北海ゲルマン語の鼻音の消失
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北海ゲルマン語の鼻音の消失(ほっかいゲルマンごのびおんのしょうしつ、英: Ingvaeonic nasal spirant law)は、北海の沿岸部の西ゲルマン語で起きた音韻の変化をいう。
内容
[編集]サクソン方言、フリジア方言、英語では母音-鼻音-摩擦音と並ぶときに鼻音が脱落して代償延長が生じる(-ns->-s-、-mf->-f、-nþ->-þ-。)以下は主に現代語による例である。オランダ語では鼻音が脱落しない単語もある。
- ゲルマン祖語 *tanþ- >英語 tooth、古フリジア方言 tōth(低地ドイツ語 Tähn、オランダ語 tand、現代ドイツ語 Zahn)
- ゲルマン祖語 *anþara- > 英語 other、西フリジア方言 oar、東フリジア方言 uur、古サクソン方言 āthar (ドイツ語・オランダ語 ander- [þ→d])
- ゲルマン祖語 *fimf > 英語five、フリジア方言 fiif、東フリジア方言 fieuw、オランダ語 vijf、低地ドイツ語 fiev、fief (ドイツ語 fünf)
- ゲルマン祖語 *samft- > 英語soft、フリジア方言 sêft、低地ドイツ語 sacht、オランダ語 zacht[ft→xt] (ドイツ語 sanft)
- ゲルマン祖語 *gans- > 英語goose、フリジア方言 goes、低地ドイツ語 Goos(オランダ語 gans、ドイツ語 Gans)