南蹄目
南蹄目 | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トクソドンToxodon platensis
| |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Notoungulata Roth, 1903[1] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
南蹄目[2] | |||||||||||||||||||||||||||
亜目 | |||||||||||||||||||||||||||
|
南蹄目(なんていもく、Notoungulata)は、広義の有蹄類(午蹄類)の一種を占める動物群である。4つの亜目で構成されている。
進化史
[編集]午蹄中目の中で一番繁栄した目で、絶滅して、遺伝子解析ができないせいか、研究者によって、下位分類は様々だが属は150を確かに超えている。4つの亜目は暁新世後期にはすでに分化していた。化石記録によれば暁新世後期から更新世後期にかけて出土していて、漸新世から中新世前期に特に繁栄した。北米と、中国からモンゴルにかけて髁節目がいた影響か南蹄目の分布は南米に限定されるようになった[3]。
形態
[編集]一般的に頭骨は短く頭頂部は幅が広く平たくなっている。この目の特徴は耳の構造が特殊で非常に大きい鼓胞をもち、鱗状骨の中にもう一つの大きな部屋を形成し、両者は管状の穴で通じているため非常に聴覚が発達していたと考えられている。またこの耳の特徴は現在の砂漠の哺乳類に似ている。南蹄類は初期の段階から植物食の哺乳類の特徴の臼歯を持っており、多くの種は歯冠を高く、犬歯は短くしていた。これは定向進化の一例である。普通は蹄をもつが、一部の種はかぎ爪をもっていた。蹄は普通は3つだった[3]。非常に繁栄していて、他の有蹄類の動物に収斂してよく似た特徴をもつ種が多い[4]。
分布
[編集]北アメリカには髁節目がしめていたせいか南アメリカのみに生息していた[3]。
分類
[編集]上位分類
[編集]南蹄目に属すトクソドンは、コラーゲンの分析から、滑距目のマクラウケニアとともに、奇蹄目と姉妹群を成すことが明らかになった[5][6]。これにより、南蹄目を「汎奇蹄類」(Panperissodactyla)に含める分類が提唱されている[5]。
下位分類
[編集]3 - 4亜目に区別される[7][8]。以下の分類はMcKenna & Bell(1997)に従って4亜目としたが[1]、ヘゲトテリウム類をティポテリウム亜目に含める説もある[8]。
- 南祖亜目 Notioprogonia
- トクソドン亜目[7](トキソドン亜目[8]) Toxodonta
- ティポテリウム亜目 Typotheria
- アルケオピテクス科 Archaeopithecidae(トクソドン亜目とする説もある[8])
- オールドフィールドトマシア科 Oldfieldthomasiidae(トクソドン亜目とする説もある[8])
- インテラテリウム科 Interatheriidae
- Campanorcidae
- メソテリウム科 Mesotheriidae - メソテリウム、アディノテリウム など
- ヘゲトテリウム亜目 Hegetotheria(ヘゲトテリウム上科としてティポテリウム亜目に含める説もある[8])
遠藤・佐々木(2001)では南祖亜目にアルクトスティロプス科Arctostylopidaeを含めていたが[8]、McKenna & Bell(1997)ではアルクトスティロプス目Arctostylopidaとして独立させている[9]。
脚注
[編集]- ^ a b Malcolm C. McKenna & Susan K. Bell, “Order †Notoungulata,” Classification of Mammals: Above the Species Level, Columbia University Press, 1997, Page 455-466.
- ^ 日本哺乳類学会 種名・標本検討委員会 目名問題検討作業部会「哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
- ^ a b c 『新版絶滅哺乳類図鑑』丸善。[要ページ番号]
- ^ 『生物の多様性』朝倉書店。[要文献特定詳細情報]
- ^ a b Welker, F.; Collins, M. J.; Thomas, J. A.; Wadsley, M.; Brace, S.; Cappellini, E.; Turvey, S. T.; Reguero, M. et al. (2015-03-18). “Ancient proteins resolve the evolutionary history of Darwin's South American ungulates”. Nature 522 (7554): 81–84. Bibcode: 2015Natur.522...81W. doi:10.1038/nature14249. ISSN 0028-0836. PMID 25799987 .
- ^ Buckley, M. (2015-04-01). “Ancient collagen reveals evolutionary history of the endemic South American 'ungulates'”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 282 (1806): 20142671. doi:10.1098/rspb.2014.2671. PMC 4426609. PMID 25833851 .
- ^ a b エドウィン H. コルバート、マイケル モラレス、イーライ C. ミンコフ 「脊椎動物の分類体系」『コルバート 脊椎動物の進化 原著第5版』田隅本生訳、築地書館、2004年、505-518頁。
- ^ a b c d e f g 遠藤秀紀・佐々木基樹「哺乳類分類における高次群の和名について」『日本野生動物医学会誌』第6巻 2号、日本野生動物医学会、2001年、45-53頁。
- ^ Malcolm C. McKenna & Susan K. Bell, “Order †Arctostylopida,” Classification of Mammals: Above the Species Level, Columbia University Press, 1997, Page 365-366.