衛門」 錦絵 細判2枚続 ジェノヴァ東洋美術館所蔵 安永10年
- 「五代目市川団十郎の工藤祐経」 錦絵 細判 ベルリン国立東アジア美術館所蔵
- 「二代目中村助五郎」 錦絵 細判 ギメ東洋美術館所蔵
- 「遊君禿図・歌妓と仲居図」 双幅(春潮と合作) 絹本着色 ニューオータニ美術館所蔵
参考文献
[編集]- 『増訂浮世絵』- 藤懸静也(1946年、雄山閣)→近代デジタルライブラリー※139頁
- 『肉筆浮世絵大観(8) ニューオータニ美術館』-小林忠(1995年、講談社)