脊索動物
脊索動物 Chordata | ||||||||||||
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分類 | ||||||||||||
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学名 | ||||||||||||
Chordata Haeckel, 1874 | ||||||||||||
和名 | ||||||||||||
脊索動物 (せきさくどうぶつ) | ||||||||||||
下位分類 | ||||||||||||
脊索動物(せきさくどうぶつ、学名:Chordata)は、新口動物に属する動物の一群である。
概要
[編集]魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類など背骨(脊椎)をもつ動物を含んだ脊椎動物と、それと近縁な動物群である頭索動物(ナメクジウオ)と尾索動物(ホヤ)を合わせたものである。
内骨格あるいはそれに近い機構を獲得した動物群である。分類上は脊索動物門 Chordata として取り扱われる。また、絶滅した動物グループで初期の脊椎動物に近いのではないかと考えられていて永らく正体不明であったコノドントは、やはり最近の研究で無顎類のヤツメウナギに近いことがわかっている。
特徴
[編集]- 単一の「背側神経管」を有する。これは、体の背側にある中空の神経索のことで、本来は上皮性である。脊椎動物ではここから中枢神経系(脳と脊髄)が更に分化する。
- 神経管の腹側に「脊索」をもつ。ただし、脊椎動物では胚発生の過程において、脊索より後に体節から発生した脊椎骨がこれに置き換わるために、消失することも多い。ヤツメウナギなどでは脊椎が形成された後、成体でも残る。
- 咽頭部に「鰓裂」を有する。ただし、陸棲の脊椎動物ではこうした鰓裂は発生時に咽頭裂あるいは咽頭嚢として見られるのみで、その後は頭頚部の諸器官(副甲状腺や胸腺など)に形を変えるため、成体では見られない。※詳細は咽頭弓を参照
- 咽頭部の腹側に内柱と呼ばれる器官をもつ。脊椎動物では内柱が二次的に甲状腺になっていることがほとんどである。
- 筋節 (myomere)[1]をもつ。
- 体の構造は、基本的に左右対称である。
分類学
[編集]経緯
[編集]18世紀に発見された当時、ナメクジウオは軟体動物のナメクジの一種であると考えられていた。また、ホヤも同様に軟体動物に分類されていた。1840年代に入ると、ナメクジウオは脊索、鰓裂、背側神経索をもつことが明らかにされ、脊椎動物との類似が指摘されるようになった。1866年、アレサンデル・コワレフスキー (Alexander Kovalevsky) はホヤ類の幼生が尾部にもつ軸索状器官が、脊椎動物やナメクジウオの脊索と相同であることを示した。これによって、脊椎動物、ナメクジウオを含む頭索動物、およびホヤを含む尾索動物、が単系統群であることが広く受け入れられるようになった。
その後は、脊椎動物を「脊椎動物門」として扱い、頭索動物と尾索動物をまとめて「原索動物門」(Protochordata) として扱われることもあった。しかし、尾索動物と頭索動物とは「脊椎動物に近い」という便宜的な理由から同門として扱われていた側面があり、それらの系統間の類縁関係はそれほど近くはなく、むしろ頭索動物と脊椎動物との間の方が近いと考えられるようになったため、これらすべてを脊索動物としてまとめて扱う分類が主流になっている。一方で近年の分子進化的な解析では尾索動物と脊椎動物が姉妹群、頭索動物はそれらの祖先的な系統関係となることが示されている。
古虫動物というカンブリア紀に生息した動物群は、かつては現生動物門との類縁関係が議論的であり、独立の門(古虫動物門)とされていた。後に脊索が発見され、脊索動物の分類群(古虫動物亜門)として認められるように至った[2]。
後口動物における脊索動物の位置
[編集]三胚葉動物は大きく前口動物と後口動物に分けられるが、脊索動物は後者に含まれる。後口動物内部での各グループの系統的位置関係は様々に議論があったが、現在は右図のように半索動物と棘皮動物が単系統であり、脊索動物はその姉妹群ということで共通見解が得られている。なお、珍渦虫動物の系統に関してはいまだ様々な議論がある。近年は一般的に後口動物に含められるのが主流になってきたが、なお反論もあり確定していない。
古典的分類
[編集]- 頭索動物亜門(無頭動物亜門、Cephalochordata/Acrania)
- ナメクジウオ綱(頭索綱、Leptocardia) - ナメクジウオ
- 尾索動物亜門(被嚢動物亜門/ホヤ動物亜門、Urochordata/Tunicata)
- 脊椎動物亜門(Vertebrata) - 魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類など
頭索動物(ナメクジウオ)と尾索動物(被嚢動物、ホヤ)は、便宜上に原索動物としてまとめられる場合がある。
系統分類
[編集]極めて概略だが、以下に脊索動物の系統樹を示す。
頭索動物と尾索動物の位置、また円口類の単系統性など、分子系統によって明らかにされた部分も多い。
ただし、コノドントや翼甲類の枝の位置など、未だ定かではないところも多く、依然多くの研究が待たれるところである。
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脚注
[編集]- ^ V字型の筋肉が胴から尾にかけて並び、節状に連なったもの。発生時に現れる筋節(myotome)のことではない。
- ^ García-Bellido, Diego C.; Lee, Michael S. Y.; Edgecombe, Gregory D.; Jago, James B.; Gehling, James G.; Paterson, John R. (2014-10-21). “A new vetulicolian from Australia and its bearing on the chordate affinities of an enigmatic Cambrian group”. BMC Evolutionary Biology 14 (1): 214. doi:10.1186/s12862-014-0214-z. ISSN 1471-2148 .
参考文献
[編集]- 岩槻邦男・馬渡峻輔監修;松井正文編集、『脊椎動物の多様性と系統』〈バイオディバーシティ・シリーズ7〉、裳華房、2006年、ISBN 978-4-7853-5828-0
- 倉谷滋『動物進化形態学』東京大学出版会、2004年。ISBN 978-4-13-060183-2