ぎなた読み
表示
(呪いの墓場から転送)
ぎなた読み(ぎなたよみ)は、日本語において、語句の区切りを間違えて読むこと。弁慶読みともいう[1]。
概説
[編集]「弁慶がなぎなたを持って」という一文を、本来「弁慶が、なぎなたを持って」と読むべきところを「弁慶がな、ぎなたを持って」と読むように、句切りを誤って読むことに由来する[1][2]。
一般的に読字力・語彙力に乏しい子供が行う読書の悪癖のひとつとして知られる[3]。
基本的な例
[編集]- ここではきものをぬいでください[4]
- しんだいしゃをてはい
- ふろにはいるかはいらないか
- テレビのみすぎ
- テレビの見すぎ
- テレビ飲みすぎ
- あのおかまでかけていこう
- ゆでたまごをつくった
- ねえちゃんとおふろはいってる?
- ねえ、ちゃんとお風呂はいってる?(「入ってる」または「行ってる」)
- 姉ちゃんとお風呂はいってる?
- おもいこんだらしれんのみちを
- エースがちんこ対決
- にわにはにわにわとりがいる
- どちらの区切りが正しいかは文脈によるもの
- もともと一方の意味で読んでほしい文章なら、他方は「ぎなた読み」の誤読ということになる。
- 漢字ばかりの箇所でも起きる事例
-
- 1日中山道
- アフガン航空相撲殺される
- 暴カニ男(ぼうかにおとこ、あばれかにおとこ)
- 2002年に2ちゃんねるニュース速報+板に建てられた「【社会】“暴力二男”殺害の母親らに実刑判決」というニュースを伝えるスレッドで、タイトル中の「暴『力二』男(ぼうりょくじなん)」の「力二」の部分を「カニ(かに)」と誤読する者が現れ、さらに区切りを「暴/カニ男」としたことで「暴カニ男なる人物が殺害された」とするジョークが発生し、アスキーアートが作成されたり同様に「暴力二男」というワードが登場するニュースが話題になるとそのスレッドが「カニ男」をネタにするレスで溢れ返る現象が起こるようになった。
- 残酷なのは戦争
- 2008年6月23日朝日新聞夕刊の第二次世界大戦の悲惨さを伝える記事だが、「魔法少女リリカルなのは」という作品が存在したため「残酷・なのは戦争」と読み替えられた[11]。
防止策
[編集]- 書き手側の防止策
- ぎなた読みされてしまうのを防止するために書き手がすること
- やむを得ず「ひらがな」ばかりで文章を書く場合は、意味の区切りで読点「、」を入れる。あるいはスペース(空白文字)で区切りをはっきりさせる。
- 小学校1年の国語の教科書の前半などではスペースで区切りを明らかにする手法を多用することが一般的。大人の日本人向けの文章で、やむをえずひらがなを連続させる場合は読点で区切りを明確化するのが一般的。なお近年では日本語を外国語として学習する人々が世界各国で増えているが、そうした日本語学校や日本語学習コースで使われる日本語学習用のテキストでも初心者の段階ではやはりひらがなばかりのページもあり、最初期の段階ではスペースを多く入れて区切りをはっきりさせ、次の段階で読点を多用するようになる。
- 漢字で表記することが一般的な用語は、漢字で表記する。難読用語はカッコ書きで読み方を添える(たとえば「蓋然性(がいぜんせい)」など)、あるいは漢字にルビをふる。
- 漢字だけが連続する部分、漢字が連続する箇所で、誤った区切りかたをされる可能性があると予想される場合は、あえて漢字の間にひらがなの助詞を入れて区切りと意味を明確化したり、ひらがな同様に読点やスペースを入れて区切りを指定する。
- やむを得ず「ひらがな」ばかりで文章を書く場合は、意味の区切りで読点「、」を入れる。あるいはスペース(空白文字)で区切りをはっきりさせる。
「かな漢字変換」によるもの
[編集]ワープロやパソコンのかな漢字変換が、かな入力を漢字に変換するプロセスで、意味の区切り部分を判定できず、本人の文字認識とは無関係に「ぎなた読み」の文章が生成されることがあり、電子掲示板やネット投稿でスラングとなって意図的に使用される例もある。
→「日本語入力システム」も参照
その他
[編集]ウィキペディアはオンライン百科事典であって、情報を無差別に収集する場ではありません。 |
意図的にぎなた読みを起こさせる歌詞や遊び
[編集]「ぎなた読み」で誤読すると卑猥な意味になる文章をつくって遊ぶ場合がある。
- ぱんつくったことある?
- 金太の大冒険
- この先生きのこる
- 「この先、生き残る」という意味で「この先生きのこる」と書かれたものを「この先生、きのこる」と誤読する者が多かった。一部に面白がる人がいて、繰り返し言及され、「きのこる先生」というキャラクターまで作りだす人もいた[14]。
- この種の関連項目
他言語の事例
[編集]日本語以外の言語のぎなた読みの例。
- 韓国瑜
- 正しくはハン・グォユィと読む。中華民国(台湾)の政治家。姓名の区切りの位置を変えると、姓は「韓国」となり、名は「瑜」と誤読されてしまう。中国語で「瑜」と「魚」は同音であることから、台湾のネットユーザーには「Korean fish(韓国魚)」と呼ばれることがある[15]。
- ソナ タヌン チャ
- 韓国の現代自動車が生産する中型のセダンであるヒュンダイ・ソナタの初代モデルは評判が芳しくなく、セールスコピーの「쏘나타 는 차(ソナタ ヌン チャ、「ソナタは車」の意)」を読み変えて「소 나 타는 차(「ソ ナ タヌン」 チャ、「牛と私が乗る車」の意味になる)」と揶揄された[16][信頼性要検証]。
脚注・出典
[編集]- ^ a b “ぎなた読みとは”. コトバンク. デジタル大辞泉. 2020年2月13日閲覧。
- ^ 新村出 編「ぎなた読み」『広辞苑 第六版』岩波書店、2008年1月11日。ISBN 9784000801218。[要ページ番号]
- ^ 竹井成夫『読まない子どもの読書指導』国土社、1983年、28-35頁。ISBN 4-337-45014-9。
- ^ 飯間浩明『重要度順 「伝わる文章」を書く技術だれでも・今すぐ実践できるコツ60』新星出版社、2015年3月発行、63頁。ISBN 978-4405102538。
- ^ 谷口一刀『バカ日本語辞典 -全国のバカが考えた脳内国語ディクショナリー-』技術評論社、2006年、72頁。ISBN 978-4774153469。
- ^ 『大人の科学マガジン テオ・ヤンセン式二足歩行ロボット』学研プラス、2012年、21頁。ISBN 978-4059160083。
- ^ 京都新聞 2005年7月16日付朝刊・21面
- ^ 貫井康徳@dcp「ぎなた読み、パングラム…あなたの知らない言葉遊び」『マイナビニュース』マイナビ、2013年2月23日。オリジナルの2013年2月25日時点におけるアーカイブ。
- ^ “有賀さつき(@satsukiariga)の2013年1月22日のツイート”. 2016年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月24日閲覧。
- ^ “メディアが広めた「旧中山道」誤読伝説 有賀さつきさん、本人も生前たびたび訂正するが...”. J-CASTニュース. (2018年2月5日) 2021年1月24日閲覧。
- ^ 今回も吹き荒れる「C82 なのは完売」:行列はロンドンまで - ねとらぼ
- ^ fortune (2021年1月8日). “ぎなた読みの意味とは?面白い・怖い例文一覧”. Spicomi. UOCC. 2021年1月8日閲覧。
- ^ 平田昌広; 平田景(インタビュアー:澤田聡子)「平田昌広さん・景さんの絵本「ぱんつくったよ。」 ことばの区切りを変えて、予想外の展開に」『好書好日』、朝日新聞社、2022年6月13日 。2024年2月25日閲覧。
- ^ タブロイド/佐藤 (2015年6月8日). “よくわからないまま流してた! 男性に聞いた「よく意味のわからないネット用語」TOP10”. マイナビウーマン. マイナビ. 2020年7月17日閲覧。
- ^ “影》宋楚魚變「韓國魚」 旗津攤商業績長近10倍” (中国語). 中国時報 (2018年12月7日). 2021年1月9日閲覧。
- ^ “바로나 버로큐, '소나 타는 차' 비아냥에 소나타→쏘나타 바꾼 정주영” (朝鮮語) (2018年9月25日). 2020年2月13日閲覧。