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十八技

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
十八技
訓練の様子。
各種表記
ハングル 십팔기
漢字 十八技
発音 シッパルギ
ローマ字転写 Sib Pal Gi
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十八技(シッパルギ、朝鮮語:십팔기)は、李氏朝鮮の時代に存在した武術。

概要

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李氏朝鮮時代の『武芸新譜』という兵法書に書かれた武術である。『武芸新譜』の成り立ちと、金光淑が復活させた現代の十八技について解説する。

武芸諸譜

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武芸新譜の元になったのが武芸諸譜である。この兵法書が成立したきっかけは文禄・慶長の役である。文禄・慶長の役朝鮮は日本軍の猛攻を受け、多大な被害を受けた。『懲毖録』によれば、1593年夏、痔疾療養中の柳成龍を明の武将である駱尚志が見舞い、中国兵術の習得を勧めた。そこで軍将兵を駱の配下につけて、槍、剣、狼筅などの技術を学ばせたという。これを契機として朝鮮宮廷は1594年に訓錬都監を設立、兵の訓練と対日戦術の研究を行った。 朝鮮半島では弓術馬術が重視され近接戦闘は顧みられなかったが、宣祖は日本軍の刀槍による死傷を考慮し、中国に学んだ刀剣、槍棍の訓練を命じた。 訓錬都監の教本として戚継光の『紀効新書十八巻本』(1560年)を採用し、1598年これを基に韓嶠が「棍」「籐牌」「狼筅」「長槍」「鐺鈀」「長刀」の六つの技術を抜き出し訳した『武芸諸譜』が刊行された。1604年には内容を付け足した『武芸諸譜続集』が出た。軍では「降倭」からの日本剣術の習得も行われている。

武芸新譜

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1759年英祖の命で荘献世子が編纂させたものが『武芸新譜』である。1728年の戊申の乱(李麟佐の乱)で大規模反乱を経験した英祖が、軍隊の強化を図るために官修を命じたものである。内容は『武芸諸譜』の六技に中国武術や日本武術からの11技、そして朝鮮伝来と称する「本国剣」の合わせて十二の技術を加えたもので、ここに十八技が完成した訳である。

現代の十八技

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現代の十八技は韓国のキム・グァンスク(金光淑?、김광석)が復活させた武術である。金は日本統治時代に山中のムナムと呼ばれる道教の村で少年時代を過ごした。彼はそこで尹明徳という人物から朝鮮武術、東洋医学呼吸法の訓練を受けたという。その後、金の弟子達が韓国十八技協会を設立した。金は1987年から2002年の間に、韓国の武術に関する4冊の本を出版している。 また、ユ・スナム(劉秀南?、유수남)は1970年代初頭に「燕秘流」という流派をアルゼンチンで広めた。燕秘流は15の武器術と3つの素手の武術があり、護身術瞑想等も教えている。

内容

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武芸諸譜の六つの技術

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長槍
槍術は朝鮮では武術の中心とされた。イチイの木で作った4m程の
棍棒
基本の武芸の一つとされ、「武芸の母」と呼ばれたり、四書六経の四書に例えられたりした。
籐牌
で作ったの術。同じ字を書く琉球ティンベーはローチン(小刀)とセットで遣うが、朝鮮では単独か、剣術の補助として使うようである。日本の陣笠術に近い。陣を組むとき、最前列に出る。
狼筅
種のついたナズナのような形の武器。長い竹に棘を付けた後、毒に漬けて作る。籐牌と共に最前列に出て敵を威嚇するのに用いる。文禄・慶長の役では朝鮮側が使い、効果を挙げたといわれる。
鐺鈀
先がのように三つに分かれた槍のような武器。槍のように突くほか、十手のように相手の武器を落としたりも出来る。
双手刀
「双手」とは二刀ではなく「諸手」という意味である。日本的な剣術で、倭寇の剣術を明の兵隊が導入したのが始まりであるとされる。「用剣」、「平剣」ともいった。

武芸新譜の十二の技術

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  • 竹長槍 20尺もある長兵である。一本の竹で作る物と編んだ竹で作った物があり、後者の方が丈夫とされる。
  • 旗槍 儀式や護衛に使う槍である。長さは約2.75m、刃渡り23cmと短い為、接近戦で用いる事が多い。
  • 月刀 刃が月に見えるのでこう呼ぶ。長さ6尺4寸、刃渡り2尺8寸ある。朝鮮後期には車騎歩(ゴギボ)戦法で騎兵が使った。
  • 双剣 二刀剣法である。日本とは違い、二本の大刀(普通の刀)で戦う。
  • 鋭刀 いわゆる「朝鮮勢法」である。
  • 挾刀 薙刀に近い武器である。刃が眉尖刀とも呼ばれる。
  • 提督剣 文禄・慶長の役で活躍した李氏朝鮮の武将である李如松を称えて名付けられた剣法。
  • 拳法 手縛ともいった体術。武芸の基本であるとされた。 
  • 鞭棍 長い棒の先に短い棒のついたもの。いわゆるフレイル。長い棒は8尺9寸、短い棒は2尺2寸ある。
  • 倭剣 倭寇の剣術。
  • 交戦 空手の約束組手のようなものであったようである。
  • 本国剣 実学思想に基づいて、新羅花郎が作った古代剣法だという。元々は諸刃の剣を遣う剣術であったが、この時代には片刃になっている。

ギャラリー

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参考文献

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  • Wikipedia英語版
  • 十八技保存会ホームページ

外部リンク

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