古賀専
古賀 専(こが あつし、1908年10月1日 - 1993年12月20日)は、昭和時代の労働運動家。通称は専(せん)[1]。全国造船重機械労働組合連合会(造船重機労連)初代委員長。
経歴
[編集]佐賀県神埼郡城田村(現神埼市)生まれ[2]。長崎県佐世保市出身。1923年佐世保尋常高等小学校を卒業。佐世保海軍工廠に電気工の見習として入り[3]、佐世保海軍工廠教習所高等科を卒業[4]。1924年海軍労働組合連盟佐世保労愛会に加盟。1927年佐世保民衆党、ついで社会民衆党で活動。1928年三・一五事件で検挙され解雇[2]。1930年佐世保社会民衆党常任書記となり、西日本坑夫組合の結成に参加、主事[1]。1932年柚木炭鉱争議で検挙。1937年中国へ渡った[5][注 1]。
1946年日本に引き揚げ[3]、1947年9月全国造船労働組合連合会結成とともに書記長[6][注 2]。1948年日本労働組合総同盟(総同盟)中央執行委員[2]。1950年日本労働組合総評議会(総評)結成に総同盟全国造船労働組合連合会を率いて参加、常任幹事[1]。高野実派の総同盟解体方針に反対し、1951年6月松岡駒吉、菊川忠雄らと総同盟を再建、主事[7]。1951年9月星加要、滝田実らと民主労働運動研究会(民労研)を結成[8]、幹事[9]。1952年総同盟総主事[1]。1953年2月全国民主主義労働運動連絡協議会(民労連)幹事[10]。1954年滝田実、和田春生らと全日本労働組合会議(全労会議)を結成、副議長[1]。1955年日本生産性本部が結成されると総同盟を率いて参加、理事[11]。1958年警職法反対を表明[12]。総同盟会長と国家公安委員の兼任が問題視されていた金正米吉に対し、自主的な辞任を進言[1]。1959年金正の辞任に伴い総同盟副会長。この間、全国造船労働組合総連合(造船総連)書記長・委員長を務めた[2]。
1959年全国労組生産性企画実践委員会の結成に参加、初代委員長[11]。1962年7月の第6回参議院議員通常選挙に全国区から民主社会党公認で出馬したが落選[13]。1964年5月国際金属労連日本協議会(IMF-JC)の結成に参加[3]、副議長(1969年8月まで、1971年9月から1978年8月)[14]。1968年全国労組生産性企画実践委員会が全国労働組合生産性会議(全労生)に改組、初代議長[11]。1970年2月全日本労働総同盟(同盟)副会長[15]。1972年2月全国造船重機械労働組合連合会(造船重機労連)の結成に参加、初代委員長[3]。1973年1月同盟顧問[15]。同年9月造船重機労連顧問[2]。IMF-JC顧問、日本生産性本部副会長[11]、同最高顧問、全労生顧問も務めた[16]。
著書
[編集]- 『労働運動のまがりかど――われわれの立場と主張』(太田薫、細谷松太、和田春生、原口幸隆共著、一橋書房、1955年)
- 『中小企業の労務管理と労働組合』(石田謙一郎、倉持米一共著、日本労働協会[JIL文庫]、1959年)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f 山田宏二「古賀専」、朝日新聞社編『現代人物事典』朝日新聞社、1977年、503頁
- ^ a b c d e 塩田庄兵衛編集代表『日本社会運動人名辞典』青木書店、1979年、240頁
- ^ a b c d 水野秋「古賀専」、朝日新聞社編『「現代日本」朝日人物事典』朝日新聞社、1990年、648頁
- ^ 20世紀日本人名事典の解説 コトバンク
- ^ 塩田庄兵衛編集代表『日本社会運動人名辞典』青木書店、1979年、240頁。平凡社教育産業センター編『現代人名情報事典』平凡社、1987年、382頁。
- ^ 法政大学大原社会問題研究所編『新版 社会・労働運動大年表』労働旬報社、1995年
- ^ 総同盟再建大会[労]1951.6.1『社会・労働運動大年表』解説編
- ^ 篠藤光行、福田豊編『日本社会党』労働大学、1973年
- ^ 法政大学大原社会問題研究所編『日本労働年鑑 第25集(1953年版)』時事通信社、1952年
- ^ 中村菊男『戦後民主的労働運動史――同盟会議への歩み』日刊労働通信社、1964年
- ^ a b c d 『活力・豊かさ・創造~全労生・25年の軌跡~ (PDF) 』全国労働組合生産性会議「25年の軌跡」刊行委員会、1985年
- ^ 岩井章『統一戦線論』毎日新聞社、1976年
- ^ 大阪瓦斯労働組合編『大阪瓦斯労働組合史――30年のあゆみ』大阪瓦斯労働組合、1977年
- ^ 『金属労協50年史 新たな50年に向けて「飛躍」 (PDF) 』全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)、2015年
- ^ a b 労働運動史編纂委員会編『総評労働運動の步み』総評資料頒布会、1975年
- ^ 『全国労働組合生産性会議40周年記念誌 (PDF) 』全国労働組合生産性会議、2000年
関連文献
[編集]- 細谷松太『戦後労働運動の歴史と人物』(日刊労働通信社、1972年)
- 高梨昌編著『証言 戦後労働組合運動史』(東洋経済新報社、1985年)
- 久野治『さよならIMF・JC――創生期の人びと』(中日出版、2016年)
- 古賀専とは - コトバンク